2021(02)
■夏のレジャーの計画
公式学年+1年
++++
佐藤ゼミが実質的に占拠しているAVスタジオは、割といつでも開いているらしい。いつでもというのは、文字通り曜日や時間に関わらずという意味だ。現に今日も日曜日だけど人がいる。作品制作をしていたり、涼んでいたり、各々の思う作業をしているようだった。俺たちもそんな中のひと班ではあるのだけど。
オープンキャンパスに向けた50分の番組作りは佳境に差し掛かっていた。俺がMBCCのアナウンサーだということで、先生からは妙なプレッシャーを掛けられている。だけど俺だけじゃなくてみんなで頑張ろうと団結しているいい班だ。で、みんなの都合が良かった今日、改めて打ち合わせをしようと集合したんだ。
「おはよう」
「ういーす。あっ、アイス買って来たし上の冷蔵庫に入ってっから。食べたいタイミングで食べちゃってぃー」
「ありがとう」
「はー、あっつー。佐々木君暑くない?」
「暑いよ」
「だよねえ! 涼しい顔してっから暑さ感じない人なのかと思ったよ」
「下梨 君は、暑さを全身で表現してる感じがするな」
梅雨が明けてから地球が俺を殺す気マンマンであっちーのよ、と言いながら下梨君は服をパタパタとして中に空気を通している。下梨君はノリが少し軽めだけどチャラ過ぎるワケではなく、アクティブなことが好きだという印象だ。地方の食文化を中心とした民俗学に興味があるらしい。
「テストが終わったら和 と電車乗り継いで遊びに行くかーっつってるわ」
「へえ、いいな。どこ行くの?」
「その辺は和に任せてるからなあ。俺は当日集合するだけだし。アイツが飲みたい酒のある場所じゃね?」
「おはよう」
「あっ、噂をすれば和じゃん。ういーす」
「俺の話をしてたのか」
「や、今度遊ぶ話だよ。どこ行くのかなーっつって」
「今回は西に向いて行こうかと。麦 は初めてだし、観光列車に乗って、いい景色を見ながら酒を飲んだり料理を食べたりっていう、ベタな楽しみ方をしようかと」
「え、いいな。楽しそう」
「良かったら佐々木君も一緒に来る? 都合が合えば。8月第1週で見てるから」
「全力でスケジュール合わせる」
村上君は鉄道研究会に所属していて、ご当地の酒を飲みながら車窓に流れる風景を楽しむのが好きな飲み鉄というヤツらしい。鉄道と酒が好きな村上君、それから地方の食が好きな下梨君の間で話が盛り上がって、鉄道旅の話になっていたそうだ。うーん、俺も読書だけじゃなくてアクティブな趣味を持ちたいな。
「相倉君と菅沼さんはもうちょいかかるんだったかな確か」
「じゃ先にちょっと練習してる?」
「そうだね。流れを確認するくらいは出来るし、やっとこうか」
「そうだ、全然話変わるけど佐々木君は今度の釣り、誘われてる?」
「え、何の話?」
「ゴメン、聞いてなかったかー。ワンチャンあるかと思ったけど」
「佐々木君インドアだし忙しいもんなー。声かけにくいのかも」
「そこまで言われると気になる。教えて。あと俺やたら忙しいイメージ持たれがちだけど、実際そんなでもないよ」
「今度相倉君とてっちゃん主催で釣り行こうぜって話になってんだよ」
「佐々木君てっぺーちゃんと同じサークルだし話行ってるかなと思ってたんだけどな」
「……俺も行きたいです…!」
「じゃ相倉君来たら言おうぜー」
俺も後から知ってビックリしたんだけど、亮真に下梨君、それから村上君はそれぞれ別の場所ですがやんと友達になっていたらしい。と言うかすがやんの顔の広さが尋常じゃない。サークル巡りをしてMBCCに辿り着くまでに顔を出した先の団体で出会ったそうだけど、それで縁が切れないのがただただ凄いなあと。
って言うか、やっぱり忙しそうっていうイメージが付きまとってるか…! 実際そこまで忙しくないんだけどな! バイトしてるか玲那か彩人と一緒にいるかってくらいで。今なら夏合宿か。難ならシノの方が全然忙しいし、定例会だしバイトして彼女もいてって、すがやんが一番忙しいはずなのにそのフットワークの軽さはどうなってるんだ。
