2021(02)
■友達ロック
++++
「おはよーございまーす」
「おはようございます」
繁忙期が来る前に五百崎を使えるようにするべく業務内容の研修が始まった。今は閑散期ではあるが、一応顔合わせくらいはしておいた方が後々スムーズになるだろうと思い、烏丸と有馬を招集しておいたのだ。綾瀬と高山は既に顔を合わせているから今回はいいだろうと思い除外したが。
「ああ、来たかお前たち。これが先日新たに採用した五百崎だ」
「五百崎真桜です。理工の1年っす」
「わー、かっこいーねー。俺は生物4年の烏丸大地っていうんだ。よろしくねー」
「あ、その……えっと……情報1年の、有馬です……」
「レン、どうしたの?」
「有馬は人見知りでな。まあ、慣れるまではこんな感じだ」
「了解でーす」
消え入るような声で自己紹介をした有馬は、そそくさとロッカーの方へと隠れてしまった。最近ではようやくセンターでの業務を通じて人と接することにも慣れて来たかと思ったが、新しい人間が増えるとやはりこうなるか。その辺りは本人の資質もあるだろうし、そのうち慣れるだろうから無理強いはせんが。
そして新しい物に興味津々なのが烏丸と五百崎だ。烏丸にとってはヴィジュアル系の風貌など初めて接するものだろうし、五百崎にとっても(今はまだ大人しいが)烏丸はセンター随一の面白人間であるから、ここはまあ放っておいても勝手にコミュニケーションを図っているだろう。
「マオって男の子? 女の子?」
「どっちだと思いますー?」
「うーん。声とおっぱいの感じだとわかんないなあ」
「そう言って実際胸に触る人は初めてっすよ」
「烏丸、乳房の大きさには個人差があるのだぞ」
「あっそうだよね! 春山さんは全然なかったけど冴ちゃんはふっかふかだもんね! じゃあ性器で確かめるしかないかー」
「一応、やめておけ」
「いたいー!」
「五百崎、烏丸はそういうところに無頓着な奴だ。身の危険を感じたら多少なら殴っても構わん」
このままでは埒が明かんし事務所内で妙なことをされても困るので、五百崎は生物学的には女であると伝える。すると烏丸は「へー、女の子なんだー」とケラケラ笑っている。まあ、男だろうと女だろうと対して興味がないと言うか、どっちでもいいと思っているのではあろうが。
「林原さんて意外に武闘派なんですね」
「烏丸から身を守るためには多少はな」
「え。林原さんも烏丸さんにおさわりされるんです?」
「コイツは隙を見せるとオレの生殖細胞を寄こせと言ってシャーレを出して来る。挙句3Dプリンターで性器の実寸大模型を作ると言って計測しようとするからな。手や足が出るのはご愛嬌だろう」
「淡々と言いますけど実際結構ヤベーコト言ってますよね」
「俺はユースケの遺伝情報が欲しいだけだよ! 学術的に使うっていつも言ってるじゃない!」
「では模型の件はどう説明する」
「プリンターを使う練習!」
「練習などせずとももう扱っているだろう」
「マオ、ユースケは頭が良くて運動も出来てピアノも出来て、優しくてそれはそれはもう、何とも言えないくらいにいい人なんだよ! だからね、どんどん繁殖して繁栄するべきなんだよ! でもね、その相手っていうのが重要じゃない。ユースケにふさわしい相手である必要があるんだよ」
「ほうほう」
「ユースケのセックスを想像するとグッと興奮するんだよなー……あっ興奮しすぎてよだれが出ちゃった」
「やめんか」
ちなみにこれもセンター的には通常運転であって、有馬ですらもういつものが始まったという感じでスルーするようになっている。最初は何を言っているのかわからないとドン引きしていたのだが、その成長はとても目を見張るものがあったのだが。まあ、五百崎もそのうち慣れて特にツッコミを入れることもなくなるだろう。
「烏丸さんは面白い人だということがわかったんで、お次は有馬クンか。おーい」
