2021
■ナチュラルグリーンガーデン
++++
「はいこーた先輩! これがこーた先輩のお花ですよ。で、果林先輩にはこっちのお花をどうぞ」
ファンフェス当日、班で集合するなりユキちゃんがアタシとこーたにお花を配り始めた。事前の打ち合わせで、この班のテーマは“ナチュラルガーデンテイスト”ということに決まり、みんなでお庭っぽいアクセサリーをつけましょうといかにも青女さんらしいことを言ってたんだよね。
ユキちゃんは元々ロハス系じゃないけど、自然と調和する感じの服だから全く違和感なく枝冠を被っている。頭の羽飾りもあいまって鳥の巣みたい。鳥の巣はいろんな方面から怒られそう。わかばは名前の通り、若葉をモチーフにしたイヤリングを付けている。
アタシに配られたのは白いカリンの花をモチーフにしたヘッドドレス。そしてこーたに配られたのは、去年の夏合宿でもサドニナに言われて付けていた、大きなヒマワリのブローチ。見た感じ、2年生が草木で3年生が花なんだね。でも普通に売ってそうなアクセサリーでビックリしたよね。
「果林先輩も付けてみてくださいよ。えーっと、先輩ポンパドールなんで~、この辺に付けるのがいいですかねー。うん! かわいい!」
「てかユキちゃんこれどーしたの? 買ったにしても高そうだし」
「さと先輩に作ってもらったんですよ。ウチでやってる植物園ステージで衣装を作ってくれてるんですけどさと先輩、その延長っていう感じで」
「えっ、沙都子ってメンバー分の服作ってるんでしょ? その合間にアタシらのアクセサリー作ってくれたみたいなこと?」
「そうですね。あたしの枝冠はそのままステージ衣装にも使いますし、こーた先輩のヒマワリは大量に作り過ぎて余ってるお花の中から使ってますんで、さと先輩的にそこまでの手間じゃなかったらしいです」
沙都子は手芸が趣味で、こういう作業は朝飯前。そうは言っても、これだけ作ってもらってお礼の挨拶すらしないのはさすがに問題なので、沙都子に挨拶をしに行くことに。えーと、沙都子はどこにいるかなー。あっいた。
「沙都子ー」
「あっ、果林ちゃん」
「何か、青女さんでの仕事の合間にウチの班員みんな用にアクセサリー作ってもらったみたいで、ありがとねー」
「ううん、楽しかったから。あっ、似合ってるね、よかったー」
「つけてはみたものの、まだ自分で見てないんだよね」
「鏡あるよ。はい、どうぞ」
「どうもー。へー、こんな感じになってるんだ」
「ねえ高木くん、こっちこっち」
「はい?」
「果林ちゃんのヘッドドレス、似合ってるよねー」
沙都子の班にいるタカちゃんを呼んで、アタシの頭に付いてるヘッドドレスの意見を問う。普段のアタシってあんまり花って感じじゃないし、MBCCのメンバーからしたら違和感バリバリだと思うけどどうだろう。
「果林先輩に花のイメージはあまりなかったですけど、新鮮でいいですね」
「そっかー。果林ちゃんにお花だったら元気なイメージのヒマワリとかになりやすいかな?」
「あっ、そうですね。ヒマワリはしっくりきますね。ちなみにこれは何の花なんですか?」
「これはカリンの花なんだよ」
「へえ、カリンってこんな花なんですね。実の方は何となくイメージ出来たんですけど」
「そうだよねー。実のイメージの方が強いよね。そしたら、他の子たちがどんな風になってるか見せてもらおうかな。果林ちゃん、そっちの班見に行っていい?」
「どうぞどうぞ!」
沙都子をウチの班の集まりに案内して、アクセサリーを付けたみんなとご対面させる。ユキちゃんの枝冠に関してはいつもと大体同じだから安定のクオリティだったみたいだけど、主にこーたとわかばの様子が気になってたみたい。
「なっちゃん、いいねー」
「普段あんまりイヤリングはつけないですけど、ちゃんと付けれてますか?」
「うん! 似合ってる~。ねえユキちゃん」
「いいですよねー」
