2021
■夏らしさのお買い物
++++
「う~ん、うう~ん」
「悩むなあ」
「お金には限りがあるからね。どれを買ったらいいのかなあ、う~ん」
「気持ちはわかるし、じっくり悩んでくれ」
今日は伏見と映画を見に行って、飯を食いながら見た作品についての感想を喋ったり考察をして、ついでだし街歩きをするかあとぶらぶらしている。初夏の服を買いたいと伏見が言い出して、通りがかりの店に入る。
伏見は同じような白のパンツを2枚、睨み付けるように鏡の前で合わせては、どれがどうしたああしたと悩んでいる。一見すると同じような白のパンツなんだけど、1枚はオフホワイトのストレート、麻素材。もう1枚はハリのある素材のスティックパンツ。
「うう~ん。朝霞クン、どれにしよ?」
「オフホワイトが今っぽいし、素材もいいよな。でも、こっちのパンツもザ・伏見って感じではある」
「さすが朝霞クン! 違いの分かる男! そうなの! そうなんです! 相談し甲斐がある~! ちーとは大違い! ちーだったら「どっちも一緒じゃないかなあ」で終わり!」
「スウェットの違いにはうるさいのにな」
「そう!」
きれいめのパンツスタイルというのが伏見の定番コーディネートではある。夏にかけても白を基調としたスッキリとしたスタイルで行きたいようだ。で、コーディネートの軸となるパンツを新調したいようなんだけど、それをどれにするか延々と悩んでいる。
俺も夏は白のパンツスタイルを多用するんだけど、男のそれと女のそれを一緒くたにして考えるのはどうかと思うんだ。と言うか、服を買うなら俺よりミーナの方が同じ女子として的確なアドバイスが出来ると思うけど、一応話を聞くだけ聞いておく。
「よくあるパンツが候補になってるみたいだけど、こういう、ゆったりとしたパンツとかスカートは穿かないのか? 風通しが良さそうだけど」
「コーディネートが難しいんだよねえ。可愛らしすぎると言うか。きれいめに逃げちゃうんだよね」
「うーん……そうだな、例えば。パンツじゃないけど、こういう黒のスカートですっきりと見せるとか」
「上は何を着ればいいの?」
「それこそこういう白の無地Tシャツで良くないか? モノトーンでシンプルに。差し色を入れたければ……こういう、薄手のカーディガンを結んでおけばそれらしくなるだろ」
「朝霞センセ…!」
「先生言うな」
黒のギャザースカートをベースに、こういうトップスの場合はこう、こういうときはこう、などと伏見をマネキン代わりにガツガツ組み合わせて行く。サンダルとかの履物はシルバーが良さそうだとか。服を組み合わせるのが好きなんだよな、男物女物問わず。
「夏らしさを入れたければネックレスの素材とかで工夫するとか、いろいろあるだろ。女優帽を被ったっていいんだ」
「選ぶ楽しみが増えて困る! お金がない!」
「まあ、俺の言ってることは個人の見解だから、何を買うかはお前次第だけど」
「でも、この黒のスカートはいいなあ。新しいし、涼しそう。Tシャツは一応あるから、スカートとクツと、帽子買おう」
伏見が会計しているのを遠巻きに眺めながら、俺も新しい夏服はどうしようかなと少し考える。俺も何だかんだ同じようなコーディネートに落ち着いてしまうところがあるから。白のパンツの上に何色のポロシャツとカーディガンを合わせる? 的な。
「朝霞クンは夏服新調する方?」
「したいとは思ってる。それこそオフホワイトとかベージュ系のアイテムが欲しいとは思うし。アースカラーのボトムスもいいなとは。七分袖カーデとかも何枚か欲しいし」
「めちゃめちゃ買うじゃん!」
「ああ、服はそれなりに。でも似たようなのばっかりになりがちなんだ。俺も夏は白パンツに逃げがちだ。黒のスキニーとかアースカラーのテーパードとかもいいなと思いつつな」
「男の人の腕の、手首から肘までのラインって、男の人~って感じでいいよね」
「フェチ的な観点でか?」
「そうだね。筋っていうの? ほら、ちーがスウェットの袖をまくってるとさ、見えるじゃん。いいなーって」