「何にせよ、オープンキャンパスとテストを乗り越えてからだなー」
「それが終われば研究の名目で飲み放題だ」
「で、番組の打ち合わせな」
「番組と言えばさー、シノキ君センセーからめちゃんこプレッシャー掛けられてっけど大丈夫かねー」
「シノは大舞台に強いし、むしろ楽しんでやってるんじゃないかと思うけど」
「一応聞くけど、俺らは機材の扱いとかそこまで求められてないよな?」
「求められてないです」
「俺らに求められてるのは内容か」
「ハードのシノキ君とソフトの佐々木君みたいな認識だもんな、先生の中じゃ」
「はーっ……気が重い」
「へーきへーき佐々木君! リラーックス!」
「そうそう。俺らみんなで考えたことを佐々木君と菅沼さんが代表して喋ってくれるってだけのことだし」
トーク内容からみんなで考えて詰めてるっていうのがまずありがたいなと思うんだよな。こういうテーマだからこれは入れたいとか、これを入れるならこのパターンとこのパターンを比較して、とかっていろんな視点で話し合えることが。自分だけだとどうしても内容に偏りが出るだろうし。
「と言うか、2人はシノの正しい名字、知ってるよな?」
「ササキ君っしょ? 一応知ってるよ」
「やっぱり、佐々木君とシノキ君を区別するにはこれが楽かなと。先生も言ってるから言いやすいっていうのがあって」
end.
++++
まいみぃ以外の人はササシノを佐々木君とシノキ君で区別している方が多いようです。先生が言ってるから半分公式みたいな感じ。
書いた順番が逆転したけど、公式+1年の概念でチラッと出て来た佐藤ゼミメンバーも平場の話にも出て来る予定。すがやんの話です。
ササは周りから持たれるイメージよりみんなでワイワイ遊ぶのが好きなので、誘われると喜んで出ていくのだけど、如何せんイメージが
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公式学年+1年
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佐藤ゼミが実質的に占拠しているAVスタジオは、割といつでも開いているらしい。いつでもというのは、文字通り曜日や時間に関わらずという意味だ。現に今日も日曜日だけど人がいる。作品制作をしていたり、涼んでいたり、各々の思う作業をしているようだった。俺たちもそんな中のひと班ではあるのだけど。
オープンキャンパスに向けた50分の番組作りは佳境に差し掛かっていた。俺がMBCCのアナウンサーだということで、先生からは妙なプレッシャーを掛けられている。だけど俺だけじゃなくてみんなで頑張ろうと団結しているいい班だ。で、みんなの都合が良かった今日、改めて打ち合わせをしようと集合したんだ。
「おはよう」
「ういーす。あっ、アイス買って来たし上の冷蔵庫に入ってっから。食べたいタイミングで食べちゃってぃー」
「ありがとう」
「はー、あっつー。佐々木君暑くない?」
「暑いよ」
「だよねえ! 涼しい顔してっから暑さ感じない人なのかと思ったよ」
「
梅雨が明けてから地球が俺を殺す気マンマンであっちーのよ、と言いながら下梨君は服をパタパタとして中に空気を通している。下梨君はノリが少し軽めだけどチャラ過ぎるワケではなく、アクティブなことが好きだという印象だ。地方の食文化を中心とした民俗学に興味があるらしい。
「テストが終わったら
「へえ、いいな。どこ行くの?」
「その辺は和に任せてるからなあ。俺は当日集合するだけだし。アイツが飲みたい酒のある場所じゃね?」
「おはよう」
「あっ、噂をすれば和じゃん。ういーす」
「俺の話をしてたのか」
「や、今度遊ぶ話だよ。どこ行くのかなーっつって」
「今回は西に向いて行こうかと。
「え、いいな。楽しそう」
