2021(04)
■春光のプレハブ会議
++++
「んーっ、今日もよく動いたー!」
「美雪さんも運動がきちんとした習慣になりつつありますね」
今日も今日とて春風ちゃん家の工場で運動をさせてもらってる。一般のジムに行くハードルがまず高くて運動なんて全然出来なかったけど、春風ちゃんや鳥居家の人の厚意に甘えさせてもらってるって感じ。過保護って話の真宙さんにも、春風ちゃんをよろしくみたいな感じで声をかけられるし、お兄ちゃんもいるからあたしのことは認知されてるのかな?
「問題は、春になって授業が再開しても続けられるかだね」
「本当ですね。次の春学期が始まると、私も新しいサークルでの活動を踏まえた生活リズムになりますし、どうなるのかが未知数で」
「サークル替わったんだ! 何始めたの?」
「はい。人に伝わりやすい話し方などを勉強するために、ラジオなどをやる放送サークルに入りました」
「ウソ。向島って言ってたよね? 奈々いない?」
「はい。奈々先輩にはご挨拶をさせていただいて、何度かお話をしました」
「そしたら今後はインターフェイスの現場でも会うかもだね! そのときはよろしくー」
「はい。よろしくお願いします。そう言えば、川北さんとはサークルの繋がりで知り合ったと言っていましたよね」
「そうそう。インターフェイスのことは聞いたことある?」
「はい。掻い摘んでですが、奈々先輩からも少し聞いています」
「ミドリはそのインターフェイスの定例会っていうのの議長なんだよ。3年生になると隠居する人も出て来るだろうけど、さすがに定例会議長は表に出ないといけないこともあるだろうし、現場で会ったらそのときはよろしくね」
定例会の方では奈々が「存続が危ぶまれたウチに新メンバーが2人も来てくれたんだよーッ!」って物凄いテンションで言ってたけど、春風ちゃんみたいないい子が来てくれたんならそれは喜ぶなあと。夏合宿の時に辞めてった子が結構な地雷系だったみたいだし、地獄から天国くらいの違いなのかな? だから奈々の気持ちにも少し理解を示すことは出来る。
「その、美雪さんにインターフェイスの歩き方に関して少し相談があるのですが……」
「いいよー、何でも聞いてよ」
「春の番組制作会に向けて、新メンバーである私と奏多のレベルを最低限まで持って行かなければと、希くん……ええと、インターフェイス的にはカノンですね。彼が課外練習の機会を設けてくれて、春休みの間も練習をしているのです」
「ちゃんとやってるんだ、エライねえ」
「それで、助っ人ということで緑ヶ丘から徹平くんを……ええと、インターフェイス的にはすがやんですね。彼を招集して私にアナウンサーのことをいろいろ教えてもらっているのです」
「緑ヶ丘の子から教えてもらってるなら、春風ちゃんは頭もいいし飲み込みも良さそうだからちゃんと出来そうだけど。何が気になる?」
「ええと……いろいろありまして、実は徹平くんとお付き合いをすることになりまして」
「えー! おめでとう! ……って、真宙さんには言った? すっごい過保護なんでしょ? 彼氏なんか出来た日には」
「兄さんの問題は幼馴染みの奏多にも相談していますし大丈夫です。美雪さんに伺いたいのは、私がインターフェイスで活動するに辺り、誤解などが生じないかということですね」
「誤解?」
すがやんと付き合うまでのことを春風ちゃんは野坂先輩にも相談してたらしい。それで野坂先輩が言ったのは、構図的に彼氏を追いかけてインターフェイスにやってきた女という見られ方をする可能性もあるということ。インターフェイス内にはあたしとミドリを含めて何組かカップルがいるけど、サークルやインターフェイスの現場で出会って付き合い始めてる人がほとんど。春風ちゃんみたく、付き合い始めてからのインターフェイスデビューというのがどう見られるか、という心配みたい。
