2021(02)
■Records and Documents
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「菜月先輩圭斗先輩! 先輩たちが現役の時ってどんな感じだったんすか!?」
「どんな感じかと聞かれても、まったくもってこの通りだとしか答えられないね」
「唐突にうまい棒レースを開こうとしたり、缶蹴り大会が始まったり。トランプやUNOでサークルの前半を使うところからしてお察しだ」
うまい棒を担いで圭斗先輩がサークル室に凱旋しヤした。まーた縁起でもない大会が開かれるかと2年生以上は冷や冷やしヤしたが、カノンが無邪気に「うまい棒は美味しく味わって食べたいっす」と発したところ、第2回うまい棒レースの開催は未然に防ぐことが出来ましたとサ。めでたし~めでたし。
「昔の記録だったら、菜月さんの撮った大量の写真があるだろう? それを見ればいいんじゃないかな」
「えっ、写真があるんすか!?」
「何だ、見学のときに見せていなかったのかい?」
「やァー、重くて持ち運ぶのにも一苦労なンすよ」
菜月先輩が置いて行ったアルバムは、何百枚にもなるMMPとインターフェイスの活動の記録と言うのが適してヤすね。菜月先輩が1年生だった頃から撮りまくって来たスマホカメラの写真や、スマホより不意打ちを狙いやすいインスタントカメラでの写真が収められている資料スね。
それこそ何百枚もある上に重いッつー理由で一度キチンと片付けてしまうとなかなか表には出て来ないモノなんスが、表に出て来るとそれを見てやいのやいのと盛り上がってしまうンすね。枚数がやたら多いンで、1回じャ全部見ることは不可能なンすわ。サークルの本筋の活動をするべき時は、片しておくべきモノスね。
「わー! 凄いっすねー! 全然知らない人がいるっす! あっ、これはりっちゃん先輩っすね!」
「それは去年のファンフェスの写真スねェー。こっちの茶髪の方の人が緑ヶ丘の高崎先輩っつー人で、菜月先輩と並んで“アナウンサーの双璧”ッて呼ばれたそりゃァまァ凄い人スわ」
「そうですねえ。FMむかいじまのコンテストで特別賞を取ったり、今はどこかのラジオ局でレギュラー番組を持っているんでしたっけ?」
「インターフェイスにはそんな凄い人がいるんすねー…!」
「高崎先輩は技術と華やかさを兼ね備えた唯一無二のアナウンサーでいらっしゃるんだぞ。そして聞く者すべてを魅了する低音ボイス! 内面もそれはもう男前でいらして、成績よし、運動神経抜群の文武両道で、それから……」
「野坂のはいつもの発作だから措いといて、アイツと菜月さんが僕たちの時代を彩ったアナウンサーであったことは事実だね」
「菜月先輩も凄いっす!」
こっちの人は誰っすか、どんな人なんすか、と4年生の先輩たちにあの頃話をせがむカノンの無邪気さスわ。それから、そのあの頃話を誰よりも楽しんでいるのは他ならぬ野坂スね。まァ、野坂も最近はなかなかにピリピリしてヤすから、たまの癒しという点で4年生の突然の来訪はありがたいスね。
「去年のファンフェスの写真だったら、これだな」
「えっ、野坂先輩めちゃくちゃ顔引き攣ってますけどどーしたんすかこれ! ヒロ先輩はいつも通りっすね」
「まさかそれを掘り返されるとは…!」
「お前を知る奴がインターフェイスにいる限り語られ続けるぞ。何分遅刻した後の写真だったかな」
「168分です…!」
「ひゃくろくじゅ……えー!? 2時間オーバーすか!?」
「3時間弱と言う方が正しいぞ」
ちなみに、時間にルーズなことで悪評高いMMPスけど、カノンは今のところ一般的な感覚のようスね。カノンにはこの調子で時間を守ってもらいたいものスわ。
「こっちのメッシュの人がこんだけ眩しい笑顔だし、野坂先輩の引き攣り笑顔がめっちゃ引き立つっす」
「これは当時ノサカとペアを組んだ星ヶ丘の山口だな」
「へー、この人もカッコいいっすねー」
「ついでだからカンザキの方も出しておこうか」
「私はどんな風に写ってましたっけ」
「まあいつものウザドル風だな」
