2021(03)
■クリスマスの枕元
＋＋＋＋
「ねえすがやん、明日はとうとうクリスマスイブだよ！ 楽しみだね！」
「クリスマスイブっつったってド平日だけど、くるみ的に何の楽しみがあんの？」
「あたしの楽しみはもちろん！ クリスマスケーキの断面撮影！」
「すがやん、言ってもくるみだよ」
「まあな。これがササとかレナなら答えの選択肢にデートもあったんだろうけど」
今日の昼はサキとくるみの３人で食べる。年内の授業もあと今日と明日だけ(人によっては土曜日の補講)になったところで、学内のいろいろなところがクリスマス風の飾り付けになってて浮足立ってるな～と思う。ただ、明日のイブは普通に金曜日だし、25日のクリスマス本番も俺的にはただの土曜日なんだよな。
彼氏彼女みたいな肩書きを持ってる人たちならデートとかに忙しいんだろうけど、俺は普通にバイトやってる感じだし。こうなってくると、クリスマスケーキの断面動画を撮影するんだよと意気込んでいるくるみが健全なようにも思えて来るんだよな。それぞれの楽しみ方っていうのをしっかり持っているっていう点では。
「つかくるみ、クリスマスケーキってホールだろ？」
「もちろん！ コンビニ各社のカタログから選んだ６台のケーキを割って撮って食べるから！」
「１人で食うの？」
「さすがに１人では無理だから、みちるちゃんと北星とパーティーをやって食べることになってるよ」
「あー、そうだよな。さすがのくるみでも１人でケーキ６台は食わないよな」
「すがやんとサキも来る？」
「悪い、俺バイトだわ」
「うん。俺もちょっと。ケーキ食べる大会は戦力になれないし遠慮しとくよ」
「そっかー」
くるみはコンビニでバイトをしてるし趣味と実益をしっかり兼ねてるよなって感じがする。何でもかんでも勢いでやってるように見えて実は結構計算され尽くしてることもあるし。でも、どれだけのケーキが集まるのか、バイトじゃなかったらちょっと見てみたかったかもなー。つかケーキにどんだけの金ぶち込んだんだろ。
「すがやんとサキって親からクリスマスプレゼントっていつまでもらってた？」
「物でもらってたのが小６までで、中学からは現金になったかな」
「えー、何貰ってたのー？」
「大体ゲームだよ」
「サキっぽーい。すがやんは？」
「俺は物でもらうって言うよりは、行きたいところを宣言しといて、後で連れてってもらえるみたいな感じだったな」
「体験型のプレゼントって感じ？」
「そんな感じ。例えば、エジプト展みたいな企画展をやってても、それが遠かったらなかなか自分じゃ行けないじゃん。だからそういう面白そうなことがいつ、どこでやるかを調べて、いつからいつまで、どこのエリアでこういう企画展があるので連れてってくださいってお願いしとくんだよ」
「親をすがやんの趣味に付き合わせてたって感じ？」
「うちの親、結構何でも楽しめる人なんだよな。だからエジプト展に行きたいっつってもいいねーって乗って来てくれた」
すがやんが何でも楽しめるのは親に似たんだね、とサキとくるみが納得した顔をしている。でも確かにキャンプに行きたいとか企画展に行きたいとかスキーをしたいとか、いろいろわがまま放題言って来たのにどれにも付き合ってくれたし、なんなら俺より楽しんでたんじゃないかって時もあったよなあ。俺もいつか子供が出来たらそんな風にしたいなとは思う。
「そしたら、自分に贈るクリスマスプレゼントの候補って何かある？ 自分へのご褒美！」
「敢えて言うならゲームか、パソコンの周辺機器かな」
「サキは小さい頃から変わんないんだねー。すがやんは？」
「今すぐじゃなくて、ゆくゆく？ 社会人になって貯めて買いたいって思ってるのは腕時計だな」
「腕時計って、ホントのブランド物だと何百万とかするよね！」
「へえ、すがやんのご褒美は高級腕時計なんだ」
「これ。太陽の光があれば地球のどこにいても動くってヤツで」
「機能とかデザインって言うよりこのコンセプトページがすがやんって感じだね」
「バレたか」
