2021(02)
■息抜きと安心感
++++
少しひんやりとした空気の中にある温かさを感じて目が覚める。寒いなと思ったけど、ここは緑風エリアで、星港より朝晩はグッと冷え込むんだなと思って。昨日からヒビキと温泉サークルの第2回旅行に来てるけど、窓を開けて寝たから部屋の中まで寒いのかな。
目覚めはしたけど、まだ動きはしない。一応6時半にアラームを掛けてるけどまだ鳴ってないみたいだし。昨日の晩酌の流れで一緒の布団で寝ることになったヒビキもまだ眠っているみたいだ。動くのもヒビキを起こしそうだし、かと言って二度寝をするような感じでもないんだよなー。どうしよ。
温泉旅行の話を朝霞としたことがある。前回の旅行のお土産を渡しに行った時とかに。恋人でもない相手と混浴をするっていう、一般にはあまり聞かない話に朝霞はとても興味を示していたように思う。人間関係だとか、社会生活のことについて興味があって研究しているからかな。
その中で、添い寝をするためだけの友達という話題があったんだ。セックスフレンドと似て非なる、本当に添い寝をするだけの友達なんだって。俺とヒビキのことも朝霞は本当に温泉友達なんだなあと研究対象にしようとしていたけど、本当に面白い話は何も出来ないよとは念押ししておいた。
「あれ。ヒビキ、起きちゃった?」
「……早いね。今何時?」
「俺も見てないんだ。起きただけ。……6時前だね。どうする? 起きる? 二度寝する?」
「結構すっきり目覚めたし、ちゃんと起きよっかな」
「そう。じゃあ俺も動こうかな」
掛け布団を畳むと、ヒビキは肌寒さで思わず「寒っ」と声が出てしまったみたいだ。やっぱり向島と比べるとこっちはちょっと寒いんだ。でも、起きたばっかりのはずなのにもうしっかり目覚めて動けてるから、寝起きのいい方なんだね。やっぱりしっかりしてるんだなあ。
「んー…! ホント、身体がすっごいスッキリしてる!」
「温泉の効果?」
「そうかも。実際昨日の泥パック良かったし。あと、多分添い寝効果」
「実際、添い寝って何の効果があるんだろう。ううん、安心感とかがあるのはわかるんだ。でも、科学的な根拠って言うのかな」
「ストレスが軽減されるようなホルモンとかが出るらしいけど、細かいことは良くない? 安心感はあるんでしょ?」
「うん。そうだね」
「実際は生きてる人じゃなくてもぬいぐるみとかでもいいみたいだけどね」
「ぬいぐるみでもいいんだ」
「そうみたいよ。でも、実際添い寝するにはある程度の信用が必要かも。アタシの場合はね」
物事に対して科学的な根拠は、とか言い出すと本当にキリがないから大体でいいんだけど、根拠があるなら知っていてもいいかなとは思う。人の体温があったかくて寝つきが良くなるとか、そういうのがありそうだよね。リラックス効果とかがあるのかなあ。また今度調べてみよう。
「俺もね、たまに寝る時にはぬいぐるみをこうやって、抱いて寝てるんだよ」
「そうなんだ。ぬいぐるみを」
「本当に子供の頃に、母さんが買ってくれたクマのぬいぐるみなんだ。昔は大きかったんだけど、今ではもう大分小さくなっちゃったな」
「それだけ大石クンが大きくなったんだよ」
「そうだね。自分でアルバイトを始めてからは、似たようなクマのぬいぐるみを買っちゃうんだよね。だから部屋がクマだらけでさ」
「えっ、絶対かわいいじゃん」
「これもそのうちのひとつだよ」
「あっ、車のキー。クマがいる」
こないだ朝霞にタンスの整理を手伝ってもらったときに、俺の部屋を見てビックリしてたよね。何だこのクマはって。でも、ぬいぐるみは整理しようと思ってもなかなか出来ないし、かわいいのを見ると買っちゃうから増えていく一方だな。捨てられないんだもん、仕方ないよね。
「さてと。本日のタイムテーブルは?」
