2021
■当日の動きはどうするの
＋＋＋＋
「定例会です。さて、いよいよファンフェスが今週末の土曜日ということで皆さん調子はどうですか」
一応今日がファンフェス前最後の定例会ということで、本番前に確認しておくことを洗い浚いチェックしておく。機材チェックは前にやったから大丈夫として、現地でやることだとか、何か忘れていることはないかということを。今ならまだギリギリ間に合うだろうから。
定例会は今日が最後だけど、班やペアでの打ち合わせ何かをまだやる所はやるんだろう。例年ファンフェスの番組は得てして夏合宿よりも緩めになりがちだけど、夏合宿を経ての本番っていうのが多分このファンフェスだから、運営的にも番組的にも油断は禁物だ。
「あの、Ｌ先輩」
「どうした奈々」
「去年って一般参加者の集合が花栄駅の７番出口の方で、そこに定例会じゃない班長の人が待っててくれたっていう話じゃないですか」
「そうだな。高崎先輩と山口先輩が一般参加者を集めて来てくれたんだけど、どうかした？」
「ちょっと小耳に挟んだんですけど、去年って圭斗先輩から「向島の遅刻は切り捨てろ」っていう指示が入ってたそうじゃないですか。で、ウチどころかインターフェイスでも一番ヤバい人が一般の班長じゃないっすか。その対処はどうしましょうか、うっすうっす」
「あー…！ それがあったかー…！」
奈々は微妙に濁していたけど、これを濁さずストレートに言うと「野坂が遅れてきたらどうする？」的な話だ。うーん、これは身内だからこそ出せる話に違いない。野坂は集合時刻に１時間や２時間遅れることが普通というとんでもない遅刻魔なんだ。
と言うか去年も３時間弱だったか、それくらい遅れて来て、到着したのが番組の始まる直前だったというとんでもないやらかしをしている。そのおかげで当時定例会議長だった圭斗先輩が今にもブチ切れる寸前だったのが怖くて怖くてしょうがなかったっていうな。
「まあ、俺ら以外に果林とつばめがいるから一般参加者を集めて連れて来ることに関してはそこまで心配いらないけど、遅れて来た人間をどうするかっていうヤツなー」
「つばめの性格だったら定例会が頼む以前にバッサリいきそうな気もするけど」
「つばめ先輩は間違いなくバッサリ行くですよ」
「そしたら果林にも高崎先輩の路線を継承してもらう方針で、遅刻は見捨てるまでは行かないけど、悪質な物に関しては慈悲なしということで……大丈夫ですかね？」
大丈夫でーすと返事をするのは一般参加者よりも１時間早く集合して現地で機材セットなんかをする定例会メンバーなんだけど、本当に大丈夫かな？ まあ、ぶっちゃけインターフェイスで遅刻云々で問題になってきたのって向島とカズ先輩くらいだし、まあ大丈夫だろうと思いたい。
「参加者の集合時刻については前日にまた改めて俺から一般の班長たちにお願いするし、で、俺たちは機材の回収のことを考えなきゃいけないんだよな。そういうことで、ハマちゃん、ドライバーとしてよろしく」
「任せとけ！ つばみから機材は全部持って来いって言われてっけど大丈夫だよな？」
「ちょっと待ってハマちゃん、“全部”っていうのが引っかかるんだけど」
「直クンの思ってる通りで合ってると思うぜ。つばみの班にはヒロがいる」
「それはいいんだけど、ワイヤレスの機材も使うってことでしょ？ こないだの機材チェックのときに動かした覚えないんだけど」
「あー、まあ、それを今現在対応出来んのがつばめとゲンゴローだけだもんな。悪いけどそれは現地で星ヶ丘勢にやってもらうとして、これを機に俺たちもワイヤレスの使い方ちゃんと聞いとかなきゃな」
去年の夏合宿で日の目を見た謎の機材はワイヤレスマイクに対応している受信機(？)らしいんだけど、よくある一般的なラジオをやってるウチや向島にはあんまり馴染みがなくて、屋外でステージをやってる星ヶ丘とかの方が馴染みのある物だったんだよな。
