2021(02)
■車会議で集合解散
++++
「お待たせ」
「そしたら、積んでこうかー」
場所は、向島インターフェイス放送委員会の機材を置かせてもらっているビルの前。わナンバーの車に乗って颯爽とアオが現れると、俺たちは予め倉庫から下ろして来ていた機材をどんどん車へと積んでいく。明日からはいよいよ夏合宿が始まる。そのために、会場となる青年自然の家までこの機材を運ぶ必要があるんだ。
機材運搬という点では今年の対策委員はかなり苦労している。まず、免許を持っているのがアオとエイジの2人だけ。俺はまだまだ車校通い中だし。免許を持っているのが2人な上に、誰も車を持っていないということで、初心者講習会の時もこうやって半ば力づくで機材を運搬していた。
今日はこのレンタカーを星大の駐車場に置いておくそうで、明日の朝、アオがこの車で現地集合するそうだ。何せ、今年の車持ちの子が見事に定例会側に偏っちゃったんだよね。そのミドリが班打ち合わせで「現地集合しまーす」っていう風に言ってたよーってアオに伝えたら、ミドリは「現地集合するなら機材運搬を手伝え」って言われたとか。
「そういうことだから、明日は星大の駐車場でミドリと合流して機材を運ぶことになります。タカティは星大集合でよろしく」
「はーい」
家の方角的に星大に近いというのと、機材管理担当だという理由で俺も機材運搬車で青年自然の家まで運んでもらえることになっている。ただ、ミドリもいるので何だかんだ機材と対策委員の全員が車で移動することも出来るんじゃないかなとは思う。
「そうだアオ、俺も今日は高木ン家に泊まるし、俺も星大集合でいいか?」
「ああ、エージがいるなら安心だね。いいよ。どうぞ来てもらって。と言うか、現地集合した方が早い人以外は星大に来てもらって大丈夫なんで。人数的に乗れるとは思うから」
「あの、私は、現地集合の方が近いので……現地に直接行きます……」
「そう。わかばの他に現地集合組いる?」
「多分サドニナも星大に寄らない方が早いかなー」
「他は」
「うちは星大に寄りたいっす、うっすうっす」
「俺も星大で合流したいかな」
「そしたら後は奈々とゲンゴローね。了解。それでは皆さんお疲れさまでした。明日から頑張りましょう」
これで荷物の運搬が終わったのでひとまず会議は終了で、対策委員は解散。みんな各々の方角に散って行く。俺はと言えば、例によって機材管理担当としての仕事という体でアオの運転する車の助手席へ。そして俺と行き先が同じエイジが機材やその他細かい荷物で埋まった後部座席へと乗り込む。
「エージ、乗った感はどう?」
「まあ、狭いっちゃ狭いけどガマン出来んほどではないっていう。ただ、これが明日になってデカイ荷物を持ち込むとどうなるかって感じだべ」
「明日には機材をミドリと分けるし、車内の狭さに関しては多少マシにはなると思うけど」
「って言うかアオ、本当にミドリを巻き込んだんだね」
「去年とかその前の議事録を見てると、対策委員のメンバーも車で現地に向かってたみたくて。確かに行ける人は機材と一緒に行った方がいいだろうなとは思って。ただ、レンタカー1台だけだと運べる人数に限りが出るから、どうせ行き先は同じなんだしと思って」
「今年は本当にミドリ様々だね」
「もちろん後で燃料費は計算して出すことにはしてるから安心してもらって」
初心者講習会の時もアオはミドリとバイトのシフトを無理矢理変わることで機材を運搬していたし、そこはもうアオとミドリだからこそ出来るっていう感じなんだろうね。同じ星大さんで、同じバイトをしていていろいろわかってるっていう。……まあ、アオに押されてミドリが太刀打ちできるかって言ったら……ねえ。
「何だかんだ毎年何かしらのトラブルは起こるみたいだけど、今年は何もないことを祈りたい」
「そうだね。あと気を付けたいのはお金の計算だっけ?」
「その辺はゲンゴローがやってくれるべ」
