2021
■何から手を付けよう
++++
「定例会です」
「L、今日はどうするの?」
「ファンフェスの打ち合わせにも入ってる頃合いだと思うけど、定例会的にはインターフェイスの機材の確認もしておきたい」
向島インターフェイス放送委員会は、緑ヶ丘大学、向島大学、星港大学、青葉女学園大学、星ヶ丘大学、青浪敬愛大学の6大学で活動している。6校の交流だとか、放送技術向上を目的とした行事を主にやっているような感じだ。
少し前までは実際に営業しているスキー場でラジオ番組をやったりしていたそうだけど、それも今年4年生になった学年まで。それ以降は不景気に伴うスキー場の営業停止で一般に営業している施設などでの活動は出来ていない。
そんな中でも継続して行われているのは、ゴールデンウイーク明けの週末にあるファンタジックフェスタというイベントでやるDJブースだ。大学混合で3、4人の班を作り、持ち回りで公開生放送の番組をやらせてもらっている。
ファンフェスの出展ブースは飲食物から手作り雑貨に占いまで、本当に多種多様。そんなごちゃ混ぜの中のひとつとしてインターフェイスも参加することになっていて、定例会ではそれに向けた話し合いを進めているところだ。
「インターフェイスの機材か。そう言えば、どこにあるんだろう」
「その脇にドアがあるだろ。そっちから入っていったところに物置があるらしい。俺も話に聞いただけで実際に見たことはないから、見ておかないとなと」
「いざ運び出す時になって物がないとか、持って来てみてぶっ壊れてるとかだと話になんねーよな!」
「そう。だから今日は、機材チェックをメインにやっていこうと思う。3年生と奈々とあやめは機材チェック、残りの2年生で装飾の作業をやってもらうっていう感じで頼む。模造紙とかマジックとかはここに用意してるから」
「はーい」
インターフェイスはフィネスタという企業のお世話になりながら活動をしている。その会社の入るビルの6階にある中会議室で普段定例会の会議をしてるんだけど、部屋の入り口ではなく奥の方に、ドアがもうひとつある。そっち側に物置があるそうなんだ。
会議の前に企業側の担当者、中村さんには物置に入る旨は伝えてある。恐る恐るそっちのドアを開けて見ると、薄暗くて、本当に裏側だなという感じ。右手側にあるからという中村さんの言葉を信じ、そっち側を見ながら歩を進めれば、物置と書かれた部屋を発見。
「ここか。物置」
「この廊下も薄暗いけど、物置はもっと暗いね。空気も籠もってる感じがする」
「電気を点けよう」
部屋の電気を付けると、ただでさえ籠もってる空気が、埃っぽいということがわかる。それらしい機材の山を見つけたので、足の踏み場もない物置から何とか機材を引っ張り出して、会議室へと運び出す。
インターフェイスの荷物は何気に多いし、イベントなどで運び出すには6階から下ろさなきゃいけないのがなかなか面倒だ。だけど、それをサボると財政難だったりで大変なことになるというのは去年でよくわかったので、自分たちで出来るところではインターフェイスの機材をちゃんと使わなければならない。
「機材はともかく、やっぱこれがネックだよな」
「ああ、MDストック?」
「運ぶには重すぎるし、毎月1枚増えてくだろ。何とかしないと場所も圧迫するし、MD代もかかるしどうしたモンかな」
「まあ、急にどうこう出来るモンでもないし、それはまた後から考えりゃいーじゃん? 今は機材チェックしよーぜ」
「ああ、そうだな、そうしよう」
機材を接続して、ちゃんと動くかどうか確かめる。それをやりながらも、このMDの山をどうしようかに意識は向いたままだ。これがMBCCのMDストックだったなら、機材部長の俺と機材管理担当の高木で話し合ってどうこうし始められるんだけど、インターフェイスだからな。
「おーいL、今回のファンフェスってパソコンで同録やるんだろー?」
「ああ、その予定だな。こないだの制作会でもちゃんと出来たしその方針で行こうとは」
「これ、パソコンとミキサーってどうやって繋ぐんだ?」
「そうだよね。今ある機材に増やすんでしょ?」
「ああ、それはこれをこうして……」
