2020(04)
■スルースキルも交換
++++
「そしたら、全体の進行はこれで以上になります。お疲れさまでした」
「お疲れさまでしたー」
インターフェイスの技術交換会という行事が新しく開かれて、各大学の持っている技術や作品制作の手法なんかの情報を出し合っていた。行事自体は手探りでやってるんだけど、今までラジオのことばかりやっていたインターフェイスの中で、ステージや映像の話を聞けたのは新鮮だった。
新しく……いや、厳密には復帰してくる桜貝大学の皆さんがどういう風に活動しているのかを聞いたり、話には聞いていても実際にはなかなか見る機会のない星ヶ丘のステージの話も結構面白かった。一言でミキサーと言っても屋外ならではの癖があったりして、勉強することはまだまだ多い。
俺は緑ヶ丘で進めているパソコンを用いたデータ管理や、番組にそれらのデジタルファイルを生かす手法についての話をした。インターフェイスでも同じように進めているし、これからはサキがやっていくことになる。だから新しいことをやる前にウチが実験場になるのは変わらない。
「凄いね北星、こんなに分かりやすい資料まで作ってくれて」
「これは~、元々作ってあったヤツですね~」
「スマホでいつでも見れるし、ダウンロードして印刷も出来るし便利だよ」
「随時アップデートもするので~、思い出した時にでもチェックしてくださ~い」
これからインターフェイスでも映像関係の活動を始めるということもあって、映像メイン校の青敬さんと桜貝さんの話はみんな強い関心を持って聞いていた。2校は同じ映像メイン校と言ってもカラーが少し違うみたいだ。
桜貝さんはYouTuberの実写企画みたいな動画がメインで、実際に物を紹介したり遊んでみたりするのを撮っている。青敬さんは何て言うんだろ、風景動画だったりCGをふんだんに使った動画が主なのかな。企画を主にするか、技術を主にするかって差を感じた。
青敬代表としてプレゼンをしてくれたのはあやめと北星だ。普段大学で使ってるソフトや機材の話に編集技法、それから、俺たちみたく映像作品の制作をやったことのない人間がとっかかりやすいような機材やアプリの話をしてくれた。
「でも、これだけの資料を作るの大変じゃなかった?」
「これは~、くるちゃんのブログのための調査資料から~、使えそうなのだけ引っ張ってきたんで~」
「くるみのブログの資料?」
「くるちゃんって~、スマホだけで動画撮ってるじゃないですか」
「そうらしいね」
「スマホだけでいかにクオリティの高い映像に出来るかっていう技術協力をしてて、カメラの使い方を調べたり、一般にリリースされてるアプリをいろいろ落としてみて俺が普段使ってるソフトと比較したりしてるんですね。この資料はそのメモをまとめたものです。なので、今後アプリストアに新しいアプリが出るとアップデートされます」
「なるほど。その資料を使ってくるみが動画撮影をしてるって感じ?」
「実際に撮ったり、紹介したりっていう感じですね。最近ではくるちゃんがブログに上げてる動画を俺が再編集して“くるるちゃんねる”に上げれる仕様にするっていう感じでやってて」
「へえ、くるみと北星はそういうところで技術提携じゃないけど、タッグを組んでやってるような感じなんだね」
「ですね~」
映像制作を本格的に勉強している北星が今更スマホだけで動画を作る手法を調べなくても良さそうなものだけど、映像を勉強しているからこそ知っていなければならないと思ったそうだ。それでくるみとタッグを組んでスマホを使った映像制作に携わり始めたとのこと。
くるみのブログと連動している動画チャンネルを技術の面で助け始めて、ただ自分の好きなように動画を作っていたときとは違う難しさを感じるようになったそうだ。取引相手の注文通りにやればいいだけの仕事とは違って、幅広く一般の人に受け入れられる必要もある。北星にとっては勉強の日々だという。
「あ~、そうだ~。高木さ~ん、くるちゃんて~、頑固なところもあるんですか~?」
「頑固って言うか、一度決めたことはやり抜きたいと思う方の子ではあるけど、どうかした?」
