2021(02)
■秋の申し送り事項
++++
大学の履修登録期間が始まったということで、実家から戻って早速シフトに入ったんだけど、事務所は話に聞いた状態になっていた。受付の後ろに立てられたパーテーションの裏にはお馴染みとなったジャガイモの箱。今はまだ数が捌けてないから場所を圧迫して大変なことになっている。
それから、新しくスタッフになった五百崎真桜さんを紹介された。なかなか厳つい感じの格好だなと思ったけど、話してみると怖くはない普通の人だなっていう印象だ。アオによれば、双子の弟の深青が星ヶ丘からインターフェイスの夏合宿にも出ていたらしい。
「――とまあ、お前がいなかった間の変化はこれくらいか」
「あまり激しく変わったというような感じではなさそうですね」
「この半月ほどで五百崎を何となく使えるようにはした。1年の理系にシフトをガッツリ埋めることは期待しとらんが、もしもの時の弾くらいにはなるだろう」
「それより問題はこっちですよね……」
「例によってお前の人脈で何とかならんか」
「この話を聞いた時にも一応何とか出来そうな人に連絡はしてみたんですけど、実物を見たんで改めて広く連絡を回してみますね、画像付きで」
「それがいい。実物のイメージが付くのと付かんのでは引き取る上での想定もしにくいだろう」
去年はタカティがジャガイモを大量に引き取ってくれたから何となく捌けたんだけど、今年はどうかな。でも、大量の食料をどうにかするのは緑ヶ丘さんがやっぱり強いんだよなあ。人海戦術が使えるっていう点でもそうだし、果林先輩の存在が大きいよね。パクパクーって、どこに入る場所があるんだろうってくらいに食べちゃうもんね。
とりあえずUHBC関係の人みんなとインターフェイスの子、それから学部とかの友達にも連絡を回しつつ、UHBC関係の子には皆さんのお友達にもこういう話があるとお知らせくださいとは言ってある。もしそれで注文が入れば俺が車に芋の箱を積んで配送するっていう形になるのかな。
「しかし、今回の履修登録は例年よりラクだな。単純にスタッフの人数が多いというだけでこうも変わるものか」
「去年はもっとバタバターっとしてましたもんね」
「オレがこうして書類仕事に専念出来るとは思いもよらん」
「春山さんは受付と書類をご飯食べながら同時に睨んでましたもんねー」
今は受付にカナコさん、それからB番に烏丸さんとアオ、それから真桜が入っていて、有馬くんは休憩中。カナコさんをA番に固定出来ているから他のみんなでB番をローテーション出来るんだよね。それで順番に休憩を取りながらやってるような感じ。で、もうちょっとしたら俺はカナコさんと交代。
何か、今いるスタッフのメンバーって、A番専のカナコさんは例外として、他の人がB番の方が得意ってタイプの人が多いんだよね。俺はどっちかって言うとA番の方が得意なんだけど。まあ、だから春山さんから林原さんにも破れないブラックリストの権限を与えられたんだろうけど。
「姫~! 疲れたっす~」
「真桜クンお疲れさまー」
「五百崎、変わったことなどはなかったか」
「自分が見てた感じは特になかったっすね」
「単位制度の仕組みなどがわからんと喚く輩もなかったか」
「そーゆーのはアオさんが正論ブレードと教務課からのプリントで黙らせるんでヨユーっす」
「さすが蒼希ちゃん」
「でも、アオに殺害予告なんかは出ませんよね?」
「ここを出る際に余程恨み辛みの乗った顔をした連中がいなければ問題はないだろう。まあ、高山には程々にするよう綾瀬、お前からそれとなく言っておけ」
「わかりました」
「ユースケさんそれ自分が言わねーんです?」
「その手のことをオレが言っても説得力が無い」
「確かにっす」
見た感じ、真桜はスタッフのみんなとも早々に打ち解けて仲良くなっているみたいだ。人見知りが強いあの有馬くんともファッションの方向で楽しそうに話しているのを見たときにはビックリしたもんね。ファッションの点で言えば2人とも個性的だからなあ。話によれば俺が最後の謎の人だったらしいからね。
