2021(03)
■素朴でおいしいおうちのクッキー
++++
「ヒビキ先輩紗希先輩お久しぶりです」
「忙しいのにわざわざ呼んでくれてありがとう」
「何だかんだ言って試食会という名のお茶会ですから。先輩たちとも一緒にやりたかったんですよ」
青女の大学祭はいよいよ来週末。今年も去年と一緒でステージと喫茶店をやることになって、その準備がなかなか忙しい。あたしはKちゃん先輩と一緒にステージの台本を書きながらあーでもないこーでもない、あとサドニナをどーにかしてって頭を抱えてるし。今日は喫茶店の方で動きがあったので、その話ですね。
今年の喫茶店でも去年と一緒でさと先輩が作るクッキーと、1日あたりの個数限定でケーキを出すことになっている。さと先輩の作るお菓子はも~う美味しいんだ! 今日の試作会がただただ楽しみだし、今年はエマとみわもお菓子のアイディアを出していて、家での試作が本当に楽しかったーとはさと先輩談。
「これが今年のクッキーです。まず、試作品を始めて食べる先輩たちからどうぞ」
「紅茶もどうぞ」
「ありがとう」
「さとちゃんのクッキー楽しみー! いただきまーす。……すっご! 美味しい! 紗希も食べなって!」
「それじゃあアタシも。うん! 美味しい!」
「プレーンとチョコチップクッキーなんですけど」
「プレーンって言うより濃厚なバタークッキーって感じ」
「これはエマちゃんのおうちで食べられてるレシピをいただいて焼いてみたんです」
1年生がエマが普段から食べてるお菓子を食べに家に遊びに行ったそうなんだけど、そこで食べたお菓子が美味しかったんだって。って言うか不味いワケないよね。エマの家には家政婦さんがいるらしいんだけど、その人の作るお菓子が本当に美味しいからさと先輩にも食べてみて欲しいなあって言ってたそうなんだよね。
それで、いつの間にかさと先輩がエマの家でその家政婦さんとお菓子作りの話をしてたそうで、クッキーやケーキ、それからスコーンの作り方なんかを教わったって。って言うかさと先輩は今でもめちゃくちゃ料理上手なのに、これ以上パワーアップしたらどうなっちゃうのって感じ。実際ヒビキ先輩たちの反応からしても絶対美味しいじゃん! あたしも食べたい!
「アタシ最近アンツ・フィオーレの詰め放題やったんだけど、あそこのクッキーと比べると大分大きいよね」
「そうですね。アンツ・フィオーレとかのクッキーと比べても一回りか二回りは大きいと思います。去年そうだったんですけど、大きい分1回に数を焼けないので生産効率をどう上げるかっていうのが課題ですね」
「あ~。そうだよね。てかさとちゃんしっかり考えてるね。喫茶部長じゃん」
4年生の先輩たちが絶賛したということで、3年生以下にもプレーンのクッキーとチョコチップクッキーが配給される。さっそくプレーンの方をひと齧りしたけど、サクッとしてほろっとして、バターの風味がふわ~っとなって、言葉で表現するのがすっごく難し! ってなったんだけど!?
エマはこのレベルのお菓子を日常的に食べてるのかと思ったら、やっぱり生活水準の違いを目の当たりにさせられるし、そんな家のレシピをもらって再現できるさと先輩もさと先輩なんだけど。1年生はうんうんこれこれって感じで当たり前のように食べてるけど、当たり前じゃないからね!? 衣装にしても、さと先輩絡みのことは大体贅沢だから!
