2021
■○○上がりの一杯
++++
「ふー。あ、高木風呂サンキュ」
「お湯張るのすっごい久し振りだけど何ともなかった?」
「や、何の問題もなく普通に」
いつものようにエイジがうちに遊びに来ている。今日は何と、湯船にお湯を張ったんだ。1人暮らしをやっているとあんまり湯船にお湯を張ってゆっくり~っていう事がないんだよね。季節問わずシャワーで済ませがちになると言うか。
この季節だから、テレビでも掃除の話とかで盛り上がりがちだ。そんなことに関係なく年中掃除をしているのがエイジだけど、少し前にお風呂場の掃除をしてくれてたんだよね。せっかく掃除したし、1回風呂に入ってみたいという話にはなってたんだ。
エイジはうちにお客さんってレベルじゃなくなるくらいに遊びに来ている。その中で、一宿一飯の恩義じゃないけど、泊まるんだから家のことの手伝いをっていう感じでいろいろやってくれてるんだよね。今回のお風呂掃除もその一環。
「そしたら俺も入ろうかなあ」
「そうすっべ」
久々のお風呂だ。エイジが来る前にコンビニで買って来たっていう入浴剤の匂いがほんのりしている。きっと明日にはまたエイジが浴室の掃除をして帰るんだろうなあと思う。マメなんだよね。神経質って言うか。
俺の部屋にはエイジが泊まるとき用に使い捨ての下着セットが常に3回分揃えられている。なんならTシャツとハーフパンツも置いてあるから、いつでもどうぞっていう状態になってるんだよね。清潔な服じゃないと嫌だって言うんだもんなあ。
公衆浴場が苦手だったり手作りのお菓子とかもよっぽど信用出来る人のじゃないとダメだったり。掃除してもらったから一番風呂は譲ったけど、エイジは軽い潔癖の気もあるんだよね。でも、うちに来てる時点で完全な潔癖とは言えないからなあ。
「はー。あっつい。やっぱお風呂はシャワーよりあついねえ」
「な。わかるべ。さ、飲もうぜ」
「いいね」
お風呂から上がると、エイジが枝豆を用意してくれていた。コンビニで買える冷凍のヤツは本当に便利だと思う。で、枝豆と、ビール。風呂上がりの美味しいヤツ。冷蔵庫から缶を2本取り出して、晩酌の準備を。
「かんぱーい」
「つか、お前練習の成果出て来てるか? 普通にビール飲んでるっていう」
「まあ、まだそんなに量は飲めないけど、前よりは飲めるようになってきてるよね」
「高木、ビールを飲めるようになるといいことがあるっていう」
「どんな?」
「早く店に入ったらとか、一定の条件を満たすと生中が安くなる店はまあまあある」
「確かに。安く店で飲めるってことだね」
「そういうことだべ」
酒自体はまあまあ飲めるんだけど、元々ビールがあまり飲めなくて、ビールを飲むと結構ふわふわしてたんだよね。だけどそれじゃあMBCCでは生きていけないし、何よりビール派の人たちが美味しそうに飲んでるから、自分も飲めるようになりたかった。
というワケで、無制限飲みの合間なんかにビールを飲む練習というのをやってたんだ。でも、酔って迷惑をかけてもいけないから、付き合ってもらうのは果林先輩とか、最低限の人に留めてたんだよね。エイジには成果を見てビックリしてもらいたかったから練習相手には選んでなかったんだ。
「つばめサンによれば、6時だったか、それまでに入れば生中とギョーザで500円とかっていう店が地下にあるんだと」
「へえ、ワンコインで行けちゃうんだ。なかなか良心的だね」
「お前がビールを飲めるようになれば、そういう店にもふらっと入れるっていう」
「それは楽しみだね」
果林先輩とも俺がもっとビールを飲めるようになったらビアガーデンにも行ってみたいねという話はしている。ビアガーデンも楽しみだけど、小ぢんまりとしたお店でささやかな割引ビールっていうのも楽しみだなあ。何であれ、楽しみが増えるっていうのはいいことだと思う。