今回のファンフェスでとうとう一般の人向けにワイヤレスを用いた中継の手法をやってしまうのかと、内心ビクビクしている。自分がやるワケでもないのにどうしてかはわからないけど。大方ヒロが思い付きでやってるであろうそれをつばめが上手くコントロールしてくれていることを願うしかない。
「で、この機材の回収は３年生だけでやるから２年生は当日所定の集合時刻に遅れずに来てください」
「はーい」
「こないだアナウンサー陣に作ってもらった装飾ってどこやったっけ？」
「機材と一緒にまとめてなかったかな」
「そうか。それなら大丈夫そうだな。一応機材搬出の日に台車を貸してもらえるように中村さんに頼んであるし、ひとつひとつ抱えて何往復もしなくていいんじゃないかな」
「台車なんてあったんだね」
「あるらしいんだよこれが」
定例会の集合時刻も確認したし、機材チェックはとうに済んでる。機材の搬出の段取りも何となくはやってあるからあとは当日のことになるのかな。どんなトラブルが起きても落ち着いて対処できるだけの、こう、どっしり構えている議長の貫禄？ 俺には無理かなぁ。みんなで何とかやれたらいいよなあ。
「ところでＬ、ファンフェス終わってからでも全然いーんだけどさ」
「どうかしたか」
「MDストック入れてるカゴ買い替えね？ 今のカゴボロボロだしパねえレベルでヒビ入ってるからあぶねーのなんのって」
「カゴなー。まあ、出しても何百円とかか。ちょっと考えてみようか？」
end.
＋＋＋＋
奈々の心配よ。ちなMMPはりっちゃん以外大なり小なりのやらかしがあるので信用ならないというのが菜月さん評。その中には奈々も含まれている。
定例会議長のＬがそれらしく会議を回せるようになって来ているなあという印象。他のメンバーもそこまでグイグイ来ないからね。
これからＬはファンフェスの現場で自分が行おうとしている改革についてまた新たに考えることになるんだけども、どこまで土台が作れるかしらね
.
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「定例会です。さて、いよいよファンフェスが今週末の土曜日ということで皆さん調子はどうですか」
一応今日がファンフェス前最後の定例会ということで、本番前に確認しておくことを洗い浚いチェックしておく。機材チェックは前にやったから大丈夫として、現地でやることだとか、何か忘れていることはないかということを。今ならまだギリギリ間に合うだろうから。
定例会は今日が最後だけど、班やペアでの打ち合わせ何かをまだやる所はやるんだろう。例年ファンフェスの番組は得てして夏合宿よりも緩めになりがちだけど、夏合宿を経ての本番っていうのが多分このファンフェスだから、運営的にも番組的にも油断は禁物だ。
「あの、Ｌ先輩」
「どうした奈々」
「去年って一般参加者の集合が花栄駅の７番出口の方で、そこに定例会じゃない班長の人が待っててくれたっていう話じゃないですか」
「そうだな。高崎先輩と山口先輩が一般参加者を集めて来てくれたんだけど、どうかした？」
「ちょっと小耳に挟んだんですけど、去年って圭斗先輩から「向島の遅刻は切り捨てろ」っていう指示が入ってたそうじゃないですか。で、ウチどころかインターフェイスでも一番ヤバい人が一般の班長じゃないっすか。その対処はどうしましょうか、うっすうっす」
「あー…！ それがあったかー…！」
奈々は微妙に濁していたけど、これを濁さずストレートに言うと「野坂が遅れてきたらどうする？」的な話だ。うーん、これは身内だからこそ出せる話に違いない。野坂は集合時刻に１時間や２時間遅れることが普通というとんでもない遅刻魔なんだ。
と言うか去年も３時間弱だったか、それくらい遅れて来て、到着したのが番組の始まる直前だったというとんでもないやらかしをしている。そのおかげで当時定例会議長だった圭斗先輩が今にもブチ切れる寸前だったのが怖くて怖くてしょうがなかったっていうな。
