2021(04)
■こんにちはMMP
++++
テスト期間がどうとか知ったこっちゃない。俺はと言えば、テストやレポートはそこそこにやって、今日の放課後に鳥ちゃんと奏多を迎えるための準備に忙しかったぜ。鳥ちゃんが人に向けて話す技術だとかそういうことに興味があって考えていると言ってたから、軽い気持ちで「じゃあMMPで一緒にやろうぜ!」って誘ったら結構好感触だったんだよな~。
こんな時期でも人が増えるのはいいことだし、何より俺の友達って時点で人格も保証されてる。鳥ちゃんは超が付くくらい真面目な子だから、あんなクソみたいなことには絶対にならないって天にも神にも誓える。奏多も機材に興味があるから付いてくわーと言っていたので、アナミキ両方の知識が何となくある俺は今回のお出迎えには適材適所じゃねーかと。
野坂先輩にこれこれこういう……と相談したら、菜月先輩とやっていた昼放送の中から鳥ちゃん向けの番組をいくつかピックアップしてもらった。菜月先輩も星とか宇宙とかが(鳥ちゃんほど専門的でないけど)好きな人で、結構高い頻度でそういうテーマの番組をやってたそうなんだよな。
菜月先輩はインターフェイスで“アナウンサーの双璧”って呼ばれたレベルの人だし、そんな人のそんな番組があるとかマジで運命じゃん。で、俺もその番組を聞いたけど学びしかなかったっていうな。前々から野坂先輩から聞いてたトークタイムを設定時間プラスマイナス5秒以内に収める技術だとか、インフォメーションのトーンだとか、イントロ乗せだとか、刺激はビシバシ。
「鳥ちゃん、奏多、テストお疲れさんっした!」
「希くんもお疲れさまです」
「いやいや、かっすー、ちょっとテンションが異様過ぎね?」
「正直俺は今からのプレゼンに気合入れすぎてちょっと睡眠不足だし、正直テストはおまけだよな」
「つか大丈夫かよ。真希ちゃんも心配してたぜ、お前がそーゆー奴だから留年するんじゃないかーっつって」
「そ、それはさすがに大丈夫だと思いたい! 春学期も取りこぼしはなかったし。とりあえず、サークル室行こうぜ」
「MMPのサークル室も、天文部の部室と同じ建物の中にあるんですよね」
「そうそう。だからちょっと歩くんだけど」
「ちょっとってどれくらいだよ」
「15分くらいかな? サークル棟はあの坂の上にあるから」
「地下鉄一駅分じゃねーかよ! しかも上り!?」
「奏多、打倒先輩に向けて体力作りはしてたんでしょう?」
「いや、それとこれとはまた違うだろ」
やんややんやと言いながらも、3人で喋りながら歩けば15分の道のりなんかはすぐだ。さすがにこの時期のサークル棟に用事のある団体なんかもあんまりないっぽくて、守衛さんも暇そうにテレビを見ていたし、鍵を借りたいと言ったら驚いた様子だった。サークル室に入ると、こないだ俺が練習した後のまんまで、誰も入っていないんだなあとわかる。
「えーと、片付いてないところですけどどうぞ」
「失礼します」
「お邪魔しまーす」
「さっそくだけど本題に移ります」
「いいぞー」
「MMPは鳥ちゃんにはこないだ渡したファイルの番組みたいなラジオを主にやってるサークルで、それをやってるのがここにある機材でなるブースなんだ。知識と技術があれば1人でも出来るんだけど、基本的にはトークを担当するアナウンサーと、機材を担当するミキサーに分かれてやってるって感じ。俺はどっちもやりたかったからどっちの練習もしてる」
「先日いただいたファイルの番組は、まさに私の思う理想の番組でした。星を見上げることや宇宙の話が、こんなにもスッと入って来る話術に心惹かれました。ああいった感じで私も話せるようになりたいなと思います」
「もちろん星や宇宙以外の話もいろいろやってるけど、それを得意分野として磨くことも出来るし」
いざ本番になってしどろもどろにならないように何となく用意したネタ帳をチラ見しながらMMPに入ればこんなことが出来ますよーという感じでプレゼンをしていく。奏多が興味ある機材に関しては、実際にちょっと触ってもらいながらこれをこうしてこんな風に音を出したり音を弄ったり出来ますと体験型の紹介を。
「つか、想像してたよりも簡素な感じでやってたんだな。もっといろんな機材がごちゃごちゃしてんのかと思ってたけど」
