2021(04)
■こだわりと値切り上手の買い物
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ゼミ合宿が終わってすぐ、一人暮らしを始めたシノの部屋にMBCC1年6人が集まることになった。シノへのサプライズとして引っ越し祝いを4人が用意していたそうだ。ちなみに俺がそれに含まれなかったのは引っ越しの日に米を渡していたからだ。
俺が渡した米の3000円という金額を基準に、4人がそれぞれ一人暮らしに必要そうな物は何だろうと考えて買い物をしていたらしい。シノの家にある物は引っ越しを手伝った俺が玲那に伝えていて、重複がないようには一応なっているのかな?
「シーノー! おっじゃましまーす!」
「まだ引っ越してきたまんまであんま片付いてねーけどテキトーなトコに座ってくれ」
「おー、これがシノの部屋かー」
「意外に殺風景だね」
「さっそくだけど本題に入ろうか。シノと陸がゼミ合宿に行ってる間、私たちで引っ越し祝いを用意したんだ。本当にささやかなんだけどね」
「そうそう! シノ、貯金頑張ってたもんね! 本当におめでとう!」
「そーやって祝ってもらえるだけでマジで感謝だぜ」
「そしたら、私とサキのからお披露目する?」
「そうだね」
4人が何を用意してきたのかは俺も知らないから、何が出てくるんだろうって俺もワクワクしている。買い物の様子については少し話に聞いてたんだけど、玲那とサキ、それからくるみすがやんチームに分かれて品物を選ぶことになったとか。
玲那とサキ、それからくるみとすがやんという、何となくお互いの性格やノリが物品に現れそうな組み合わせなだけに、先にお披露目される玲那サキチームのお祝いは実用的とか現実的だとか、そんな雰囲気がする。シノも、何が出てくんのかなとウキウキしているようだ。
「私とサキからのお祝いはこれ」
「目覚まし時計と日用消耗品だね」
「目覚まし時計は助かるー! スマホのアラームだけじゃしんどくなるときって絶対あるもんな! 鳴らしてみていい?」
「いいけど、うるさいよ」
「えーっと、これをこうするのかな」
「スマホからアラームの時間をセットできるのは当然として、Bluetooth接続が出来てスマホの音楽やラジオが聞けたりもするよ。上位機種になるとスマホの充電だとかモバイルバッテリーとしての機能が付いてたりするんだけど、今回のお祝いの規模だとこれが限界だったよ」
「Bluetoothが使えるっていうのはサキのこだわりだね」
「へー、すげーなー。説明書は後で読むことにして、とりあえずアラームだな。13時15分っと」
すると結構な大音量が部屋に鳴り響いてシノは慌てて「うるせー!」とアラームを止めた。この音量なら大丈夫と見るのか、この音にもいずれ慣れてしまうのか。ただ、大学から徒歩でも5分のこの距離であれば、叩き起こしに来ることも現実的に可能だ。
「それからこれが日常的に使う物の消耗品。トイレットペーパーだとかティッシュだとか。あと洗って使えるペーパータオル」
「あ、地味にめちゃくちゃ助かるヤツだ。ありがて~」
「花粉の季節だし保湿ティッシュもあるよ」
「それはサキの需要でしょ。そしたら、次はあたしとすがやんからのお祝いだよ!」
「ちょっと待ってなー」
「何が出てくるんだろうな」
「くるみすがやんチームは、くるみがとにかく凄かったよ」
「将来的にはMBCCでもお金の管理を任せたいって思ったよね。それくらいには凄かった」
「マジかよ、何がどんだけ凄かったんだ…?」
ガタガタと台所からの物音がして、いよいよ来るのかと期待感が高まる。玲那とサキが凄かったと唸る買い物風景も見たかった気がするけど、それがどんな物で、どう凄い買い方をしたのかも気になる。先の2人のハイテク目覚まし時計でハードルは結構上がった気がするけどどうなる。
「じゃじゃーん! あたしとすがやんからのお祝いは、一人暮らしと言えばパーティー! パーティーに欠かせないカセットコンロと土鍋のセットとー?」
「2人分くらいで食うのにちょうどいいおひとり様サイズの電気鍋でーす。ちなみにたこ焼きプレートもついてるからたこパも出来るぜ」
「えー! そんなにもらえんの!?」
