2021(04)
■昨日の友は今日の敵?
++++
「でも、びっくりしたなあ。わーってなったよね」
「ホントですよね。サキからお知らせって、システム関係の話かと思ったら全然違った上にマジでガチなお知らせだったし」
「いや、これはこれで熱いヤツじゃね? 俺なんか俄然興味しかないし、やるんだったらミキサーって言うかプロデューサーとしての腕を試したいね」
定例会終わりですがやん、サキ、そして彩人とご飯に行く。定例会の現場では話しきれなかった詳しいことをサキから聞いておきたいと思って。個人的には定例会の延長って感じで、議長としてのスタンスはまだ解けない感じ。
ファンフェスの話に入っていくにはまだ早いし、音源のファイル化やデータベースに関する話かなと思っていたら、全然思ってもみない内容だった。本当にいきなりだったから本当にびっくりして。だけど、実現するならこれ以上ない話だと思う。
そもそもインターフェイスの定例会がやっていたらしい仕事っていうのが、公共の場で一般の人に向けた番組をやっていたスキー場DJが終わって、それに代わる場所を探すということ。それは全然進んでいなさそうな感じだったから、そろそろ忘れられそうになっていたところに。
「FMにしうみでの番組って一言で言うけど、どんな感じでやるんだろうね」
「やってることはそこまで難しくないですね」
サキがバイトをしているFMにしうみの人が、今後学生パーソナリティーの番組をやろうと思っているからインターフェイスでやる気のある人がいればいいんだけど、と持ちかけてきたそうなんだ。
それというのも、去年の4月から年末までそこでやっていた高崎先輩の番組がなかなかに好評だったとかで、こういうのもありなのかもしれないという話になったとか。ちなみにミキサーは福井先輩が担当していたとも聞いた。
もちろん、コミュニティラジオ局と言っても公共の電波を使って放送をするワケだし、インターネットを通じて配信もされてる。1回きりじゃなくて何ヶ月かは継続するみたいだからこれはスキー場DJに取って代わる活動としてはいいんじゃないかって。
「ただ、実は定例会の場では言っていなかった話の続きというのがあって」
「あっ、それはちゃんと聞かせてもらわないとね」
「局の偉い人が知り合いの大学教授にも同じ話を持ちかけていて、高崎先輩がやっていた1時間の枠を半分ずつ分け合うのか、取り合うのか……という話ですね」
「なるほど、競合相手がいるのか。その方が俺は燃えるけど」
「サキ、その教授が何て言ってたかとかは聞けたん?」
「ウチのゼミの精鋭たちを送り込む、的なことを言ってたっぽい。局の人的には、同じ学生でも放送サークルの集まった団体であるインターフェイスには雰囲気と技術を求めてくるみたい。如何せん先にやってたのが高崎先輩だから、あのレベルをイメージしてるっぽくて」
「高崎先輩レベルとか軽く言うけどめちゃくちゃ厳しいぜ」
「うーん。でも、確かにある程度の技術はないと厳しいかもね。やる気だけじゃなくて、そこのところの見極めも必要になってくるかも」
「でも、その教授とかいう人がいくら精鋭を送り込むっつったって普段から人に向けて発することを考えて実践してる俺らがそう簡単に負けてたまるかっつー話だよ!」
星ヶ丘仕込みの彩人の負けん気は実に素晴らしいなあと思う。俺はこう、真正面から向かっていって勝負するぞっていうタイプではないから。同じ学生同士なんだから棲み分けをすればいいんじゃないかなって考える方と言うか。
だけどサキの話ではその大学教授って人が結構やる気と言うか、ある枠は全部自分が持って行って当然みたいな風に言ってるっぽい。いざそうやって攻めてこられた場合に、俺は、と言うかインターフェイスは、どうしていくべきか。
「それで、もう一つ大事なポイントなんですけど。その知り合いの大学教授って言うのが緑大社会学部の佐藤教授という人なんです」
「社学の佐藤? どっかで聞いたな」
「MBCCで嫌になるほど聞いてるでしょ。高木先輩、それからササとシノのいるゼミだよ」
「マジか!」