「太古の昔、人間は、太陽の出没や月の満ち欠け、星の動きで時間を感じとっていた。……なんて、いかにもだし」
「ホントだー！ すがやんのときめきポイントはそこだったかー！」
「星が好きな人だったらこっちの、星の動きとかがリアルタイムにわかるヤツにしたりするんだけど。いろいろあるんだよな。このブランドだと俺が欲しいのは安い方で、30万ちょいだから大人になったら欲しいって感じのちょっと現実的な夢として」
「30万なら確かに現実的だね。ちょっといいパソコンを買おうと思えば足りないし」
でも、大人になってから買うものって自分へのご褒美もそうだけど、高いものを買うことでこれからも頑張るぞみたいな節目にもなりそうだよな。それに、クリスマスとか誕生日みたいな理由がなくたっていつでもオッケーみたいなところが買いどころを悩ませるし、逆に思い立ったが吉日って動きやすくもなりそうだ。
俺は今年のクリスマスはバイト漬けだけど、来年のクリスマスにはちょっと豪勢な自分へのご褒美が計画出来るように少し貯金しとこうかなあ。誕生日だとちょっと早いし。１ヶ月１万くらいずつ貯めて何とか出来ないかな。自分で車を持ってると、行動範囲も広くなって夢が大きくなるところがいい。貯金の仕方、シノに教えてもらおうかなあ。
「くるみはクリスマスプレゼントとか、自分へのご褒美って何か用意してるの」
「あたしはもちろんケーキだよ！ あと、ホールケーキを切りやすいナイフ！」
「だよなあ」
end.
＋＋＋＋
すがくるサキがクリスマスについてのお話をしてるだけの話。サキは小さい頃からこんな感じ。
すがやんの家は家族仲が結構いいし、旅行とかにも結構行ってたのかな。親の言うことは今でもしっかり聞いてる。
１年もあるとみんな何があるかわからないし、お金はないよりあった方がいいのでお金は大事だよ
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「ねえすがやん、明日はとうとうクリスマスイブだよ！ 楽しみだね！」
「クリスマスイブっつったってド平日だけど、くるみ的に何の楽しみがあんの？」
「あたしの楽しみはもちろん！ クリスマスケーキの断面撮影！」
「すがやん、言ってもくるみだよ」
「まあな。これがササとかレナなら答えの選択肢にデートもあったんだろうけど」
今日の昼はサキとくるみの３人で食べる。年内の授業もあと今日と明日だけ(人によっては土曜日の補講)になったところで、学内のいろいろなところがクリスマス風の飾り付けになってて浮足立ってるな～と思う。ただ、明日のイブは普通に金曜日だし、25日のクリスマス本番も俺的にはただの土曜日なんだよな。
彼氏彼女みたいな肩書きを持ってる人たちならデートとかに忙しいんだろうけど、俺は普通にバイトやってる感じだし。こうなってくると、クリスマスケーキの断面動画を撮影するんだよと意気込んでいるくるみが健全なようにも思えて来るんだよな。それぞれの楽しみ方っていうのをしっかり持っているっていう点では。
「つかくるみ、クリスマスケーキってホールだろ？」
「もちろん！ コンビニ各社のカタログから選んだ６台のケーキを割って撮って食べるから！」
「１人で食うの？」
「さすがに１人では無理だから、みちるちゃんと北星とパーティーをやって食べることになってるよ」
「あー、そうだよな。さすがのくるみでも１人でケーキ６台は食わないよな」
「すがやんとサキも来る？」
「悪い、俺バイトだわ」
「うん。俺もちょっと。ケーキ食べる大会は戦力になれないし遠慮しとくよ」
「そっかー」
くるみはコンビニでバイトをしてるし趣味と実益をしっかり兼ねてるよなって感じがする。何でもかんでも勢いでやってるように見えて実は結構計算され尽くしてることもあるし。でも、どれだけのケーキが集まるのか、バイトじゃなかったらちょっと見てみたかったかもなー。つかケーキにどんだけの金ぶち込んだんだろ。
「すがやんとサキって親からクリスマスプレゼントっていつまでもらってた？」
