2021(04)
■物も流れて人も流れる
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今年も倉庫でのアルバイトをやらせてもらっていて、今年は製品の吊り札付け以外の仕事も少しずつ頼まれるようになっていた。一応吊り札付けの体で来てたんだけど、製品の返品入庫の仕事だったり、出荷作業にも駆り出されたり。なんなら吊り札付けの作業をやっている時間の方が短いんじゃないかなって思う。
今日は出荷のない土曜日だったんだけど、吊り札付けの作業だとか返品入庫は普通にやっているということで、どっちかなあと朝霞先輩と言いながら会社にやって来ると返品入庫の方だったので寒い方だーってなりましたよね。日によってやることが違うから、服装での調整が結構難しかったりする。
「そしたら、今日はこのパレットから崩してもらおうかー」
「はーい」
「えーと、とりあえず俺は17とか18の方をまとめて持って行きますね」
「了解。じゃ俺は23とか24にしようか」
WMSというシステムで、高い端末を使っての返品入庫の仕事にも少し慣れて来た。吊り札のバーコードを読んで、端末に表示されたロケーションにその品物を戻していくという作業だ。Tシャツがびっしり詰まった箱は抱えて運ぶにもかなり重いから、台車に近場の物が固まった箱をいくつか積んで運んでいく。
出荷作業が無い日ということで、作業小屋の中では社員の人が総出で吊り札付けの作業をしているらしい。今日は俺と朝霞先輩、それから大石先輩の3人で返品入庫をやることになっている。大石先輩は大学入学の直前にこの会社でアルバイトを始めて、この春からそのまま社員登用という形で就職するそうだ。フォークリフトの講習も受けたので、この仕事は1人で回せるようになったとのこと。
この仕事は案外単調と言うか同じ作業の繰り返しが多いから、出荷作業の方よりは向いているんだろうなあとは。朝霞先輩は洋服が好きだということで、箱の中から出て来る服や帽子などのアクセサリーを見ながらこれはいいなあと楽しそうに仕事をしている。俺も作業をしながら一応吊り札をチラリと見るけど、高くてとても手が出ない。
「そう言えば、来週から来春から入社する人がアルバイトで入ることになってるんだよ」
「へえ、そうなのか。お前の同期に当たる人か」
「そうなんだよ」
「お前みたく現場で肉体労働って感じなのか?」
「ううん、事務所でパソコンを使った仕事をするのがメインになる予定の人。在庫管理だとか、その他いろいろ? 俺はちょっとその辺のことはよくわかんないんだけど」
「俺たちが使ってるこういう端末から得られるデータを使う側の人ってことですか?」
「それもきっとあるんだろうね。俺も最低限パソコンでのWMSの使い方を覚えろって言われてるけど、専門的にやる人はもっとすごいことをするんだろうなあ」
「じゃあ、言い方はアレだけどもやしっ子系で体力に自信がなくても物流の仕事をやろうと思えば出来るんだな」
「その人に関しては、塩見さんは体力もあるし筋もいいからフォークリフトを仕込みたいって言ってたけどね」
「塩見さんがそう言うなら期待のホープじゃねーか。お前もうかうかしてらんないな」
「ホントだね」
大石先輩も最低限パソコンでのWMSと呼ばれるこの端末と紐づけられるシステムの扱い方も覚えろと言われているけれど、生粋の現場作業員という感じなのでシステムよりはフォークリフトの優先度が圧倒的に高い。ただ、来週から来るという人はシステム系の人なので、フォークリフトよりシステムの扱いに比重が置かれるみたいだ。同じ会社でも何をするかによって必要なスキルが変わって来るのも当然と言えば当然なのかもしれないけど面白いなあと思う。
「越野くんて言って星港に実家のある子なんだけど、紅社の大学で物流のことを勉強してたみたいだね」
「あれ、紅社って言ったら高木君、実家じゃない?」
