2020(04)
■こねくる最初の質問
++++
「タネよし皿よし竹串よし! あとは何だ!」
「調味料よし」
「一応米よし。リーダー、次何する?」
「あとはすがやん待ちだ! どんと来い!」
今日はシノの部屋でたこ焼きパーティーが開かれることになっている。それもMBCCの同期6人だけじゃなく向島の1年3人も招待して、2校の交流会めいたノリでやることになったんだ。
家主のシノと足のある俺と玲那は先に準備をしていて、残りのメンバーはすがやんが連れて来てくれることになっている。いつもいつもドライバーとして働いてもらっていてすがやんには頭が上がらない。
「シーノー! お邪魔しまーす!」
「おー! 来い来い!」
まずくるみがやってきて、サキ、カノンと続く。そしてここからが知らない顔だ。名前だけは聞いているけど向島の新しい子だろう。すがやんは論外として、車組の2人とはもう自己紹介が済んでるだろうから、後は俺たち3人か。
「お邪魔しまーす。こんちはー、向島の新顔でーす」
「はじめまして、こんにちは。私は鳥居春風といいます。それからこっちが松居奏多です」
「DJネームは春風がとりぃで、奏多が松兄って感じに決まったからよろしく! えーっと、紹介がまだなのはササとシノと、レナか。自己紹介頼むわー」
「ササこと佐々木陸です」
「篠木智也! 長篠の篠に木って書くから俺はシノ!」
「栗山玲那です」
粗方自己紹介を済ませて、よろしくーと落ち着く。松兄は黒目が印象的で色気のあるイケメンだ。この場では一応とりぃと呼んでおいた方がいいだろう、彼女はスレンダー系の長身で、背中には大きな三つ編み。透明感があって、可憐さと綺麗さを兼ね備えている。
「あ、そーいやさー。向島の抽選会で当てた米、まだ開けてなかったからここで食おうぜー。たこ焼きだけじゃ足りないだろ」
「いいね! 俺らも飯はいるって思ってたんだよ!」
「これだったらみんなに還元出来るしちょうどいいだろ。余ったら1人暮らしの足しにしてもらって、お前が食ってくれよ」
「サンキュ! それじゃ早速飯の準備するわー」
シノが炊飯器の支度をしてくれているので、こっちでもたこ焼きの準備をすることに。くるみとすがやんが率先してやってくれていて、何か大学祭の食品ブースを見ているようだ。向島勢は一応お客さんなので、しばらく待っててもらう感じ。
「春風、お前またMMPのサークル室ですがやんにしたみたいにいきなり「何の勉強してるんですかー」とか聞くなよ?」
「聞きません」
「でも、それがきっかけですがやんと急接近したんだし、悪いことばっかりでもなかったじゃんな」
「いや、でもサークル関係で会ってんのに勉強の話とかしたくなくね?」
「春風は何の勉強してるの? 星が好きだって聞いたけど」
「えっと、玲那さん」
「レナでいいよ。ちなみに私は工学部で、ロボットを中心とした機械工学を勉強してるんだけど」
「私は情報メディア学科で、プログラミングから映像、音声制作などまで、いろいろなメディアとITを絡めた技術を学んでいます。将来はプラネタリウムのアナウンスをするのが夢なんですけど、プラネタリウムの天球に投影される映像を作ったりもしてみたいと思っています。直近の目標は向島ロボット大戦に出場して1回戦を突破することで」
「向島ロボット大戦?」
「向島大学では2年に一度大学祭と同日に行われている行事で、ロボコンのような物でしょうか。ベースとなるロボットの本体を既定の範囲で改造して、それが動くプログラムを書いてリングの上で戦わせる、という感じなんですけど」
「向島にはそんな楽しそうな行事が…!?」
明らかに玲那の目の色が変わったよな。ロボットのハードを既定の範囲内とは言え好きなようにカスタムして、動くプログラムも自分で書いて、戦略を立てて戦うって、絶対玲那の好きそうな大会だもんな。緑大ではそういう大会はやってないのか。
「野坂先輩も出場すると言っていましたし、情報科学部に入学したからには一度は出場しておきたい行事で。例年女性の参加者はいないか少ないそうなのですが、女性だからこそ出来る戦い方という物を突き詰めてみたいのです」
