2021(03)
■会議前の適度な緊張
++++
「ねえシノ、会議ってどんなところでやるんだろうね」
「そりゃあ、会議って言うだけあって会議室とかそーゆートコなんじゃね?」
「他の大学からは誰が出て来るんだろうね」
「青敬は当麻と北星が出て来るっつーのがわかってるし、向島もカノンが出るしかないけど他はわかんねーもんな」
MBCCに代替わりがあったように、インターフェイスの組織にも代替わりっつーモンがあるらしい。俺とくるみは来春からの対策委員として会議に顔を出すことになった。今はまだ一応高木先輩とエージ先輩が対策委員として前線でやるって感じらしいけど、俺とくるみはその様子を見ながら活動の雰囲気を掴むのが今のところの仕事らしい。
対策委員っつーと、6月にあった初心者講習会だとか、夏にあった夏合宿を回してる人らという印象が強い。それが終わればちょこちょこ打ち上げだとか春にもあるらしい番組制作会に向けて動くだけで、夏までに比べるとヒマになるらしい。てだ、夏合宿までがクソ忙しいし、入ってるゼミだとかその他の都合次第ではヤベーことになるという話だ。
先輩たちの間でも最初はササとシノで対策委員に出したらどうかーという話もあったらしいんだけど、どっちも佐藤ゼミに入るなら2人とも対策委員だったらヤバくね、みたいなことで果林先輩ストップがかかったらしい。それっくらい対策委員も佐藤ゼミも忙しいとかで、ササがそういう委員とかに出ない形で俺の勉強とかも見てくれることになった。(かなり頼もしい)
「そしたら、何か適当な飲み物を買って2階に上がるよ」
「え、カフェっすか?」
「インターフェイスの会議っつったらここが定石だべ」
「えー、この時間にカフェは反則ですー! ケーキ食べたくなっちゃう!」
「ケーキは我慢しろっていう」
「はーい」
連れて来られたのは、花栄にあるコーヒーショップ……っつーか夏合宿の打ち合わせでも来ていた本当に“いつもの”店だ。とりあえず飲み物を買わなければいけないっつーことで、一番安い素のコーヒーを買って先輩たちについていく。くるみは何を飲もうかなーって悩んでたみたいだけど、ケーキが食えないなら甘いのを飲むと何か高い甘いのを買っていた。
2階に上がると、それらしい一団が来そうな席に先輩たちは迷いなく進んでいく。今はまだ人がそこまで来てないみたいだけど、本当に店の一角を占拠する状態になっていて、それだけの人数が来るのにマジで店で会議をしていいのかともちょっと思う。夏合宿の班みたく6人とかならまだアリだとは思うけど、俺らだけで4人だぜ?
「奈々せんぱーいっ!」
「くるちゃーんッ!」
「お久し振りですー!」
「さすが、向島さんは早いなあ」
「豊葦からだと早くなっちゃうよねッ! あと、向島は悪評があるから待ってるくらいじゃないと」
「あー……察した」
「つか大体マーシーさんの所為だっていう」
「って言うか、席数足りそう?」
「足りるんじゃないかな? 緑ヶ丘が4でしょ、それでウチが2、他のところも大体2か3だし」
「それでも10人は余裕で超えるべ」
「超えるって思ってるからいつもと場所を変えてみたんだよ」
「奈々ナイス」
好きな場所に座ることになると、くるみは奈々先輩の横がいいと言って聞かない。それに対して奈々先輩も嬉しそうにしてるから、ここはそういうモンなんだろうなと男子は異次元のモノを見る目でその様子を見ている。特に席順に対する決まりはないようだから適当に高木先輩の横に座っておく。
豊葦からだとちょうどいい電車がないという理由で緑ヶ丘や向島の人が早く来て、星港市内に大学のある人らが続々やって来るのを迎える構図になりがちなんだとか。しばらく待っていると本当に続々他の人らがやって来て、顔合わせっつー雰囲気が強くなってくる。ただ、ここで会う連中も完全に初対面ではない。例によってくるみはきゃっきゃしてるし。
「これで全員揃った感じなら始めます。定例会が代替わりを迎えたのと同時に、対策委員も次期委員を選出する流れになっているということで、今日は来春から動いてもらう1年生にも来てもらいました。ここで顔合わせと、1年生には対策委員の雰囲気を掴んでもらうのが主な目的です」