「そうですね」
「紅社か~……行ったことないなー。何だかんだ東は東都まで、西は水堀か西京くらいまでしか行ったことねーんだよなー。行ってみたいなー、学生のうちに行くべきだったなー」
「そうだよね。俺もいろいろ行くようになったのって温泉に行き始めてからだし、この春休みがまとまった休みになる最後の機会なのかもしれないね」
「高木君は旅行とか好き?」
「好きですね。たまにですけど、帰省の時とかに途中下車した先の町をふらふらしたりしますね」
「そっか、帰省が既に旅行なんだ」
「なので降り立った土地は西に偏ってますね」
「朝霞は山羽だもんね。距離自体はあるけど旅感はそこまででもなさそうだね」
「それなんだよ。あー、何かそんな話してたら口がソースになったな。高木君、今日の夜高木君ちの下で一緒に食べない?」
「いいですね、行きましょう」
「えっ、タカティの家の下って、お好み焼きだよね!? 俺も食べたい!」
「じゃお前も一緒に食うか」
「よーし、夕飯のために仕事頑張ろう」
来週からはゼミやインターフェイス関係で地味に忙しくてバイトの日数もそこまで多くないんだけど、俺も頑張らないとなあ。2月3月は何気に出費が増えるし。長い休みと言え、帰省のついで以外の旅行をする余裕はまだないなあ。俺もいろいろ行ってみたいんだけどね、北辰とかも憧れるし。
「明日日曜だし俺は飲もうかな、絶対美味いよな」
「美味しいですねー。俺は明日果林先輩と店飲みの約束があるので飲んでも1杯が限度ですけど」
end.
++++
システム系でも数字だけじゃなくて現物と照らし合わせて仕事をする必要があるのでリフトの技能はあって損はなかったりする
今年度のPさんはいろいろなエリアに飛んで歩いたりしてたので、一応旅に出てないワケではない
チーム温玉とこっしーの融合ってどうなるんだろう。Pさん、こっしーのマイクラの街を見て度肝抜かして欲しい
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今年も倉庫でのアルバイトをやらせてもらっていて、今年は製品の吊り札付け以外の仕事も少しずつ頼まれるようになっていた。一応吊り札付けの体で来てたんだけど、製品の返品入庫の仕事だったり、出荷作業にも駆り出されたり。なんなら吊り札付けの作業をやっている時間の方が短いんじゃないかなって思う。
今日は出荷のない土曜日だったんだけど、吊り札付けの作業だとか返品入庫は普通にやっているということで、どっちかなあと朝霞先輩と言いながら会社にやって来ると返品入庫の方だったので寒い方だーってなりましたよね。日によってやることが違うから、服装での調整が結構難しかったりする。
「そしたら、今日はこのパレットから崩してもらおうかー」
「はーい」
「えーと、とりあえず俺は17とか18の方をまとめて持って行きますね」
「了解。じゃ俺は23とか24にしようか」
WMSというシステムで、高い端末を使っての返品入庫の仕事にも少し慣れて来た。吊り札のバーコードを読んで、端末に表示されたロケーションにその品物を戻していくという作業だ。Tシャツがびっしり詰まった箱は抱えて運ぶにもかなり重いから、台車に近場の物が固まった箱をいくつか積んで運んでいく。
出荷作業が無い日ということで、作業小屋の中では社員の人が総出で吊り札付けの作業をしているらしい。今日は俺と朝霞先輩、それから大石先輩の3人で返品入庫をやることになっている。大石先輩は大学入学の直前にこの会社でアルバイトを始めて、この春からそのまま社員登用という形で就職するそうだ。フォークリフトの講習も受けたので、この仕事は1人で回せるようになったとのこと。
この仕事は案外単調と言うか同じ作業の繰り返しが多いから、出荷作業の方よりは向いているんだろうなあとは。朝霞先輩は洋服が好きだということで、箱の中から出て来る服や帽子などのアクセサリーを見ながらこれはいいなあと楽しそうに仕事をしている。俺も作業をしながら一応吊り札をチラリと見るけど、高くてとても手が出ない。
