2021(02)
■A meal together
++++
「そしたら、今日はお疲れさんしたー」
「あっカノン、ちょっといいか?」
「どーしたすがやん」
「向島大学の学食って何時までやってる? 夜もやってるなら食べてこうかなーと思って」
「りっちゃんせんぱーい、学食って夜もやってるんすか?」
「あっ、やってヤすよ」
「じゃ飯食ってくかー」
今日は水曜日で、すがやんがこっちに来ている日だ。昼放送の収録も始まっていて、今週のミキサーはこーたが担当していた。現時点では至ってよくある普通の番組という感じだけど、すがやん本人はいつかちょっと変わった番組をやってみたいと思っているようだ。
そのすがやんが、学食で何か食べていきたいと言っている。向島大学の学食は、確か夜9時までやっていたはずだ。今は大学祭に向けていろんな団体が動いているから、夜の学食も何となく人が多いイメージがある。俺もたまにゼミの活動の合間に利用することがある。
「つかすがやんそんなに腹減ってんの?」
「いや、向島大学の学食でやってる番組で、学食のインフォメーションとかもやってるのにその場所のことを知らないってのはマズいなーと思って。あと、他校の学食とかこんなことでもないとなかなか行く機会ないし」
「真面目かよ!」
「やァー、いい心がけスね。自分もたまには食ってきヤすかァー。すがやん、ご一緒しても?」
「もちろんっす!」
「俺も食ってくかあ。腹減り過ぎてもうダメだわ」
「野坂さん、あなた私の車に乗って行くんじゃなかったんです?」
「お前も食ってけばよくね?」
「あなたってそういう人ですよね! まあ? 私もお腹は空いていますから、食べていきましょうか」
というワケで、1年2人と3年ミキサー3人で夜の学食へ。昼と比べると夜は建物の中が暗いということもあって独特の雰囲気があるなと思う。人がまばらなのもあるし。
「えっと、食券を買うのでいいのかな」
「主食は食券を買って、副菜は進んだところに棚があるから、そこから持って行く感じ」
「了解っす。えーと、何にしようかな」
「緑大の学食はどんな感じなんですか?」
「店によって違うんすけど、俺がよく使ってる第2学食はカフェテリアみたいな感じで、あっ、食券を買うのは同じっすね」
「店によって違うという概念ですよ」
「量が多くて安いけど味は普通の第1学食と、量は普通で味はめちゃ美味いけどちょっと高い第2学食と、量り売りの店とカレー&パスタの店と購買とコンビニとカフェがあるっすね」
ここしか食堂がない向島大学と、泣く子も黙る私立の緑ヶ丘大学を比べてはいけない。俺たちは適当に食べたい物を選んで食券を買ったんだけど、すがやんはうーんうーんと考え込んでいる。学食に向島っぽさとかそういうのを求める程でもないんだけどな。
「唐揚げ丼にするかー。唐揚げ丼の小と、あっ、あのサラダうまそー。ごま味の豚肉サラダだって」
「すがやん、丼が小で大丈夫なのか?」
「あんまり来る機会もないので、主食を小にしていろいろ食べたいなと思って」
「なるほど。一理ある」
「あっコロッケも食べよう」
俺たちががっつり丼を食べる中で、すがやんのトレイには彩り豊かな定食が出来上がって行く。1品1品がそこまで高くないから合計金額も500円程だ。サラダも食べてるし普通にバランスがいい。
「さすが、先輩たちは食いますねー」
「普通に食う時はこんなモンじゃないか? なあ律」
「そースね」
「向島の皆さんって、サークル後にみんなで飯行くみたいな文化ってあるんすか?」
「今はたまにって感じかな。昔は毎回行ってたらしいけど。そういうのってやっぱ足がないと厳しいじゃんな」
「緑ヶ丘はどーなんスか?」
「みんなでっていうのはなかなか無いですね。方角が同じ人とかはたまに行ってるみたいですけど。2年生の先輩はハナ先輩の車に乗って行ったりとか」
「緑ヶ丘は1年がめちゃくちゃ仲良いし、みんなで行ったりしないのか?」