「気持ちはわかる。私も向島だったら絶対出てる」
「いやー? 俺も情報科学部だけど別に出たいとは思わないなぁー」
「奏多は黙ってて。えっと、レナはロボットや機械が好きなんですか?」
「子供の頃から大好き。私も将来的にはロボットに携わりたいかな」
「とてもいいと思います! ロボットや機械なら、私は宇宙開発に関係する物が好きで」
「ああ、いいね。宇宙開発関係も一応通ってるからある程度は話せるよ」
「あの、これから仲良くしてもらっていいですか?」
「もちろん。いろんな話をしよう。ロボットのことに星のこと、それから、恋の話も」
「あ、えっと……皆さん徹平くんとのことは知って…?」
「ますね」
「恥ずかしいです…!」
「大丈夫大丈夫。私の彼氏もここにいるから。ねえ陸さん」
「あっ、えっ!? 何だった?」
「レナはササさんと付き合っているのですね!」
「陸さんいつも人の話さりげなく聞いてるのに何で今回不意打ち食らったみたいになってた?」
「特に理由はないです」
考古学に絡んだ天文学の観点ですがやんと仲良くなって、今度は宇宙に関わる機械工学の観点で玲那と話が弾んでるのか。何の勉強をしてるんですかという話も今いるメンバーに関して言えばあまり悪くない話題なんだろうな。あと、玲那のロボット談議に付いて行ける人が出て来てくれて本当に感謝するしかない。
end.
++++
シノの部屋という1年生豊葦拠点が完成してしまったので、まあこうなるよね。9人大集合です。
春風は友達が出来るか不安だったみたいだけど、得てして同士を探したがるオタクに見つかってしまってよかったね
そう言えば向島の抽選会で当ててたお米、すがやんはまだ開封してなかったのね。先輩に出したら一瞬でなくなるけど、そういう機会もないしねなかなか
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「タネよし皿よし竹串よし! あとは何だ!」
「調味料よし」
「一応米よし。リーダー、次何する?」
「あとはすがやん待ちだ! どんと来い!」
今日はシノの部屋でたこ焼きパーティーが開かれることになっている。それもMBCCの同期6人だけじゃなく向島の1年3人も招待して、2校の交流会めいたノリでやることになったんだ。
家主のシノと足のある俺と玲那は先に準備をしていて、残りのメンバーはすがやんが連れて来てくれることになっている。いつもいつもドライバーとして働いてもらっていてすがやんには頭が上がらない。
「シーノー! お邪魔しまーす!」
「おー! 来い来い!」
まずくるみがやってきて、サキ、カノンと続く。そしてここからが知らない顔だ。名前だけは聞いているけど向島の新しい子だろう。すがやんは論外として、車組の2人とはもう自己紹介が済んでるだろうから、後は俺たち3人か。
「お邪魔しまーす。こんちはー、向島の新顔でーす」
「はじめまして、こんにちは。私は鳥居春風といいます。それからこっちが松居奏多です」
「DJネームは春風がとりぃで、奏多が松兄って感じに決まったからよろしく! えーっと、紹介がまだなのはササとシノと、レナか。自己紹介頼むわー」
「ササこと佐々木陸です」
「篠木智也! 長篠の篠に木って書くから俺はシノ!」
「栗山玲那です」
粗方自己紹介を済ませて、よろしくーと落ち着く。松兄は黒目が印象的で色気のあるイケメンだ。この場では一応とりぃと呼んでおいた方がいいだろう、彼女はスレンダー系の長身で、背中には大きな三つ編み。透明感があって、可憐さと綺麗さを兼ね備えている。
「あ、そーいやさー。向島の抽選会で当てた米、まだ開けてなかったからここで食おうぜー。たこ焼きだけじゃ足りないだろ」
「いいね! 俺らも飯はいるって思ってたんだよ!」
「これだったらみんなに還元出来るしちょうどいいだろ。余ったら1人暮らしの足しにしてもらって、お前が食ってくれよ」
