2021
■狙い撃つ円卓の双翼
++++
「はい。円卓会議ー。かんぱーい」
「かんぱーい」
今日はインターフェイスの2年男子4人が集まる会の、俺の部屋でやる方の円卓会議。本日のお品書きはたこ焼きパーティーと、夏合宿これからどうなるという2本立て。
タカティとエージは安定のお酒だし、俺は最初だから普通にほうじ茶で、ゲンゴローはコーラ。円卓会議っていう響きがいいから好き好んで使ってるけど、実際のところはただの男子会。これもご愛敬。
「聞いてくれよミドリ。班編成でコイツら、各大学の扱いがめんどくさそうな連中を俺の班にブチ込んどきゃいーべってノリで片っ端から俺に押しつけやがるっていう」
「見事に各大学の元気過ぎる子がエイジの班に集まったよね」
「お前が最初にうるせーから面倒見ろって理由でシノを俺にぶつけたからだっつーのは忘れてねーからな」
「でも、エージだったら確かに元気過ぎてコントロールが利かないような子でも手綱を握ってくれそうではあるかなー」
「そうそう」
「いや、俺はいいにしても、そんな連中ばっかって聞いたわかばが怯えてたっていう。バランスが悪いべどっからどー見ても」
こう言ったら怒られそうだけど、エージに関しては普段からタカティを叱りつけたりしてるからイメージが先行してるんだろうね。で、みんなこの子はエージに預けたいって思ったんじゃないかなとは。星大にはそういう感じの子はいないけど。
「ミドリ、マヨネーズ取って」
「はい」
「サンキュ」
「エイジ、次焼いていい?」
「あー、お前は食材に触るなっていう。俺がやるから黙って食っとけ」
「今日は別にロシアンとかゲテモノにしようがなくない?」
「いーや、お前なら絶対に遊ぶ」
そういうところね。2年生の中でのエージのイメージってヤツ。
「そう言えば、タカティと一緒の班になったんだよね俺って」
「そうだね。改めてよろしく」
「ウチの彩人を本当によろしくお願いします!」
「あ、星ヶ丘の子もいるんだね」
「うん。その子を預かるために俺とミドリが一緒になったんだ」
「え、どういうこと? 俺とタカティじゃないとダメって、何だろう」
俺とタカティの共通点って言ったら、メガネをかけてるとか、2年生比でのんびりした性格だとか、えーと、身長も同じくらいだし、家も割と近いかな。でも、そういうことじゃないんだろうな。
「本人から一応許可はもらってるから言うけど、他の人には内緒にしておいてね。彩人ね、こないだ部の女の先輩に襲われて、軽い女性恐怖になっちゃったんだよ」
「襲われるっつっても、暴力的にとか性的にとかいろいろ解釈出来るっていう。仮にも男だろ。男が女に襲われるってあんのか」
「性的な方だね。騒いだら負けるのはそっちだって脅されて抵抗出来なかったみたい。それで戸田班はしばらく厳重警戒を強いてて。それはともかく、女性恐怖にはなっちゃったけどインターフェイスの行事には出たいってことだったから、ダメ元で男子メインの班にならないかなってお願いしたんだ」
「ああ、そういう。それはなかなか重たい事情だね」
性的な方じゃなくても、暴力的にも女の人から男の人が襲われるっていうのも十分に可能性としてはあるよなあと、情報センターのことを思い出して1人で納得したりして。別に、まだもうちょっと残ってるプレッツェルのことは思い出したりしてませーん。
「そういうことなので、改めてタカティとミドリにはよろしくお願いします。あ、でも過度に気を使ってもらう必要もないんで。普通にしてくれれば大丈夫だから。対人恐怖とかではないし」
「わかったよ」
「えっと、同じ班にウチのオリちゃんがいるんだけど、大丈夫かな」
「女性恐怖って言っても、派手で、けばけばしくて、あからさまな男狙いって感じじゃなければ平気みたいだから。アオもその子なら大丈夫だって言ってたし、大丈夫じゃないかなとは」
「うん。性格は俺とタカティの間くらいで、見た目もボーイッシュと言うか、華美な女の子って感じではないし」
「はい、焼けたべ」
エージが焼いてくれたたこ焼きを各々の皿に分けてくれて、さらに追加で焼き始める。流れが完璧すぎて。円卓会議でこうやって奉行をやってくれるのって大体エージになりつつあるよね。たこ焼きでもお鍋でも。
