2021(03)
■まあまあ先輩、ここは一杯
++++
「なかなか揃えたねえ」
「少し興味が湧いたんですよね」
恒例となりつつあるタカちゃんとの宅飲み。今回机の上に並べられているのは各社のビールと発泡酒。MBCCで一番強いタカちゃんだけど、ビールは苦手で1本飲んだだけで酔い始めるんだよね。他のお酒はどれだけ飲んでもケロッとしてるんだけど不思議だねーという話をしてたんだけど。
MBCCの人って、高ピー先輩を筆頭にビールが好きな人もまあまあ多くて、アタシもだし、エージもそうかな。身近な人が美味しくビールを飲んでるのを見てるうちにタカちゃんも羨ましくなったのか、練習をするって言い始めた。だけどみんなの前で醜態を晒すのも嫌だからって理由でそれに付き合うのは専らアタシ。
「一言でビールと言ってもいろいろあるじゃないですか」
「そうだね。メーカーによって全然味は違うよね」
「きっと好きなメーカーとか好きな味っていうのはあると思うんですよね。今回はそれを探してみようかなと」
「確かに、それを知ってると役に立つかもね」
「それのお役立ちポイントっていうのはどこにあるんですかね」
「例えば、店飲みしようってなったときでも、お店の前には扱ってるお酒の幟が立ってたりポスターが貼ってあったりするでしょ」
「そう言われればそうですね」
「どこ入ろうかってちょっと悩んだときも、このビールがあるならここにするかっていう決め手になり得る」
「なるほど」
食べ物の好き嫌いもなかなか激しいタカちゃんだけど、飲み物にも好き嫌いってあるのかな。でも、自分の好きなテイストを知っているってことは大事だと思うんですよねー。一言でビールって言ってもメーカーだけじゃなくて作り方とかでもいろいろあるもんね。アタシはそんなに詳しくないんだけど。
だけど、タカちゃんはそういうのにこだわり始めると詳しくなりそうだなって思う。結構こだわるところではこだわる子だからね。輸入食品店だとか物産展とかでも並んでるよくあるビールじゃない変わったビールとかも、缶のパッケージを見るだけでどんな感じかわかるようになりそう。これは偏見かな。
「今回はテイスティングが目的なので、半分ずつにしましょう」
「いいね。とりあえずジャーキーも開封して」
「あ、コップ持って来なきゃ」
「タカちゃん、タンブラーも持って来てー」
「はーい」
タカちゃんの家にある隠れた便利アイテムが、コンビニコーヒーとかのプラスチックコップをそのままスポッとはめることが出来る保冷タンブラー。保温も出来るのかな? 同じくタカちゃんの家には使い捨ての皿やコップも常備してあるから、今回はプラスチックコップにビールを注いで、このタンブラーにインする計画。
「これ便利だよねー。アタシも自分の買おうかな」
「なくても大丈夫ですけど、あると便利っていうタイプの道具ですね」
「ほらアタシバイトがコーヒーショップじゃん。帰りとかたまにテイクアウトでコーヒー買って帰るんだけど、そういうのを入れれたら便利じゃない?」
「頻繁にも使いそうですし、果林先輩が持つ分にはいいと思います」
「だよね。雑貨屋とかに行けばあるかな」
「そうですね。それじゃあ飲みますか」
「飲みましょー!」
たくさん用意してあった缶は一旦冷蔵庫に戻して冷やしておく。結構たくさん用意してあるけど、よくこれだけ集めたなあと感心もする。まあ、今日全部飲めなくても別日とか、エージも飲むだろうしね。そして今から飲むのをプラコップに注いでもらって、タンブラーにイン。これはうまさを楽しむタイプの発泡酒かな。ジャーキーの準備はもちろんオッケーだし。
「それじゃあかんぱーい」
「いただきます」
「あ~……これはいいですね」
「好きな感じ?」
「美味しいですし、飲みやすいですね」
「そう感じたなら次はこの会社の普通のビールにしてみよっか」
「そうですね。確か用意してあったと思うのでこれを飲んだら持って来ます」
「最初に好きそうなのに当たったら、後の評価が厳しくなりそうだねえ」
「まあ、今日はテイスティングなのでいろいろ飲んでみるという目的自体は達成出来ますし」
高ピー先輩なんかは一気にグイッと行っちゃう人なんだけど、タカちゃんはそこまでグッと行くタイプじゃないんだよね。お酒を比較的ゆっくり味わうタイプというのもあって、ビールの味に慣れるまでは苦みの強いこの味もちょっと苦手だったみたい。今では練習の成果もあってこういうものだってわかってきたみたいだけど。
「何せ、数を飲もうかと」
「って言うか明日の授業大丈夫なの?」
「さすがに1限はないので大丈夫ですね。……まあ、多分大丈夫です」
「一気に信憑性がなくなるなあ」
「まあ、火曜日は1限がありますけど、月曜日なので大丈夫ですね」
「ならいいけど。2年までにある程度ちゃんとやっとかないと後がキツイよ」
「わかってはいるのでこの秋学期は頑張ろうとは思ってます」
「って言うかタカちゃんが頑張ってくれないとアタシがヒゲから文句言われるの、あれってホント理不尽じゃない!?」
「あ~、えーと、それはすみません。まあまあまあ、飲んでください先輩」
end.
