2021(02)
■便利な野菜
++++
「彩人、野菜持って来たよ」
「マジ助かる!」
短い帰省から星港に戻って来てまず行ったのはスーパーだ。それで思ったのが、野菜がクッソ高くなってねーかということだ。確かにテレビでも長雨の影響で野菜の価格が高騰してるという風にはやっていたと思うけど、まさかキュウリ2本が198円になってるとは思わねーじゃんな。
そんな中、みちるは農学部の先輩から定期的に野菜をもらっているらしい。宇部さんの友達の日野さんって先輩らしいんだけど、その人がまたちょっと変わった人で、学部の研究以外に持っている趣味の畑でいろいろな野菜を育てているとかで、自分でも食うけどそれ以上に育ててるから、出来た物をみんなに配り歩いている。
みちるはバイクの免許を取るのに教習所に通い始めたから、その費用を捻出するのに節約をしている。戸田さんの原付二種に憧れて自分も同じような物に乗りたいと考えているようだ。確かに原付はあれば便利なんだよな。俺は一応チャリでやれるかなって思うけど、本当にみちるが乗り始めたら羨ましく思うのかな。
「最近マジでたっけーよな野菜」
「本当に。夏野菜に関しては日野さんから貰えるから私が自分で買わなくていいんだけど、値段を見てると高いなあって思う」
「みちる、ジャガイモいる?」
「欲しい」
「野菜たくさんもらってるしお返しじゃないけど」
「でも、いいの? ジャガイモだって高いでしょ」
「夏合宿の班で一緒になった星大の先輩がケースでくれたんだよな。バイト先をジャガイモのケースが圧迫してるとかで。俺も食うけど有り過ぎても食えないし。朝霞さんにあげてもまだたくさんあるからよかったら」
「ありがとう。それじゃあお言葉に甘えて」
ミドリさんからケースでもらったジャガイモの一部をみちるにお裾分け。これも結構デカイし良い物だとは思うけど、みちるからもらってる野菜の量の方が圧倒的に多いんだよな。1人暮らしだからそこまで一度に食えないってのはあるよな。保存の効く調理法を学習するべきなのかもしれない。
「みちるってどうやってこの野菜をどうこうしてる?」
「冷凍できるものはジップロックとかに入れて冷凍するし、酢漬けとかにして常備菜として保存してる」
「冷凍かー、手間がかかりそうだなー」
「最初に手間をかけると後から楽になるよ。例えば、ネギを刻んで凍らせとくと、うどんとか作って薬味が欲しいなってときにパラッと入れればいいだけだし。ブロッコリーを1回使う分くらいずつ凍らせて、そのまま炒めたり煮たり出来るし」
「なるほどなー。1回の調理に使う分くらいずつ切っとけば、確かにラクだわ」
「冷凍野菜って本当に便利だからね。市販の冷凍野菜もあるけど、ああいうのは季節問わず美味しいから積極的に使って行くべきだと思う」
「仮にも農学部の人から野菜もらっといて言うことかよ」
「もらってるからこそ気付くんだよ。日野さんも言ってたし。旬の野菜はその時に食べるのが一番美味しいけど、市販の冷凍野菜は基本的に旬の物を冷凍してるから年間通じて栄養素も変わらないし保存も楽だって」
「まあ、農学部の人が言うんならそうなのかもなあ」
確かに、朝霞さんも冷凍枝豆にはよく世話になってるそうだし、サトイモだとかカボチャだとか、ああいうちょっと下拵えがめんどくさいような物も、あとはもう煮るだけ状態になってるのが本当にありがたいなとは思う。たまにサトイモの煮物とか、食べたくなるんだよな。自分で作る時には世話になってたわ。
「食べたい野菜を自分で作れたら強いな」
「それは確かにいいと思うけど、畑の様子を見に行ったりとかしなきゃいけないし、それも手間なんだよ」
「あー、それなー。俺は絶対無理だわ。出来て精々ベランダにプランターを置く程度か」
「今は畑を借りるだけ借りて世話をしてくれるのはプロの人、みたいなサービスもあるみたいだけどね。で、自分はたまに様子を見に行くだけでよくて、みたいな」