「初心者講習会の後でもその店に行くか?」
「いいね。ギョーザ食べたいし」
「小籠包も美味いんだと。地下の立ち飲みの店だから元々そこまで高くはないんだよ。辺り一帯の店をハシゴしてくって感じの飲み屋街みたくなってるらしいから」
「立ち飲みの店をハシゴかー……すっごく楽しそうだねえ」
「見るからに目が光ってんぞ」
「だって楽しそうじゃない?」
「そりゃな。楽しそうだっていうのは俺も同意だべ」
「早く土曜日にならないかなあ」
「もうその気だっていう。初心者講習会を乗り切らなきゃいけないんだべ」
「まあ、何とかなるよ」
「ちょっと前まではあんだけ慎重だったのに急~にいい加減になりやがった」
餃子の店だけじゃなくて、他にもいろいろあるんだろうからね。立ち飲みでサッと飲んでサッと次の店に行って、みたいなことはちょっと憧れるもんね。そういうことが出来るのもさすが星港だなって強く思う。
初心者講習会の後の2人打ち上げのために今週を頑張って乗り切ろうって思えちゃってるからね。社会人の人だと仕事終わりとかに一杯飲もうっていうのを楽しみに仕事を頑張るのかな。俺もゆくゆくはそうなるのかな。どうなのかな。
「家飲み用に冷凍庫をもうちょっと充実させたいなあ。揚げ物とかも入れときたいかも」
「そしたらそれはまた今度買い出しに行くべ。枝豆も使っちまったし」
end.
++++
風呂上がりの一杯を楽しむだけのタカエイ。飲みに行こうぜって言いながらきゃいきゃいしてるだけの話。
この段階だとTKG家の冷蔵庫もエイジが完璧に管理してるだろうし、冷凍庫もそれらしく整頓されてそう。
タカちゃんは将来的に仕事終わりに一杯を楽しみに仕事に励む人になりそうって自覚したようですね。でもMBCCのキャラって大体そんな感じありそう
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「ふー。あ、高木風呂サンキュ」
「お湯張るのすっごい久し振りだけど何ともなかった?」
「や、何の問題もなく普通に」
いつものようにエイジがうちに遊びに来ている。今日は何と、湯船にお湯を張ったんだ。1人暮らしをやっているとあんまり湯船にお湯を張ってゆっくり~っていう事がないんだよね。季節問わずシャワーで済ませがちになると言うか。
この季節だから、テレビでも掃除の話とかで盛り上がりがちだ。そんなことに関係なく年中掃除をしているのがエイジだけど、少し前にお風呂場の掃除をしてくれてたんだよね。せっかく掃除したし、1回風呂に入ってみたいという話にはなってたんだ。
エイジはうちにお客さんってレベルじゃなくなるくらいに遊びに来ている。その中で、一宿一飯の恩義じゃないけど、泊まるんだから家のことの手伝いをっていう感じでいろいろやってくれてるんだよね。今回のお風呂掃除もその一環。
「そしたら俺も入ろうかなあ」
「そうすっべ」
久々のお風呂だ。エイジが来る前にコンビニで買って来たっていう入浴剤の匂いがほんのりしている。きっと明日にはまたエイジが浴室の掃除をして帰るんだろうなあと思う。マメなんだよね。神経質って言うか。
俺の部屋にはエイジが泊まるとき用に使い捨ての下着セットが常に3回分揃えられている。なんならTシャツとハーフパンツも置いてあるから、いつでもどうぞっていう状態になってるんだよね。清潔な服じゃないと嫌だって言うんだもんなあ。
公衆浴場が苦手だったり手作りのお菓子とかもよっぽど信用出来る人のじゃないとダメだったり。掃除してもらったから一番風呂は譲ったけど、エイジは軽い潔癖の気もあるんだよね。でも、うちに来てる時点で完全な潔癖とは言えないからなあ。
「はー。あっつい。やっぱお風呂はシャワーよりあついねえ」
「な。わかるべ。さ、飲もうぜ」
「いいね」
