2021(03)
■家に帰るまでが飲み会です
++++
「そろそろ行くか」
「お疲れー」
「じゃーなー」
「気を付けてねー」
今日は高崎君の誕生会という体の飲み会に招待されていた。そこではカズが作った宅飲み飯をしこたま食べて、酒も飲んで、いろいろな話もしてとても楽しい時間を過ごすことが出来たと思う。カズの幼馴染みだという浅浦君の部屋を後にした俺たち一団は、星羅が迎えに来てくれる松徳駅までの道のりを徒歩で行く。
先月もカズの彼女の慧梨夏さんの誕生会で顔を合わせていたメンバーだ。厳密に言えば入れ替わりもあったのだけど、先月の会で初めて顔合わせをしたメンバーもいた割には共通の知り合いが繋ぐ縁みたいな物で話が盛り上がったし、2度目ともなれば前回の続きから話を始めることが出来ていた。先月と違って、今回はそれぞれが高崎君と面識があるというのも大きかったと思う。
「うー、さっみー」
「確かに、この時間にもなると相当冷えるね」
「これくらいで何を言ってるんだ」
「全くだ」
「はー!? つかお前らは何で寒くねーんだよ! 菜月なんかショーパンで脚めっちゃ出てるし、リンも季節で変わり映えしねー平々凡々な服じゃねーか!」
「カンは寒がってる割に元気だな」
「や、スガ、お前寒くねーの?」
「寒い」
「だよなーさすが俺の相棒! ちょっ、圭斗も何とか言ったってくれよ! コイツら血が通ってねーから寒さも感じねーんだ」
「は?」
「ほう」
カンの「血が通ってない」発言に、菜月さんとリン君が若干イラッとしたようだ。1音か2音程度の声に籠もる感情が恐ろしすぎる。さすがにヤバいと感じたのか、すぐさまスンマセンっしたと手の平をクルッと返していく。もちろん、その程度のことで手を緩める菜月さんとリン君ではないのだけど。
「やっぱり、寒さ耐性っていうのがあるのかな」
「マジレスをすれば、菜月さんは緑風出身だからこれ以上の寒さが当たり前だし、林原君はタートルネックだから首が守られている分熱が逃げにくいんだと思うね」
「至極真っ当な解説をありがとう。ちなみに松岡君の寒さ耐性のほどは」
「多くの山羽人がそうであるように、僕も寒さには弱い方だね。菅野君は」
「俺は強くもなく弱くもなく、平均程度だと自分では思ってる」
ちなみに、今回星羅の車に乗って行くのは須賀邸に行くUSDXメンバー3人と、向島大学近郊に住む菜月さんと松岡君の2人で合わせて5人。星羅の車は定員5なので実は1人あぶれてしまうのだけど、その辺はどうすると考えた結果、警察がいないことを祈りつつ誰か1人を床に座らせるなどして隠しながら走るという結論に達した。
2回に分けて送迎するという手もあるにはあるのだけど、それはそれで星羅に申し訳ないと皆が口を揃えて言うんだ。ただ、リン君や松岡君のように、車を普段から運転する人は定員超過で走ることのデメリットも理解している。実際かなりリスキーでないかと言うのだけど、代替案があるでもなかった。
「はー、やっとコンビニだー! コーヒー買お」
「寒いと喚く割に利尿作用の高いものを飲むのは理解が出来んな」
「あ、星羅だ。もしもし」
『もうすぐ着くんだ! でも、途中に警察がいたんだ!』
「警察がいるって? あー、そしたらやっぱちょっと定員超過は不味いな」
「菅野君、マズそうな感じかい?」
「警察が張ってたっぽい」
「そしたら、やっぱ2往復してもらう方がいいんじゃないのか? このコンビニイートインあるし、20分とか30分くらい適当に潰せるだろ。なあ圭斗」
「そっち3人は行き先が同じだし、僕と菜月さんが残るのがいいだろうね」
「星羅、警察がいるなら2回に分けるか」
『わかったんだ。もうすぐ着くから外に出て待ってるんだ』
「わかった。それじゃあ気を付けて」