「その人の言う“精鋭”のレベルはこれで想像してもらえるかと。佐藤ゼミからの刺客として高木先輩が送り込まれる可能性は十二分にあるということです。それどころか、時期が時期なら果林先輩が派遣される可能性もあります」
「高木さんが敵に回るとか想像したくもねーよ。夏合宿ン時とかめちゃくちゃ頼り切ってたから味方の時の頼もしさは存分に知ってるんだぞ」
「あくまで可能性の話ね。でも、高木先輩には絶対この話は行ってるだろうから」
「でも、実際俺らも枠をもらえるように自分たちでしていかなきゃいけないんだと思う。緑大のゼミがどうとかっていう以前に、俺たちの技術がなきゃその話も消えちゃうんでしょ」
「そうですね」
「なら、やることはひとつだよ」
「ですね」
「そうっすね」
インターフェイスでやっていくのは、楽しくやりながらも技術の向上。初心者講習会だったり、夏合宿だったり。講習めいた行事がたくさんあるのは元々やってたスキー場DJに向けた技術の向上が必要だったからじゃないかなと。
「言っても高木先輩がやるのは音の組み立てだけで、番組の内容自体はアナウンサーによるから。すがやんはわかると思うけど、昼のラジオのレベルだからね」
「あー、まあ、多くは言わないけど、そうなるとササが出て来ると怖いなって感じか?」
「そうだね。俺としては、ミキサーとして高木先輩と真っ向勝負出来るのは少し楽しみだったりするけどね。局の機材を知ってるっていう優位性で、先輩でも出来ないようなことを見せつけてやりたいなとは」
「サキ君かっけー!」
「そうだね。向かって行く勇気が必要なのかも。まずは、春の番組制作会からかな」
end.
++++
TKGと真っ向勝負をしたいと言うサキに、アナウンサーの双璧に挑んだフェーズ1のりっちゃんみを感じる。
如何せん奴は腹黒いので敵に回った時の恐ろしさは結構未知数。でも番組の内容はアナウンサーによるのでさほど脅威ではないか?
フェーズ3があれば夏合宿のモニターとかに局関係者がちょこちょこ見に来てても面白そう
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「でも、びっくりしたなあ。わーってなったよね」
「ホントですよね。サキからお知らせって、システム関係の話かと思ったら全然違った上にマジでガチなお知らせだったし」
「いや、これはこれで熱いヤツじゃね? 俺なんか俄然興味しかないし、やるんだったらミキサーって言うかプロデューサーとしての腕を試したいね」
定例会終わりですがやん、サキ、そして彩人とご飯に行く。定例会の現場では話しきれなかった詳しいことをサキから聞いておきたいと思って。個人的には定例会の延長って感じで、議長としてのスタンスはまだ解けない感じ。
ファンフェスの話に入っていくにはまだ早いし、音源のファイル化やデータベースに関する話かなと思っていたら、全然思ってもみない内容だった。本当にいきなりだったから本当にびっくりして。だけど、実現するならこれ以上ない話だと思う。
そもそもインターフェイスの定例会がやっていたらしい仕事っていうのが、公共の場で一般の人に向けた番組をやっていたスキー場DJが終わって、それに代わる場所を探すということ。それは全然進んでいなさそうな感じだったから、そろそろ忘れられそうになっていたところに。
「FMにしうみでの番組って一言で言うけど、どんな感じでやるんだろうね」
「やってることはそこまで難しくないですね」
サキがバイトをしているFMにしうみの人が、今後学生パーソナリティーの番組をやろうと思っているからインターフェイスでやる気のある人がいればいいんだけど、と持ちかけてきたそうなんだ。
それというのも、去年の4月から年末までそこでやっていた高崎先輩の番組がなかなかに好評だったとかで、こういうのもありなのかもしれないという話になったとか。ちなみにミキサーは福井先輩が担当していたとも聞いた。
もちろん、コミュニティラジオ局と言っても公共の電波を使って放送をするワケだし、インターネットを通じて配信もされてる。1回きりじゃなくて何ヶ月かは継続するみたいだからこれはスキー場DJに取って代わる活動としてはいいんじゃないかって。