「こっちのジャージの人は小さいし女子っすね! で、いかにもなプロデューサーっすねこっちのカーディガンの人は。またタイプの違うイケメンっすね」
「これは星ヶ丘の朝霞だな。姿に紛わず大学ではプロデューサーだったな」
「菜月先輩と圭斗先輩の写真はないんすか?」
「菜月さん自身が写ることは稀だね。写真嫌いなんだよ彼女は。ちなみに、僕の班はこっちの方になかったかな」
4年生の話題になると、野坂がこの先輩がこれこれこんな風にステキでいらして~とテンション高らかに解説を始めるンすわ。楽しそうにしてるなら何よりスけど。つか、今年のファンフェスでもやらかしてンすから、当分は伝説の遅刻魔として語り継がれるでしょーよ。
「そうそう、これが僕の班だね」
「くーっ、圭斗先輩、ベストにネクタイが決まってますねー! カッコいいっす!」
「そんな風に褒めてくれるのはカノンだけだよ。ありがとう。かわいいかわいい」
「圭斗先輩!? 俺は常日頃から圭斗先輩を褒め称えていますが!?」
「お前の賛美は何故かこう、耳がパタッと閉じてしまって内容が入って来ないんだよな」
「ナ、ナンダッテー!?」
「やーい。バーカバーカ。圭斗に何を期待するって言うんだ」
「そう言えば、“アナウンサーの双璧”は聞きましたけど、ミキサーの凄い人はいなかったんすか?」
「僕たちの時代のミキサーだったら、僕の横に写る、コイツじゃないかな。定例会の前委員長で、ミキサーはコイツの1人勝ち状態だったと思うよ」
「え~、1人勝ちとか相当ヤバいんすねー」
「単純にミキサーの人数が少な」
「菜月さん、1年生の夢を壊さないように」
end.
++++
うまい棒レースの開催が未然に防がれた後、どんな話をしてたのかなって。あの頃話に大歓喜のノサカとカノンである。
数百枚に及ぶ菜月さん撮影の写真だけど、スマホカメラもあってインスタントカメラもあってってなると、イベントで撮影して回るだけでも忙しそうだなあと
圭斗さんへの賛美がちゃんと届いていなかったことに衝撃を隠せないノサカであった。仕方ないね、何事もオーバーになるとはいはいってなるものだ
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「菜月先輩圭斗先輩! 先輩たちが現役の時ってどんな感じだったんすか!?」
「どんな感じかと聞かれても、まったくもってこの通りだとしか答えられないね」
「唐突にうまい棒レースを開こうとしたり、缶蹴り大会が始まったり。トランプやUNOでサークルの前半を使うところからしてお察しだ」
うまい棒を担いで圭斗先輩がサークル室に凱旋しヤした。まーた縁起でもない大会が開かれるかと2年生以上は冷や冷やしヤしたが、カノンが無邪気に「うまい棒は美味しく味わって食べたいっす」と発したところ、第2回うまい棒レースの開催は未然に防ぐことが出来ましたとサ。めでたし~めでたし。
「昔の記録だったら、菜月さんの撮った大量の写真があるだろう? それを見ればいいんじゃないかな」
「えっ、写真があるんすか!?」
「何だ、見学のときに見せていなかったのかい?」
「やァー、重くて持ち運ぶのにも一苦労なンすよ」
菜月先輩が置いて行ったアルバムは、何百枚にもなるMMPとインターフェイスの活動の記録と言うのが適してヤすね。菜月先輩が1年生だった頃から撮りまくって来たスマホカメラの写真や、スマホより不意打ちを狙いやすいインスタントカメラでの写真が収められている資料スね。
それこそ何百枚もある上に重いッつー理由で一度キチンと片付けてしまうとなかなか表には出て来ないモノなんスが、表に出て来るとそれを見てやいのやいのと盛り上がってしまうンすね。枚数がやたら多いンで、1回じャ全部見ることは不可能なンすわ。サークルの本筋の活動をするべき時は、片しておくべきモノスね。
「わー! 凄いっすねー! 全然知らない人がいるっす! あっ、これはりっちゃん先輩っすね!」
「それは去年のファンフェスの写真スねェー。こっちの茶髪の方の人が緑ヶ丘の高崎先輩っつー人で、菜月先輩と並んで“アナウンサーの双璧”ッて呼ばれたそりゃァまァ凄い人スわ」