「そうそう、班編成まで話は戻るけど、ゲンゴローったら酷いんだよミドリ」
「え、どうしたの」
「最初に2年生とウチの1年6人を割り振って、3枠が決まったんだよね。その時点で緑大と向島が2人以上いる班には星ヶ丘さんや青敬さんを積極的に入れていきましょうってなって」
「それはそうだね。ラジオメインとそれ以外の大学さんのバランスもあるし」
「ゲンゴローの班はさ、ハナちゃんとウチの1年の子がいるじゃない? 理屈としてはラジオをやらない大学さんを引き取ってもらわないとじゃん」
「そうだね。ハナちゃんなら安心だよ」
「それをゲンゴローの奴、自分が星ヶ丘枠だーとか言いやがる」
「えー!?」
「ね、酷くない?」
「いやいや、俺はラジオは全然やらないしね?」
「朝霞サンとつばめサンに扱かれたミキサーがそんな甘ったれたコト言う資格なんざねーべ」
「ホントに」
エージとタカティがおかんむりだ。班編成の現場ではいろいろあったんだね。でも、ゲンゴローが星ヶ丘枠っていうのはちょっと違う感じは確かにある。ラジオに不慣れ、苦手枠ってことだから。
「ゲンゴローは去年4班でなっち先輩たちとあの番組をやってるんだから、十分出来る枠だよねえ」
「だべ!? いやーさすがミドリはわかってんべ! たこ焼き食えたこ焼き」
「ありがと」
「高木、お前ゲンゴローに食わす用のロシアンたこ焼き、1個だけなら作っていいべ」
「あ、ホント? ミドリ、台所見ていい?」
「いいよー」
「――ってちょっと待って!? 結局向島さんの講習会に出てない子を引き取ったじゃない! ね~え~!」
end.
++++
暴力と性が混沌を生むフェーズ1の情報センターであった。ミドリは何山さんの顔を思い出していたのだろうか
タカエイから猛攻撃を受けるゲンゴロー、ドンマイ。でも結局は一番大変な目にも遭ってるので、合宿後にケアしたってタカエイ
円卓の4人がわちゃわちゃしてるのがただただかわいい。同学年男子だけのノリのTKGはなかなかにレア。
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「はい。円卓会議ー。かんぱーい」
「かんぱーい」
今日はインターフェイスの2年男子4人が集まる会の、俺の部屋でやる方の円卓会議。本日のお品書きはたこ焼きパーティーと、夏合宿これからどうなるという2本立て。
タカティとエージは安定のお酒だし、俺は最初だから普通にほうじ茶で、ゲンゴローはコーラ。円卓会議っていう響きがいいから好き好んで使ってるけど、実際のところはただの男子会。これもご愛敬。
「聞いてくれよミドリ。班編成でコイツら、各大学の扱いがめんどくさそうな連中を俺の班にブチ込んどきゃいーべってノリで片っ端から俺に押しつけやがるっていう」
「見事に各大学の元気過ぎる子がエイジの班に集まったよね」
「お前が最初にうるせーから面倒見ろって理由でシノを俺にぶつけたからだっつーのは忘れてねーからな」
「でも、エージだったら確かに元気過ぎてコントロールが利かないような子でも手綱を握ってくれそうではあるかなー」
「そうそう」
「いや、俺はいいにしても、そんな連中ばっかって聞いたわかばが怯えてたっていう。バランスが悪いべどっからどー見ても」
こう言ったら怒られそうだけど、エージに関しては普段からタカティを叱りつけたりしてるからイメージが先行してるんだろうね。で、みんなこの子はエージに預けたいって思ったんじゃないかなとは。星大にはそういう感じの子はいないけど。
「ミドリ、マヨネーズ取って」
「はい」
「サンキュ」
「エイジ、次焼いていい?」
「あー、お前は食材に触るなっていう。俺がやるから黙って食っとけ」
「今日は別にロシアンとかゲテモノにしようがなくない?」
「いーや、お前なら絶対に遊ぶ」
そういうところね。2年生の中でのエージのイメージってヤツ。
「そう言えば、タカティと一緒の班になったんだよね俺って」
「そうだね。改めてよろしく」
「ウチの彩人を本当によろしくお願いします!」
「あ、星ヶ丘の子もいるんだね」
「うん。その子を預かるために俺とミドリが一緒になったんだ」
「え、どういうこと? 俺とタカティじゃないとダメって、何だろう」