「ただ、実は定例会の場では言っていなかった話の続きというのがあって」
「あっ、それはちゃんと聞かせてもらわないとね」
「局の偉い人が知り合いの大学教授にも同じ話を持ちかけていて、高崎先輩がやっていた1時間の枠を半分ずつ分け合うのか、取り合うのか……という話ですね」
「なるほど、競合相手がいるのか。その方が俺は燃えるけど」
「サキ、その教授が何て言ってたかとかは聞けたん?」
「ウチのゼミの精鋭たちを送り込む、的なことを言ってたっぽい。局の人的には、同じ学生でも放送サークルの集まった団体であるインターフェイスには雰囲気と技術を求めてくるみたい。如何せん先にやってたのが高崎先輩だから、あのレベルをイメージしてるっぽくて」
「高崎先輩レベルとか軽く言うけどめちゃくちゃ厳しいぜ」
「うーん。でも、確かにある程度の技術はないと厳しいかもね。やる気だけじゃなくて、そこのところの見極めも必要になってくるかも」
「でも、その教授とかいう人がいくら精鋭を送り込むっつったって普段から人に向けて発することを考えて実践してる俺らがそう簡単に負けてたまるかっつー話だよ!」
星ヶ丘仕込みの彩人の負けん気は実に素晴らしいなあと思う。俺はこう、真正面から向かっていって勝負するぞっていうタイプではないから。同じ学生同士なんだから棲み分けをすればいいんじゃないかなって考える方と言うか。
だけどサキの話ではその大学教授って人が結構やる気と言うか、ある枠は全部自分が持って行って当然みたいな風に言ってるっぽい。いざそうやって攻めてこられた場合に、俺は、と言うかインターフェイスは、どうしていくべきか。
「それで、もう一つ大事なポイントなんですけど。その知り合いの大学教授って言うのが緑大社会学部の佐藤教授という人なんです」
「社学の佐藤? どっかで聞いたな」
「MBCCで嫌になるほど聞いてるでしょ。高木先輩、それからササとシノのいるゼミだよ」
「マジか!」
「その人の言う“精鋭”のレベルはこれで想像してもらえるかと。佐藤ゼミからの刺客として高木先輩が送り込まれる可能性は十二分にあるということです。それどころか、時期が時期なら果林先輩が派遣される可能性もあります」
「高木さんが敵に回るとか想像したくもねーよ。夏合宿ン時とかめちゃくちゃ頼り切ってたから味方の時の頼もしさは存分に知ってるんだぞ」
「あくまで可能性の話ね。でも、高木先輩には絶対この話は行ってるだろうから」
「でも、実際俺らも枠をもらえるように自分たちでしていかなきゃいけないんだと思う。緑大のゼミがどうとかっていう以前に、俺たちの技術がなきゃその話も消えちゃうんでしょ」
「そうですね」
「なら、やることはひとつだよ」
「ですね」
「そうっすね」
インターフェイスでやっていくのは、楽しくやりながらも技術の向上。初心者講習会だったり、夏合宿だったり。講習めいた行事がたくさんあるのは元々やってたスキー場DJに向けた技術の向上が必要だったからじゃないかなと。
「言っても高木先輩がやるのは音の組み立てだけで、番組の内容自体はアナウンサーによるから。すがやんはわかると思うけど、昼のラジオのレベルだからね」
「あー、まあ、多くは言わないけど、そうなるとササが出て来ると怖いなって感じか?」
「そうだね。俺としては、ミキサーとして高木先輩と真っ向勝負出来るのは少し楽しみだったりするけどね。局の機材を知ってるっていう優位性で、先輩でも出来ないようなことを見せつけてやりたいなとは」
「サキ君かっけー!」
「そうだね。向かって行く勇気が必要なのかも。まずは、春の番組制作会からかな」
end.
++++
TKGと真っ向勝負をしたいと言うサキに、アナウンサーの双璧に挑んだフェーズ1のりっちゃんみを感じる。
如何せん奴は腹黒いので敵に回った時の恐ろしさは結構未知数。でも番組の内容はアナウンサーによるのでさほど脅威ではないか?
フェーズ3があれば夏合宿のモニターとかに局関係者がちょこちょこ見に来てても面白そう
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