春風ちゃんがカノンと一緒に練習を始めてからの経緯を聞けば彼氏を追いかけてインターフェイスに出て来た女という風には見えないんだけど、確かに捻くれた考えをする人がいないとも限らないなあとは。野坂先輩はあまり現場でいちゃつき過ぎない方がいいという風にアドバイスをしてくれたみたい。多分こういう場でもバイト先とかでも一緒だけど、メリハリを付けて、やるべきことをやることだとは思う。
「メリハリ」
「うん。それで、やることはちゃんとやる。他の子たちともコミュニケーションを取って、春風ちゃんの人となりをまずは知ってもらうところからかな」
「コミュニケーション…! あの、私の話し方に問題はないでしょうか? 硬すぎて引かれてしまうなど」
「あー、うん、どうかなあ。同い年の子相手ならもう少し砕けてても大丈夫だとは思うよ」
「それが、習性になっていて柔らかく出来ないのです……」
「そういうキャラとして受け入れてもらうしかないねえ。幸い今の1年生にそういう誰にでも丁寧語の優等生キャラの子はいなかったと思うし平気平気! 2年生以上に関しては奈々もいるし、あたしとミドリもいるから安心してー」
「ありがとうございます」
「それで、すがやんとの馴れ初めなんかは」
「それを聞きますか…!?」
「だって気になるし」
「それでしたら、美雪さんと川北さんの話を聞かせてもらうのと交換にしてください」
「うん、まあ、工場の敷地内だといろいろあれだろうし、今度お茶でもする?」
「はい、ぜひ」
end.
++++
普段の呼び方とDJネームが違う子を「インターフェイス的には」と改めて呼ぶ感じが何か良い。
ユキちゃんと春風もなかなか仲良くなっている感じで、ユキちゃんはこれから春風がインターフェイスを歩く上でなかなか強い味方だ。
春風に彼氏となると、やっぱみんなシスコン兄の心配をするのね。今年度はぜひすがやん&レナとの対面の話なども見てみたいものだ
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「んーっ、今日もよく動いたー!」
「美雪さんも運動がきちんとした習慣になりつつありますね」
今日も今日とて春風ちゃん家の工場で運動をさせてもらってる。一般のジムに行くハードルがまず高くて運動なんて全然出来なかったけど、春風ちゃんや鳥居家の人の厚意に甘えさせてもらってるって感じ。過保護って話の真宙さんにも、春風ちゃんをよろしくみたいな感じで声をかけられるし、お兄ちゃんもいるからあたしのことは認知されてるのかな?
「問題は、春になって授業が再開しても続けられるかだね」
「本当ですね。次の春学期が始まると、私も新しいサークルでの活動を踏まえた生活リズムになりますし、どうなるのかが未知数で」
「サークル替わったんだ! 何始めたの?」
「はい。人に伝わりやすい話し方などを勉強するために、ラジオなどをやる放送サークルに入りました」
「ウソ。向島って言ってたよね? 奈々いない?」
「はい。奈々先輩にはご挨拶をさせていただいて、何度かお話をしました」
「そしたら今後はインターフェイスの現場でも会うかもだね! そのときはよろしくー」
「はい。よろしくお願いします。そう言えば、川北さんとはサークルの繋がりで知り合ったと言っていましたよね」
「そうそう。インターフェイスのことは聞いたことある?」
「はい。掻い摘んでですが、奈々先輩からも少し聞いています」
「ミドリはそのインターフェイスの定例会っていうのの議長なんだよ。3年生になると隠居する人も出て来るだろうけど、さすがに定例会議長は表に出ないといけないこともあるだろうし、現場で会ったらそのときはよろしくね」
定例会の方では奈々が「存続が危ぶまれたウチに新メンバーが2人も来てくれたんだよーッ!」って物凄いテンションで言ってたけど、春風ちゃんみたいないい子が来てくれたんならそれは喜ぶなあと。夏合宿の時に辞めてった子が結構な地雷系だったみたいだし、地獄から天国くらいの違いなのかな? だから奈々の気持ちにも少し理解を示すことは出来る。