「7時から朝ごはんで、8時にぶどう狩りに出発。最低限ぶどう狩りと卵屋さんには行って、他はその時の気分でって感じ。でもヒビキ今日は泥パックとエステやるって言ってたよね?」
「やるよね」
「そしたら早めに帰って来た方がいいかな」
「5時からで予約したから4時半前くらいに帰って来れば大丈夫だよ」
「じゃあ結構観光の時間はあるね」
「アヤネに捕まって立ち話で時間使い過ぎなきゃ大丈夫じゃないかな。あっそうだ、アヤネの前で菜月の名前出さないでね」
「えっ、仲悪いとか?」
「ううん、逆。大好きなの。でさ、ヒメも菜月大好きでさ、アヤネはヒメに同郷マウント取りたがる節があるんだよね。明日菜月と合流するってバレたら絶対めんどくさいことになるから」
「わかったよ。同じ青女さんのヒビキを信頼して、余計なことは言わないようにするね」
さてと。朝ごはんまでにはまだもうちょっと時間があるかな。まだ6時半のアラームも鳴らないし、結構余裕がある。朝ごはんも楽しみだけど、本当に自然の音しかしない環境がいいな。川の音だとか、風の音だとか。
「ちょっと時間あるし、俺お風呂入ろうかな。部屋の露天風呂っていつでも入れるのがいいね」
「えっ、ズルっ。アタシもちょっとだけ入ろうかな」
「それじゃあ、上がる時間だけわかるようにアラームかけようか。6時半くらいでいいかな」
「そうだね。じゃそれでお願い」
「はーい」
end.
++++
温泉サークルの第2回旅行、2日目の早朝です。ちーちゃんもバイト先の繁忙期には早出とかしてるし朝はしっかり起きてそう。
ちえみとレオンもめちゃくちゃ久し振りに名前を聞いたけど、この2人もそれぞれ4年生にはなってるし、青女勢とはどういう感じでやってるのかな
あれからちーちゃんとPさんはそれなりに仲良くしているようで一安心。なんならいろいろな話をしているようですね。その光景も見たいものだけど。
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少しひんやりとした空気の中にある温かさを感じて目が覚める。寒いなと思ったけど、ここは緑風エリアで、星港より朝晩はグッと冷え込むんだなと思って。昨日からヒビキと温泉サークルの第2回旅行に来てるけど、窓を開けて寝たから部屋の中まで寒いのかな。
目覚めはしたけど、まだ動きはしない。一応6時半にアラームを掛けてるけどまだ鳴ってないみたいだし。昨日の晩酌の流れで一緒の布団で寝ることになったヒビキもまだ眠っているみたいだ。動くのもヒビキを起こしそうだし、かと言って二度寝をするような感じでもないんだよなー。どうしよ。
温泉旅行の話を朝霞としたことがある。前回の旅行のお土産を渡しに行った時とかに。恋人でもない相手と混浴をするっていう、一般にはあまり聞かない話に朝霞はとても興味を示していたように思う。人間関係だとか、社会生活のことについて興味があって研究しているからかな。
その中で、添い寝をするためだけの友達という話題があったんだ。セックスフレンドと似て非なる、本当に添い寝をするだけの友達なんだって。俺とヒビキのことも朝霞は本当に温泉友達なんだなあと研究対象にしようとしていたけど、本当に面白い話は何も出来ないよとは念押ししておいた。
「あれ。ヒビキ、起きちゃった?」
「……早いね。今何時?」
「俺も見てないんだ。起きただけ。……6時前だね。どうする? 起きる? 二度寝する?」
「結構すっきり目覚めたし、ちゃんと起きよっかな」
「そう。じゃあ俺も動こうかな」
掛け布団を畳むと、ヒビキは肌寒さで思わず「寒っ」と声が出てしまったみたいだ。やっぱり向島と比べるとこっちはちょっと寒いんだ。でも、起きたばっかりのはずなのにもうしっかり目覚めて動けてるから、寝起きのいい方なんだね。やっぱりしっかりしてるんだなあ。
「んー…! ホント、身体がすっごいスッキリしてる!」
「温泉の効果?」