「ゲンゴローと言えば、エイジ、その後ハナちゃんってどうなったの?」
「どーもこーも。ペア打ち合わせには1回来たらしいけど、全体練習はしてないし絶対ぐだぐだになるってまーたブチ切れてたっていう」
「あー……想像には難くない」
「ゲンゴローの班が結構マズい感じ?」
「ああ、ちょっと、ハナちゃん的に問題アリな子がいるみたくて」
「おハナは短気な方ではあるけど、ちゃんと相手に問題があって怒ってるんだよね?」
「俺らはハナの話しか聞いてないけど、聞いた話がマジならペアの奴がちょっと危ないっていう。何にせよ、ゲンゴロー班には目を配る必要はあるかもしれないべ」
エイジとは前々から話してたんだけど、もしもハナちゃんとペアを組んでいるその子が本当にイケメンを狙いにウチの班の子に何か仕掛けてこよう物なら大変だなーとは思ってるんだよね。ササと当麻は心配してないけど、彩人だね。あの子の女性恐怖症が表れでもしたらどうしようかと。
「とりあえず懸念材料があるということは耳に入れたし、起こり得る事象を想定した準備はしておかないと。今から何が出来るのかとも思うけど、対処法を考えておくだけでも違うだろうから」
「そうだね」
「番組に関してはゲンゴローが一番わかってるだろうからそこは別に心配要らんべ」
「番組以外の、生活の部分だよね」
「ま、なるようになるべ」
end.
++++
対策委員の議長・委員長・機材管理担当ってもしかしたら定例会三役くらいのポジションなのかもしれない。2コ上もそこ3人が強かったしな。
立ちはだかる壁はぶっ壊して最短距離を行く蒼希。ミドリを動かすという手段を夏合宿でもとって来た。今年の対策委員、影のMVPはミドリだ。
夏合宿前日でもナチュラルにTKG家に泊まるエイジだけど、きっとこれもTKGを起こすためなんだろうなと考えると大変だなあって
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「お待たせ」
「そしたら、積んでこうかー」
場所は、向島インターフェイス放送委員会の機材を置かせてもらっているビルの前。わナンバーの車に乗って颯爽とアオが現れると、俺たちは予め倉庫から下ろして来ていた機材をどんどん車へと積んでいく。明日からはいよいよ夏合宿が始まる。そのために、会場となる青年自然の家までこの機材を運ぶ必要があるんだ。
機材運搬という点では今年の対策委員はかなり苦労している。まず、免許を持っているのがアオとエイジの2人だけ。俺はまだまだ車校通い中だし。免許を持っているのが2人な上に、誰も車を持っていないということで、初心者講習会の時もこうやって半ば力づくで機材を運搬していた。
今日はこのレンタカーを星大の駐車場に置いておくそうで、明日の朝、アオがこの車で現地集合するそうだ。何せ、今年の車持ちの子が見事に定例会側に偏っちゃったんだよね。そのミドリが班打ち合わせで「現地集合しまーす」っていう風に言ってたよーってアオに伝えたら、ミドリは「現地集合するなら機材運搬を手伝え」って言われたとか。
「そういうことだから、明日は星大の駐車場でミドリと合流して機材を運ぶことになります。タカティは星大集合でよろしく」
「はーい」
家の方角的に星大に近いというのと、機材管理担当だという理由で俺も機材運搬車で青年自然の家まで運んでもらえることになっている。ただ、ミドリもいるので何だかんだ機材と対策委員の全員が車で移動することも出来るんじゃないかなとは思う。
「そうだアオ、俺も今日は高木ン家に泊まるし、俺も星大集合でいいか?」
「ああ、エージがいるなら安心だね。いいよ。どうぞ来てもらって。と言うか、現地集合した方が早い人以外は星大に来てもらって大丈夫なんで。人数的に乗れるとは思うから」
「あの、私は、現地集合の方が近いので……現地に直接行きます……」
「そう。わかばの他に現地集合組いる?」
「多分サドニナも星大に寄らない方が早いかなー」
「他は」