「まあ、俺ら以外に果林とつばめがいるから一般参加者を集めて連れて来ることに関してはそこまで心配いらないけど、遅れて来た人間をどうするかっていうヤツなー」
「つばめの性格だったら定例会が頼む以前にバッサリいきそうな気もするけど」
「つばめ先輩は間違いなくバッサリ行くですよ」
「そしたら果林にも高崎先輩の路線を継承してもらう方針で、遅刻は見捨てるまでは行かないけど、悪質な物に関しては慈悲なしということで……大丈夫ですかね？」
大丈夫でーすと返事をするのは一般参加者よりも１時間早く集合して現地で機材セットなんかをする定例会メンバーなんだけど、本当に大丈夫かな？ まあ、ぶっちゃけインターフェイスで遅刻云々で問題になってきたのって向島とカズ先輩くらいだし、まあ大丈夫だろうと思いたい。
「参加者の集合時刻については前日にまた改めて俺から一般の班長たちにお願いするし、で、俺たちは機材の回収のことを考えなきゃいけないんだよな。そういうことで、ハマちゃん、ドライバーとしてよろしく」
「任せとけ！ つばみから機材は全部持って来いって言われてっけど大丈夫だよな？」
「ちょっと待ってハマちゃん、“全部”っていうのが引っかかるんだけど」
「直クンの思ってる通りで合ってると思うぜ。つばみの班にはヒロがいる」
「それはいいんだけど、ワイヤレスの機材も使うってことでしょ？ こないだの機材チェックのときに動かした覚えないんだけど」
「あー、まあ、それを今現在対応出来んのがつばめとゲンゴローだけだもんな。悪いけどそれは現地で星ヶ丘勢にやってもらうとして、これを機に俺たちもワイヤレスの使い方ちゃんと聞いとかなきゃな」
去年の夏合宿で日の目を見た謎の機材はワイヤレスマイクに対応している受信機(？)らしいんだけど、よくある一般的なラジオをやってるウチや向島にはあんまり馴染みがなくて、屋外でステージをやってる星ヶ丘とかの方が馴染みのある物だったんだよな。
今回のファンフェスでとうとう一般の人向けにワイヤレスを用いた中継の手法をやってしまうのかと、内心ビクビクしている。自分がやるワケでもないのにどうしてかはわからないけど。大方ヒロが思い付きでやってるであろうそれをつばめが上手くコントロールしてくれていることを願うしかない。
「で、この機材の回収は３年生だけでやるから２年生は当日所定の集合時刻に遅れずに来てください」
「はーい」
「こないだアナウンサー陣に作ってもらった装飾ってどこやったっけ？」
「機材と一緒にまとめてなかったかな」
「そうか。それなら大丈夫そうだな。一応機材搬出の日に台車を貸してもらえるように中村さんに頼んであるし、ひとつひとつ抱えて何往復もしなくていいんじゃないかな」
「台車なんてあったんだね」
「あるらしいんだよこれが」
定例会の集合時刻も確認したし、機材チェックはとうに済んでる。機材の搬出の段取りも何となくはやってあるからあとは当日のことになるのかな。どんなトラブルが起きても落ち着いて対処できるだけの、こう、どっしり構えている議長の貫禄？ 俺には無理かなぁ。みんなで何とかやれたらいいよなあ。
「ところでＬ、ファンフェス終わってからでも全然いーんだけどさ」
「どうかしたか」
「MDストック入れてるカゴ買い替えね？ 今のカゴボロボロだしパねえレベルでヒビ入ってるからあぶねーのなんのって」
「カゴなー。まあ、出しても何百円とかか。ちょっと考えてみようか？」
end.
＋＋＋＋
奈々の心配よ。ちなMMPはりっちゃん以外大なり小なりのやらかしがあるので信用ならないというのが菜月さん評。その中には奈々も含まれている。
定例会議長のＬがそれらしく会議を回せるようになって来ているなあという印象。他のメンバーもそこまでグイグイ来ないからね。
これからＬはファンフェスの現場で自分が行おうとしている改革についてまた新たに考えることになるんだけども、どこまで土台が作れるかしらね
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