「そうかも。実際昨日の泥パック良かったし。あと、多分添い寝効果」
「実際、添い寝って何の効果があるんだろう。ううん、安心感とかがあるのはわかるんだ。でも、科学的な根拠って言うのかな」
「ストレスが軽減されるようなホルモンとかが出るらしいけど、細かいことは良くない? 安心感はあるんでしょ?」
「うん。そうだね」
「実際は生きてる人じゃなくてもぬいぐるみとかでもいいみたいだけどね」
「ぬいぐるみでもいいんだ」
「そうみたいよ。でも、実際添い寝するにはある程度の信用が必要かも。アタシの場合はね」
物事に対して科学的な根拠は、とか言い出すと本当にキリがないから大体でいいんだけど、根拠があるなら知っていてもいいかなとは思う。人の体温があったかくて寝つきが良くなるとか、そういうのがありそうだよね。リラックス効果とかがあるのかなあ。また今度調べてみよう。
「俺もね、たまに寝る時にはぬいぐるみをこうやって、抱いて寝てるんだよ」
「そうなんだ。ぬいぐるみを」
「本当に子供の頃に、母さんが買ってくれたクマのぬいぐるみなんだ。昔は大きかったんだけど、今ではもう大分小さくなっちゃったな」
「それだけ大石クンが大きくなったんだよ」
「そうだね。自分でアルバイトを始めてからは、似たようなクマのぬいぐるみを買っちゃうんだよね。だから部屋がクマだらけでさ」
「えっ、絶対かわいいじゃん」
「これもそのうちのひとつだよ」
「あっ、車のキー。クマがいる」
こないだ朝霞にタンスの整理を手伝ってもらったときに、俺の部屋を見てビックリしてたよね。何だこのクマはって。でも、ぬいぐるみは整理しようと思ってもなかなか出来ないし、かわいいのを見ると買っちゃうから増えていく一方だな。捨てられないんだもん、仕方ないよね。
「さてと。本日のタイムテーブルは?」
「7時から朝ごはんで、8時にぶどう狩りに出発。最低限ぶどう狩りと卵屋さんには行って、他はその時の気分でって感じ。でもヒビキ今日は泥パックとエステやるって言ってたよね?」
「やるよね」
「そしたら早めに帰って来た方がいいかな」
「5時からで予約したから4時半前くらいに帰って来れば大丈夫だよ」
「じゃあ結構観光の時間はあるね」
「アヤネに捕まって立ち話で時間使い過ぎなきゃ大丈夫じゃないかな。あっそうだ、アヤネの前で菜月の名前出さないでね」
「えっ、仲悪いとか?」
「ううん、逆。大好きなの。でさ、ヒメも菜月大好きでさ、アヤネはヒメに同郷マウント取りたがる節があるんだよね。明日菜月と合流するってバレたら絶対めんどくさいことになるから」
「わかったよ。同じ青女さんのヒビキを信頼して、余計なことは言わないようにするね」
さてと。朝ごはんまでにはまだもうちょっと時間があるかな。まだ6時半のアラームも鳴らないし、結構余裕がある。朝ごはんも楽しみだけど、本当に自然の音しかしない環境がいいな。川の音だとか、風の音だとか。
「ちょっと時間あるし、俺お風呂入ろうかな。部屋の露天風呂っていつでも入れるのがいいね」
「えっ、ズルっ。アタシもちょっとだけ入ろうかな」
「それじゃあ、上がる時間だけわかるようにアラームかけようか。6時半くらいでいいかな」
「そうだね。じゃそれでお願い」
「はーい」
end.
++++
温泉サークルの第2回旅行、2日目の早朝です。ちーちゃんもバイト先の繁忙期には早出とかしてるし朝はしっかり起きてそう。
ちえみとレオンもめちゃくちゃ久し振りに名前を聞いたけど、この2人もそれぞれ4年生にはなってるし、青女勢とはどういう感じでやってるのかな
あれからちーちゃんとPさんはそれなりに仲良くしているようで一安心。なんならいろいろな話をしているようですね。その光景も見たいものだけど。
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