「全員方角が違うんでそういうのはほとんどないっすね。ギリギリ俺とサキが一緒に帰ることがあるくらいで」
「すがやんって地元どこだっけ」
「青浪っす」
「まさかの青浪」
「青浪っつったらウチじゃ野坂とこーたスね」
「えー! マジすか! じゃあ結構近いんすね!」
緑ヶ丘にお邪魔していた頃から思っていたけど、すがやんは本当に人懐こくて、人と話す事が好きなんだなと思う。俺たちと喋っているのを見ていると、向島大学の学食を知るというのがおまけだったんじゃないかとすら思えて来るんだ。
「りっちゃん先輩、俺思ったんすけど、足がないからみんなで飯に行けなくなったって話じゃないすか」
「そーゆーコトになってヤすね」
「水曜日だったらすがやんいるんでワンチャンあるんじゃないすか?」
「あっ、俺も向島大学近辺の店とか行ってみたいっす」
「そしたら、来週辺りたなべに行きヤすかァー? すがやんにもアレに挑んでもらいヤしょー」
「おっ、アレか。アレは美味いぞ」
「そうですねえ。ですが、こうして見ている限りすがやんは普通の子ですから、勝てますかねえ、どうですかねえ」
「えっ、先輩たち、アレって何すか?」
「それは行ってみてのお楽しみス。あっ、味は美味いンで安心してもらッて」
来週はいよいよすがやんがMMP流のもてなしを受けるのか。何て言うか、ある意味それがすがやんの見に来たMMP的悪乗りの文化だろうから、ぜひとも腹を空かせて来てもらわないとな。
end.
++++
すがやんの好奇心も、MMPサイドから見ると「真面目だなあ」になってしまうので異文化交流としては成功なのかなあ
MMPメンバーはノサ神辺りがたまに一緒にご飯食べてそうだけど、それはすがサキと同じようなことだもんね。方角が一緒。
すがやんの満腹セット挑戦編もやりたいし、あっさり食べるノサカにすげーってビックリしてて欲しいなあ
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「そしたら、今日はお疲れさんしたー」
「あっカノン、ちょっといいか?」
「どーしたすがやん」
「向島大学の学食って何時までやってる? 夜もやってるなら食べてこうかなーと思って」
「りっちゃんせんぱーい、学食って夜もやってるんすか?」
「あっ、やってヤすよ」
「じゃ飯食ってくかー」
今日は水曜日で、すがやんがこっちに来ている日だ。昼放送の収録も始まっていて、今週のミキサーはこーたが担当していた。現時点では至ってよくある普通の番組という感じだけど、すがやん本人はいつかちょっと変わった番組をやってみたいと思っているようだ。
そのすがやんが、学食で何か食べていきたいと言っている。向島大学の学食は、確か夜9時までやっていたはずだ。今は大学祭に向けていろんな団体が動いているから、夜の学食も何となく人が多いイメージがある。俺もたまにゼミの活動の合間に利用することがある。
「つかすがやんそんなに腹減ってんの?」
「いや、向島大学の学食でやってる番組で、学食のインフォメーションとかもやってるのにその場所のことを知らないってのはマズいなーと思って。あと、他校の学食とかこんなことでもないとなかなか行く機会ないし」
「真面目かよ!」
「やァー、いい心がけスね。自分もたまには食ってきヤすかァー。すがやん、ご一緒しても?」
「もちろんっす!」
「俺も食ってくかあ。腹減り過ぎてもうダメだわ」
「野坂さん、あなた私の車に乗って行くんじゃなかったんです?」
「お前も食ってけばよくね?」
「あなたってそういう人ですよね! まあ? 私もお腹は空いていますから、食べていきましょうか」
というワケで、1年2人と3年ミキサー3人で夜の学食へ。昼と比べると夜は建物の中が暗いということもあって独特の雰囲気があるなと思う。人がまばらなのもあるし。
「えっと、食券を買うのでいいのかな」
「主食は食券を買って、副菜は進んだところに棚があるから、そこから持って行く感じ」