インターフェイスの活動の中では何となくご法度とされて来たパソコンも、最近では使い始めている。3月にあった春の番組制作会ではMP3形式の音声ファイルとして同録を保存できないかという実験をやっていた。それが無事成功したのでファンフェスでは正式にその形式でやろうということになった。
現実問題として、今は番組の同録をMDなんかで録音したところで家でMDを聞ける環境がなければ意味がない。だったら、金がかかるだけで聞かれないMDをスパッとやめて、金もかからずコピーや転送も早くて聞きやすいファイル形式にした方が良くないか? という。
「一応接続できたし、このまま同録もちゃんと録れるか確認しておこうか」
「そうだな。俺、装飾チームの様子見て来る。後で報告頼む」
「いってらー」
MDストックの中の音源をファイル化すれば運搬も楽だし、今後月ごとのヒット曲なんかを揃えるにしてもMD代がかからないっていうのは魅力的なんだよな。ついでに、やった番組もストック出来るしやっていく価値はあるんじゃないかとは思うんだよな。問題は、どうやっていくかだ。まあ、MBCCの方で実験か。
そういやサークル室にUSB付きのコンパクトミキサーがあったよな。MDストックをどうこうするまではこれを使ってパソコンと繋いだ方が圧倒的に楽そうではある。うーん、また今度試してみようか。1回や2回じゃなかなか結論は出ないな。
end.
++++
地味に今年度はやってなかったんじゃないかという定例会のお話。フェーズ1ではインターフェイスの機材をあまり使わなかったので、定例会メンバーには未知の空間。
ただ、インターフェイスを取り巻く機材環境は変わりつつあるんですね。ここから定例会議長・Lがどのように改革に着手していくのかは見もの。
今の定例会はハマちゃんがメインの運転手として活躍することになるのかな。車があるといいね。車のない対策委員はやっぱりパワープレーになるのかな。
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「定例会です」
「L、今日はどうするの?」
「ファンフェスの打ち合わせにも入ってる頃合いだと思うけど、定例会的にはインターフェイスの機材の確認もしておきたい」
向島インターフェイス放送委員会は、緑ヶ丘大学、向島大学、星港大学、青葉女学園大学、星ヶ丘大学、青浪敬愛大学の6大学で活動している。6校の交流だとか、放送技術向上を目的とした行事を主にやっているような感じだ。
少し前までは実際に営業しているスキー場でラジオ番組をやったりしていたそうだけど、それも今年4年生になった学年まで。それ以降は不景気に伴うスキー場の営業停止で一般に営業している施設などでの活動は出来ていない。
そんな中でも継続して行われているのは、ゴールデンウイーク明けの週末にあるファンタジックフェスタというイベントでやるDJブースだ。大学混合で3、4人の班を作り、持ち回りで公開生放送の番組をやらせてもらっている。
ファンフェスの出展ブースは飲食物から手作り雑貨に占いまで、本当に多種多様。そんなごちゃ混ぜの中のひとつとしてインターフェイスも参加することになっていて、定例会ではそれに向けた話し合いを進めているところだ。
「インターフェイスの機材か。そう言えば、どこにあるんだろう」
「その脇にドアがあるだろ。そっちから入っていったところに物置があるらしい。俺も話に聞いただけで実際に見たことはないから、見ておかないとなと」
「いざ運び出す時になって物がないとか、持って来てみてぶっ壊れてるとかだと話になんねーよな!」
「そう。だから今日は、機材チェックをメインにやっていこうと思う。3年生と奈々とあやめは機材チェック、残りの2年生で装飾の作業をやってもらうっていう感じで頼む。模造紙とかマジックとかはここに用意してるから」
「はーい」
インターフェイスはフィネスタという企業のお世話になりながら活動をしている。その会社の入るビルの6階にある中会議室で普段定例会の会議をしてるんだけど、部屋の入り口ではなく奥の方に、ドアがもうひとつある。そっち側に物置があるそうなんだ。