「エマんちのクッキーも美味しいけど、さと先輩のクッキーも美味しいよね」
「あたし、さと先輩のお菓子、クッキーもケーキもふわっとした味で大好き」
「2人ともありがとう」
「沙都子先輩の作るお菓子は、何故か懐かしい気分になりますの。素朴な味がよろしいのかしら」
「素朴って言うには美味しすぎんだよね。って言うかエマ、スーパーとかでフツーに売ってるお菓子とか食べ始めてるんでしょ? どれか好きなの見つかった?」
「百貨店の食品売り場ではなくスーパーマーケットですわよね。好きなお菓子は見つかりましたわよ」
「おっ、いいね~! どれどれ?」
「みわがよく食べているルマンドや、サキさまに教えていただいたホワイトロリータ」
「順調にみわのブルボン教に洗脳されてるじゃん」
「それから、おにぎりせんべいですわね。とても美味しいですわよ」
「おっと、まさかのおにぎり! エマが気に入るとは意外だけど、美味しいよね!」
「ナニナニ? エマが大衆のお菓子を勉強してるって?」
「郷音先輩。そうですの。みわがいつも美味しそうに召し上がっているので、どんなに美味しいものかと」
「だったらエマもじゃがりこ食べてみたらいいよ。ジャガイモのスナックなんだけど、味も風味もしっかりしてて美味しいよ。さっき買って来たのあるし良かったら食べて」
「まあ、ありがとうございます」
エマが順調に布教されてるし、みわのブルボン教には染まってるかもしれない。でも、ホワイトロリータを教えたのはみわじゃなくて夏合宿か何かで一緒になった子なんだ。まあ、実際美味しいからね。あたしはエリーゼとかも好きだけど。試食会は結局さと先輩の作るものは美味しいという結論に達して異議も何もなし。平和的。
「喫茶部門で沙都子関係以外で何か話すことがある人ー」
「ないでーす」
「ジュースの仕入れは?」
「アヤネ先輩を当たってまーす」
end.
++++
例によってクッキーの話。今回は青女の喫茶のあれやこれや。今年も去年と同じくさとちゃんのクッキーです。
1年生4人はみんな違ってみんないいという感じで仲良くやっているのですが、たまに黒姫邸でお茶会をするようになった模様。
ユキちゃんが途中語彙力を失って擬音でわーひゃー驚いていたけど、ミドリからそういうのが伝染しててもいいかなと
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「ヒビキ先輩紗希先輩お久しぶりです」
「忙しいのにわざわざ呼んでくれてありがとう」
「何だかんだ言って試食会という名のお茶会ですから。先輩たちとも一緒にやりたかったんですよ」
青女の大学祭はいよいよ来週末。今年も去年と一緒でステージと喫茶店をやることになって、その準備がなかなか忙しい。あたしはKちゃん先輩と一緒にステージの台本を書きながらあーでもないこーでもない、あとサドニナをどーにかしてって頭を抱えてるし。今日は喫茶店の方で動きがあったので、その話ですね。
今年の喫茶店でも去年と一緒でさと先輩が作るクッキーと、1日あたりの個数限定でケーキを出すことになっている。さと先輩の作るお菓子はも~う美味しいんだ! 今日の試作会がただただ楽しみだし、今年はエマとみわもお菓子のアイディアを出していて、家での試作が本当に楽しかったーとはさと先輩談。
「これが今年のクッキーです。まず、試作品を始めて食べる先輩たちからどうぞ」
「紅茶もどうぞ」
「ありがとう」
「さとちゃんのクッキー楽しみー! いただきまーす。……すっご! 美味しい! 紗希も食べなって!」
「それじゃあアタシも。うん! 美味しい!」
「プレーンとチョコチップクッキーなんですけど」
「プレーンって言うより濃厚なバタークッキーって感じ」
「これはエマちゃんのおうちで食べられてるレシピをいただいて焼いてみたんです」
1年生がエマが普段から食べてるお菓子を食べに家に遊びに行ったそうなんだけど、そこで食べたお菓子が美味しかったんだって。って言うか不味いワケないよね。エマの家には家政婦さんがいるらしいんだけど、その人の作るお菓子が本当に美味しいからさと先輩にも食べてみて欲しいなあって言ってたそうなんだよね。
それで、いつの間にかさと先輩がエマの家でその家政婦さんとお菓子作りの話をしてたそうで、クッキーやケーキ、それからスコーンの作り方なんかを教わったって。って言うかさと先輩は今でもめちゃくちゃ料理上手なのに、これ以上パワーアップしたらどうなっちゃうのって感じ。実際ヒビキ先輩たちの反応からしても絶対美味しいじゃん! あたしも食べたい!