「くるちゃんのブログって~、本人曰くささやかに収益のあるブログなんですけど~、俺が協力してるからってくるちゃんは対価を払おうとするんです~? 俺はいらないよ~って言ってるんですけど~、なかなか納得してくれなくて~」
「ちなみに、北星が協力するようになってその収益が上がってるような感じなの?」
「スイーツの記事が元々強いんですけど~、カメラアプリとかの紹介記事も伸びてるらしくて~、それでだと思うんですけど~」
「その金額にもよると思うけどね。くるみがブロガーとして生計を立ててるならもらってもいいと思うけど、今は趣味なんでしょ? うーん……継続的な報酬じゃなくて、手伝ってるお礼に1回何かごちそうになるとかで手を打てたらいいんだろうけどね」
「そうですね~。それでお茶を濁す感じで~」
「くるみが好きだからって理由でケーキとかを食べに行ったらまたブログや動画の話になっちゃうから、あまり活動に関係ないものにした方がいいと思うよ」
「なるほど~。ちょっと、今度そんな話になったらそれで誤魔化してみます~」
技術協力の対価を継続的に支払われるのを避けるために一度適当な物を奢られておくというのも適当なアドバイスをしたなと思うけど、お金の発生することだし難しいよね。でも北星にはそれも社会勉強になってそうだし、俺もそういう話があるんだなって参考になった。ついでに、くるみのブログや今日の資料はこれからゼミでやっていくことにも生かせそうだからね。この助言が俺からの対価ということで。
end.
++++
毎度お馴染み肝心なところをナレーションベースで済ませるヤツ~
タカちゃんと北星というあまり見ない感じの組み合わせですが、実力者だから北星も話しやすい的なアレがあるのかしら。
青敬と桜貝の活動スタンスの違いっていうのは緑ヶ丘と向島の違いみたいなところにも通じて来ると思うし、みんな違ってみんないい。
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「そしたら、全体の進行はこれで以上になります。お疲れさまでした」
「お疲れさまでしたー」
インターフェイスの技術交換会という行事が新しく開かれて、各大学の持っている技術や作品制作の手法なんかの情報を出し合っていた。行事自体は手探りでやってるんだけど、今までラジオのことばかりやっていたインターフェイスの中で、ステージや映像の話を聞けたのは新鮮だった。
新しく……いや、厳密には復帰してくる桜貝大学の皆さんがどういう風に活動しているのかを聞いたり、話には聞いていても実際にはなかなか見る機会のない星ヶ丘のステージの話も結構面白かった。一言でミキサーと言っても屋外ならではの癖があったりして、勉強することはまだまだ多い。
俺は緑ヶ丘で進めているパソコンを用いたデータ管理や、番組にそれらのデジタルファイルを生かす手法についての話をした。インターフェイスでも同じように進めているし、これからはサキがやっていくことになる。だから新しいことをやる前にウチが実験場になるのは変わらない。
「凄いね北星、こんなに分かりやすい資料まで作ってくれて」
「これは~、元々作ってあったヤツですね~」
「スマホでいつでも見れるし、ダウンロードして印刷も出来るし便利だよ」
「随時アップデートもするので~、思い出した時にでもチェックしてくださ~い」
これからインターフェイスでも映像関係の活動を始めるということもあって、映像メイン校の青敬さんと桜貝さんの話はみんな強い関心を持って聞いていた。2校は同じ映像メイン校と言ってもカラーが少し違うみたいだ。
桜貝さんはYouTuberの実写企画みたいな動画がメインで、実際に物を紹介したり遊んでみたりするのを撮っている。青敬さんは何て言うんだろ、風景動画だったりCGをふんだんに使った動画が主なのかな。企画を主にするか、技術を主にするかって差を感じた。
青敬代表としてプレゼンをしてくれたのはあやめと北星だ。普段大学で使ってるソフトや機材の話に編集技法、それから、俺たちみたく映像作品の制作をやったことのない人間がとっかかりやすいような機材やアプリの話をしてくれた。
