2021(02)
■配達先での遭遇
++++
「やァー、それにしても凄い量スわ」
「本当に助かります。センターの事務所にはこれよりもっと大量の芋がまだ積まれてて」
「単純にエグくないスか? 一介の事務所にこれだけの芋ッて。や、星大の情報センターが奇人変人の巣窟なのは知ってヤすけど、それでも物事には限度っつーモンがありヤすよね」
事務所に大量に積まれたジャガイモのケースは、向島さんが欲しいと言うので喜んで持って行くことになった。りっちゃん先輩が出て来てくれて、運搬を手伝ってくれたりして、現在に至る。向島さんのサークル室は本当に広くって、とりあえず15ケース持って来たんだけどまだ広さに余裕がある。
と言うかりっちゃん先輩の言うそれがまさにそうで。奇人変人の巣窟って言われてしまうのはメンバー的に仕方ないかなって気もするけど、物事には限度があるっていうのが普通の人の考え方なんだよね。春山さんがいたら自分は被害者だって言ってるだろうけど、春山さんのやってることだからこの規模なんだなあとは。
「シて、これをどーするかスね」
「あっ、そうですよね。向島さんて虫がよく出るって話はアオから聞いたことがあります」
「如何せんこの環境なンでね」
「納得です」
「や、策はありヤす」
そう言ってりっちゃん先輩はスマホで誰かに連絡を取っている様子。その誰かがこのジャガイモを何とかするのかな?
「しかしまァ、結構なジャガイモすね」
「そうなんですよー。物自体は物凄くいいんです。蒸かしても美味しいですし、料理にももちろん使えますし。如何せん量が…! プレッツェルみたくちょこちょこつまめる物でもないのでどうにか配って捌けさせないとセンター業務に直接的に影響が出ちゃうんでー」
「それはご愁傷様シた」
「向島さんはこのジャガイモでフライドポテトをするんですよねー。絶対美味しいですね!」
「揚げるのに失敗しない限りはよっぽどマズくなるこたないと踏んでるンすけどね。まァ、自分と奈々がいるンで最低限はやれヤすけど」
「りっちゃん先輩って料理上手なんですね」
「一通りは出来ヤすね。家でもムチャ振りされヤすし、バイト先のサ店でもメニューにない即興料理を作り続けてヤすから」
メニューにない注文に対して即興で対応出来るのが本当に得意な人のやることだよなあと思って謎の感動を覚えちゃってるや。俺も1人暮らしをしてるから少し料理はするけど、何も見ないで簡単に作っちゃう人って本当にすごいなーと思って。
「やありっちゃん、僕が来たよ」
「圭斗先輩、お疲れさまース」
「えーっ!」
何の予兆もなかったのにサークル室に圭斗先輩が現れてビックリしましたよね! 圭斗先輩と言えば定例会の前の議長だった人で、去年の夏合宿にも出てたから顔はわかるんだよね。2コ上の先輩だからあんまり絡んだことはないんだけど、一方的に知ってはいるから本当にビックリした。
「圭斗先輩、これが件の芋スわ」
「本当に大量だね」
「ミドリがここまで持って来てくれたンすよ」
「あっ、星大のミドリですっ! 圭斗先輩、今日はどうしたんですか?」
「りっちゃんから、学祭で使う芋が搬入されたと連絡があってね。試食会に僕の部屋を開放することになったから、ついでだし僕も個人的に調べて気になったレシピで下拵えをしようと思ってね」
「え、圭斗先輩も料理をするんですか?」
「僕は料理が好きで、よくやるんだよ」
「へー、そうなんですねー」
「圭斗先輩は形から入る本格派スわ。おでんを作るにしてもダシから取りヤすし」
「すごいですねー」
どうやら向島さんは4年生の先輩に救援要請を出して、大学近くの拠点として家を使わせてもらうことになったらしい。そうだよね。大学祭の準備って大体大学近くに住んでる人の家が拠点になりがちなんだよね。UHBCでも大体俺の部屋が試食会とかの会場になりがちだし。って言うか例に漏れず今年もだし。