俺とタカティの共通点って言ったら、メガネをかけてるとか、2年生比でのんびりした性格だとか、えーと、身長も同じくらいだし、家も割と近いかな。でも、そういうことじゃないんだろうな。
「本人から一応許可はもらってるから言うけど、他の人には内緒にしておいてね。彩人ね、こないだ部の女の先輩に襲われて、軽い女性恐怖になっちゃったんだよ」
「襲われるっつっても、暴力的にとか性的にとかいろいろ解釈出来るっていう。仮にも男だろ。男が女に襲われるってあんのか」
「性的な方だね。騒いだら負けるのはそっちだって脅されて抵抗出来なかったみたい。それで戸田班はしばらく厳重警戒を強いてて。それはともかく、女性恐怖にはなっちゃったけどインターフェイスの行事には出たいってことだったから、ダメ元で男子メインの班にならないかなってお願いしたんだ」
「ああ、そういう。それはなかなか重たい事情だね」
性的な方じゃなくても、暴力的にも女の人から男の人が襲われるっていうのも十分に可能性としてはあるよなあと、情報センターのことを思い出して1人で納得したりして。別に、まだもうちょっと残ってるプレッツェルのことは思い出したりしてませーん。
「そういうことなので、改めてタカティとミドリにはよろしくお願いします。あ、でも過度に気を使ってもらう必要もないんで。普通にしてくれれば大丈夫だから。対人恐怖とかではないし」
「わかったよ」
「えっと、同じ班にウチのオリちゃんがいるんだけど、大丈夫かな」
「女性恐怖って言っても、派手で、けばけばしくて、あからさまな男狙いって感じじゃなければ平気みたいだから。アオもその子なら大丈夫だって言ってたし、大丈夫じゃないかなとは」
「うん。性格は俺とタカティの間くらいで、見た目もボーイッシュと言うか、華美な女の子って感じではないし」
「はい、焼けたべ」
エージが焼いてくれたたこ焼きを各々の皿に分けてくれて、さらに追加で焼き始める。流れが完璧すぎて。円卓会議でこうやって奉行をやってくれるのって大体エージになりつつあるよね。たこ焼きでもお鍋でも。
「そうそう、班編成まで話は戻るけど、ゲンゴローったら酷いんだよミドリ」
「え、どうしたの」
「最初に2年生とウチの1年6人を割り振って、3枠が決まったんだよね。その時点で緑大と向島が2人以上いる班には星ヶ丘さんや青敬さんを積極的に入れていきましょうってなって」
「それはそうだね。ラジオメインとそれ以外の大学さんのバランスもあるし」
「ゲンゴローの班はさ、ハナちゃんとウチの1年の子がいるじゃない? 理屈としてはラジオをやらない大学さんを引き取ってもらわないとじゃん」
「そうだね。ハナちゃんなら安心だよ」
「それをゲンゴローの奴、自分が星ヶ丘枠だーとか言いやがる」
「えー!?」
「ね、酷くない?」
「いやいや、俺はラジオは全然やらないしね?」
「朝霞サンとつばめサンに扱かれたミキサーがそんな甘ったれたコト言う資格なんざねーべ」
「ホントに」
エージとタカティがおかんむりだ。班編成の現場ではいろいろあったんだね。でも、ゲンゴローが星ヶ丘枠っていうのはちょっと違う感じは確かにある。ラジオに不慣れ、苦手枠ってことだから。
「ゲンゴローは去年4班でなっち先輩たちとあの番組をやってるんだから、十分出来る枠だよねえ」
「だべ!? いやーさすがミドリはわかってんべ! たこ焼き食えたこ焼き」
「ありがと」
「高木、お前ゲンゴローに食わす用のロシアンたこ焼き、1個だけなら作っていいべ」
「あ、ホント? ミドリ、台所見ていい?」
「いいよー」
「――ってちょっと待って!? 結局向島さんの講習会に出てない子を引き取ったじゃない! ね~え~!」
end.
++++
暴力と性が混沌を生むフェーズ1の情報センターであった。ミドリは何山さんの顔を思い出していたのだろうか
タカエイから猛攻撃を受けるゲンゴロー、ドンマイ。でも結局は一番大変な目にも遭ってるので、合宿後にケアしたってタカエイ
円卓の4人がわちゃわちゃしてるのがただただかわいい。同学年男子だけのノリのTKGはなかなかにレア。
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