「その辺は全然なんだわ。でも最低限こんだけあればそれなりにやれるし、設備投資のために学祭でめっちゃ頑張ったから、その辺に関してはこれからだわー」
「いや、こんだけでちゃんとなってんだなと思って。機材ばっかあって使いこなせないのが一番ダサいし、これで出来るんならこれで十分だよ。これで出来るようになれば応用も出来るんだろ?」
「多分。これが基本形ってのには違いない」
「希くん、私、ここでいろいろ勉強をしたいです。サークルへの加入はどのような手続きを踏めばいいのでしょうか」
「口頭で大丈夫だと思う。2年生の先輩がいるけど、その人には俺が話しとくよ」
「ありがとうございます」
「かっすー、俺もちょっとラジオやってみたいんだけどいいかな?」
「大歓迎だよ! つかバドはいいのか?」
「んー、もうやり切ったしな。前原さんに勝ったし。あそこが掛け持ち出来るトコだってのは、かっすーも知ってるだろ?」
「まーな。鳥ちゃんは天文部との兼ね合いは」
「今度、追い出しコンパがあるのでお世話になった先輩にはそこでお話しようと思います」
「あれっ、そーいやウチって追いコンとかどうなってんだろ?」
「今ちょっとモチベ高いわ。かっすーは練習とかちょこちょこやってんだろ?」
「やってるやってる」
「じゃあ基礎的なこととか教えてもらっちゃおっかなー」
あれっ、そうなると俺が2人ともに基礎的なことを教えることになるんだよな? うーん、どっちの練習もしてるけどどっちも中途半端って感じだからなー。とりあえず、ミキサーの方が甘いからそっちを重点的に練習して、最悪アナウンサーのことに関しては援軍を要請するしかないかなー? どうかなー?
end.
++++
奏多って車持ってそうだけど現時点では案外持ってなかったりするのかしら。徒歩15分の上りが嫌過ぎて車用意して欲しい。
曰く付きの天文部の追いコンとかめちゃくちゃ壮絶そう。果たして春風は生き延びることが出来るか
菜月さんの番組でアナウンサーの勉強を出来るのはカノンもまた同じなのでがんばりましょう
.
++++
テスト期間がどうとか知ったこっちゃない。俺はと言えば、テストやレポートはそこそこにやって、今日の放課後に鳥ちゃんと奏多を迎えるための準備に忙しかったぜ。鳥ちゃんが人に向けて話す技術だとかそういうことに興味があって考えていると言ってたから、軽い気持ちで「じゃあMMPで一緒にやろうぜ!」って誘ったら結構好感触だったんだよな~。
こんな時期でも人が増えるのはいいことだし、何より俺の友達って時点で人格も保証されてる。鳥ちゃんは超が付くくらい真面目な子だから、あんなクソみたいなことには絶対にならないって天にも神にも誓える。奏多も機材に興味があるから付いてくわーと言っていたので、アナミキ両方の知識が何となくある俺は今回のお出迎えには適材適所じゃねーかと。
野坂先輩にこれこれこういう……と相談したら、菜月先輩とやっていた昼放送の中から鳥ちゃん向けの番組をいくつかピックアップしてもらった。菜月先輩も星とか宇宙とかが(鳥ちゃんほど専門的でないけど)好きな人で、結構高い頻度でそういうテーマの番組をやってたそうなんだよな。
菜月先輩はインターフェイスで“アナウンサーの双璧”って呼ばれたレベルの人だし、そんな人のそんな番組があるとかマジで運命じゃん。で、俺もその番組を聞いたけど学びしかなかったっていうな。前々から野坂先輩から聞いてたトークタイムを設定時間プラスマイナス5秒以内に収める技術だとか、インフォメーションのトーンだとか、イントロ乗せだとか、刺激はビシバシ。
「鳥ちゃん、奏多、テストお疲れさんっした!」
「希くんもお疲れさまです」
「いやいや、かっすー、ちょっとテンションが異様過ぎね?」
「正直俺は今からのプレゼンに気合入れすぎてちょっと睡眠不足だし、正直テストはおまけだよな」
「つか大丈夫かよ。真希ちゃんも心配してたぜ、お前がそーゆー奴だから留年するんじゃないかーっつって」
「そ、それはさすがに大丈夫だと思いたい! 春学期も取りこぼしはなかったし。とりあえず、サークル室行こうぜ」