「アタシ最近アンツ・フィオーレの詰め放題やったんだけど、あそこのクッキーと比べると大分大きいよね」
「そうですね。アンツ・フィオーレとかのクッキーと比べても一回りか二回りは大きいと思います。去年そうだったんですけど、大きい分1回に数を焼けないので生産効率をどう上げるかっていうのが課題ですね」
「あ~。そうだよね。てかさとちゃんしっかり考えてるね。喫茶部長じゃん」
4年生の先輩たちが絶賛したということで、3年生以下にもプレーンのクッキーとチョコチップクッキーが配給される。さっそくプレーンの方をひと齧りしたけど、サクッとしてほろっとして、バターの風味がふわ~っとなって、言葉で表現するのがすっごく難し! ってなったんだけど!?
エマはこのレベルのお菓子を日常的に食べてるのかと思ったら、やっぱり生活水準の違いを目の当たりにさせられるし、そんな家のレシピをもらって再現できるさと先輩もさと先輩なんだけど。1年生はうんうんこれこれって感じで当たり前のように食べてるけど、当たり前じゃないからね!? 衣装にしても、さと先輩絡みのことは大体贅沢だから!
「エマんちのクッキーも美味しいけど、さと先輩のクッキーも美味しいよね」
「あたし、さと先輩のお菓子、クッキーもケーキもふわっとした味で大好き」
「2人ともありがとう」
「沙都子先輩の作るお菓子は、何故か懐かしい気分になりますの。素朴な味がよろしいのかしら」
「素朴って言うには美味しすぎんだよね。って言うかエマ、スーパーとかでフツーに売ってるお菓子とか食べ始めてるんでしょ? どれか好きなの見つかった?」
「百貨店の食品売り場ではなくスーパーマーケットですわよね。好きなお菓子は見つかりましたわよ」
「おっ、いいね~! どれどれ?」
「みわがよく食べているルマンドや、サキさまに教えていただいたホワイトロリータ」
「順調にみわのブルボン教に洗脳されてるじゃん」
「それから、おにぎりせんべいですわね。とても美味しいですわよ」
「おっと、まさかのおにぎり! エマが気に入るとは意外だけど、美味しいよね!」
「ナニナニ? エマが大衆のお菓子を勉強してるって?」
「郷音先輩。そうですの。みわがいつも美味しそうに召し上がっているので、どんなに美味しいものかと」
「だったらエマもじゃがりこ食べてみたらいいよ。ジャガイモのスナックなんだけど、味も風味もしっかりしてて美味しいよ。さっき買って来たのあるし良かったら食べて」
「まあ、ありがとうございます」
エマが順調に布教されてるし、みわのブルボン教には染まってるかもしれない。でも、ホワイトロリータを教えたのはみわじゃなくて夏合宿か何かで一緒になった子なんだ。まあ、実際美味しいからね。あたしはエリーゼとかも好きだけど。試食会は結局さと先輩の作るものは美味しいという結論に達して異議も何もなし。平和的。
「喫茶部門で沙都子関係以外で何か話すことがある人ー」
「ないでーす」
「ジュースの仕入れは?」
「アヤネ先輩を当たってまーす」
end.
++++
例によってクッキーの話。今回は青女の喫茶のあれやこれや。今年も去年と同じくさとちゃんのクッキーです。
1年生4人はみんな違ってみんないいという感じで仲良くやっているのですが、たまに黒姫邸でお茶会をするようになった模様。
ユキちゃんが途中語彙力を失って擬音でわーひゃー驚いていたけど、ミドリからそういうのが伝染しててもいいかなと
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