2021(02)
■One hour preferred
++++
「さァーて、オープンキャンパスの季節に入って来たワケすけども」
9月最初の月曜日ということで、MMPでは夏季特別サークルが開かれている。ここで話し合うことは毎年オープンキャンパスで出しているDJブースのことだ。今年も一応やるという話にはなっているけれども、アナウンサーの数が数なのでどうしたものかと。いくらカノンがアナミキ両刀でやっていると言え、それでもアナ2のミキ4だからな。
向島大学のオープンキャンパスはそこまで大きな規模でやっているワケではなく、毎年9月中頃の土曜日に1日だけポンとやってるような感じなんだよな。緑ヶ丘大学のオープンキャンパスは何万人も来てヤバいみたいなことは聞くけど、私立のマンモス校と公立のチャチな大学を比べてはいけない。
「今年はアナウンサーが2人しかいないンすけど、例年通り1人30分枠だとたった1時間のために出て来るのがアホ臭いンで、アナウンサー陣には1人1時間の番組を担当してもらうことにして、ミキサーは30分交代ッつー感じで行こうかと思ってヤす」
「律、何か本音が混ざってなかったか」
「や、でも毎年2時間枠でやってたのに人が少ないからッつーだけで枠を削ると、今後の枠取りにも影響を与えるンで、人が多かろうと少なかろうと安定させておく必要はありヤす」
「まあ、実際1時間のためだけに来るのは面倒ですけどね」
「こーたもこう言ってヤす」
MMPではこのドSコンビが白と言えば黒い物でも白だし、黒と言えば白い物でも黒だ。律のボケに対してこーたがツッコミを入れ、ぎゃあぎゃあ争いながら話を進めるのが基本なんだけど、律とこーたの意見が一致すると何の波が立つこともなく穏やかに話が進んでいくんだよな。
実際たった1時間の番組のためだけに出て来るのは至極面倒であるとは俺もヒロも思うことだから反論をしていないしツッコミを入れることをしないのだ。カノンに至っては1時間も番組やらせてもらえるんすかと鼻息を荒くしているし。いやあ、いい1年生が来てくれて本当に良かった。
「1時間のために出て来るんはめんどいけど、ボクが1時間も番組やるんもめんどいわ」
「ヒロさんがやらないと言い始めると、カノンがじゃあ自分が2時間やると言い出しかねないので困るんですよ」
「えっ、俺が2時間やると何か問題なんすか?」
「やったらええやんね」
「単純に体力や集中力の問題もありますし、何よりヒロさんにはアナウンス部長として、経験者として引っ張ってもらわないといけないんですよ」
「ゆーてボク繰り上がりのアナ部長やし、役職の意味はあんまないやんね。それはええけど1時間も何喋ったらええん?」
「オープンキャンパスの番組なんか、毎年テーマが固定されてヤすからね。4つほどのテーマから適当に2つくらい選んで30分ごとに内容を変えればいーンすよ」
「りっちゃん自分喋らんからそんな簡単に言うけど」
オープンキャンパスのDjブースでは場所がオープンキャンパスだけあって、これから大学進学を志す高校生を対象とした番組を作ることになる。これまで俺たちが1、2年の時にやってきた番組でも、テーマは大学生活一般のことや学業のこと、アルバイト、サークルなどでほぼほぼ固定されていた。
一応は3年なのだからヒロには学業のテーマを選んでもらってゼミのことなど、専門的な研究についての話も少ししてもらいたいのだけど……と律とこーたは言っていたのだけど、ヒロにそれが出来るかどうかと言えば否であるということも奴らはわかっているので多くは期待していないようだ。
「ボクベンキョーとかホンマ嫌いやんね。ベンキョーの話はカノンにしてほしいわ」
「そこは先輩なんすからって言いたいんすけど、野坂先輩がアナウンサーじゃないのがマジで惜しいっすね! 学業と言えば野坂先輩! みたいなトコってあるじゃないすか」
「その通りスわ」
「間違いありませんね。ちなみに野坂さん、この春学期の成績はいかがで?」
「いつも通りです本当にありがとうございました」