「綾瀬、お前もそろそろ休憩に入ってもいいぞ。川北への申し送りも終わったからな」
「あっはい。カナコさんのタイミングで代わりますよー」
「姫、一緒にランチ行きましょ」
「そしたらミドリくん、代わってもらっていい?」
「はーい」
「1時間ですよね」
「ああ」
「それじゃ行って来るっすー」
「行って来まーす」
「行ってらっしゃーい」
時間を見ると午後1時。秋学期に入るまでの情報センターは午前9時から午後5時までの短縮開放だから、あと4時間か。真桜はともかく、カナコさんは今日はもう終わりでもいいくらいだよなあ。
「履修登録の慌ただしさで忘れているのか、お前はまだ五百崎からロックがどうしたと詰め寄られてはおらんのだな」
「ロック? ですか?」
「五百崎は生き方としてのロックに執着する癖があってな。仮にそれが傍から見れば妙な性癖であってもロックらしい」
「あはは……そうなんですね」
「奴から見ればこのセンターは面白人間博覧会だ。お前がいつまでカマトトぶっていられるか楽しみにしておこう」
「言うほどカマトトですかね、俺」
「寝ぼけているのは跳ねさくった髪だけで十分だぞ。大方また寝坊したのだろう」
「寝坊はしましたけど、これでも寝癖は直しました。林原さんは直毛だから癖っ毛のことはご存知ないでしょうけど」
end.
++++
情報センターにミドリが帰って来てほぼフルメンバーになるよ! それが繁忙期である。今回はリンミドの近況?報告がメイン。
真桜がカナコに懐いてんのがかわいいし、多分蒼希にもそれなりに懐いてるのでかわいい。3人娘を並べてみたい。
リン様の中でミドリはカマトトという評価なんだよなあ。対春山さんとのやり取りのイメージがやっぱりデカいらしい。
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大学の履修登録期間が始まったということで、実家から戻って早速シフトに入ったんだけど、事務所は話に聞いた状態になっていた。受付の後ろに立てられたパーテーションの裏にはお馴染みとなったジャガイモの箱。今はまだ数が捌けてないから場所を圧迫して大変なことになっている。
それから、新しくスタッフになった五百崎真桜さんを紹介された。なかなか厳つい感じの格好だなと思ったけど、話してみると怖くはない普通の人だなっていう印象だ。アオによれば、双子の弟の深青が星ヶ丘からインターフェイスの夏合宿にも出ていたらしい。
「――とまあ、お前がいなかった間の変化はこれくらいか」
「あまり激しく変わったというような感じではなさそうですね」
「この半月ほどで五百崎を何となく使えるようにはした。1年の理系にシフトをガッツリ埋めることは期待しとらんが、もしもの時の弾くらいにはなるだろう」
「それより問題はこっちですよね……」
「例によってお前の人脈で何とかならんか」
「この話を聞いた時にも一応何とか出来そうな人に連絡はしてみたんですけど、実物を見たんで改めて広く連絡を回してみますね、画像付きで」
「それがいい。実物のイメージが付くのと付かんのでは引き取る上での想定もしにくいだろう」
去年はタカティがジャガイモを大量に引き取ってくれたから何となく捌けたんだけど、今年はどうかな。でも、大量の食料をどうにかするのは緑ヶ丘さんがやっぱり強いんだよなあ。人海戦術が使えるっていう点でもそうだし、果林先輩の存在が大きいよね。パクパクーって、どこに入る場所があるんだろうってくらいに食べちゃうもんね。
とりあえずUHBC関係の人みんなとインターフェイスの子、それから学部とかの友達にも連絡を回しつつ、UHBC関係の子には皆さんのお友達にもこういう話があるとお知らせくださいとは言ってある。もしそれで注文が入れば俺が車に芋の箱を積んで配送するっていう形になるのかな。