「MMPのサークル室も、天文部の部室と同じ建物の中にあるんですよね」
「そうそう。だからちょっと歩くんだけど」
「ちょっとってどれくらいだよ」
「15分くらいかな? サークル棟はあの坂の上にあるから」
「地下鉄一駅分じゃねーかよ! しかも上り!?」
「奏多、打倒先輩に向けて体力作りはしてたんでしょう?」
「いや、それとこれとはまた違うだろ」
やんややんやと言いながらも、3人で喋りながら歩けば15分の道のりなんかはすぐだ。さすがにこの時期のサークル棟に用事のある団体なんかもあんまりないっぽくて、守衛さんも暇そうにテレビを見ていたし、鍵を借りたいと言ったら驚いた様子だった。サークル室に入ると、こないだ俺が練習した後のまんまで、誰も入っていないんだなあとわかる。
「えーと、片付いてないところですけどどうぞ」
「失礼します」
「お邪魔しまーす」
「さっそくだけど本題に移ります」
「いいぞー」
「MMPは鳥ちゃんにはこないだ渡したファイルの番組みたいなラジオを主にやってるサークルで、それをやってるのがここにある機材でなるブースなんだ。知識と技術があれば1人でも出来るんだけど、基本的にはトークを担当するアナウンサーと、機材を担当するミキサーに分かれてやってるって感じ。俺はどっちもやりたかったからどっちの練習もしてる」
「先日いただいたファイルの番組は、まさに私の思う理想の番組でした。星を見上げることや宇宙の話が、こんなにもスッと入って来る話術に心惹かれました。ああいった感じで私も話せるようになりたいなと思います」
「もちろん星や宇宙以外の話もいろいろやってるけど、それを得意分野として磨くことも出来るし」
いざ本番になってしどろもどろにならないように何となく用意したネタ帳をチラ見しながらMMPに入ればこんなことが出来ますよーという感じでプレゼンをしていく。奏多が興味ある機材に関しては、実際にちょっと触ってもらいながらこれをこうしてこんな風に音を出したり音を弄ったり出来ますと体験型の紹介を。
「つか、想像してたよりも簡素な感じでやってたんだな。もっといろんな機材がごちゃごちゃしてんのかと思ってたけど」
「その辺は全然なんだわ。でも最低限こんだけあればそれなりにやれるし、設備投資のために学祭でめっちゃ頑張ったから、その辺に関してはこれからだわー」
「いや、こんだけでちゃんとなってんだなと思って。機材ばっかあって使いこなせないのが一番ダサいし、これで出来るんならこれで十分だよ。これで出来るようになれば応用も出来るんだろ?」
「多分。これが基本形ってのには違いない」
「希くん、私、ここでいろいろ勉強をしたいです。サークルへの加入はどのような手続きを踏めばいいのでしょうか」
「口頭で大丈夫だと思う。2年生の先輩がいるけど、その人には俺が話しとくよ」
「ありがとうございます」
「かっすー、俺もちょっとラジオやってみたいんだけどいいかな?」
「大歓迎だよ! つかバドはいいのか?」
「んー、もうやり切ったしな。前原さんに勝ったし。あそこが掛け持ち出来るトコだってのは、かっすーも知ってるだろ?」
「まーな。鳥ちゃんは天文部との兼ね合いは」
「今度、追い出しコンパがあるのでお世話になった先輩にはそこでお話しようと思います」
「あれっ、そーいやウチって追いコンとかどうなってんだろ?」
「今ちょっとモチベ高いわ。かっすーは練習とかちょこちょこやってんだろ?」
「やってるやってる」
「じゃあ基礎的なこととか教えてもらっちゃおっかなー」
あれっ、そうなると俺が2人ともに基礎的なことを教えることになるんだよな? うーん、どっちの練習もしてるけどどっちも中途半端って感じだからなー。とりあえず、ミキサーの方が甘いからそっちを重点的に練習して、最悪アナウンサーのことに関しては援軍を要請するしかないかなー? どうかなー?
end.
++++
奏多って車持ってそうだけど現時点では案外持ってなかったりするのかしら。徒歩15分の上りが嫌過ぎて車用意して欲しい。
曰く付きの天文部の追いコンとかめちゃくちゃ壮絶そう。果たして春風は生き延びることが出来るか
菜月さんの番組でアナウンサーの勉強を出来るのはカノンもまた同じなのでがんばりましょう
.