お風呂から上がると、エイジが枝豆を用意してくれていた。コンビニで買える冷凍のヤツは本当に便利だと思う。で、枝豆と、ビール。風呂上がりの美味しいヤツ。冷蔵庫から缶を2本取り出して、晩酌の準備を。
「かんぱーい」
「つか、お前練習の成果出て来てるか? 普通にビール飲んでるっていう」
「まあ、まだそんなに量は飲めないけど、前よりは飲めるようになってきてるよね」
「高木、ビールを飲めるようになるといいことがあるっていう」
「どんな?」
「早く店に入ったらとか、一定の条件を満たすと生中が安くなる店はまあまあある」
「確かに。安く店で飲めるってことだね」
「そういうことだべ」
酒自体はまあまあ飲めるんだけど、元々ビールがあまり飲めなくて、ビールを飲むと結構ふわふわしてたんだよね。だけどそれじゃあMBCCでは生きていけないし、何よりビール派の人たちが美味しそうに飲んでるから、自分も飲めるようになりたかった。
というワケで、無制限飲みの合間なんかにビールを飲む練習というのをやってたんだ。でも、酔って迷惑をかけてもいけないから、付き合ってもらうのは果林先輩とか、最低限の人に留めてたんだよね。エイジには成果を見てビックリしてもらいたかったから練習相手には選んでなかったんだ。
「つばめサンによれば、6時だったか、それまでに入れば生中とギョーザで500円とかっていう店が地下にあるんだと」
「へえ、ワンコインで行けちゃうんだ。なかなか良心的だね」
「お前がビールを飲めるようになれば、そういう店にもふらっと入れるっていう」
「それは楽しみだね」
果林先輩とも俺がもっとビールを飲めるようになったらビアガーデンにも行ってみたいねという話はしている。ビアガーデンも楽しみだけど、小ぢんまりとしたお店でささやかな割引ビールっていうのも楽しみだなあ。何であれ、楽しみが増えるっていうのはいいことだと思う。
「初心者講習会の後でもその店に行くか?」
「いいね。ギョーザ食べたいし」
「小籠包も美味いんだと。地下の立ち飲みの店だから元々そこまで高くはないんだよ。辺り一帯の店をハシゴしてくって感じの飲み屋街みたくなってるらしいから」
「立ち飲みの店をハシゴかー……すっごく楽しそうだねえ」
「見るからに目が光ってんぞ」
「だって楽しそうじゃない?」
「そりゃな。楽しそうだっていうのは俺も同意だべ」
「早く土曜日にならないかなあ」
「もうその気だっていう。初心者講習会を乗り切らなきゃいけないんだべ」
「まあ、何とかなるよ」
「ちょっと前まではあんだけ慎重だったのに急~にいい加減になりやがった」
餃子の店だけじゃなくて、他にもいろいろあるんだろうからね。立ち飲みでサッと飲んでサッと次の店に行って、みたいなことはちょっと憧れるもんね。そういうことが出来るのもさすが星港だなって強く思う。
初心者講習会の後の2人打ち上げのために今週を頑張って乗り切ろうって思えちゃってるからね。社会人の人だと仕事終わりとかに一杯飲もうっていうのを楽しみに仕事を頑張るのかな。俺もゆくゆくはそうなるのかな。どうなのかな。
「家飲み用に冷凍庫をもうちょっと充実させたいなあ。揚げ物とかも入れときたいかも」
「そしたらそれはまた今度買い出しに行くべ。枝豆も使っちまったし」
end.
++++
風呂上がりの一杯を楽しむだけのタカエイ。飲みに行こうぜって言いながらきゃいきゃいしてるだけの話。
この段階だとTKG家の冷蔵庫もエイジが完璧に管理してるだろうし、冷凍庫もそれらしく整頓されてそう。
タカちゃんは将来的に仕事終わりに一杯を楽しみに仕事に励む人になりそうって自覚したようですね。でもMBCCのキャラって大体そんな感じありそう
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