「そう言えば、来週から来春から入社する人がアルバイトで入ることになってるんだよ」
「へえ、そうなのか。お前の同期に当たる人か」
「そうなんだよ」
「お前みたく現場で肉体労働って感じなのか?」
「ううん、事務所でパソコンを使った仕事をするのがメインになる予定の人。在庫管理だとか、その他いろいろ? 俺はちょっとその辺のことはよくわかんないんだけど」
「俺たちが使ってるこういう端末から得られるデータを使う側の人ってことですか?」
「それもきっとあるんだろうね。俺も最低限パソコンでのWMSの使い方を覚えろって言われてるけど、専門的にやる人はもっとすごいことをするんだろうなあ」
「じゃあ、言い方はアレだけどもやしっ子系で体力に自信がなくても物流の仕事をやろうと思えば出来るんだな」
「その人に関しては、塩見さんは体力もあるし筋もいいからフォークリフトを仕込みたいって言ってたけどね」
「塩見さんがそう言うなら期待のホープじゃねーか。お前もうかうかしてらんないな」
「ホントだね」
大石先輩も最低限パソコンでのWMSと呼ばれるこの端末と紐づけられるシステムの扱い方も覚えろと言われているけれど、生粋の現場作業員という感じなのでシステムよりはフォークリフトの優先度が圧倒的に高い。ただ、来週から来るという人はシステム系の人なので、フォークリフトよりシステムの扱いに比重が置かれるみたいだ。同じ会社でも何をするかによって必要なスキルが変わって来るのも当然と言えば当然なのかもしれないけど面白いなあと思う。
「越野くんて言って星港に実家のある子なんだけど、紅社の大学で物流のことを勉強してたみたいだね」
「あれ、紅社って言ったら高木君、実家じゃない?」
「そうですね」
「紅社か~……行ったことないなー。何だかんだ東は東都まで、西は水堀か西京くらいまでしか行ったことねーんだよなー。行ってみたいなー、学生のうちに行くべきだったなー」
「そうだよね。俺もいろいろ行くようになったのって温泉に行き始めてからだし、この春休みがまとまった休みになる最後の機会なのかもしれないね」
「高木君は旅行とか好き?」
「好きですね。たまにですけど、帰省の時とかに途中下車した先の町をふらふらしたりしますね」
「そっか、帰省が既に旅行なんだ」
「なので降り立った土地は西に偏ってますね」
「朝霞は山羽だもんね。距離自体はあるけど旅感はそこまででもなさそうだね」
「それなんだよ。あー、何かそんな話してたら口がソースになったな。高木君、今日の夜高木君ちの下で一緒に食べない?」
「いいですね、行きましょう」
「えっ、タカティの家の下って、お好み焼きだよね!? 俺も食べたい!」
「じゃお前も一緒に食うか」
「よーし、夕飯のために仕事頑張ろう」
来週からはゼミやインターフェイス関係で地味に忙しくてバイトの日数もそこまで多くないんだけど、俺も頑張らないとなあ。2月3月は何気に出費が増えるし。長い休みと言え、帰省のついで以外の旅行をする余裕はまだないなあ。俺もいろいろ行ってみたいんだけどね、北辰とかも憧れるし。
「明日日曜だし俺は飲もうかな、絶対美味いよな」
「美味しいですねー。俺は明日果林先輩と店飲みの約束があるので飲んでも1杯が限度ですけど」
end.
++++
システム系でも数字だけじゃなくて現物と照らし合わせて仕事をする必要があるのでリフトの技能はあって損はなかったりする
今年度のPさんはいろいろなエリアに飛んで歩いたりしてたので、一応旅に出てないワケではない
チーム温玉とこっしーの融合ってどうなるんだろう。Pさん、こっしーのマイクラの街を見て度肝抜かして欲しい
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