「それって自分の家庭菜園って言うのか?」
「何でもいいんじゃない? ビジネスになってるんだから。畑の様子がメールで届いたりするんだって。何日後くらいに収穫出来そうですーみたいな感じで」
「今って何でもあるんだな」
「何でもあるね」
「みちるは畑をやるなら何を育てる?」
「何だろう。キャベツとか? 季節問わずに使うから」
「キャベツな。確かに使うな」
ただ、みちるはもう定期的に野菜が届くようになってしまったので、自分で畑をやる必要性は全くなくなってしまったのだけども。9月に向かって行く中でこれから何が始まるのか聞いてみると、夏野菜はもう少し続くけど芋類がもうすぐやでー、とのことらしい。まだまだ残暑は厳しい。
「そう言えば、農学部の人ってオープンファームって行事に向けて忙しくなるらしいね」
「オープンファーム? 何だそれ」
「農学部の人が作った農産物を、地域の人向けに販売するんだって。スーパーとかより安かったりするから、戦争みたいになるって」
「なんか凄そうだな」
「大学祭の1週後にあるのかな。食べ歩きとかも出来て普通に楽しいらしいよ」
「へー、面白そう。みちる、また日程近付いて来たら誘って」
「わかったよ」
とりあえず、せっかくみちるがいることだし今日もらった野菜を保存する手順を手取り足取り教えてもらおうか。インターフェイスの夏合宿とかで少し家を空けることだし。
end.
++++
彩人みちるの1人暮らしのお宅訪問あれやこれや。多分定期的にやってるんだとは思う。彩人はお礼にお土産買うとかバイト先のパンあげるとかしてそう。
冷凍保存などのやり方に関しても今は調べれば出て来るのありがたい。いち氏なんかも実践してそう。冷凍庫も綺麗らしいからね。
フェーズ2初年度はスルーしちゃったけど、今年はオープンファームの話とかも出来たらいいね。彩人はこれにどう立ち向かうのか
.
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「彩人、野菜持って来たよ」
「マジ助かる!」
短い帰省から星港に戻って来てまず行ったのはスーパーだ。それで思ったのが、野菜がクッソ高くなってねーかということだ。確かにテレビでも長雨の影響で野菜の価格が高騰してるという風にはやっていたと思うけど、まさかキュウリ2本が198円になってるとは思わねーじゃんな。
そんな中、みちるは農学部の先輩から定期的に野菜をもらっているらしい。宇部さんの友達の日野さんって先輩らしいんだけど、その人がまたちょっと変わった人で、学部の研究以外に持っている趣味の畑でいろいろな野菜を育てているとかで、自分でも食うけどそれ以上に育ててるから、出来た物をみんなに配り歩いている。
みちるはバイクの免許を取るのに教習所に通い始めたから、その費用を捻出するのに節約をしている。戸田さんの原付二種に憧れて自分も同じような物に乗りたいと考えているようだ。確かに原付はあれば便利なんだよな。俺は一応チャリでやれるかなって思うけど、本当にみちるが乗り始めたら羨ましく思うのかな。
「最近マジでたっけーよな野菜」
「本当に。夏野菜に関しては日野さんから貰えるから私が自分で買わなくていいんだけど、値段を見てると高いなあって思う」
「みちる、ジャガイモいる?」
「欲しい」
「野菜たくさんもらってるしお返しじゃないけど」
「でも、いいの? ジャガイモだって高いでしょ」
「夏合宿の班で一緒になった星大の先輩がケースでくれたんだよな。バイト先をジャガイモのケースが圧迫してるとかで。俺も食うけど有り過ぎても食えないし。朝霞さんにあげてもまだたくさんあるからよかったら」
「ありがとう。それじゃあお言葉に甘えて」
ミドリさんからケースでもらったジャガイモの一部をみちるにお裾分け。これも結構デカイし良い物だとは思うけど、みちるからもらってる野菜の量の方が圧倒的に多いんだよな。1人暮らしだからそこまで一度に食えないってのはあるよな。保存の効く調理法を学習するべきなのかもしれない。