「その、美雪さんにインターフェイスの歩き方に関して少し相談があるのですが……」
「いいよー、何でも聞いてよ」
「春の番組制作会に向けて、新メンバーである私と奏多のレベルを最低限まで持って行かなければと、希くん……ええと、インターフェイス的にはカノンですね。彼が課外練習の機会を設けてくれて、春休みの間も練習をしているのです」
「ちゃんとやってるんだ、エライねえ」
「それで、助っ人ということで緑ヶ丘から徹平くんを……ええと、インターフェイス的にはすがやんですね。彼を招集して私にアナウンサーのことをいろいろ教えてもらっているのです」
「緑ヶ丘の子から教えてもらってるなら、春風ちゃんは頭もいいし飲み込みも良さそうだからちゃんと出来そうだけど。何が気になる?」
「ええと……いろいろありまして、実は徹平くんとお付き合いをすることになりまして」
「えー! おめでとう! ……って、真宙さんには言った? すっごい過保護なんでしょ? 彼氏なんか出来た日には」
「兄さんの問題は幼馴染みの奏多にも相談していますし大丈夫です。美雪さんに伺いたいのは、私がインターフェイスで活動するに辺り、誤解などが生じないかということですね」
「誤解?」
すがやんと付き合うまでのことを春風ちゃんは野坂先輩にも相談してたらしい。それで野坂先輩が言ったのは、構図的に彼氏を追いかけてインターフェイスにやってきた女という見られ方をする可能性もあるということ。インターフェイス内にはあたしとミドリを含めて何組かカップルがいるけど、サークルやインターフェイスの現場で出会って付き合い始めてる人がほとんど。春風ちゃんみたく、付き合い始めてからのインターフェイスデビューというのがどう見られるか、という心配みたい。
春風ちゃんがカノンと一緒に練習を始めてからの経緯を聞けば彼氏を追いかけてインターフェイスに出て来た女という風には見えないんだけど、確かに捻くれた考えをする人がいないとも限らないなあとは。野坂先輩はあまり現場でいちゃつき過ぎない方がいいという風にアドバイスをしてくれたみたい。多分こういう場でもバイト先とかでも一緒だけど、メリハリを付けて、やるべきことをやることだとは思う。
「メリハリ」
「うん。それで、やることはちゃんとやる。他の子たちともコミュニケーションを取って、春風ちゃんの人となりをまずは知ってもらうところからかな」
「コミュニケーション…! あの、私の話し方に問題はないでしょうか? 硬すぎて引かれてしまうなど」
「あー、うん、どうかなあ。同い年の子相手ならもう少し砕けてても大丈夫だとは思うよ」
「それが、習性になっていて柔らかく出来ないのです……」
「そういうキャラとして受け入れてもらうしかないねえ。幸い今の1年生にそういう誰にでも丁寧語の優等生キャラの子はいなかったと思うし平気平気! 2年生以上に関しては奈々もいるし、あたしとミドリもいるから安心してー」
「ありがとうございます」
「それで、すがやんとの馴れ初めなんかは」
「それを聞きますか…!?」
「だって気になるし」
「それでしたら、美雪さんと川北さんの話を聞かせてもらうのと交換にしてください」
「うん、まあ、工場の敷地内だといろいろあれだろうし、今度お茶でもする?」
「はい、ぜひ」
end.
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普段の呼び方とDJネームが違う子を「インターフェイス的には」と改めて呼ぶ感じが何か良い。
ユキちゃんと春風もなかなか仲良くなっている感じで、ユキちゃんはこれから春風がインターフェイスを歩く上でなかなか強い味方だ。
春風に彼氏となると、やっぱみんなシスコン兄の心配をするのね。今年度はぜひすがやん&レナとの対面の話なども見てみたいものだ
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