「やァー、溢れ出るGPA4.0の余裕スわァー」
「こーた先輩、GPAって何すか?」
「Grade Point Averageの略で、成績を数値化した物ですね。向島大学ではSが4点、Aが3点以下略という具合に設定されていまして、その平均値を出した物です。GPAが4.0ということは、どういうことかわかりますね?」
「……え、成績、Sしかないみたいなコトすか?」
「その通りですよ! 野坂さんという偏屈理系イケメン詐欺男は、3年春学期までの成績がオールSで構成されているという嫌味な人なんですよ」
「すげー! えっ、そんな人って実在するんすね!」
「俺の成績をイジるのは結構だがヒロに言っとくぞ。俺は次の秋学期から全休の日を作るから、今後の履修で俺を当てにしても無意味だからな!」
「おおー、野坂もとうとう全休が作れる域に到達しヤしたか」
「うわー、全休とかマジ憧れるっす! 俺もあと2年頑張れば全休作れますかね!」
「カノン、普通にやってれば大丈夫だし、普通にやってればまず留年の危機とかには陥らないからな。くれぐれも普通にやってもらって」
結局学業のテーマはカノンに話してもらうことにして、1年生だからこそわかる1年生の現実みたいな物でいいですかねーとさっそく内容を考えてくれているようだ。カノンは実にいい子だなあ。
「さて、ミキサー陣も誰とペアを組むかくじ引きしヤすかァー」
「カノン来いカノン来いカノン来い」
「ボクもノサカやーやしりっちゃん、そこは別にクジじゃなくてよくない?」
end.
++++
MMPの3年4人がぎゃあぎゃあやってると、字数が過ぎるのが本当に一瞬になるけど毎回そんなこと言ってる気がする。
向島のオープンキャンパスですが、一応りっちゃん的に今後のことも少しずつ考えての動きみたい。1時間のために出て来るのがめんどいのも本当だけど。
何だかんだサークル内で力を持つのは代表と総務なのである。先代も圭斗さんと菜月さんが圧倒的だったしなあ。今期もりっちゃんと神崎が強いわね
.
++++
「さァーて、オープンキャンパスの季節に入って来たワケすけども」
9月最初の月曜日ということで、MMPでは夏季特別サークルが開かれている。ここで話し合うことは毎年オープンキャンパスで出しているDJブースのことだ。今年も一応やるという話にはなっているけれども、アナウンサーの数が数なのでどうしたものかと。いくらカノンがアナミキ両刀でやっていると言え、それでもアナ2のミキ4だからな。
向島大学のオープンキャンパスはそこまで大きな規模でやっているワケではなく、毎年9月中頃の土曜日に1日だけポンとやってるような感じなんだよな。緑ヶ丘大学のオープンキャンパスは何万人も来てヤバいみたいなことは聞くけど、私立のマンモス校と公立のチャチな大学を比べてはいけない。
「今年はアナウンサーが2人しかいないンすけど、例年通り1人30分枠だとたった1時間のために出て来るのがアホ臭いンで、アナウンサー陣には1人1時間の番組を担当してもらうことにして、ミキサーは30分交代ッつー感じで行こうかと思ってヤす」
「律、何か本音が混ざってなかったか」
「や、でも毎年2時間枠でやってたのに人が少ないからッつーだけで枠を削ると、今後の枠取りにも影響を与えるンで、人が多かろうと少なかろうと安定させておく必要はありヤす」
「まあ、実際1時間のためだけに来るのは面倒ですけどね」
「こーたもこう言ってヤす」
MMPではこのドSコンビが白と言えば黒い物でも白だし、黒と言えば白い物でも黒だ。律のボケに対してこーたがツッコミを入れ、ぎゃあぎゃあ争いながら話を進めるのが基本なんだけど、律とこーたの意見が一致すると何の波が立つこともなく穏やかに話が進んでいくんだよな。
実際たった1時間の番組のためだけに出て来るのは至極面倒であるとは俺もヒロも思うことだから反論をしていないしツッコミを入れることをしないのだ。カノンに至っては1時間も番組やらせてもらえるんすかと鼻息を荒くしているし。いやあ、いい1年生が来てくれて本当に良かった。