「しかし、これだけのジャガイモをもらってしまって本当にいいのかい?」
「むしろ引き取ってもらうことが人助けなので! こんなにたくさんのジャガイモを使ってもらえて助かります!」
「まあ、もらえると言うならありがたく頂戴するよ。これだけ買うといくらするんだろうね」
「去年緑ヶ丘さんのパーティーのために5ケース運んだ時には、1万は下らないって言われたんで、今回の15ケースなら3万以上にはなるでしょうねー」
「ヤバっ」
「それをタダで仕入れて大学祭で商売するのか。今年はなかなかエグいことをするね。さすがりっちゃん、ラブ&ピースの申し子」
「や、企画立案は自分じゃなくてカノンすよ」
「ちなみにこのジャガイモなら1コで2人分くらい取れるので、1ケースで50食くらいにはならないかなーと思います」
「50食×15ケースで750食を、仮に100円で売るとして75000円か。利益はさらに減ると。りっちゃん、来期への資金とするなら心許なくないかな」
「まァ、新しい機材を入れたりするならもうちったァ欲しいところではありヤすね」
「ミドリ、もう5ケースほど取り置きは出来るかな」
「全然出来ますよー」
「圭斗先輩攻めヤすね」
「練習用にも使うなら10ケースもらってもいいくらいだよ。それから、僕が個人的に料理に使いたいしね」
さらに10ケース引き取ってもらえるみたいなので取り置きお願いしまーすとセンターにいる林原さんに連絡をすると、さっそく確保出来たと返信があったのでその旨を伝えると、リアルタイムに取引が出来るのがそれらしくていいねと圭斗先輩はご満悦の様子。今期も俺は仕事しましたよね! ね!
end.
++++
念押しのミドリがただただかわいいヤツ。言うまでもなく情報センターのジャガイモ戦線のスーパーエースなのである。
圭斗さんとミドリは直接的な絡みはフェーズ1ではなかったはずなので、多分ここがナノスパ上初絡み。フェーズ2みを感じる
やっぱりっちゃんと圭斗さんが一緒だと何らかの安心感を覚えるね! 物凄く緩い何かを感じるやよ
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「やァー、それにしても凄い量スわ」
「本当に助かります。センターの事務所にはこれよりもっと大量の芋がまだ積まれてて」
「単純にエグくないスか? 一介の事務所にこれだけの芋ッて。や、星大の情報センターが奇人変人の巣窟なのは知ってヤすけど、それでも物事には限度っつーモンがありヤすよね」
事務所に大量に積まれたジャガイモのケースは、向島さんが欲しいと言うので喜んで持って行くことになった。りっちゃん先輩が出て来てくれて、運搬を手伝ってくれたりして、現在に至る。向島さんのサークル室は本当に広くって、とりあえず15ケース持って来たんだけどまだ広さに余裕がある。
と言うかりっちゃん先輩の言うそれがまさにそうで。奇人変人の巣窟って言われてしまうのはメンバー的に仕方ないかなって気もするけど、物事には限度があるっていうのが普通の人の考え方なんだよね。春山さんがいたら自分は被害者だって言ってるだろうけど、春山さんのやってることだからこの規模なんだなあとは。
「シて、これをどーするかスね」
「あっ、そうですよね。向島さんて虫がよく出るって話はアオから聞いたことがあります」
「如何せんこの環境なンでね」
「納得です」
「や、策はありヤす」
そう言ってりっちゃん先輩はスマホで誰かに連絡を取っている様子。その誰かがこのジャガイモを何とかするのかな?