「わかば、せっかくなんだし髪の毛耳にかけてみたら?」
「え……こう、ですか…?」
「いいじゃん!」
「えー! なっちゃんいい! 大人っぽい! いいですよねえさと先輩!」
「うん。ちょっとしたことなんだけど、雰囲気変わるねー」
わかばは少し長めでボリュームのあるおかっぱボブの髪をしてる。それを耳にかけて揺れるイヤリングを見せるだけで雰囲気が結構変わる。いつもは地味とか大人しいっていう感じだけど、エキゾチックだなーって風にも見える。
「なっちゃん服が落ち着いた単色だから、イヤリングの緑が際立つんだよね」
「えー、なっちゃんの新境地ー」
「ユキちゃんはいつも通りにしても、果林ちゃんもお花似合ってたしなっちゃんも想像以上に良かったし、作らせてもらえてよかったー」
「こーた先輩も謎に似合ってますしね」
「私はお花という柄ではないんですけどねえ。しかもこんなに明るいお花ですよ? それこそ色的に果林のデフォルトじゃないですか?」
「でも、こう見えてアタシもナチュラルガーデンテイストを演出するために今日のジャージは緑にしてきたんですよねー」
ジャージを緑にしてきて大正解。ヘッドドレスが白だから、せっかくの花が映えるんだよね。一応ね、アタシも時と場合を考えてジャージの色を考えてるんですよね。でも、アタシも新境地を開いてみてもいいかもしれないよね。まあ、それはいつかってことで。
end.
++++
ファンフェス当日の果林班。ナチュラルガーデンテイストを演出するための小道具はユキちゃんが、もとい、さとちゃんが用意してくれました。
若葉をイメージしたアクセサリーを検索したら素敵な物がたくさん出て来たので、きっとさとちゃんも素敵なのを作ったんだろうなあ
そして安定のお花神崎。サドニナもユキちゃんもこーた先輩で遊び過ぎである。
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「はいこーた先輩! これがこーた先輩のお花ですよ。で、果林先輩にはこっちのお花をどうぞ」
ファンフェス当日、班で集合するなりユキちゃんがアタシとこーたにお花を配り始めた。事前の打ち合わせで、この班のテーマは“ナチュラルガーデンテイスト”ということに決まり、みんなでお庭っぽいアクセサリーをつけましょうといかにも青女さんらしいことを言ってたんだよね。
ユキちゃんは元々ロハス系じゃないけど、自然と調和する感じの服だから全く違和感なく枝冠を被っている。頭の羽飾りもあいまって鳥の巣みたい。鳥の巣はいろんな方面から怒られそう。わかばは名前の通り、若葉をモチーフにしたイヤリングを付けている。
アタシに配られたのは白いカリンの花をモチーフにしたヘッドドレス。そしてこーたに配られたのは、去年の夏合宿でもサドニナに言われて付けていた、大きなヒマワリのブローチ。見た感じ、2年生が草木で3年生が花なんだね。でも普通に売ってそうなアクセサリーでビックリしたよね。
「果林先輩も付けてみてくださいよ。えーっと、先輩ポンパドールなんで~、この辺に付けるのがいいですかねー。うん! かわいい!」
「てかユキちゃんこれどーしたの? 買ったにしても高そうだし」
「さと先輩に作ってもらったんですよ。ウチでやってる植物園ステージで衣装を作ってくれてるんですけどさと先輩、その延長っていう感じで」
「えっ、沙都子ってメンバー分の服作ってるんでしょ? その合間にアタシらのアクセサリー作ってくれたみたいなこと?」
「そうですね。あたしの枝冠はそのままステージ衣装にも使いますし、こーた先輩のヒマワリは大量に作り過ぎて余ってるお花の中から使ってますんで、さと先輩的にそこまでの手間じゃなかったらしいです」
沙都子は手芸が趣味で、こういう作業は朝飯前。そうは言っても、これだけ作ってもらってお礼の挨拶すらしないのはさすがに問題なので、沙都子に挨拶をしに行くことに。えーと、沙都子はどこにいるかなー。あっいた。