「でも、確かにそういうのが好きな女子は多いよな」
話によれば、なっちがそういうのが好きらしいんだよな。と言うか、大石がフェチ心をくすぐるデパートだとかそんなような扱いらしい。それはともかく、腕のライン云々のことを言われると、とにかく残念な体格の俺はどうしようもなくなるワケで。大石と比べてくれるな。
「でもね、朝霞クンの腕もこの血管がいいし、腕時計がオシャレだから七分袖カーデは羽織ってみてもいいかもね。チラ見せで」
「そっか。そしたら買ってみようかな。何色の何をどう合わせよう」
「ベージュとか白とかと合わせるなら、ネイビーとか?」
「やっぱそうなるよな」
「でも朝霞クンでネイビーってあんまりないかもしれない。新鮮だね」
「そう言われれば確かにあんまないな。俺も挑戦してみるかあ。ちょっと、この後いいか? 俺の買い物にも付き合ってくれ」
「うんうん! いいよ!」
俺がこないだ見た七分袖カーディガンを売っている店へ。ネイビーってあったっけ? でも無難な色だからあるとは思うけど。いや、売れてしまって無くなった可能性もある。まだあるといいなあ。
「俺も服を山口と一緒に見て歩くだろ」
「うんうん」
「アイツはコーディネートが下手くそだから、あんまり相談相手としては向かないんだよな。だからいろいろ見てもらえると助かるな」
「あたしでよければ!」
end.
++++
朝霞Pとふしみんがお出掛けをしているようです。映画からのショッピング的な流れ。でも、あるっちゃある2人ですね。
隙あらばPさんは人のコーディネートをしているけど、自分のそれにもちょっと考えるところがあった様子。冒険はしたいんだね。近場ではあるけど。
やまよはコーディネートが下手くそなので、Pさんがこれなんかどうかなって聞いても「朝霞クンが言うんだしいいんだろうね~」で終わりそうなんだよなあ
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「う~ん、うう~ん」
「悩むなあ」
「お金には限りがあるからね。どれを買ったらいいのかなあ、う~ん」
「気持ちはわかるし、じっくり悩んでくれ」
今日は伏見と映画を見に行って、飯を食いながら見た作品についての感想を喋ったり考察をして、ついでだし街歩きをするかあとぶらぶらしている。初夏の服を買いたいと伏見が言い出して、通りがかりの店に入る。
伏見は同じような白のパンツを2枚、睨み付けるように鏡の前で合わせては、どれがどうしたああしたと悩んでいる。一見すると同じような白のパンツなんだけど、1枚はオフホワイトのストレート、麻素材。もう1枚はハリのある素材のスティックパンツ。
「うう~ん。朝霞クン、どれにしよ?」
「オフホワイトが今っぽいし、素材もいいよな。でも、こっちのパンツもザ・伏見って感じではある」
「さすが朝霞クン! 違いの分かる男! そうなの! そうなんです! 相談し甲斐がある~! ちーとは大違い! ちーだったら「どっちも一緒じゃないかなあ」で終わり!」
「スウェットの違いにはうるさいのにな」
「そう!」
きれいめのパンツスタイルというのが伏見の定番コーディネートではある。夏にかけても白を基調としたスッキリとしたスタイルで行きたいようだ。で、コーディネートの軸となるパンツを新調したいようなんだけど、それをどれにするか延々と悩んでいる。
俺も夏は白のパンツスタイルを多用するんだけど、男のそれと女のそれを一緒くたにして考えるのはどうかと思うんだ。と言うか、服を買うなら俺よりミーナの方が同じ女子として的確なアドバイスが出来ると思うけど、一応話を聞くだけ聞いておく。
「よくあるパンツが候補になってるみたいだけど、こういう、ゆったりとしたパンツとかスカートは穿かないのか? 風通しが良さそうだけど」
「コーディネートが難しいんだよねえ。可愛らしすぎると言うか。きれいめに逃げちゃうんだよね」
「うーん……そうだな、例えば。パンツじゃないけど、こういう黒のスカートですっきりと見せるとか」