カンとリン君に今の電話の概要を伝えると、わかったとだけ返事をしてまた2人での話に戻っていった。この2人は何だかんだで仲が良いなあと思いつつ、須賀邸に戻ったら何をするか考える。3人での動画を撮影するかセッションをするかという風には話しているのだけど、詳細は何も決まっていない。どうしたものか。
「とりあえず2回に分けての送迎にはなったけど、さすがに星羅が送迎してるのに俺らが先に家に入るのもどうかと思うし、菜月さんと松岡君が先に行ってもらって」
「そうか、悪いな」
「ありがとう」
「つーかよー、マジメな話、このメンツで定員超過みてーな感じで人を車に詰めるとするだろ? そうなった場合不遇な扱いを受けるのは100パー俺!」
「まあそうだろうな」
「ンだとリンテメー! ま、何せフツーにイスに座って帰りて―よ」
正直、俺も思ってたことをリン君が代弁してくれた感がある。このメンツだとサイズ感の問題もあるし、菜月さんと松岡君をそういうぞんざいな扱いで行くのもどうか。内輪で一番小さいという理由だけでも十分カンが床に伏せる役になるだろうなとは。そうして伏せているところをリン君に足蹴にされる画が容易にイメージできる。
「あっ、あれだな。菜月さん、松岡君、先に行ってもらって」
「来たんだー! 誰が先に乗るんだ?」
「星羅さんお願いしまーす」
「よろしく」
「菜月さんと圭斗なんだ! 泰稚たちはまた後でなんだ!」
「気を付けて」
「行って来るんだ!」
さて。あと30分はかかるだろうし、どうしてよう。とりあえず、水でも飲もうかな。
end.
++++
高崎の誕生会に呼ばれた面々が帰っていくだけのお話。星羅カーに何人乗れたっけっていうアレ。
本当は定員超過した車の中でぎゃあぎゃあ言ってるつもりだったんだけど、気付いたらやっぱやめとこーぜって空気になってた
菜月さんとリン様にチクチク攻められるのは何気にしんどいんだろうなあ。それも日頃からのキャラクターよカンD
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「そろそろ行くか」
「お疲れー」
「じゃーなー」
「気を付けてねー」
今日は高崎君の誕生会という体の飲み会に招待されていた。そこではカズが作った宅飲み飯をしこたま食べて、酒も飲んで、いろいろな話もしてとても楽しい時間を過ごすことが出来たと思う。カズの幼馴染みだという浅浦君の部屋を後にした俺たち一団は、星羅が迎えに来てくれる松徳駅までの道のりを徒歩で行く。
先月もカズの彼女の慧梨夏さんの誕生会で顔を合わせていたメンバーだ。厳密に言えば入れ替わりもあったのだけど、先月の会で初めて顔合わせをしたメンバーもいた割には共通の知り合いが繋ぐ縁みたいな物で話が盛り上がったし、2度目ともなれば前回の続きから話を始めることが出来ていた。先月と違って、今回はそれぞれが高崎君と面識があるというのも大きかったと思う。
「うー、さっみー」
「確かに、この時間にもなると相当冷えるね」
「これくらいで何を言ってるんだ」
「全くだ」
「はー!? つかお前らは何で寒くねーんだよ! 菜月なんかショーパンで脚めっちゃ出てるし、リンも季節で変わり映えしねー平々凡々な服じゃねーか!」
「カンは寒がってる割に元気だな」
「や、スガ、お前寒くねーの?」
「寒い」
「だよなーさすが俺の相棒! ちょっ、圭斗も何とか言ったってくれよ! コイツら血が通ってねーから寒さも感じねーんだ」
「は?」
「ほう」
カンの「血が通ってない」発言に、菜月さんとリン君が若干イラッとしたようだ。1音か2音程度の声に籠もる感情が恐ろしすぎる。さすがにヤバいと感じたのか、すぐさまスンマセンっしたと手の平をクルッと返していく。もちろん、その程度のことで手を緩める菜月さんとリン君ではないのだけど。
「やっぱり、寒さ耐性っていうのがあるのかな」
「マジレスをすれば、菜月さんは緑風出身だからこれ以上の寒さが当たり前だし、林原君はタートルネックだから首が守られている分熱が逃げにくいんだと思うね」