「サンキュ! それじゃ早速飯の準備するわー」
シノが炊飯器の支度をしてくれているので、こっちでもたこ焼きの準備をすることに。くるみとすがやんが率先してやってくれていて、何か大学祭の食品ブースを見ているようだ。向島勢は一応お客さんなので、しばらく待っててもらう感じ。
「春風、お前またMMPのサークル室ですがやんにしたみたいにいきなり「何の勉強してるんですかー」とか聞くなよ?」
「聞きません」
「でも、それがきっかけですがやんと急接近したんだし、悪いことばっかりでもなかったじゃんな」
「いや、でもサークル関係で会ってんのに勉強の話とかしたくなくね?」
「春風は何の勉強してるの? 星が好きだって聞いたけど」
「えっと、玲那さん」
「レナでいいよ。ちなみに私は工学部で、ロボットを中心とした機械工学を勉強してるんだけど」
「私は情報メディア学科で、プログラミングから映像、音声制作などまで、いろいろなメディアとITを絡めた技術を学んでいます。将来はプラネタリウムのアナウンスをするのが夢なんですけど、プラネタリウムの天球に投影される映像を作ったりもしてみたいと思っています。直近の目標は向島ロボット大戦に出場して1回戦を突破することで」
「向島ロボット大戦?」
「向島大学では2年に一度大学祭と同日に行われている行事で、ロボコンのような物でしょうか。ベースとなるロボットの本体を既定の範囲で改造して、それが動くプログラムを書いてリングの上で戦わせる、という感じなんですけど」
「向島にはそんな楽しそうな行事が…!?」
明らかに玲那の目の色が変わったよな。ロボットのハードを既定の範囲内とは言え好きなようにカスタムして、動くプログラムも自分で書いて、戦略を立てて戦うって、絶対玲那の好きそうな大会だもんな。緑大ではそういう大会はやってないのか。
「野坂先輩も出場すると言っていましたし、情報科学部に入学したからには一度は出場しておきたい行事で。例年女性の参加者はいないか少ないそうなのですが、女性だからこそ出来る戦い方という物を突き詰めてみたいのです」
「気持ちはわかる。私も向島だったら絶対出てる」
「いやー? 俺も情報科学部だけど別に出たいとは思わないなぁー」
「奏多は黙ってて。えっと、レナはロボットや機械が好きなんですか?」
「子供の頃から大好き。私も将来的にはロボットに携わりたいかな」
「とてもいいと思います! ロボットや機械なら、私は宇宙開発に関係する物が好きで」
「ああ、いいね。宇宙開発関係も一応通ってるからある程度は話せるよ」
「あの、これから仲良くしてもらっていいですか?」
「もちろん。いろんな話をしよう。ロボットのことに星のこと、それから、恋の話も」
「あ、えっと……皆さん徹平くんとのことは知って…?」
「ますね」
「恥ずかしいです…!」
「大丈夫大丈夫。私の彼氏もここにいるから。ねえ陸さん」
「あっ、えっ!? 何だった?」
「レナはササさんと付き合っているのですね!」
「陸さんいつも人の話さりげなく聞いてるのに何で今回不意打ち食らったみたいになってた?」
「特に理由はないです」
考古学に絡んだ天文学の観点ですがやんと仲良くなって、今度は宇宙に関わる機械工学の観点で玲那と話が弾んでるのか。何の勉強をしてるんですかという話も今いるメンバーに関して言えばあまり悪くない話題なんだろうな。あと、玲那のロボット談議に付いて行ける人が出て来てくれて本当に感謝するしかない。
end.
++++
シノの部屋という1年生豊葦拠点が完成してしまったので、まあこうなるよね。9人大集合です。
春風は友達が出来るか不安だったみたいだけど、得てして同士を探したがるオタクに見つかってしまってよかったね
そう言えば向島の抽選会で当ててたお米、すがやんはまだ開封してなかったのね。先輩に出したら一瞬でなくなるけど、そういう機会もないしねなかなか
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