「しかしまァ、結構なジャガイモすね」
「そうなんですよー。物自体は物凄くいいんです。蒸かしても美味しいですし、料理にももちろん使えますし。如何せん量が…! プレッツェルみたくちょこちょこつまめる物でもないのでどうにか配って捌けさせないとセンター業務に直接的に影響が出ちゃうんでー」
「それはご愁傷様シた」
「向島さんはこのジャガイモでフライドポテトをするんですよねー。絶対美味しいですね!」
「揚げるのに失敗しない限りはよっぽどマズくなるこたないと踏んでるンすけどね。まァ、自分と奈々がいるンで最低限はやれヤすけど」
「りっちゃん先輩って料理上手なんですね」
「一通りは出来ヤすね。家でもムチャ振りされヤすし、バイト先のサ店でもメニューにない即興料理を作り続けてヤすから」
メニューにない注文に対して即興で対応出来るのが本当に得意な人のやることだよなあと思って謎の感動を覚えちゃってるや。俺も1人暮らしをしてるから少し料理はするけど、何も見ないで簡単に作っちゃう人って本当にすごいなーと思って。
「やありっちゃん、僕が来たよ」
「圭斗先輩、お疲れさまース」
「えーっ!」
何の予兆もなかったのにサークル室に圭斗先輩が現れてビックリしましたよね! 圭斗先輩と言えば定例会の前の議長だった人で、去年の夏合宿にも出てたから顔はわかるんだよね。2コ上の先輩だからあんまり絡んだことはないんだけど、一方的に知ってはいるから本当にビックリした。
「圭斗先輩、これが件の芋スわ」
「本当に大量だね」
「ミドリがここまで持って来てくれたンすよ」
「あっ、星大のミドリですっ! 圭斗先輩、今日はどうしたんですか?」
「りっちゃんから、学祭で使う芋が搬入されたと連絡があってね。試食会に僕の部屋を開放することになったから、ついでだし僕も個人的に調べて気になったレシピで下拵えをしようと思ってね」
「え、圭斗先輩も料理をするんですか?」
「僕は料理が好きで、よくやるんだよ」
「へー、そうなんですねー」
「圭斗先輩は形から入る本格派スわ。おでんを作るにしてもダシから取りヤすし」
「すごいですねー」
どうやら向島さんは4年生の先輩に救援要請を出して、大学近くの拠点として家を使わせてもらうことになったらしい。そうだよね。大学祭の準備って大体大学近くに住んでる人の家が拠点になりがちなんだよね。UHBCでも大体俺の部屋が試食会とかの会場になりがちだし。って言うか例に漏れず今年もだし。
「しかし、これだけのジャガイモをもらってしまって本当にいいのかい?」
「むしろ引き取ってもらうことが人助けなので! こんなにたくさんのジャガイモを使ってもらえて助かります!」
「まあ、もらえると言うならありがたく頂戴するよ。これだけ買うといくらするんだろうね」
「去年緑ヶ丘さんのパーティーのために5ケース運んだ時には、1万は下らないって言われたんで、今回の15ケースなら3万以上にはなるでしょうねー」
「ヤバっ」
「それをタダで仕入れて大学祭で商売するのか。今年はなかなかエグいことをするね。さすがりっちゃん、ラブ&ピースの申し子」
「や、企画立案は自分じゃなくてカノンすよ」
「ちなみにこのジャガイモなら1コで2人分くらい取れるので、1ケースで50食くらいにはならないかなーと思います」
「50食×15ケースで750食を、仮に100円で売るとして75000円か。利益はさらに減ると。りっちゃん、来期への資金とするなら心許なくないかな」
「まァ、新しい機材を入れたりするならもうちったァ欲しいところではありヤすね」
「ミドリ、もう5ケースほど取り置きは出来るかな」
「全然出来ますよー」
「圭斗先輩攻めヤすね」
「練習用にも使うなら10ケースもらってもいいくらいだよ。それから、僕が個人的に料理に使いたいしね」
さらに10ケース引き取ってもらえるみたいなので取り置きお願いしまーすとセンターにいる林原さんに連絡をすると、さっそく確保出来たと返信があったのでその旨を伝えると、リアルタイムに取引が出来るのがそれらしくていいねと圭斗先輩はご満悦の様子。今期も俺は仕事しましたよね! ね!
end.
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念押しのミドリがただただかわいいヤツ。言うまでもなく情報センターのジャガイモ戦線のスーパーエースなのである。
圭斗さんとミドリは直接的な絡みはフェーズ1ではなかったはずなので、多分ここがナノスパ上初絡み。フェーズ2みを感じる
やっぱりっちゃんと圭斗さんが一緒だと何らかの安心感を覚えるね! 物凄く緩い何かを感じるやよ
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