2021(02)
■8畳エンターテインメント
++++
「おーい菅野、音もうちょっと絞れないか?」
「何言ってんだ、床にウレタン敷いてんだからこれで良くね?」
「カンノ、お前が音を出していてはオレが弾けん。音を絞れ」
「はー!? ンなムチャな話あるかよ!」
「いや、つか俺これから配信……って、聞いてねーな」
たまに場所を変えて作業をしたいという理由で菅野がうちに殴り込んできた。それから、ヒマだというリン君も。2人とも、菅野は確信犯にしてもリン君は恐らくたまたまキーボードを担いできたので俺の部屋は音がわちゃわちゃと溢れている。
結局騒音問題を経てうちの防音体制は前よりはマシになったとは思うけど、それでも音をガンガン鳴らせるようなアパートではないと何故コイツはわからない! 挙げ句リン君の弾き始めた音に自分も被せ始めた。これが連弾というヤツなのか? いやそうじゃない。
「なあ菅野、リン君。俺これから配信するんだよ」
「聞いてる。そーいや今日何すんの?」
「シナリオ提供の方でお世話になったタナカ主任さんが新しくマイクラの実況者サーバーってのを作ることにしたんだって。そこに俺も招待してもらったんだ」
「へー」
「そこで冒険をしたり家を作ったりって感じで自由に生活していいんだって。ならせっかくだし、資材を集めたり整地しようと思って」
俺がUSDXとして活動を始めてしばし。表に出てゲーム実況をする他にも、他の実況者さんの企画にシナリオや原案で参加したり、俺単体でコラボさせてもらうことが最近は増えてきたように思う。USDXの視聴者層とはまた違う実況者さんのお世話にもなってる。
そうやって出来た縁でまた違う人と出会って、いろんなゲームをやって……という具合にどんどん実況者の知り合いも出来てきて、今度一緒に飲酒ゲーム配信しましょうとか、TRPGやりましょうとかって感じで約束がどんどんどんどん積み重なって、楽しい楽しい。
「でも、お前が混ざって大丈夫なのかよそれ。マイクラの習熟度とか熟練度的な意味で」
「マイクラ実況者の人もいるけど、初心者の人とか遠い昔にやってた出戻りの人もいるとかで、その辺はバラバラだし気にしなくていいらしい。タナカ主任さんがそもそもライト勢だし」
「つかどんなメンツでやる鯖なん」
「ディスコードでいいか。こんな感じ」
「え、ヤバっ。いやいや、熟練度とかの問題じゃなくてこれお前がいて大丈夫かってレベルなんだが!? プロソルの時代からずっとやってて実況でメシ食ってるような人らの中に、ポッと出のお前!?」
「それも縁あってのことだろう。妬むな、カンノ」
「や、妬んではない。ただヤバいって思ってるだけだから」
ただ、一応今回のサーバーでお世話になる人たちは、過去に2、3回はお話しさせていただいている方たちばかり。だから俺がどれだけゲームが下手かもご存知のはずだ。それでもいいとお呼ばれしたので、楽しんでこようと。
実況やバンドで飯を食ってるようなガチな人の中に混ぜてもらうことで、俺もエンターテイメントという物を勉強出来るのではないかと薄々期待している。イベントの業界で生きていきたいと考えている以上、見せ方とか企画力などは必修だ。
「リン、配信の後ろに生BGM乗っけてやろうぜ」
「ほう、即興で何かやるか」
「や、だから待てって! リン君はともかく菅野、お前は大人しくしてろ! 大体、うちには環境を変えて作業するって体で来てんだろ」
「まーな。でも男が3人揃ったらこんなモンよ」
「わかってたなら何故うちに来た」
「リンが来るとは思わなかった」
「とにかく、これ以上音をデカくされたら隣だけじゃなくて下からも苦情が来かねない」
騒音問題で言えば、彩人とは和解したものの、この感じなら下にもある程度音が行っていたはずなんだ。最近は対策をしたと言え、うるさくすると最悪このアパートを追い出されかねない。星港なら防音マンションもあるだろうけど、そういう部屋を探す段階にはまだない。
「なあ、2時になったらマジで配信始めるし、それまでには静かにしてくれ」
