2021(03)
■MMPの洗礼(食事編)
++++
「それじゃァお疲れサンしたァー。で、先週の話通り今日はすがやんにMMPの洗礼を浴びせたいと思うンでェ、メシ行きヤーす」
「……すがやん、どういう話になってたの」
「先週は向島の学食で晩飯を食ってったんだけど、今度はこの近辺のメシ屋に行きたいって話になってたんだよ」
「へえ、そうなんだ」
「えーっ、あたしも行ってみたーい。りっちゃん先輩、あたしもいいですかー?」
「もちろんスよ。サキはどーしヤす?」
「ああ、それじゃあ、俺も行きます」
「緑ヶ丘勢はノリがいースね。じゃ、行きヤすかァー」
というワケでやって来ました麺処たなべ。向島大学から程近い飯屋で、中に入ると壁という壁が写真で埋め尽くされている。ちなみに今日はサキとくるみも一緒に向島さんにお邪魔してて、サキはミキサーの先輩がそれぞれどんなミキシングをする人たちなのかというのを見に、そしてくるみは合宿でお世話になった奈々先輩に会いに来たようだ。
MMPの洗礼というのがとても気になるけど、今回それを受けるのは俺1人。サキとくるみはさすがに無理だろうと野坂先輩ストップがかかったからだ。野坂先輩はMBCCの1年のこともよく知っているからその辺の判断が出来るんだろう。だけど、そんな風に判断されるほどのヤベーのが出て来るってことだよな。
「今日すがやんに挑んでもらうのは、この満腹セットな。大盛りごはんと温または冷のうどんかそば2人分に、巨大チキンカツ2枚と味噌汁に付け合わせで790円という、学生には嬉しいコスパの美味い定食だな」
「写真で見てもすげー量っすね」
「これを食い切れば勝ちだし食えなきゃ負け。MMPに入ったらまずこれに挑まされる、言わば登竜門的なメニューになってる」
「言って女の人でも食う人は食うンで、一般的男子なら半々くらいで行けヤすよ」
「わかりました。これに挑みます」
「すがやん頑張れー!」
「ちなみに、女の人っていうのは果林先輩みたいなタイプの人ではなく」
「あんなのがそこらにいてたまるか」
「フツーの女の人スわ。ご安心を」
「そしたら、満腹セットを、えーと……温そ」
「あれあれ~? すがやん、蕎麦ですか~? これは日和ってますね~」
「初回とは言え温そばは保険かけ過ぎじゃね?」
「や、連中の煽りはガン無視で好きにしてもらえばいースよ。でも、たなべはそばよりうどんの方が美味いスよ」
3年生の先輩たちにそこまで言われてしまえば、うどんを選ぶ以外の選択肢があるはずもなかった。というワケで俺と野坂先輩、それからりっちゃん先輩は満腹セットの温うどんを頼むことに。こーた先輩とカノンはチキンカツ定食を、くるみはチキンカツ鍋定食の小うどん。サキは単品でチキンカツ丼を注文。
少しして一般の定食とサキの単品の丼が届いた。それを見ていると、普通のチキンカツ定食のカツも十分デカくね、と思って。だってこれ何センチある? 25センチくらいはあるだろ。これが普通サイズのチキンカツで、満腹セットではこれが2枚になるんだよな。一応ちゃんと腹は空かせてあるけど、食える自信がなくなってきた。ササとかシノが来た方がいいだろこれ。
「満腹セット3つお待ち!」
「ありがとうございヤーす。ささ、すがやん行っちゃってくだせェ」
「それじゃあ、いただきまーす!」
「いただきヤーす」
「つかマジでデケ~…!」
「すがやん、マジで頑張れ。お前は勝ってくれ」
「洗礼とか登竜門って言うからにはカノンも挑んだことはあるんだろ。どうだった?」
「俺はギリ負けた」
「そうかー……ちょっと、気合入れてやるしかない」