「沙都子ー」
「あっ、果林ちゃん」
「何か、青女さんでの仕事の合間にウチの班員みんな用にアクセサリー作ってもらったみたいで、ありがとねー」
「ううん、楽しかったから。あっ、似合ってるね、よかったー」
「つけてはみたものの、まだ自分で見てないんだよね」
「鏡あるよ。はい、どうぞ」
「どうもー。へー、こんな感じになってるんだ」
「ねえ高木くん、こっちこっち」
「はい?」
「果林ちゃんのヘッドドレス、似合ってるよねー」
沙都子の班にいるタカちゃんを呼んで、アタシの頭に付いてるヘッドドレスの意見を問う。普段のアタシってあんまり花って感じじゃないし、MBCCのメンバーからしたら違和感バリバリだと思うけどどうだろう。
「果林先輩に花のイメージはあまりなかったですけど、新鮮でいいですね」
「そっかー。果林ちゃんにお花だったら元気なイメージのヒマワリとかになりやすいかな?」
「あっ、そうですね。ヒマワリはしっくりきますね。ちなみにこれは何の花なんですか?」
「これはカリンの花なんだよ」
「へえ、カリンってこんな花なんですね。実の方は何となくイメージ出来たんですけど」
「そうだよねー。実のイメージの方が強いよね。そしたら、他の子たちがどんな風になってるか見せてもらおうかな。果林ちゃん、そっちの班見に行っていい?」
「どうぞどうぞ!」
沙都子をウチの班の集まりに案内して、アクセサリーを付けたみんなとご対面させる。ユキちゃんの枝冠に関してはいつもと大体同じだから安定のクオリティだったみたいだけど、主にこーたとわかばの様子が気になってたみたい。
「なっちゃん、いいねー」
「普段あんまりイヤリングはつけないですけど、ちゃんと付けれてますか?」
「うん! 似合ってる~。ねえユキちゃん」
「いいですよねー」
「わかば、せっかくなんだし髪の毛耳にかけてみたら?」
「え……こう、ですか…?」
「いいじゃん!」
「えー! なっちゃんいい! 大人っぽい! いいですよねえさと先輩!」
「うん。ちょっとしたことなんだけど、雰囲気変わるねー」
わかばは少し長めでボリュームのあるおかっぱボブの髪をしてる。それを耳にかけて揺れるイヤリングを見せるだけで雰囲気が結構変わる。いつもは地味とか大人しいっていう感じだけど、エキゾチックだなーって風にも見える。
「なっちゃん服が落ち着いた単色だから、イヤリングの緑が際立つんだよね」
「えー、なっちゃんの新境地ー」
「ユキちゃんはいつも通りにしても、果林ちゃんもお花似合ってたしなっちゃんも想像以上に良かったし、作らせてもらえてよかったー」
「こーた先輩も謎に似合ってますしね」
「私はお花という柄ではないんですけどねえ。しかもこんなに明るいお花ですよ? それこそ色的に果林のデフォルトじゃないですか?」
「でも、こう見えてアタシもナチュラルガーデンテイストを演出するために今日のジャージは緑にしてきたんですよねー」
ジャージを緑にしてきて大正解。ヘッドドレスが白だから、せっかくの花が映えるんだよね。一応ね、アタシも時と場合を考えてジャージの色を考えてるんですよね。でも、アタシも新境地を開いてみてもいいかもしれないよね。まあ、それはいつかってことで。
end.
++++
ファンフェス当日の果林班。ナチュラルガーデンテイストを演出するための小道具はユキちゃんが、もとい、さとちゃんが用意してくれました。
若葉をイメージしたアクセサリーを検索したら素敵な物がたくさん出て来たので、きっとさとちゃんも素敵なのを作ったんだろうなあ
そして安定のお花神崎。サドニナもユキちゃんもこーた先輩で遊び過ぎである。
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