「ならお茶おかわりくれー」
「わかった。リン君はどうする? お茶のおかわり」
「ああ、それならもらおうか。カンノが作業をするなら、オレは配信の画面を見ていることにしようか。必要であれば横槍を入れよう」
「助かります」
「は!? リ~ン~、お前も音を出せよ!」
「ここがスタジオであるならともかく、一般の安アパートだぞ。悪ふざけで音を重ねるにしても、一瞬だろう」
「へーへー、わかりましたよ。朝霞、モニター用のヘッドホンない?」
「ない」
「ねーのかよ! は? お前どーやってギターの練習してんの?」
「は? ギターはヘッドホンに繋ぐ前提じゃないとか言ったのはどの口だ?」
「どの口だったかな~?」
「朝霞、カンノは閉め出す頃合いではないか」
「真面目に視野に入ってきた」
「や、それはさすがにかわいそうじゃね?」
マジで2時までには静かにしろと念を押して、配信の準備を始める。今日はただひたすらに資材集めと整地の予定。サーバー内に誰かがいれば話は変わってくるけど。菅野が静かにならなければ、画面の隅に「チータがうるさいので今日は音声なしです」と注釈を入れるだけだ。
「はいお茶。ピッチャーで置いとくから好きに飲め」
「や、欲しかったら勝手にもらうし冷蔵庫に入れといて」
「はいはい」
「つかお前の部屋、何で台所以外にも冷蔵庫あんだよ。一人暮らしで1ドア冷蔵庫なんか要るか?」
「必要だったから買ったんだろ」
end.
++++
さすがのカンDでも作業中に立ち上がる時間ももったいないからと冷蔵庫を増設したりはしないらしい。立った方が運動にはなるね
久しく振りのUSDX。レイ君は多分メンバー内でもコラボ力の高い方じゃないかと見受ける。ポッと出だけどね。
ちなカンDが書いてた曲に関しての話、今年はそういややってない。気付いたら青敬MV話とかになってるのか
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「おーい菅野、音もうちょっと絞れないか?」
「何言ってんだ、床にウレタン敷いてんだからこれで良くね?」
「カンノ、お前が音を出していてはオレが弾けん。音を絞れ」
「はー!? ンなムチャな話あるかよ!」
「いや、つか俺これから配信……って、聞いてねーな」
たまに場所を変えて作業をしたいという理由で菅野がうちに殴り込んできた。それから、ヒマだというリン君も。2人とも、菅野は確信犯にしてもリン君は恐らくたまたまキーボードを担いできたので俺の部屋は音がわちゃわちゃと溢れている。
結局騒音問題を経てうちの防音体制は前よりはマシになったとは思うけど、それでも音をガンガン鳴らせるようなアパートではないと何故コイツはわからない! 挙げ句リン君の弾き始めた音に自分も被せ始めた。これが連弾というヤツなのか? いやそうじゃない。
「なあ菅野、リン君。俺これから配信するんだよ」
「聞いてる。そーいや今日何すんの?」
「シナリオ提供の方でお世話になったタナカ主任さんが新しくマイクラの実況者サーバーってのを作ることにしたんだって。そこに俺も招待してもらったんだ」
「へー」
「そこで冒険をしたり家を作ったりって感じで自由に生活していいんだって。ならせっかくだし、資材を集めたり整地しようと思って」
俺がUSDXとして活動を始めてしばし。表に出てゲーム実況をする他にも、他の実況者さんの企画にシナリオや原案で参加したり、俺単体でコラボさせてもらうことが最近は増えてきたように思う。USDXの視聴者層とはまた違う実況者さんのお世話にもなってる。
そうやって出来た縁でまた違う人と出会って、いろんなゲームをやって……という具合にどんどん実況者の知り合いも出来てきて、今度一緒に飲酒ゲーム配信しましょうとか、TRPGやりましょうとかって感じで約束がどんどんどんどん積み重なって、楽しい楽しい。
「でも、お前が混ざって大丈夫なのかよそれ。マイクラの習熟度とか熟練度的な意味で」