「そうですねえ。FMむかいじまのコンテストで特別賞を取ったり、今はどこかのラジオ局でレギュラー番組を持っているんでしたっけ?」
「インターフェイスにはそんな凄い人がいるんすねー…!」
「高崎先輩は技術と華やかさを兼ね備えた唯一無二のアナウンサーでいらっしゃるんだぞ。そして聞く者すべてを魅了する低音ボイス! 内面もそれはもう男前でいらして、成績よし、運動神経抜群の文武両道で、それから……」
「野坂のはいつもの発作だから措いといて、アイツと菜月さんが僕たちの時代を彩ったアナウンサーであったことは事実だね」
「菜月先輩も凄いっす!」
こっちの人は誰っすか、どんな人なんすか、と4年生の先輩たちにあの頃話をせがむカノンの無邪気さスわ。それから、そのあの頃話を誰よりも楽しんでいるのは他ならぬ野坂スね。まァ、野坂も最近はなかなかにピリピリしてヤすから、たまの癒しという点で4年生の突然の来訪はありがたいスね。
「去年のファンフェスの写真だったら、これだな」
「えっ、野坂先輩めちゃくちゃ顔引き攣ってますけどどーしたんすかこれ! ヒロ先輩はいつも通りっすね」
「まさかそれを掘り返されるとは…!」
「お前を知る奴がインターフェイスにいる限り語られ続けるぞ。何分遅刻した後の写真だったかな」
「168分です…!」
「ひゃくろくじゅ……えー!? 2時間オーバーすか!?」
「3時間弱と言う方が正しいぞ」
ちなみに、時間にルーズなことで悪評高いMMPスけど、カノンは今のところ一般的な感覚のようスね。カノンにはこの調子で時間を守ってもらいたいものスわ。
「こっちのメッシュの人がこんだけ眩しい笑顔だし、野坂先輩の引き攣り笑顔がめっちゃ引き立つっす」
「これは当時ノサカとペアを組んだ星ヶ丘の山口だな」
「へー、この人もカッコいいっすねー」
「ついでだからカンザキの方も出しておこうか」
「私はどんな風に写ってましたっけ」
「まあいつものウザドル風だな」
「こっちのジャージの人は小さいし女子っすね! で、いかにもなプロデューサーっすねこっちのカーディガンの人は。またタイプの違うイケメンっすね」
「これは星ヶ丘の朝霞だな。姿に紛わず大学ではプロデューサーだったな」
「菜月先輩と圭斗先輩の写真はないんすか?」
「菜月さん自身が写ることは稀だね。写真嫌いなんだよ彼女は。ちなみに、僕の班はこっちの方になかったかな」
4年生の話題になると、野坂がこの先輩がこれこれこんな風にステキでいらして~とテンション高らかに解説を始めるンすわ。楽しそうにしてるなら何よりスけど。つか、今年のファンフェスでもやらかしてンすから、当分は伝説の遅刻魔として語り継がれるでしょーよ。
「そうそう、これが僕の班だね」
「くーっ、圭斗先輩、ベストにネクタイが決まってますねー! カッコいいっす!」
「そんな風に褒めてくれるのはカノンだけだよ。ありがとう。かわいいかわいい」
「圭斗先輩!? 俺は常日頃から圭斗先輩を褒め称えていますが!?」
「お前の賛美は何故かこう、耳がパタッと閉じてしまって内容が入って来ないんだよな」
「ナ、ナンダッテー!?」
「やーい。バーカバーカ。圭斗に何を期待するって言うんだ」
「そう言えば、“アナウンサーの双璧”は聞きましたけど、ミキサーの凄い人はいなかったんすか?」
「僕たちの時代のミキサーだったら、僕の横に写る、コイツじゃないかな。定例会の前委員長で、ミキサーはコイツの1人勝ち状態だったと思うよ」
「え~、1人勝ちとか相当ヤバいんすねー」
「単純にミキサーの人数が少な」
「菜月さん、1年生の夢を壊さないように」
end.
++++
うまい棒レースの開催が未然に防がれた後、どんな話をしてたのかなって。あの頃話に大歓喜のノサカとカノンである。
数百枚に及ぶ菜月さん撮影の写真だけど、スマホカメラもあってインスタントカメラもあってってなると、イベントで撮影して回るだけでも忙しそうだなあと
圭斗さんへの賛美がちゃんと届いていなかったことに衝撃を隠せないノサカであった。仕方ないね、何事もオーバーになるとはいはいってなるものだ
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