「えっ、って言うか予算って1人3000円って言ってなかったか? どう考えてもオーバーしてる気がするんだけど」
「あっ、そーじゃん! ぜってー高いじゃんか!」
「くるみの腕なんだよ」
「うん。くるみの腕だね」
「季節商品っていうのはシーズンオフになると売れ行きが悪くなるから在庫処分のために売り切りたいのね。土鍋なんかは典型的な季節商品だし、カセットコンロは最近のアウトドア需要で人気だけど、型が古いのはやっすくもなってるんだ。あと、電気鍋はお店で店員さんにお願いして安くしてもらって予算内に収めたよ」
「値下げ交渉してる時のくるみがマジで頼もしすぎた」
確かに、俺たち6人の中でそういうのが上手そうなのはくるみだよなあと思う。シーズンオフや型落ちのものを、交渉しながら上手く買ったんだな。シノも倹約は上手いけど、値下げ交渉となるとどうかな。
「いやー、マジでみんなサンキュ。つか普通って、引っ越し祝いに対するお返しみたいなのって用意するモンなのかな?」
「えーっ、そんなの気にしないでよ! あたしたちもこれからシノの家に遊びに来るからこれくらいのお祝いじゃ足りないくらいだよ!」
「それな。特に俺とくるみなんかパーティーやること前提にした買い物だし」
「いや、全然やろうぜパーティー。今まで6人で集まるのもハードル高かったけど、これからはガンガンやれるもんな!」
「陸さんは自分が食べるためのお米置いてってるくらいだしね。みんなこれからシノのお世話になるから」
「玲那」
「まあまあ。シノ、今日の夜って何か予定あったっけ?」
「や、今日はない」
「じゃあパーティーだね! 何パーティーにする!?」
end.
++++
値切ってるくるちゃんの姿に将来のMBCC会計としての資質が垣間見た? レナサキがただただほめちぎってる。
サキが一人暮らしなんかを始めたらスマート家電をバッシバシ揃えそう。そこにお金は惜しまないんだろうなあ
こうして見るとサキがみんなに馴染んで口数も増えたことがとても嬉しく思えて来るね。ちょこちょここだわりや主張も挟んでるしね
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ゼミ合宿が終わってすぐ、一人暮らしを始めたシノの部屋にMBCC1年6人が集まることになった。シノへのサプライズとして引っ越し祝いを4人が用意していたそうだ。ちなみに俺がそれに含まれなかったのは引っ越しの日に米を渡していたからだ。
俺が渡した米の3000円という金額を基準に、4人がそれぞれ一人暮らしに必要そうな物は何だろうと考えて買い物をしていたらしい。シノの家にある物は引っ越しを手伝った俺が玲那に伝えていて、重複がないようには一応なっているのかな?
「シーノー! おっじゃましまーす!」
「まだ引っ越してきたまんまであんま片付いてねーけどテキトーなトコに座ってくれ」
「おー、これがシノの部屋かー」
「意外に殺風景だね」
「さっそくだけど本題に入ろうか。シノと陸がゼミ合宿に行ってる間、私たちで引っ越し祝いを用意したんだ。本当にささやかなんだけどね」
「そうそう! シノ、貯金頑張ってたもんね! 本当におめでとう!」
「そーやって祝ってもらえるだけでマジで感謝だぜ」
「そしたら、私とサキのからお披露目する?」
「そうだね」
4人が何を用意してきたのかは俺も知らないから、何が出てくるんだろうって俺もワクワクしている。買い物の様子については少し話に聞いてたんだけど、玲那とサキ、それからくるみすがやんチームに分かれて品物を選ぶことになったとか。
玲那とサキ、それからくるみとすがやんという、何となくお互いの性格やノリが物品に現れそうな組み合わせなだけに、先にお披露目される玲那サキチームのお祝いは実用的とか現実的だとか、そんな雰囲気がする。シノも、何が出てくんのかなとウキウキしているようだ。
「私とサキからのお祝いはこれ」
「目覚まし時計と日用消耗品だね」
「目覚まし時計は助かるー! スマホのアラームだけじゃしんどくなるときって絶対あるもんな! 鳴らしてみていい?」
「いいけど、うるさいよ」
「えーっと、これをこうするのかな」