あのデカいチキンカツがマジで2枚と付け合わせのキャベツも山盛り。白いメシもお椀にぎゅうぎゅうだし、味噌汁も具だくさんだ。これで790円っていうのは学生街ならではのありがたいメニューなんだろうけど、食えるか食えないかのボーダーもギリギリなんだよな。緑大の近くだったら体育学部の人とかでめちゃくちゃ繁盛してそうだ。
「つかチキンカツめちゃやーらかくて美味いっすね!」
「そうだろ。2枚あるから味変しながら楽しめるんだぞ。うどんも美味いから食ってみ」
「はい。……あー、うまっ」
「あたしもうどん食べてみよー! ……うん! 温うどんなのにしっかり食感があるし、お出汁も美味しい! 小うどんじゃなくて普通のうどんでも良かったかなあ」
「さすがくるみ、食レポが冴えてるね」
「サキのカツ丼は?」
「美味しいよ。多分、そのカツ鍋が直接ご飯の上に乗ってる感じじゃないかな」
「ああ~、それは絶対美味しいね!」
「くるみ、カツ鍋のカツと普通のカツ1枚交換してくんね? 俺カツ鍋って食ったことないんだよ」
「いいよ! カノン、どこに乗っける?」
「じゃあキャベツの上とかに。俺のはそのまま持ってってもらって」
一般の定食組が普通に楽しんでるんだよな。俺も食事は楽しんでるんだけど、食べても食べても全然減ってない気がする。同じものを食ってるはずの先輩たちは順調に食い進めてるし、経験とかポテンシャルの差ってのをまざまざと見せつけられてる感が強い。これが向島か。
「やァー、安定の美味さスわ」
「それな。すがやん、食べてるか?」
「食ってはいます」
「そうか。まあ頑張れ」
end.
++++
今年はスケジュールの都合上、サキくるも同日に向島へと遊びに行ってこんな感じに。
くるちゃんの歌も録音してたし、サキはミキサーの勉強をしつつ隅っこでの読書だしそれぞれ楽しんだ様子。
あと、これが向島では多分ない。と言うかすがやんてこれまでのMMPキャラと比べて胃袋レベルはどの辺かしら。
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「それじゃァお疲れサンしたァー。で、先週の話通り今日はすがやんにMMPの洗礼を浴びせたいと思うンでェ、メシ行きヤーす」
「……すがやん、どういう話になってたの」
「先週は向島の学食で晩飯を食ってったんだけど、今度はこの近辺のメシ屋に行きたいって話になってたんだよ」
「へえ、そうなんだ」
「えーっ、あたしも行ってみたーい。りっちゃん先輩、あたしもいいですかー?」
「もちろんスよ。サキはどーしヤす?」
「ああ、それじゃあ、俺も行きます」
「緑ヶ丘勢はノリがいースね。じゃ、行きヤすかァー」
というワケでやって来ました麺処たなべ。向島大学から程近い飯屋で、中に入ると壁という壁が写真で埋め尽くされている。ちなみに今日はサキとくるみも一緒に向島さんにお邪魔してて、サキはミキサーの先輩がそれぞれどんなミキシングをする人たちなのかというのを見に、そしてくるみは合宿でお世話になった奈々先輩に会いに来たようだ。
MMPの洗礼というのがとても気になるけど、今回それを受けるのは俺1人。サキとくるみはさすがに無理だろうと野坂先輩ストップがかかったからだ。野坂先輩はMBCCの1年のこともよく知っているからその辺の判断が出来るんだろう。だけど、そんな風に判断されるほどのヤベーのが出て来るってことだよな。
「今日すがやんに挑んでもらうのは、この満腹セットな。大盛りごはんと温または冷のうどんかそば2人分に、巨大チキンカツ2枚と味噌汁に付け合わせで790円という、学生には嬉しいコスパの美味い定食だな」
「写真で見てもすげー量っすね」
「これを食い切れば勝ちだし食えなきゃ負け。MMPに入ったらまずこれに挑まされる、言わば登竜門的なメニューになってる」
「言って女の人でも食う人は食うンで、一般的男子なら半々くらいで行けヤすよ」
「わかりました。これに挑みます」