「上は何を着ればいいの?」
「それこそこういう白の無地Tシャツで良くないか? モノトーンでシンプルに。差し色を入れたければ……こういう、薄手のカーディガンを結んでおけばそれらしくなるだろ」
「朝霞センセ…!」
「先生言うな」
黒のギャザースカートをベースに、こういうトップスの場合はこう、こういうときはこう、などと伏見をマネキン代わりにガツガツ組み合わせて行く。サンダルとかの履物はシルバーが良さそうだとか。服を組み合わせるのが好きなんだよな、男物女物問わず。
「夏らしさを入れたければネックレスの素材とかで工夫するとか、いろいろあるだろ。女優帽を被ったっていいんだ」
「選ぶ楽しみが増えて困る! お金がない!」
「まあ、俺の言ってることは個人の見解だから、何を買うかはお前次第だけど」
「でも、この黒のスカートはいいなあ。新しいし、涼しそう。Tシャツは一応あるから、スカートとクツと、帽子買おう」
伏見が会計しているのを遠巻きに眺めながら、俺も新しい夏服はどうしようかなと少し考える。俺も何だかんだ同じようなコーディネートに落ち着いてしまうところがあるから。白のパンツの上に何色のポロシャツとカーディガンを合わせる? 的な。
「朝霞クンは夏服新調する方?」
「したいとは思ってる。それこそオフホワイトとかベージュ系のアイテムが欲しいとは思うし。アースカラーのボトムスもいいなとは。七分袖カーデとかも何枚か欲しいし」
「めちゃめちゃ買うじゃん!」
「ああ、服はそれなりに。でも似たようなのばっかりになりがちなんだ。俺も夏は白パンツに逃げがちだ。黒のスキニーとかアースカラーのテーパードとかもいいなと思いつつな」
「男の人の腕の、手首から肘までのラインって、男の人~って感じでいいよね」
「フェチ的な観点でか?」
「そうだね。筋っていうの? ほら、ちーがスウェットの袖をまくってるとさ、見えるじゃん。いいなーって」
「でも、確かにそういうのが好きな女子は多いよな」
話によれば、なっちがそういうのが好きらしいんだよな。と言うか、大石がフェチ心をくすぐるデパートだとかそんなような扱いらしい。それはともかく、腕のライン云々のことを言われると、とにかく残念な体格の俺はどうしようもなくなるワケで。大石と比べてくれるな。
「でもね、朝霞クンの腕もこの血管がいいし、腕時計がオシャレだから七分袖カーデは羽織ってみてもいいかもね。チラ見せで」
「そっか。そしたら買ってみようかな。何色の何をどう合わせよう」
「ベージュとか白とかと合わせるなら、ネイビーとか?」
「やっぱそうなるよな」
「でも朝霞クンでネイビーってあんまりないかもしれない。新鮮だね」
「そう言われれば確かにあんまないな。俺も挑戦してみるかあ。ちょっと、この後いいか? 俺の買い物にも付き合ってくれ」
「うんうん! いいよ!」
俺がこないだ見た七分袖カーディガンを売っている店へ。ネイビーってあったっけ? でも無難な色だからあるとは思うけど。いや、売れてしまって無くなった可能性もある。まだあるといいなあ。
「俺も服を山口と一緒に見て歩くだろ」
「うんうん」
「アイツはコーディネートが下手くそだから、あんまり相談相手としては向かないんだよな。だからいろいろ見てもらえると助かるな」
「あたしでよければ!」
end.
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朝霞Pとふしみんがお出掛けをしているようです。映画からのショッピング的な流れ。でも、あるっちゃある2人ですね。
隙あらばPさんは人のコーディネートをしているけど、自分のそれにもちょっと考えるところがあった様子。冒険はしたいんだね。近場ではあるけど。
やまよはコーディネートが下手くそなので、Pさんがこれなんかどうかなって聞いても「朝霞クンが言うんだしいいんだろうね~」で終わりそうなんだよなあ
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