「ひっ……あの、僕には、お構いなく……」
「いやいや、同僚になるんだから慣れてもらわないと困るんだよ」
「その……少々、お時間をいただけると……」
「まあ、このナリだししゃーないか。ビビられんのには慣れっこだよ」
「風貌のことで言えば、僕は人のことを言えないので……。単純に、人見知りで……」
「まあ確かに。ファッションがなかなかロックではある」
「え。これはロリータファッションで、ロックでは、ないかと」
「や、ジャンルの話じゃなくて、ココの話ね」
「ええと、ハートなり、メンタルですか?」
「生き様だね。いいじゃんいいじゃん、ロックじゃん。姫がアンタのこと大好きだって言ってたんだよな。なるほどなー」
「ん? 五百崎、その姫というのは何だ」
「ああ、綾瀬サンすよ。すげー可愛いし、まさしく姫じゃないすか」
「……まあ、それこそ外見だけはな」
「あの人もロックなんすか!?」
「あれも大なり小なり変態ではある」
「マジすか~、楽しみっすねー! 何にせよ、V系とロリータってのは友達みたいなモンだからさ、よろしく頼むよ」
「あ、はい……」
やはりと言うか何と言うか、五百崎は面白人間を訪ねてセンターに侵入したようだ。まあ、仕事さえしてもらえればいいとしよう。さて、残るは川北か。まあ、奴はカマトトだ。羊の皮が剥がれるのも早かろう。
end.
++++
情報センターはぶっ飛んでないと除法センターではないんだけども、真桜嬢はまだまだ弱いのでどうキャラ付けしていくか。
ダイチの男女判定法は相変わらずだし、春山さんはなかったし冴さんの名前は久し振り。フェーズ1は引き籠もって終わったけど元気にしてんのかな。
そしてミドリである。ミドリはカマトトなのでわーひゃー言いつつも実は何とも思ってないからな。慣れてるんだよ。
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「おはよーございまーす」
「おはようございます」
繁忙期が来る前に五百崎を使えるようにするべく業務内容の研修が始まった。今は閑散期ではあるが、一応顔合わせくらいはしておいた方が後々スムーズになるだろうと思い、烏丸と有馬を招集しておいたのだ。綾瀬と高山は既に顔を合わせているから今回はいいだろうと思い除外したが。
「ああ、来たかお前たち。これが先日新たに採用した五百崎だ」
「五百崎真桜です。理工の1年っす」
「わー、かっこいーねー。俺は生物4年の烏丸大地っていうんだ。よろしくねー」
「あ、その……えっと……情報1年の、有馬です……」
「レン、どうしたの?」
「有馬は人見知りでな。まあ、慣れるまではこんな感じだ」
「了解でーす」
消え入るような声で自己紹介をした有馬は、そそくさとロッカーの方へと隠れてしまった。最近ではようやくセンターでの業務を通じて人と接することにも慣れて来たかと思ったが、新しい人間が増えるとやはりこうなるか。その辺りは本人の資質もあるだろうし、そのうち慣れるだろうから無理強いはせんが。
そして新しい物に興味津々なのが烏丸と五百崎だ。烏丸にとってはヴィジュアル系の風貌など初めて接するものだろうし、五百崎にとっても(今はまだ大人しいが)烏丸はセンター随一の面白人間であるから、ここはまあ放っておいても勝手にコミュニケーションを図っているだろう。
「マオって男の子? 女の子?」
「どっちだと思いますー?」
「うーん。声とおっぱいの感じだとわかんないなあ」
「そう言って実際胸に触る人は初めてっすよ」
「烏丸、乳房の大きさには個人差があるのだぞ」
「あっそうだよね! 春山さんは全然なかったけど冴ちゃんはふっかふかだもんね! じゃあ性器で確かめるしかないかー」
「一応、やめておけ」
「いたいー!」
「五百崎、烏丸はそういうところに無頓着な奴だ。身の危険を感じたら多少なら殴っても構わん」