「でも、これだけの資料を作るの大変じゃなかった?」
「これは~、くるちゃんのブログのための調査資料から~、使えそうなのだけ引っ張ってきたんで~」
「くるみのブログの資料?」
「くるちゃんって~、スマホだけで動画撮ってるじゃないですか」
「そうらしいね」
「スマホだけでいかにクオリティの高い映像に出来るかっていう技術協力をしてて、カメラの使い方を調べたり、一般にリリースされてるアプリをいろいろ落としてみて俺が普段使ってるソフトと比較したりしてるんですね。この資料はそのメモをまとめたものです。なので、今後アプリストアに新しいアプリが出るとアップデートされます」
「なるほど。その資料を使ってくるみが動画撮影をしてるって感じ?」
「実際に撮ったり、紹介したりっていう感じですね。最近ではくるちゃんがブログに上げてる動画を俺が再編集して“くるるちゃんねる”に上げれる仕様にするっていう感じでやってて」
「へえ、くるみと北星はそういうところで技術提携じゃないけど、タッグを組んでやってるような感じなんだね」
「ですね~」
映像制作を本格的に勉強している北星が今更スマホだけで動画を作る手法を調べなくても良さそうなものだけど、映像を勉強しているからこそ知っていなければならないと思ったそうだ。それでくるみとタッグを組んでスマホを使った映像制作に携わり始めたとのこと。
くるみのブログと連動している動画チャンネルを技術の面で助け始めて、ただ自分の好きなように動画を作っていたときとは違う難しさを感じるようになったそうだ。取引相手の注文通りにやればいいだけの仕事とは違って、幅広く一般の人に受け入れられる必要もある。北星にとっては勉強の日々だという。
「あ~、そうだ~。高木さ~ん、くるちゃんて~、頑固なところもあるんですか~?」
「頑固って言うか、一度決めたことはやり抜きたいと思う方の子ではあるけど、どうかした?」
「くるちゃんのブログって~、本人曰くささやかに収益のあるブログなんですけど~、俺が協力してるからってくるちゃんは対価を払おうとするんです~? 俺はいらないよ~って言ってるんですけど~、なかなか納得してくれなくて~」
「ちなみに、北星が協力するようになってその収益が上がってるような感じなの?」
「スイーツの記事が元々強いんですけど~、カメラアプリとかの紹介記事も伸びてるらしくて~、それでだと思うんですけど~」
「その金額にもよると思うけどね。くるみがブロガーとして生計を立ててるならもらってもいいと思うけど、今は趣味なんでしょ? うーん……継続的な報酬じゃなくて、手伝ってるお礼に1回何かごちそうになるとかで手を打てたらいいんだろうけどね」
「そうですね~。それでお茶を濁す感じで~」
「くるみが好きだからって理由でケーキとかを食べに行ったらまたブログや動画の話になっちゃうから、あまり活動に関係ないものにした方がいいと思うよ」
「なるほど~。ちょっと、今度そんな話になったらそれで誤魔化してみます~」
技術協力の対価を継続的に支払われるのを避けるために一度適当な物を奢られておくというのも適当なアドバイスをしたなと思うけど、お金の発生することだし難しいよね。でも北星にはそれも社会勉強になってそうだし、俺もそういう話があるんだなって参考になった。ついでに、くるみのブログや今日の資料はこれからゼミでやっていくことにも生かせそうだからね。この助言が俺からの対価ということで。
end.
++++
毎度お馴染み肝心なところをナレーションベースで済ませるヤツ~
タカちゃんと北星というあまり見ない感じの組み合わせですが、実力者だから北星も話しやすい的なアレがあるのかしら。
青敬と桜貝の活動スタンスの違いっていうのは緑ヶ丘と向島の違いみたいなところにも通じて来ると思うし、みんな違ってみんないい。
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