2021(02)
■友達の続け方
++++
「おー、すがやん! 来てくれてマジであざっす!」
「つかどうしたー? 相談したいことがあるって。俺で良ければ聞くけど」
「あー、そしたら何か頼むかー」
俺の目下の悩みと言えば、バドサーを辞めた後のことだ。今までは掛け持っていたサークルを、今月からはMMP一本に絞ることにした。真希さんに話した表向きの理由、ラジオが楽しかったというのも本当だから、それに関しては胸を張って言って行こうと思っている。ネガティブな方の理由は、黙っててもらうことにした。
こういう話をするのは距離が近過ぎない人の方がいいと思ったんだ。だけど、ある程度仲が良い方が遠慮なく何でも話せるかなって。だから、夏合宿で一緒の班だったすがやんに連絡を取ってみたら、一瞬でLINEに既読がついて、いいよいいよーって話を聞きに出て来てくれることになったんだ。
「それで、何の話だった?」
「俺さ、大学でサークルを掛け持ってたんだよな。最初から入ってたバドミントンのサークルと、後から入ったラジオのMMPと」
「あ、そういやラジオ始めるのちょっと遅かったって言ってたな」
「そうなんだよ。それでさ、バドの方を辞めて秋からはラジオ一本で行くって決めたんだ」
「こっちに専念するんだ」
「合宿も楽しかったし、これからラジオを頑張るぞーってモチベーションもすげーあるんだよ。秋学期になれば昼放送も始まるから」
「昼放送なー。ウチも多分始まるんだろうけど、人が居過ぎてまずは競争に勝てるかどうかってところからだもんな」
「緑ヶ丘ってめちゃ人いるもんな。そういう競争があるっていうのがまずウチからすれば贅沢な話だぜ」
ウチは人がいなくて昼放送の枠を埋めるのが大変そうだなっていう話を先輩たちがしてるのを聞いたことがあるけど、緑ヶ丘には緑ヶ丘で、人が居過ぎて誰が昼放送の枠に入ることが出来るのかっていう競争があるのが大変そうだ。どっちも月から金までの5枠なんだけどな。
「あ、ゴメン。それで、カノンの本題って何だった?」
「バドを辞めるって決めたのはいいんだけど、サークルを辞めた後でもバドサーで出来た友達との縁をど~うやって繋いでいけばいいのかなと思ってさ。大学って学部違うと全然会わないじゃん」
「会わないなー。時間とか動線が全然違って来るんだよな」
「それな!」
「俺の経験上、縁を繋いでいくには会った時に挨拶をし続けるしかないんだよ。俺もさ、同期の中ではMBCCに入るのが遅かった方なんだよ。それまではどのサークルに入ろうかっていろんなトコ回っててさ。ちょっと見学に行っただけのサークルでも1回話して良くしてもらった先輩とかタメの子とかに挨拶し続けたんだよ」
「うんうん」
「結果、1回2回顔出して結局入らなかった部活の子とよく釣り行くようになったし、学食で見かけたらちょっと話そうって引き摺って喋ったり、そういうのの積み重ね。何て言うのかなー……」
すがやんは、「一旦同じ興味関心で楽しかった時間があるなら、次また会った時に「最近どう?」からすんなり話に入っていける」って言うんだ。簡単そうに言うけど実はめちゃくちゃ難しくねーかって思う。だけど、挨拶レベルでも関係を続けていなければ、相手の中で切れちまうんだろうな。
バドサーの方では大体奏多と一緒にいたし、真希さんにも仲が良い認定をもらってたみたいなんだよな。サークルを辞めても奏多とは友達として付き合っていたいけど、学部も違うし、実はプライベートのこととかあんまよく分かんないし。つか、奏多って前原さんがいるからあそこにいる感もちょっとあるし。
「バドミントンの方の友達もさ、仲良くしてたんなら昼一緒に食おーとかって誘ってみたらいいんだって」
「でもさ、サークル辞めてちょっと気まずいと言うか」
「気まずいなーって思う気持ちもちょっとわかる。しかも、夏休みのうちに姿を消してるんだもんな」