「良かったら佐々木君も一緒に来る? 都合が合えば。8月第1週で見てるから」
「全力でスケジュール合わせる」
村上君は鉄道研究会に所属していて、ご当地の酒を飲みながら車窓に流れる風景を楽しむのが好きな飲み鉄というヤツらしい。鉄道と酒が好きな村上君、それから地方の食が好きな下梨君の間で話が盛り上がって、鉄道旅の話になっていたそうだ。うーん、俺も読書だけじゃなくてアクティブな趣味を持ちたいな。
「相倉君と菅沼さんはもうちょいかかるんだったかな確か」
「じゃ先にちょっと練習してる?」
「そうだね。流れを確認するくらいは出来るし、やっとこうか」
「そうだ、全然話変わるけど佐々木君は今度の釣り、誘われてる?」
「え、何の話?」
「ゴメン、聞いてなかったかー。ワンチャンあるかと思ったけど」
「佐々木君インドアだし忙しいもんなー。声かけにくいのかも」
「そこまで言われると気になる。教えて。あと俺やたら忙しいイメージ持たれがちだけど、実際そんなでもないよ」
「今度相倉君とてっちゃん主催で釣り行こうぜって話になってんだよ」
「佐々木君てっぺーちゃんと同じサークルだし話行ってるかなと思ってたんだけどな」
「……俺も行きたいです…!」
「じゃ相倉君来たら言おうぜー」
俺も後から知ってビックリしたんだけど、亮真に下梨君、それから村上君はそれぞれ別の場所ですがやんと友達になっていたらしい。と言うかすがやんの顔の広さが尋常じゃない。サークル巡りをしてMBCCに辿り着くまでに顔を出した先の団体で出会ったそうだけど、それで縁が切れないのがただただ凄いなあと。
って言うか、やっぱり忙しそうっていうイメージが付きまとってるか…! 実際そこまで忙しくないんだけどな! バイトしてるか玲那か彩人と一緒にいるかってくらいで。今なら夏合宿か。難ならシノの方が全然忙しいし、定例会だしバイトして彼女もいてって、すがやんが一番忙しいはずなのにそのフットワークの軽さはどうなってるんだ。
「何にせよ、オープンキャンパスとテストを乗り越えてからだなー」
「それが終われば研究の名目で飲み放題だ」
「で、番組の打ち合わせな」
「番組と言えばさー、シノキ君センセーからめちゃんこプレッシャー掛けられてっけど大丈夫かねー」
「シノは大舞台に強いし、むしろ楽しんでやってるんじゃないかと思うけど」
「一応聞くけど、俺らは機材の扱いとかそこまで求められてないよな?」
「求められてないです」
「俺らに求められてるのは内容か」
「ハードのシノキ君とソフトの佐々木君みたいな認識だもんな、先生の中じゃ」
「はーっ……気が重い」
「へーきへーき佐々木君! リラーックス!」
「そうそう。俺らみんなで考えたことを佐々木君と菅沼さんが代表して喋ってくれるってだけのことだし」
トーク内容からみんなで考えて詰めてるっていうのがまずありがたいなと思うんだよな。こういうテーマだからこれは入れたいとか、これを入れるならこのパターンとこのパターンを比較して、とかっていろんな視点で話し合えることが。自分だけだとどうしても内容に偏りが出るだろうし。
「と言うか、2人はシノの正しい名字、知ってるよな?」
「ササキ君っしょ? 一応知ってるよ」
「やっぱり、佐々木君とシノキ君を区別するにはこれが楽かなと。先生も言ってるから言いやすいっていうのがあって」
end.
++++
まいみぃ以外の人はササシノを佐々木君とシノキ君で区別している方が多いようです。先生が言ってるから半分公式みたいな感じ。
書いた順番が逆転したけど、公式+1年の概念でチラッと出て来た佐藤ゼミメンバーも平場の話にも出て来る予定。すがやんの話です。
ササは周りから持たれるイメージよりみんなでワイワイ遊ぶのが好きなので、誘われると喜んで出ていくのだけど、如何せんイメージが
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