「1時間のために出て来るんはめんどいけど、ボクが1時間も番組やるんもめんどいわ」
「ヒロさんがやらないと言い始めると、カノンがじゃあ自分が2時間やると言い出しかねないので困るんですよ」
「えっ、俺が2時間やると何か問題なんすか?」
「やったらええやんね」
「単純に体力や集中力の問題もありますし、何よりヒロさんにはアナウンス部長として、経験者として引っ張ってもらわないといけないんですよ」
「ゆーてボク繰り上がりのアナ部長やし、役職の意味はあんまないやんね。それはええけど1時間も何喋ったらええん?」
「オープンキャンパスの番組なんか、毎年テーマが固定されてヤすからね。4つほどのテーマから適当に2つくらい選んで30分ごとに内容を変えればいーンすよ」
「りっちゃん自分喋らんからそんな簡単に言うけど」
オープンキャンパスのDjブースでは場所がオープンキャンパスだけあって、これから大学進学を志す高校生を対象とした番組を作ることになる。これまで俺たちが1、2年の時にやってきた番組でも、テーマは大学生活一般のことや学業のこと、アルバイト、サークルなどでほぼほぼ固定されていた。
一応は3年なのだからヒロには学業のテーマを選んでもらってゼミのことなど、専門的な研究についての話も少ししてもらいたいのだけど……と律とこーたは言っていたのだけど、ヒロにそれが出来るかどうかと言えば否であるということも奴らはわかっているので多くは期待していないようだ。
「ボクベンキョーとかホンマ嫌いやんね。ベンキョーの話はカノンにしてほしいわ」
「そこは先輩なんすからって言いたいんすけど、野坂先輩がアナウンサーじゃないのがマジで惜しいっすね! 学業と言えば野坂先輩! みたいなトコってあるじゃないすか」
「その通りスわ」
「間違いありませんね。ちなみに野坂さん、この春学期の成績はいかがで?」
「いつも通りです本当にありがとうございました」
「やァー、溢れ出るGPA4.0の余裕スわァー」
「こーた先輩、GPAって何すか?」
「Grade Point Averageの略で、成績を数値化した物ですね。向島大学ではSが4点、Aが3点以下略という具合に設定されていまして、その平均値を出した物です。GPAが4.0ということは、どういうことかわかりますね?」
「……え、成績、Sしかないみたいなコトすか?」
「その通りですよ! 野坂さんという偏屈理系イケメン詐欺男は、3年春学期までの成績がオールSで構成されているという嫌味な人なんですよ」
「すげー! えっ、そんな人って実在するんすね!」
「俺の成績をイジるのは結構だがヒロに言っとくぞ。俺は次の秋学期から全休の日を作るから、今後の履修で俺を当てにしても無意味だからな!」
「おおー、野坂もとうとう全休が作れる域に到達しヤしたか」
「うわー、全休とかマジ憧れるっす! 俺もあと2年頑張れば全休作れますかね!」
「カノン、普通にやってれば大丈夫だし、普通にやってればまず留年の危機とかには陥らないからな。くれぐれも普通にやってもらって」
結局学業のテーマはカノンに話してもらうことにして、1年生だからこそわかる1年生の現実みたいな物でいいですかねーとさっそく内容を考えてくれているようだ。カノンは実にいい子だなあ。
「さて、ミキサー陣も誰とペアを組むかくじ引きしヤすかァー」
「カノン来いカノン来いカノン来い」
「ボクもノサカやーやしりっちゃん、そこは別にクジじゃなくてよくない?」
end.
++++
MMPの3年4人がぎゃあぎゃあやってると、字数が過ぎるのが本当に一瞬になるけど毎回そんなこと言ってる気がする。
向島のオープンキャンパスですが、一応りっちゃん的に今後のことも少しずつ考えての動きみたい。1時間のために出て来るのがめんどいのも本当だけど。
何だかんだサークル内で力を持つのは代表と総務なのである。先代も圭斗さんと菜月さんが圧倒的だったしなあ。今期もりっちゃんと神崎が強いわね
.