「了解っす。えーと、何にしようかな」
「緑大の学食はどんな感じなんですか?」
「店によって違うんすけど、俺がよく使ってる第2学食はカフェテリアみたいな感じで、あっ、食券を買うのは同じっすね」
「店によって違うという概念ですよ」
「量が多くて安いけど味は普通の第1学食と、量は普通で味はめちゃ美味いけどちょっと高い第2学食と、量り売りの店とカレー&パスタの店と購買とコンビニとカフェがあるっすね」
ここしか食堂がない向島大学と、泣く子も黙る私立の緑ヶ丘大学を比べてはいけない。俺たちは適当に食べたい物を選んで食券を買ったんだけど、すがやんはうーんうーんと考え込んでいる。学食に向島っぽさとかそういうのを求める程でもないんだけどな。
「唐揚げ丼にするかー。唐揚げ丼の小と、あっ、あのサラダうまそー。ごま味の豚肉サラダだって」
「すがやん、丼が小で大丈夫なのか?」
「あんまり来る機会もないので、主食を小にしていろいろ食べたいなと思って」
「なるほど。一理ある」
「あっコロッケも食べよう」
俺たちががっつり丼を食べる中で、すがやんのトレイには彩り豊かな定食が出来上がって行く。1品1品がそこまで高くないから合計金額も500円程だ。サラダも食べてるし普通にバランスがいい。
「さすが、先輩たちは食いますねー」
「普通に食う時はこんなモンじゃないか? なあ律」
「そースね」
「向島の皆さんって、サークル後にみんなで飯行くみたいな文化ってあるんすか?」
「今はたまにって感じかな。昔は毎回行ってたらしいけど。そういうのってやっぱ足がないと厳しいじゃんな」
「緑ヶ丘はどーなんスか?」
「みんなでっていうのはなかなか無いですね。方角が同じ人とかはたまに行ってるみたいですけど。2年生の先輩はハナ先輩の車に乗って行ったりとか」
「緑ヶ丘は1年がめちゃくちゃ仲良いし、みんなで行ったりしないのか?」
「全員方角が違うんでそういうのはほとんどないっすね。ギリギリ俺とサキが一緒に帰ることがあるくらいで」
「すがやんって地元どこだっけ」
「青浪っす」
「まさかの青浪」
「青浪っつったらウチじゃ野坂とこーたスね」
「えー! マジすか! じゃあ結構近いんすね!」
緑ヶ丘にお邪魔していた頃から思っていたけど、すがやんは本当に人懐こくて、人と話す事が好きなんだなと思う。俺たちと喋っているのを見ていると、向島大学の学食を知るというのがおまけだったんじゃないかとすら思えて来るんだ。
「りっちゃん先輩、俺思ったんすけど、足がないからみんなで飯に行けなくなったって話じゃないすか」
「そーゆーコトになってヤすね」
「水曜日だったらすがやんいるんでワンチャンあるんじゃないすか?」
「あっ、俺も向島大学近辺の店とか行ってみたいっす」
「そしたら、来週辺りたなべに行きヤすかァー? すがやんにもアレに挑んでもらいヤしょー」
「おっ、アレか。アレは美味いぞ」
「そうですねえ。ですが、こうして見ている限りすがやんは普通の子ですから、勝てますかねえ、どうですかねえ」
「えっ、先輩たち、アレって何すか?」
「それは行ってみてのお楽しみス。あっ、味は美味いンで安心してもらッて」
来週はいよいよすがやんがMMP流のもてなしを受けるのか。何て言うか、ある意味それがすがやんの見に来たMMP的悪乗りの文化だろうから、ぜひとも腹を空かせて来てもらわないとな。
end.
++++
すがやんの好奇心も、MMPサイドから見ると「真面目だなあ」になってしまうので異文化交流としては成功なのかなあ
MMPメンバーはノサ神辺りがたまに一緒にご飯食べてそうだけど、それはすがサキと同じようなことだもんね。方角が一緒。
すがやんの満腹セット挑戦編もやりたいし、あっさり食べるノサカにすげーってビックリしてて欲しいなあ
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