会議の前に企業側の担当者、中村さんには物置に入る旨は伝えてある。恐る恐るそっちのドアを開けて見ると、薄暗くて、本当に裏側だなという感じ。右手側にあるからという中村さんの言葉を信じ、そっち側を見ながら歩を進めれば、物置と書かれた部屋を発見。
「ここか。物置」
「この廊下も薄暗いけど、物置はもっと暗いね。空気も籠もってる感じがする」
「電気を点けよう」
部屋の電気を付けると、ただでさえ籠もってる空気が、埃っぽいということがわかる。それらしい機材の山を見つけたので、足の踏み場もない物置から何とか機材を引っ張り出して、会議室へと運び出す。
インターフェイスの荷物は何気に多いし、イベントなどで運び出すには6階から下ろさなきゃいけないのがなかなか面倒だ。だけど、それをサボると財政難だったりで大変なことになるというのは去年でよくわかったので、自分たちで出来るところではインターフェイスの機材をちゃんと使わなければならない。
「機材はともかく、やっぱこれがネックだよな」
「ああ、MDストック?」
「運ぶには重すぎるし、毎月1枚増えてくだろ。何とかしないと場所も圧迫するし、MD代もかかるしどうしたモンかな」
「まあ、急にどうこう出来るモンでもないし、それはまた後から考えりゃいーじゃん? 今は機材チェックしよーぜ」
「ああ、そうだな、そうしよう」
機材を接続して、ちゃんと動くかどうか確かめる。それをやりながらも、このMDの山をどうしようかに意識は向いたままだ。これがMBCCのMDストックだったなら、機材部長の俺と機材管理担当の高木で話し合ってどうこうし始められるんだけど、インターフェイスだからな。
「おーいL、今回のファンフェスってパソコンで同録やるんだろー?」
「ああ、その予定だな。こないだの制作会でもちゃんと出来たしその方針で行こうとは」
「これ、パソコンとミキサーってどうやって繋ぐんだ?」
「そうだよね。今ある機材に増やすんでしょ?」
「ああ、それはこれをこうして……」
インターフェイスの活動の中では何となくご法度とされて来たパソコンも、最近では使い始めている。3月にあった春の番組制作会ではMP3形式の音声ファイルとして同録を保存できないかという実験をやっていた。それが無事成功したのでファンフェスでは正式にその形式でやろうということになった。
現実問題として、今は番組の同録をMDなんかで録音したところで家でMDを聞ける環境がなければ意味がない。だったら、金がかかるだけで聞かれないMDをスパッとやめて、金もかからずコピーや転送も早くて聞きやすいファイル形式にした方が良くないか? という。
「一応接続できたし、このまま同録もちゃんと録れるか確認しておこうか」
「そうだな。俺、装飾チームの様子見て来る。後で報告頼む」
「いってらー」
MDストックの中の音源をファイル化すれば運搬も楽だし、今後月ごとのヒット曲なんかを揃えるにしてもMD代がかからないっていうのは魅力的なんだよな。ついでに、やった番組もストック出来るしやっていく価値はあるんじゃないかとは思うんだよな。問題は、どうやっていくかだ。まあ、MBCCの方で実験か。
そういやサークル室にUSB付きのコンパクトミキサーがあったよな。MDストックをどうこうするまではこれを使ってパソコンと繋いだ方が圧倒的に楽そうではある。うーん、また今度試してみようか。1回や2回じゃなかなか結論は出ないな。
end.
++++
地味に今年度はやってなかったんじゃないかという定例会のお話。フェーズ1ではインターフェイスの機材をあまり使わなかったので、定例会メンバーには未知の空間。
ただ、インターフェイスを取り巻く機材環境は変わりつつあるんですね。ここから定例会議長・Lがどのように改革に着手していくのかは見もの。
今の定例会はハマちゃんがメインの運転手として活躍することになるのかな。車があるといいね。車のない対策委員はやっぱりパワープレーになるのかな。
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