「みちるってどうやってこの野菜をどうこうしてる?」
「冷凍できるものはジップロックとかに入れて冷凍するし、酢漬けとかにして常備菜として保存してる」
「冷凍かー、手間がかかりそうだなー」
「最初に手間をかけると後から楽になるよ。例えば、ネギを刻んで凍らせとくと、うどんとか作って薬味が欲しいなってときにパラッと入れればいいだけだし。ブロッコリーを1回使う分くらいずつ凍らせて、そのまま炒めたり煮たり出来るし」
「なるほどなー。1回の調理に使う分くらいずつ切っとけば、確かにラクだわ」
「冷凍野菜って本当に便利だからね。市販の冷凍野菜もあるけど、ああいうのは季節問わず美味しいから積極的に使って行くべきだと思う」
「仮にも農学部の人から野菜もらっといて言うことかよ」
「もらってるからこそ気付くんだよ。日野さんも言ってたし。旬の野菜はその時に食べるのが一番美味しいけど、市販の冷凍野菜は基本的に旬の物を冷凍してるから年間通じて栄養素も変わらないし保存も楽だって」
「まあ、農学部の人が言うんならそうなのかもなあ」
確かに、朝霞さんも冷凍枝豆にはよく世話になってるそうだし、サトイモだとかカボチャだとか、ああいうちょっと下拵えがめんどくさいような物も、あとはもう煮るだけ状態になってるのが本当にありがたいなとは思う。たまにサトイモの煮物とか、食べたくなるんだよな。自分で作る時には世話になってたわ。
「食べたい野菜を自分で作れたら強いな」
「それは確かにいいと思うけど、畑の様子を見に行ったりとかしなきゃいけないし、それも手間なんだよ」
「あー、それなー。俺は絶対無理だわ。出来て精々ベランダにプランターを置く程度か」
「今は畑を借りるだけ借りて世話をしてくれるのはプロの人、みたいなサービスもあるみたいだけどね。で、自分はたまに様子を見に行くだけでよくて、みたいな」
「それって自分の家庭菜園って言うのか?」
「何でもいいんじゃない? ビジネスになってるんだから。畑の様子がメールで届いたりするんだって。何日後くらいに収穫出来そうですーみたいな感じで」
「今って何でもあるんだな」
「何でもあるね」
「みちるは畑をやるなら何を育てる?」
「何だろう。キャベツとか? 季節問わずに使うから」
「キャベツな。確かに使うな」
ただ、みちるはもう定期的に野菜が届くようになってしまったので、自分で畑をやる必要性は全くなくなってしまったのだけども。9月に向かって行く中でこれから何が始まるのか聞いてみると、夏野菜はもう少し続くけど芋類がもうすぐやでー、とのことらしい。まだまだ残暑は厳しい。
「そう言えば、農学部の人ってオープンファームって行事に向けて忙しくなるらしいね」
「オープンファーム? 何だそれ」
「農学部の人が作った農産物を、地域の人向けに販売するんだって。スーパーとかより安かったりするから、戦争みたいになるって」
「なんか凄そうだな」
「大学祭の1週後にあるのかな。食べ歩きとかも出来て普通に楽しいらしいよ」
「へー、面白そう。みちる、また日程近付いて来たら誘って」
「わかったよ」
とりあえず、せっかくみちるがいることだし今日もらった野菜を保存する手順を手取り足取り教えてもらおうか。インターフェイスの夏合宿とかで少し家を空けることだし。
end.
++++
彩人みちるの1人暮らしのお宅訪問あれやこれや。多分定期的にやってるんだとは思う。彩人はお礼にお土産買うとかバイト先のパンあげるとかしてそう。
冷凍保存などのやり方に関しても今は調べれば出て来るのありがたい。いち氏なんかも実践してそう。冷凍庫も綺麗らしいからね。
フェーズ2初年度はスルーしちゃったけど、今年はオープンファームの話とかも出来たらいいね。彩人はこれにどう立ち向かうのか
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