「すがやん頑張れー!」
「ちなみに、女の人っていうのは果林先輩みたいなタイプの人ではなく」
「あんなのがそこらにいてたまるか」
「フツーの女の人スわ。ご安心を」
「そしたら、満腹セットを、えーと……温そ」
「あれあれ~? すがやん、蕎麦ですか~? これは日和ってますね~」
「初回とは言え温そばは保険かけ過ぎじゃね?」
「や、連中の煽りはガン無視で好きにしてもらえばいースよ。でも、たなべはそばよりうどんの方が美味いスよ」
3年生の先輩たちにそこまで言われてしまえば、うどんを選ぶ以外の選択肢があるはずもなかった。というワケで俺と野坂先輩、それからりっちゃん先輩は満腹セットの温うどんを頼むことに。こーた先輩とカノンはチキンカツ定食を、くるみはチキンカツ鍋定食の小うどん。サキは単品でチキンカツ丼を注文。
少しして一般の定食とサキの単品の丼が届いた。それを見ていると、普通のチキンカツ定食のカツも十分デカくね、と思って。だってこれ何センチある? 25センチくらいはあるだろ。これが普通サイズのチキンカツで、満腹セットではこれが2枚になるんだよな。一応ちゃんと腹は空かせてあるけど、食える自信がなくなってきた。ササとかシノが来た方がいいだろこれ。
「満腹セット3つお待ち!」
「ありがとうございヤーす。ささ、すがやん行っちゃってくだせェ」
「それじゃあ、いただきまーす!」
「いただきヤーす」
「つかマジでデケ~…!」
「すがやん、マジで頑張れ。お前は勝ってくれ」
「洗礼とか登竜門って言うからにはカノンも挑んだことはあるんだろ。どうだった?」
「俺はギリ負けた」
「そうかー……ちょっと、気合入れてやるしかない」
あのデカいチキンカツがマジで2枚と付け合わせのキャベツも山盛り。白いメシもお椀にぎゅうぎゅうだし、味噌汁も具だくさんだ。これで790円っていうのは学生街ならではのありがたいメニューなんだろうけど、食えるか食えないかのボーダーもギリギリなんだよな。緑大の近くだったら体育学部の人とかでめちゃくちゃ繁盛してそうだ。
「つかチキンカツめちゃやーらかくて美味いっすね!」
「そうだろ。2枚あるから味変しながら楽しめるんだぞ。うどんも美味いから食ってみ」
「はい。……あー、うまっ」
「あたしもうどん食べてみよー! ……うん! 温うどんなのにしっかり食感があるし、お出汁も美味しい! 小うどんじゃなくて普通のうどんでも良かったかなあ」
「さすがくるみ、食レポが冴えてるね」
「サキのカツ丼は?」
「美味しいよ。多分、そのカツ鍋が直接ご飯の上に乗ってる感じじゃないかな」
「ああ~、それは絶対美味しいね!」
「くるみ、カツ鍋のカツと普通のカツ1枚交換してくんね? 俺カツ鍋って食ったことないんだよ」
「いいよ! カノン、どこに乗っける?」
「じゃあキャベツの上とかに。俺のはそのまま持ってってもらって」
一般の定食組が普通に楽しんでるんだよな。俺も食事は楽しんでるんだけど、食べても食べても全然減ってない気がする。同じものを食ってるはずの先輩たちは順調に食い進めてるし、経験とかポテンシャルの差ってのをまざまざと見せつけられてる感が強い。これが向島か。
「やァー、安定の美味さスわ」
「それな。すがやん、食べてるか?」
「食ってはいます」
「そうか。まあ頑張れ」
end.
++++
今年はスケジュールの都合上、サキくるも同日に向島へと遊びに行ってこんな感じに。
くるちゃんの歌も録音してたし、サキはミキサーの勉強をしつつ隅っこでの読書だしそれぞれ楽しんだ様子。
あと、これが向島では多分ない。と言うかすがやんてこれまでのMMPキャラと比べて胃袋レベルはどの辺かしら。
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