「それ!」
「カノン、その友達にはラジオのサークルの話ってしてたの?」
「普通にしてる」
「なら別にいいんじゃん? バドミントンだけで繋がってるなら気まずいかもだけど、他の話もしてたんならちゃんと友達として接してたんだし、普通に友達でいられるって」
「すがや~ん…! お前いい奴かよ~!」
すがやんがただただいい奴過ぎて。友達が多いのも納得だ。すがやん流の友達付き合いの続け方を俺も試してみようと思う。真希さんと話したときも言ってもらったけど、籍がなくたって遊びに来てもらっても全然構わないし、いつでも連絡して来てもらってもいいんだよと。辞めたとか辞めてないとか誰も気にしないからって。
「だからさ、あれだよ。俺とカノンも夏合宿でたまたま一緒の班になっただけと言えばそうなんだけど、連絡もらってめちゃくちゃ嬉しかったし」
「何て言うか、すがやんは軽い気持ちでしょーもないLINEとかしていい人なんだなって思った」
「うん、全然してもらって。「実際どこの何が美味い」とか「トランポリンしたくない?」みたいなことばっかだから」
「あー、わかちゃんとたっちゃんとも今度どっか行きてーなー」
「いいね。ウチのくるみがさ、班の1年でよく遊んでたみたくてさ。そういうのいいなって思ってたんだよな」
「じゃー俺らもたまにやろうぜ!」
end.
++++
これから秋学期を経ていいコンビになるカノやんである。昼放送に関する悩み事もチラリ。これから一緒にやるんやよ
バドサーを勢いで辞めたカノンでしたが、奏多との付き合い方を悩んだ様子。友達付き合いを続けたいんだよ!と相談したよ
すがやんはたくさん友達がいるけど、多分久々になる人のこともちゃんと覚えてるんだろうな顔と名前とちょっとした情報を覚えるのが得意なのかもしれない
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「おー、すがやん! 来てくれてマジであざっす!」
「つかどうしたー? 相談したいことがあるって。俺で良ければ聞くけど」
「あー、そしたら何か頼むかー」
俺の目下の悩みと言えば、バドサーを辞めた後のことだ。今までは掛け持っていたサークルを、今月からはMMP一本に絞ることにした。真希さんに話した表向きの理由、ラジオが楽しかったというのも本当だから、それに関しては胸を張って言って行こうと思っている。ネガティブな方の理由は、黙っててもらうことにした。
こういう話をするのは距離が近過ぎない人の方がいいと思ったんだ。だけど、ある程度仲が良い方が遠慮なく何でも話せるかなって。だから、夏合宿で一緒の班だったすがやんに連絡を取ってみたら、一瞬でLINEに既読がついて、いいよいいよーって話を聞きに出て来てくれることになったんだ。
「それで、何の話だった?」
「俺さ、大学でサークルを掛け持ってたんだよな。最初から入ってたバドミントンのサークルと、後から入ったラジオのMMPと」
「あ、そういやラジオ始めるのちょっと遅かったって言ってたな」
「そうなんだよ。それでさ、バドの方を辞めて秋からはラジオ一本で行くって決めたんだ」
「こっちに専念するんだ」
「合宿も楽しかったし、これからラジオを頑張るぞーってモチベーションもすげーあるんだよ。秋学期になれば昼放送も始まるから」
「昼放送なー。ウチも多分始まるんだろうけど、人が居過ぎてまずは競争に勝てるかどうかってところからだもんな」
「緑ヶ丘ってめちゃ人いるもんな。そういう競争があるっていうのがまずウチからすれば贅沢な話だぜ」
ウチは人がいなくて昼放送の枠を埋めるのが大変そうだなっていう話を先輩たちがしてるのを聞いたことがあるけど、緑ヶ丘には緑ヶ丘で、人が居過ぎて誰が昼放送の枠に入ることが出来るのかっていう競争があるのが大変そうだ。どっちも月から金までの5枠なんだけどな。