「とりあえず、奈々から定例会の報告をしてもらうのが先で、1年の自己紹介なんかはその次だな」
「そうだね。奈々、報告を入れてもらっていい?」
「はーい。定例会は代替わりで、ミドリが議長になりましたッ。それで――」
緑ヶ丘からは俺とくるみ、向島はカノン、星大は七海、青女はちとせ、星ヶ丘は海月、そして青敬からは当麻と北星というメンバーが揃った。このメンバーでどうやっていくのかは春を迎えないとわかんねーけど、その中で俺がどうやって立ち回っていくのかっつーのはちゃんと考えて行かないといけない。ラジオの活動をやるなら意見を求められるだろうし、もちろんミキサーとしてもそうだ。
「そしたら1年生の自己紹介でもしていく? とりあえず、タカティの横にいるしシノからぐるっと回っていく感じで」
「俺からっすか! 緑ヶ丘の篠木智也、DJネームはシノっす! パートはミキサーで、機材のことなら任せろって感じでバリバリやってくんでお願いします!」
「シノ、自分からハードル上げて大丈夫? あたしそんな自信満々な自己紹介出来ないよ」
「バカ言え。これっくらいハードルの内に入らねーよ」
end.
++++
新対策委員がもっとわちゃっとやってる予定が、大体奈々とくるちゃんがきゃっきゃしてた。
そう言えば、定例会は会議室なのに対策委員がカフェなのはどういうアレなんだろうか。シノにはコーヒー代の出費が痛い。
対策委員は案外アナミキのバランスが整ってて、タカエイからすると一安心って感じなのかしら。
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「ねえシノ、会議ってどんなところでやるんだろうね」
「そりゃあ、会議って言うだけあって会議室とかそーゆートコなんじゃね?」
「他の大学からは誰が出て来るんだろうね」
「青敬は当麻と北星が出て来るっつーのがわかってるし、向島もカノンが出るしかないけど他はわかんねーもんな」
MBCCに代替わりがあったように、インターフェイスの組織にも代替わりっつーモンがあるらしい。俺とくるみは来春からの対策委員として会議に顔を出すことになった。今はまだ一応高木先輩とエージ先輩が対策委員として前線でやるって感じらしいけど、俺とくるみはその様子を見ながら活動の雰囲気を掴むのが今のところの仕事らしい。
対策委員っつーと、6月にあった初心者講習会だとか、夏にあった夏合宿を回してる人らという印象が強い。それが終わればちょこちょこ打ち上げだとか春にもあるらしい番組制作会に向けて動くだけで、夏までに比べるとヒマになるらしい。てだ、夏合宿までがクソ忙しいし、入ってるゼミだとかその他の都合次第ではヤベーことになるという話だ。
先輩たちの間でも最初はササとシノで対策委員に出したらどうかーという話もあったらしいんだけど、どっちも佐藤ゼミに入るなら2人とも対策委員だったらヤバくね、みたいなことで果林先輩ストップがかかったらしい。それっくらい対策委員も佐藤ゼミも忙しいとかで、ササがそういう委員とかに出ない形で俺の勉強とかも見てくれることになった。(かなり頼もしい)
「そしたら、何か適当な飲み物を買って2階に上がるよ」
「え、カフェっすか?」
「インターフェイスの会議っつったらここが定石だべ」
「えー、この時間にカフェは反則ですー! ケーキ食べたくなっちゃう!」
「ケーキは我慢しろっていう」
「はーい」
連れて来られたのは、花栄にあるコーヒーショップ……っつーか夏合宿の打ち合わせでも来ていた本当に“いつもの”店だ。とりあえず飲み物を買わなければいけないっつーことで、一番安い素のコーヒーを買って先輩たちについていく。くるみは何を飲もうかなーって悩んでたみたいだけど、ケーキが食えないなら甘いのを飲むと何か高い甘いのを買っていた。
2階に上がると、それらしい一団が来そうな席に先輩たちは迷いなく進んでいく。今はまだ人がそこまで来てないみたいだけど、本当に店の一角を占拠する状態になっていて、それだけの人数が来るのにマジで店で会議をしていいのかともちょっと思う。夏合宿の班みたく6人とかならまだアリだとは思うけど、俺らだけで4人だぜ?