「うちは星大に寄りたいっす、うっすうっす」
「俺も星大で合流したいかな」
「そしたら後は奈々とゲンゴローね。了解。それでは皆さんお疲れさまでした。明日から頑張りましょう」
これで荷物の運搬が終わったのでひとまず会議は終了で、対策委員は解散。みんな各々の方角に散って行く。俺はと言えば、例によって機材管理担当としての仕事という体でアオの運転する車の助手席へ。そして俺と行き先が同じエイジが機材やその他細かい荷物で埋まった後部座席へと乗り込む。
「エージ、乗った感はどう?」
「まあ、狭いっちゃ狭いけどガマン出来んほどではないっていう。ただ、これが明日になってデカイ荷物を持ち込むとどうなるかって感じだべ」
「明日には機材をミドリと分けるし、車内の狭さに関しては多少マシにはなると思うけど」
「って言うかアオ、本当にミドリを巻き込んだんだね」
「去年とかその前の議事録を見てると、対策委員のメンバーも車で現地に向かってたみたくて。確かに行ける人は機材と一緒に行った方がいいだろうなとは思って。ただ、レンタカー1台だけだと運べる人数に限りが出るから、どうせ行き先は同じなんだしと思って」
「今年は本当にミドリ様々だね」
「もちろん後で燃料費は計算して出すことにはしてるから安心してもらって」
初心者講習会の時もアオはミドリとバイトのシフトを無理矢理変わることで機材を運搬していたし、そこはもうアオとミドリだからこそ出来るっていう感じなんだろうね。同じ星大さんで、同じバイトをしていていろいろわかってるっていう。……まあ、アオに押されてミドリが太刀打ちできるかって言ったら……ねえ。
「何だかんだ毎年何かしらのトラブルは起こるみたいだけど、今年は何もないことを祈りたい」
「そうだね。あと気を付けたいのはお金の計算だっけ?」
「その辺はゲンゴローがやってくれるべ」
「ゲンゴローと言えば、エイジ、その後ハナちゃんってどうなったの?」
「どーもこーも。ペア打ち合わせには1回来たらしいけど、全体練習はしてないし絶対ぐだぐだになるってまーたブチ切れてたっていう」
「あー……想像には難くない」
「ゲンゴローの班が結構マズい感じ?」
「ああ、ちょっと、ハナちゃん的に問題アリな子がいるみたくて」
「おハナは短気な方ではあるけど、ちゃんと相手に問題があって怒ってるんだよね?」
「俺らはハナの話しか聞いてないけど、聞いた話がマジならペアの奴がちょっと危ないっていう。何にせよ、ゲンゴロー班には目を配る必要はあるかもしれないべ」
エイジとは前々から話してたんだけど、もしもハナちゃんとペアを組んでいるその子が本当にイケメンを狙いにウチの班の子に何か仕掛けてこよう物なら大変だなーとは思ってるんだよね。ササと当麻は心配してないけど、彩人だね。あの子の女性恐怖症が表れでもしたらどうしようかと。
「とりあえず懸念材料があるということは耳に入れたし、起こり得る事象を想定した準備はしておかないと。今から何が出来るのかとも思うけど、対処法を考えておくだけでも違うだろうから」
「そうだね」
「番組に関してはゲンゴローが一番わかってるだろうからそこは別に心配要らんべ」
「番組以外の、生活の部分だよね」
「ま、なるようになるべ」
end.
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対策委員の議長・委員長・機材管理担当ってもしかしたら定例会三役くらいのポジションなのかもしれない。2コ上もそこ3人が強かったしな。
立ちはだかる壁はぶっ壊して最短距離を行く蒼希。ミドリを動かすという手段を夏合宿でもとって来た。今年の対策委員、影のMVPはミドリだ。
夏合宿前日でもナチュラルにTKG家に泊まるエイジだけど、きっとこれもTKGを起こすためなんだろうなと考えると大変だなあって
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