「物でもらってたのが小６までで、中学からは現金になったかな」
「えー、何貰ってたのー？」
「大体ゲームだよ」
「サキっぽーい。すがやんは？」
「俺は物でもらうって言うよりは、行きたいところを宣言しといて、後で連れてってもらえるみたいな感じだったな」
「体験型のプレゼントって感じ？」
「そんな感じ。例えば、エジプト展みたいな企画展をやってても、それが遠かったらなかなか自分じゃ行けないじゃん。だからそういう面白そうなことがいつ、どこでやるかを調べて、いつからいつまで、どこのエリアでこういう企画展があるので連れてってくださいってお願いしとくんだよ」
「親をすがやんの趣味に付き合わせてたって感じ？」
「うちの親、結構何でも楽しめる人なんだよな。だからエジプト展に行きたいっつってもいいねーって乗って来てくれた」
すがやんが何でも楽しめるのは親に似たんだね、とサキとくるみが納得した顔をしている。でも確かにキャンプに行きたいとか企画展に行きたいとかスキーをしたいとか、いろいろわがまま放題言って来たのにどれにも付き合ってくれたし、なんなら俺より楽しんでたんじゃないかって時もあったよなあ。俺もいつか子供が出来たらそんな風にしたいなとは思う。
「そしたら、自分に贈るクリスマスプレゼントの候補って何かある？ 自分へのご褒美！」
「敢えて言うならゲームか、パソコンの周辺機器かな」
「サキは小さい頃から変わんないんだねー。すがやんは？」
「今すぐじゃなくて、ゆくゆく？ 社会人になって貯めて買いたいって思ってるのは腕時計だな」
「腕時計って、ホントのブランド物だと何百万とかするよね！」
「へえ、すがやんのご褒美は高級腕時計なんだ」
「これ。太陽の光があれば地球のどこにいても動くってヤツで」
「機能とかデザインって言うよりこのコンセプトページがすがやんって感じだね」
「バレたか」
「太古の昔、人間は、太陽の出没や月の満ち欠け、星の動きで時間を感じとっていた。……なんて、いかにもだし」
「ホントだー！ すがやんのときめきポイントはそこだったかー！」
「星が好きな人だったらこっちの、星の動きとかがリアルタイムにわかるヤツにしたりするんだけど。いろいろあるんだよな。このブランドだと俺が欲しいのは安い方で、30万ちょいだから大人になったら欲しいって感じのちょっと現実的な夢として」
「30万なら確かに現実的だね。ちょっといいパソコンを買おうと思えば足りないし」
でも、大人になってから買うものって自分へのご褒美もそうだけど、高いものを買うことでこれからも頑張るぞみたいな節目にもなりそうだよな。それに、クリスマスとか誕生日みたいな理由がなくたっていつでもオッケーみたいなところが買いどころを悩ませるし、逆に思い立ったが吉日って動きやすくもなりそうだ。
俺は今年のクリスマスはバイト漬けだけど、来年のクリスマスにはちょっと豪勢な自分へのご褒美が計画出来るように少し貯金しとこうかなあ。誕生日だとちょっと早いし。１ヶ月１万くらいずつ貯めて何とか出来ないかな。自分で車を持ってると、行動範囲も広くなって夢が大きくなるところがいい。貯金の仕方、シノに教えてもらおうかなあ。
「くるみはクリスマスプレゼントとか、自分へのご褒美って何か用意してるの」
「あたしはもちろんケーキだよ！ あと、ホールケーキを切りやすいナイフ！」
「だよなあ」
end.
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すがくるサキがクリスマスについてのお話をしてるだけの話。サキは小さい頃からこんな感じ。
すがやんの家は家族仲が結構いいし、旅行とかにも結構行ってたのかな。親の言うことは今でもしっかり聞いてる。
１年もあるとみんな何があるかわからないし、お金はないよりあった方がいいのでお金は大事だよ
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