「奈々せんぱーいっ!」
「くるちゃーんッ!」
「お久し振りですー!」
「さすが、向島さんは早いなあ」
「豊葦からだと早くなっちゃうよねッ! あと、向島は悪評があるから待ってるくらいじゃないと」
「あー……察した」
「つか大体マーシーさんの所為だっていう」
「って言うか、席数足りそう?」
「足りるんじゃないかな? 緑ヶ丘が4でしょ、それでウチが2、他のところも大体2か3だし」
「それでも10人は余裕で超えるべ」
「超えるって思ってるからいつもと場所を変えてみたんだよ」
「奈々ナイス」
好きな場所に座ることになると、くるみは奈々先輩の横がいいと言って聞かない。それに対して奈々先輩も嬉しそうにしてるから、ここはそういうモンなんだろうなと男子は異次元のモノを見る目でその様子を見ている。特に席順に対する決まりはないようだから適当に高木先輩の横に座っておく。
豊葦からだとちょうどいい電車がないという理由で緑ヶ丘や向島の人が早く来て、星港市内に大学のある人らが続々やって来るのを迎える構図になりがちなんだとか。しばらく待っていると本当に続々他の人らがやって来て、顔合わせっつー雰囲気が強くなってくる。ただ、ここで会う連中も完全に初対面ではない。例によってくるみはきゃっきゃしてるし。
「これで全員揃った感じなら始めます。定例会が代替わりを迎えたのと同時に、対策委員も次期委員を選出する流れになっているということで、今日は来春から動いてもらう1年生にも来てもらいました。ここで顔合わせと、1年生には対策委員の雰囲気を掴んでもらうのが主な目的です」
「とりあえず、奈々から定例会の報告をしてもらうのが先で、1年の自己紹介なんかはその次だな」
「そうだね。奈々、報告を入れてもらっていい?」
「はーい。定例会は代替わりで、ミドリが議長になりましたッ。それで――」
緑ヶ丘からは俺とくるみ、向島はカノン、星大は七海、青女はちとせ、星ヶ丘は海月、そして青敬からは当麻と北星というメンバーが揃った。このメンバーでどうやっていくのかは春を迎えないとわかんねーけど、その中で俺がどうやって立ち回っていくのかっつーのはちゃんと考えて行かないといけない。ラジオの活動をやるなら意見を求められるだろうし、もちろんミキサーとしてもそうだ。
「そしたら1年生の自己紹介でもしていく? とりあえず、タカティの横にいるしシノからぐるっと回っていく感じで」
「俺からっすか! 緑ヶ丘の篠木智也、DJネームはシノっす! パートはミキサーで、機材のことなら任せろって感じでバリバリやってくんでお願いします!」
「シノ、自分からハードル上げて大丈夫? あたしそんな自信満々な自己紹介出来ないよ」
「バカ言え。これっくらいハードルの内に入らねーよ」
end.
++++
新対策委員がもっとわちゃっとやってる予定が、大体奈々とくるちゃんがきゃっきゃしてた。
そう言えば、定例会は会議室なのに対策委員がカフェなのはどういうアレなんだろうか。シノにはコーヒー代の出費が痛い。
対策委員は案外アナミキのバランスが整ってて、タカエイからすると一安心って感じなのかしら。
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