++++
ビールの練習のタカりん。いろいろな会社のいろいろな銘柄を飲んでみようという回。かわいい。
ビールと一言で言ってもいろいろな作り方やなんかがあるので好きな物を探してみるのが楽しい。
接待的なこともやるようになったTKGである。まあまあ。
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「なかなか揃えたねえ」
「少し興味が湧いたんですよね」
恒例となりつつあるタカちゃんとの宅飲み。今回机の上に並べられているのは各社のビールと発泡酒。MBCCで一番強いタカちゃんだけど、ビールは苦手で1本飲んだだけで酔い始めるんだよね。他のお酒はどれだけ飲んでもケロッとしてるんだけど不思議だねーという話をしてたんだけど。
MBCCの人って、高ピー先輩を筆頭にビールが好きな人もまあまあ多くて、アタシもだし、エージもそうかな。身近な人が美味しくビールを飲んでるのを見てるうちにタカちゃんも羨ましくなったのか、練習をするって言い始めた。だけどみんなの前で醜態を晒すのも嫌だからって理由でそれに付き合うのは専らアタシ。
「一言でビールと言ってもいろいろあるじゃないですか」
「そうだね。メーカーによって全然味は違うよね」
「きっと好きなメーカーとか好きな味っていうのはあると思うんですよね。今回はそれを探してみようかなと」
「確かに、それを知ってると役に立つかもね」
「それのお役立ちポイントっていうのはどこにあるんですかね」
「例えば、店飲みしようってなったときでも、お店の前には扱ってるお酒の幟が立ってたりポスターが貼ってあったりするでしょ」
「そう言われればそうですね」
「どこ入ろうかってちょっと悩んだときも、このビールがあるならここにするかっていう決め手になり得る」
「なるほど」
食べ物の好き嫌いもなかなか激しいタカちゃんだけど、飲み物にも好き嫌いってあるのかな。でも、自分の好きなテイストを知っているってことは大事だと思うんですよねー。一言でビールって言ってもメーカーだけじゃなくて作り方とかでもいろいろあるもんね。アタシはそんなに詳しくないんだけど。
だけど、タカちゃんはそういうのにこだわり始めると詳しくなりそうだなって思う。結構こだわるところではこだわる子だからね。輸入食品店だとか物産展とかでも並んでるよくあるビールじゃない変わったビールとかも、缶のパッケージを見るだけでどんな感じかわかるようになりそう。これは偏見かな。
「今回はテイスティングが目的なので、半分ずつにしましょう」
「いいね。とりあえずジャーキーも開封して」
「あ、コップ持って来なきゃ」
「タカちゃん、タンブラーも持って来てー」
「はーい」
タカちゃんの家にある隠れた便利アイテムが、コンビニコーヒーとかのプラスチックコップをそのままスポッとはめることが出来る保冷タンブラー。保温も出来るのかな? 同じくタカちゃんの家には使い捨ての皿やコップも常備してあるから、今回はプラスチックコップにビールを注いで、このタンブラーにインする計画。
「これ便利だよねー。アタシも自分の買おうかな」
「なくても大丈夫ですけど、あると便利っていうタイプの道具ですね」
「ほらアタシバイトがコーヒーショップじゃん。帰りとかたまにテイクアウトでコーヒー買って帰るんだけど、そういうのを入れれたら便利じゃない?」
「頻繁にも使いそうですし、果林先輩が持つ分にはいいと思います」
「だよね。雑貨屋とかに行けばあるかな」
「そうですね。それじゃあ飲みますか」
「飲みましょー!」
たくさん用意してあった缶は一旦冷蔵庫に戻して冷やしておく。結構たくさん用意してあるけど、よくこれだけ集めたなあと感心もする。まあ、今日全部飲めなくても別日とか、エージも飲むだろうしね。そして今から飲むのをプラコップに注いでもらって、タンブラーにイン。これはうまさを楽しむタイプの発泡酒かな。ジャーキーの準備はもちろんオッケーだし。
「それじゃあかんぱーい」
「いただきます」
「あ~……これはいいですね」
「好きな感じ?」
「美味しいですし、飲みやすいですね」
「そう感じたなら次はこの会社の普通のビールにしてみよっか」
「そうですね。確か用意してあったと思うのでこれを飲んだら持って来ます」
「最初に好きそうなのに当たったら、後の評価が厳しくなりそうだねえ」
「まあ、今日はテイスティングなのでいろいろ飲んでみるという目的自体は達成出来ますし」
高ピー先輩なんかは一気にグイッと行っちゃう人なんだけど、タカちゃんはそこまでグッと行くタイプじゃないんだよね。お酒を比較的ゆっくり味わうタイプというのもあって、ビールの味に慣れるまでは苦みの強いこの味もちょっと苦手だったみたい。今では練習の成果もあってこういうものだってわかってきたみたいだけど。
「何せ、数を飲もうかと」
「って言うか明日の授業大丈夫なの?」
「さすがに1限はないので大丈夫ですね。……まあ、多分大丈夫です」
「一気に信憑性がなくなるなあ」
「まあ、火曜日は1限がありますけど、月曜日なので大丈夫ですね」
「ならいいけど。2年までにある程度ちゃんとやっとかないと後がキツイよ」
「わかってはいるのでこの秋学期は頑張ろうとは思ってます」
「って言うかタカちゃんが頑張ってくれないとアタシがヒゲから文句言われるの、あれってホント理不尽じゃない!?」
「あ~、えーと、それはすみません。まあまあまあ、飲んでください先輩」
end.
++++
ビールの練習のタカりん。いろいろな会社のいろいろな銘柄を飲んでみようという回。かわいい。
ビールと一言で言ってもいろいろな作り方やなんかがあるので好きな物を探してみるのが楽しい。
接待的なこともやるようになったTKGである。まあまあ。
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