「しかし、今回の履修登録は例年よりラクだな。単純にスタッフの人数が多いというだけでこうも変わるものか」
「去年はもっとバタバターっとしてましたもんね」
「オレがこうして書類仕事に専念出来るとは思いもよらん」
「春山さんは受付と書類をご飯食べながら同時に睨んでましたもんねー」
今は受付にカナコさん、それからB番に烏丸さんとアオ、それから真桜が入っていて、有馬くんは休憩中。カナコさんをA番に固定出来ているから他のみんなでB番をローテーション出来るんだよね。それで順番に休憩を取りながらやってるような感じ。で、もうちょっとしたら俺はカナコさんと交代。
何か、今いるスタッフのメンバーって、A番専のカナコさんは例外として、他の人がB番の方が得意ってタイプの人が多いんだよね。俺はどっちかって言うとA番の方が得意なんだけど。まあ、だから春山さんから林原さんにも破れないブラックリストの権限を与えられたんだろうけど。
「姫~! 疲れたっす~」
「真桜クンお疲れさまー」
「五百崎、変わったことなどはなかったか」
「自分が見てた感じは特になかったっすね」
「単位制度の仕組みなどがわからんと喚く輩もなかったか」
「そーゆーのはアオさんが正論ブレードと教務課からのプリントで黙らせるんでヨユーっす」
「さすが蒼希ちゃん」
「でも、アオに殺害予告なんかは出ませんよね?」
「ここを出る際に余程恨み辛みの乗った顔をした連中がいなければ問題はないだろう。まあ、高山には程々にするよう綾瀬、お前からそれとなく言っておけ」
「わかりました」
「ユースケさんそれ自分が言わねーんです?」
「その手のことをオレが言っても説得力が無い」
「確かにっす」
見た感じ、真桜はスタッフのみんなとも早々に打ち解けて仲良くなっているみたいだ。人見知りが強いあの有馬くんともファッションの方向で楽しそうに話しているのを見たときにはビックリしたもんね。ファッションの点で言えば2人とも個性的だからなあ。話によれば俺が最後の謎の人だったらしいからね。
「綾瀬、お前もそろそろ休憩に入ってもいいぞ。川北への申し送りも終わったからな」
「あっはい。カナコさんのタイミングで代わりますよー」
「姫、一緒にランチ行きましょ」
「そしたらミドリくん、代わってもらっていい?」
「はーい」
「1時間ですよね」
「ああ」
「それじゃ行って来るっすー」
「行って来まーす」
「行ってらっしゃーい」
時間を見ると午後1時。秋学期に入るまでの情報センターは午前9時から午後5時までの短縮開放だから、あと4時間か。真桜はともかく、カナコさんは今日はもう終わりでもいいくらいだよなあ。
「履修登録の慌ただしさで忘れているのか、お前はまだ五百崎からロックがどうしたと詰め寄られてはおらんのだな」
「ロック? ですか?」
「五百崎は生き方としてのロックに執着する癖があってな。仮にそれが傍から見れば妙な性癖であってもロックらしい」
「あはは……そうなんですね」
「奴から見ればこのセンターは面白人間博覧会だ。お前がいつまでカマトトぶっていられるか楽しみにしておこう」
「言うほどカマトトですかね、俺」
「寝ぼけているのは跳ねさくった髪だけで十分だぞ。大方また寝坊したのだろう」
「寝坊はしましたけど、これでも寝癖は直しました。林原さんは直毛だから癖っ毛のことはご存知ないでしょうけど」
end.
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情報センターにミドリが帰って来てほぼフルメンバーになるよ! それが繁忙期である。今回はリンミドの近況?報告がメイン。
真桜がカナコに懐いてんのがかわいいし、多分蒼希にもそれなりに懐いてるのでかわいい。3人娘を並べてみたい。
リン様の中でミドリはカマトトという評価なんだよなあ。対春山さんとのやり取りのイメージがやっぱりデカいらしい。
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