「マイクラ実況者の人もいるけど、初心者の人とか遠い昔にやってた出戻りの人もいるとかで、その辺はバラバラだし気にしなくていいらしい。タナカ主任さんがそもそもライト勢だし」
「つかどんなメンツでやる鯖なん」
「ディスコードでいいか。こんな感じ」
「え、ヤバっ。いやいや、熟練度とかの問題じゃなくてこれお前がいて大丈夫かってレベルなんだが!? プロソルの時代からずっとやってて実況でメシ食ってるような人らの中に、ポッと出のお前!?」
「それも縁あってのことだろう。妬むな、カンノ」
「や、妬んではない。ただヤバいって思ってるだけだから」
ただ、一応今回のサーバーでお世話になる人たちは、過去に2、3回はお話しさせていただいている方たちばかり。だから俺がどれだけゲームが下手かもご存知のはずだ。それでもいいとお呼ばれしたので、楽しんでこようと。
実況やバンドで飯を食ってるようなガチな人の中に混ぜてもらうことで、俺もエンターテイメントという物を勉強出来るのではないかと薄々期待している。イベントの業界で生きていきたいと考えている以上、見せ方とか企画力などは必修だ。
「リン、配信の後ろに生BGM乗っけてやろうぜ」
「ほう、即興で何かやるか」
「や、だから待てって! リン君はともかく菅野、お前は大人しくしてろ! 大体、うちには環境を変えて作業するって体で来てんだろ」
「まーな。でも男が3人揃ったらこんなモンよ」
「わかってたなら何故うちに来た」
「リンが来るとは思わなかった」
「とにかく、これ以上音をデカくされたら隣だけじゃなくて下からも苦情が来かねない」
騒音問題で言えば、彩人とは和解したものの、この感じなら下にもある程度音が行っていたはずなんだ。最近は対策をしたと言え、うるさくすると最悪このアパートを追い出されかねない。星港なら防音マンションもあるだろうけど、そういう部屋を探す段階にはまだない。
「なあ、2時になったらマジで配信始めるし、それまでには静かにしてくれ」
「ならお茶おかわりくれー」
「わかった。リン君はどうする? お茶のおかわり」
「ああ、それならもらおうか。カンノが作業をするなら、オレは配信の画面を見ていることにしようか。必要であれば横槍を入れよう」
「助かります」
「は!? リ~ン~、お前も音を出せよ!」
「ここがスタジオであるならともかく、一般の安アパートだぞ。悪ふざけで音を重ねるにしても、一瞬だろう」
「へーへー、わかりましたよ。朝霞、モニター用のヘッドホンない?」
「ない」
「ねーのかよ! は? お前どーやってギターの練習してんの?」
「は? ギターはヘッドホンに繋ぐ前提じゃないとか言ったのはどの口だ?」
「どの口だったかな~?」
「朝霞、カンノは閉め出す頃合いではないか」
「真面目に視野に入ってきた」
「や、それはさすがにかわいそうじゃね?」
マジで2時までには静かにしろと念を押して、配信の準備を始める。今日はただひたすらに資材集めと整地の予定。サーバー内に誰かがいれば話は変わってくるけど。菅野が静かにならなければ、画面の隅に「チータがうるさいので今日は音声なしです」と注釈を入れるだけだ。
「はいお茶。ピッチャーで置いとくから好きに飲め」
「や、欲しかったら勝手にもらうし冷蔵庫に入れといて」
「はいはい」
「つかお前の部屋、何で台所以外にも冷蔵庫あんだよ。一人暮らしで1ドア冷蔵庫なんか要るか?」
「必要だったから買ったんだろ」
end.
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さすがのカンDでも作業中に立ち上がる時間ももったいないからと冷蔵庫を増設したりはしないらしい。立った方が運動にはなるね
久しく振りのUSDX。レイ君は多分メンバー内でもコラボ力の高い方じゃないかと見受ける。ポッと出だけどね。
ちなカンDが書いてた曲に関しての話、今年はそういややってない。気付いたら青敬MV話とかになってるのか
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