「至極真っ当な解説をありがとう。ちなみに松岡君の寒さ耐性のほどは」
「多くの山羽人がそうであるように、僕も寒さには弱い方だね。菅野君は」
「俺は強くもなく弱くもなく、平均程度だと自分では思ってる」
ちなみに、今回星羅の車に乗って行くのは須賀邸に行くUSDXメンバー3人と、向島大学近郊に住む菜月さんと松岡君の2人で合わせて5人。星羅の車は定員5なので実は1人あぶれてしまうのだけど、その辺はどうすると考えた結果、警察がいないことを祈りつつ誰か1人を床に座らせるなどして隠しながら走るという結論に達した。
2回に分けて送迎するという手もあるにはあるのだけど、それはそれで星羅に申し訳ないと皆が口を揃えて言うんだ。ただ、リン君や松岡君のように、車を普段から運転する人は定員超過で走ることのデメリットも理解している。実際かなりリスキーでないかと言うのだけど、代替案があるでもなかった。
「はー、やっとコンビニだー! コーヒー買お」
「寒いと喚く割に利尿作用の高いものを飲むのは理解が出来んな」
「あ、星羅だ。もしもし」
『もうすぐ着くんだ! でも、途中に警察がいたんだ!』
「警察がいるって? あー、そしたらやっぱちょっと定員超過は不味いな」
「菅野君、マズそうな感じかい?」
「警察が張ってたっぽい」
「そしたら、やっぱ2往復してもらう方がいいんじゃないのか? このコンビニイートインあるし、20分とか30分くらい適当に潰せるだろ。なあ圭斗」
「そっち3人は行き先が同じだし、僕と菜月さんが残るのがいいだろうね」
「星羅、警察がいるなら2回に分けるか」
『わかったんだ。もうすぐ着くから外に出て待ってるんだ』
「わかった。それじゃあ気を付けて」
カンとリン君に今の電話の概要を伝えると、わかったとだけ返事をしてまた2人での話に戻っていった。この2人は何だかんだで仲が良いなあと思いつつ、須賀邸に戻ったら何をするか考える。3人での動画を撮影するかセッションをするかという風には話しているのだけど、詳細は何も決まっていない。どうしたものか。
「とりあえず2回に分けての送迎にはなったけど、さすがに星羅が送迎してるのに俺らが先に家に入るのもどうかと思うし、菜月さんと松岡君が先に行ってもらって」
「そうか、悪いな」
「ありがとう」
「つーかよー、マジメな話、このメンツで定員超過みてーな感じで人を車に詰めるとするだろ? そうなった場合不遇な扱いを受けるのは100パー俺!」
「まあそうだろうな」
「ンだとリンテメー! ま、何せフツーにイスに座って帰りて―よ」
正直、俺も思ってたことをリン君が代弁してくれた感がある。このメンツだとサイズ感の問題もあるし、菜月さんと松岡君をそういうぞんざいな扱いで行くのもどうか。内輪で一番小さいという理由だけでも十分カンが床に伏せる役になるだろうなとは。そうして伏せているところをリン君に足蹴にされる画が容易にイメージできる。
「あっ、あれだな。菜月さん、松岡君、先に行ってもらって」
「来たんだー! 誰が先に乗るんだ?」
「星羅さんお願いしまーす」
「よろしく」
「菜月さんと圭斗なんだ! 泰稚たちはまた後でなんだ!」
「気を付けて」
「行って来るんだ!」
さて。あと30分はかかるだろうし、どうしてよう。とりあえず、水でも飲もうかな。
end.
++++
高崎の誕生会に呼ばれた面々が帰っていくだけのお話。星羅カーに何人乗れたっけっていうアレ。
本当は定員超過した車の中でぎゃあぎゃあ言ってるつもりだったんだけど、気付いたらやっぱやめとこーぜって空気になってた
菜月さんとリン様にチクチク攻められるのは何気にしんどいんだろうなあ。それも日頃からのキャラクターよカンD
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