「スマホからアラームの時間をセットできるのは当然として、Bluetooth接続が出来てスマホの音楽やラジオが聞けたりもするよ。上位機種になるとスマホの充電だとかモバイルバッテリーとしての機能が付いてたりするんだけど、今回のお祝いの規模だとこれが限界だったよ」
「Bluetoothが使えるっていうのはサキのこだわりだね」
「へー、すげーなー。説明書は後で読むことにして、とりあえずアラームだな。13時15分っと」
すると結構な大音量が部屋に鳴り響いてシノは慌てて「うるせー!」とアラームを止めた。この音量なら大丈夫と見るのか、この音にもいずれ慣れてしまうのか。ただ、大学から徒歩でも5分のこの距離であれば、叩き起こしに来ることも現実的に可能だ。
「それからこれが日常的に使う物の消耗品。トイレットペーパーだとかティッシュだとか。あと洗って使えるペーパータオル」
「あ、地味にめちゃくちゃ助かるヤツだ。ありがて~」
「花粉の季節だし保湿ティッシュもあるよ」
「それはサキの需要でしょ。そしたら、次はあたしとすがやんからのお祝いだよ!」
「ちょっと待ってなー」
「何が出てくるんだろうな」
「くるみすがやんチームは、くるみがとにかく凄かったよ」
「将来的にはMBCCでもお金の管理を任せたいって思ったよね。それくらいには凄かった」
「マジかよ、何がどんだけ凄かったんだ…?」
ガタガタと台所からの物音がして、いよいよ来るのかと期待感が高まる。玲那とサキが凄かったと唸る買い物風景も見たかった気がするけど、それがどんな物で、どう凄い買い方をしたのかも気になる。先の2人のハイテク目覚まし時計でハードルは結構上がった気がするけどどうなる。
「じゃじゃーん! あたしとすがやんからのお祝いは、一人暮らしと言えばパーティー! パーティーに欠かせないカセットコンロと土鍋のセットとー?」
「2人分くらいで食うのにちょうどいいおひとり様サイズの電気鍋でーす。ちなみにたこ焼きプレートもついてるからたこパも出来るぜ」
「えー! そんなにもらえんの!?」
「えっ、って言うか予算って1人3000円って言ってなかったか? どう考えてもオーバーしてる気がするんだけど」
「あっ、そーじゃん! ぜってー高いじゃんか!」
「くるみの腕なんだよ」
「うん。くるみの腕だね」
「季節商品っていうのはシーズンオフになると売れ行きが悪くなるから在庫処分のために売り切りたいのね。土鍋なんかは典型的な季節商品だし、カセットコンロは最近のアウトドア需要で人気だけど、型が古いのはやっすくもなってるんだ。あと、電気鍋はお店で店員さんにお願いして安くしてもらって予算内に収めたよ」
「値下げ交渉してる時のくるみがマジで頼もしすぎた」
確かに、俺たち6人の中でそういうのが上手そうなのはくるみだよなあと思う。シーズンオフや型落ちのものを、交渉しながら上手く買ったんだな。シノも倹約は上手いけど、値下げ交渉となるとどうかな。
「いやー、マジでみんなサンキュ。つか普通って、引っ越し祝いに対するお返しみたいなのって用意するモンなのかな?」
「えーっ、そんなの気にしないでよ! あたしたちもこれからシノの家に遊びに来るからこれくらいのお祝いじゃ足りないくらいだよ!」
「それな。特に俺とくるみなんかパーティーやること前提にした買い物だし」
「いや、全然やろうぜパーティー。今まで6人で集まるのもハードル高かったけど、これからはガンガンやれるもんな!」
「陸さんは自分が食べるためのお米置いてってるくらいだしね。みんなこれからシノのお世話になるから」
「玲那」
「まあまあ。シノ、今日の夜って何か予定あったっけ?」
「や、今日はない」
「じゃあパーティーだね! 何パーティーにする!?」
end.
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値切ってるくるちゃんの姿に将来のMBCC会計としての資質が垣間見た? レナサキがただただほめちぎってる。
サキが一人暮らしなんかを始めたらスマート家電をバッシバシ揃えそう。そこにお金は惜しまないんだろうなあ
こうして見るとサキがみんなに馴染んで口数も増えたことがとても嬉しく思えて来るね。ちょこちょここだわりや主張も挟んでるしね
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