「あ、ゴメン。それで、カノンの本題って何だった?」
「バドを辞めるって決めたのはいいんだけど、サークルを辞めた後でもバドサーで出来た友達との縁をど~うやって繋いでいけばいいのかなと思ってさ。大学って学部違うと全然会わないじゃん」
「会わないなー。時間とか動線が全然違って来るんだよな」
「それな!」
「俺の経験上、縁を繋いでいくには会った時に挨拶をし続けるしかないんだよ。俺もさ、同期の中ではMBCCに入るのが遅かった方なんだよ。それまではどのサークルに入ろうかっていろんなトコ回っててさ。ちょっと見学に行っただけのサークルでも1回話して良くしてもらった先輩とかタメの子とかに挨拶し続けたんだよ」
「うんうん」
「結果、1回2回顔出して結局入らなかった部活の子とよく釣り行くようになったし、学食で見かけたらちょっと話そうって引き摺って喋ったり、そういうのの積み重ね。何て言うのかなー……」
すがやんは、「一旦同じ興味関心で楽しかった時間があるなら、次また会った時に「最近どう?」からすんなり話に入っていける」って言うんだ。簡単そうに言うけど実はめちゃくちゃ難しくねーかって思う。だけど、挨拶レベルでも関係を続けていなければ、相手の中で切れちまうんだろうな。
バドサーの方では大体奏多と一緒にいたし、真希さんにも仲が良い認定をもらってたみたいなんだよな。サークルを辞めても奏多とは友達として付き合っていたいけど、学部も違うし、実はプライベートのこととかあんまよく分かんないし。つか、奏多って前原さんがいるからあそこにいる感もちょっとあるし。
「バドミントンの方の友達もさ、仲良くしてたんなら昼一緒に食おーとかって誘ってみたらいいんだって」
「でもさ、サークル辞めてちょっと気まずいと言うか」
「気まずいなーって思う気持ちもちょっとわかる。しかも、夏休みのうちに姿を消してるんだもんな」
「それ!」
「カノン、その友達にはラジオのサークルの話ってしてたの?」
「普通にしてる」
「なら別にいいんじゃん? バドミントンだけで繋がってるなら気まずいかもだけど、他の話もしてたんならちゃんと友達として接してたんだし、普通に友達でいられるって」
「すがや~ん…! お前いい奴かよ~!」
すがやんがただただいい奴過ぎて。友達が多いのも納得だ。すがやん流の友達付き合いの続け方を俺も試してみようと思う。真希さんと話したときも言ってもらったけど、籍がなくたって遊びに来てもらっても全然構わないし、いつでも連絡して来てもらってもいいんだよと。辞めたとか辞めてないとか誰も気にしないからって。
「だからさ、あれだよ。俺とカノンも夏合宿でたまたま一緒の班になっただけと言えばそうなんだけど、連絡もらってめちゃくちゃ嬉しかったし」
「何て言うか、すがやんは軽い気持ちでしょーもないLINEとかしていい人なんだなって思った」
「うん、全然してもらって。「実際どこの何が美味い」とか「トランポリンしたくない?」みたいなことばっかだから」
「あー、わかちゃんとたっちゃんとも今度どっか行きてーなー」
「いいね。ウチのくるみがさ、班の1年でよく遊んでたみたくてさ。そういうのいいなって思ってたんだよな」
「じゃー俺らもたまにやろうぜ!」
end.
++++
これから秋学期を経ていいコンビになるカノやんである。昼放送に関する悩み事もチラリ。これから一緒にやるんやよ
バドサーを勢いで辞めたカノンでしたが、奏多との付き合い方を悩んだ様子。友達付き合いを続けたいんだよ!と相談したよ
すがやんはたくさん友達がいるけど、多分久々になる人のこともちゃんと覚えてるんだろうな顔と名前とちょっとした情報を覚えるのが得意なのかもしれない
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