このままでは埒が明かんし事務所内で妙なことをされても困るので、五百崎は生物学的には女であると伝える。すると烏丸は「へー、女の子なんだー」とケラケラ笑っている。まあ、男だろうと女だろうと対して興味がないと言うか、どっちでもいいと思っているのではあろうが。
「林原さんて意外に武闘派なんですね」
「烏丸から身を守るためには多少はな」
「え。林原さんも烏丸さんにおさわりされるんです?」
「コイツは隙を見せるとオレの生殖細胞を寄こせと言ってシャーレを出して来る。挙句3Dプリンターで性器の実寸大模型を作ると言って計測しようとするからな。手や足が出るのはご愛嬌だろう」
「淡々と言いますけど実際結構ヤベーコト言ってますよね」
「俺はユースケの遺伝情報が欲しいだけだよ! 学術的に使うっていつも言ってるじゃない!」
「では模型の件はどう説明する」
「プリンターを使う練習!」
「練習などせずとももう扱っているだろう」
「マオ、ユースケは頭が良くて運動も出来てピアノも出来て、優しくてそれはそれはもう、何とも言えないくらいにいい人なんだよ! だからね、どんどん繁殖して繁栄するべきなんだよ! でもね、その相手っていうのが重要じゃない。ユースケにふさわしい相手である必要があるんだよ」
「ほうほう」
「ユースケのセックスを想像するとグッと興奮するんだよなー……あっ興奮しすぎてよだれが出ちゃった」
「やめんか」
ちなみにこれもセンター的には通常運転であって、有馬ですらもういつものが始まったという感じでスルーするようになっている。最初は何を言っているのかわからないとドン引きしていたのだが、その成長はとても目を見張るものがあったのだが。まあ、五百崎もそのうち慣れて特にツッコミを入れることもなくなるだろう。
「烏丸さんは面白い人だということがわかったんで、お次は有馬クンか。おーい」
「ひっ……あの、僕には、お構いなく……」
「いやいや、同僚になるんだから慣れてもらわないと困るんだよ」
「その……少々、お時間をいただけると……」
「まあ、このナリだししゃーないか。ビビられんのには慣れっこだよ」
「風貌のことで言えば、僕は人のことを言えないので……。単純に、人見知りで……」
「まあ確かに。ファッションがなかなかロックではある」
「え。これはロリータファッションで、ロックでは、ないかと」
「や、ジャンルの話じゃなくて、ココの話ね」
「ええと、ハートなり、メンタルですか?」
「生き様だね。いいじゃんいいじゃん、ロックじゃん。姫がアンタのこと大好きだって言ってたんだよな。なるほどなー」
「ん? 五百崎、その姫というのは何だ」
「ああ、綾瀬サンすよ。すげー可愛いし、まさしく姫じゃないすか」
「……まあ、それこそ外見だけはな」
「あの人もロックなんすか!?」
「あれも大なり小なり変態ではある」
「マジすか~、楽しみっすねー! 何にせよ、V系とロリータってのは友達みたいなモンだからさ、よろしく頼むよ」
「あ、はい……」
やはりと言うか何と言うか、五百崎は面白人間を訪ねてセンターに侵入したようだ。まあ、仕事さえしてもらえればいいとしよう。さて、残るは川北か。まあ、奴はカマトトだ。羊の皮が剥がれるのも早かろう。
end.
++++
情報センターはぶっ飛んでないと除法センターではないんだけども、真桜嬢はまだまだ弱いのでどうキャラ付けしていくか。
ダイチの男女判定法は相変わらずだし、春山さんはなかったし冴さんの名前は久し振り。フェーズ1は引き籠もって終わったけど元気にしてんのかな。
そしてミドリである。ミドリはカマトトなのでわーひゃー言いつつも実は何とも思ってないからな。慣れてるんだよ。
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