2020(04)
■Truth and Justice
＋＋＋＋
「こんな時期にMMPに入ってくれるなんて、どんな子たちなんでしょうね野坂先輩ッ！」
「元々カノンの友達で、現段階では元いる団体との掛け持ち状態とは聞いてるけど」
「ワクワクしますねッ」
カノンから指定された星港市内の“髭”に奈々と落ち合って向かう。なんと、来期は奈々とカノンの２人しか残らないと思われていたMMPに、今このタイミングで加入希望者が現れたというのだ。それもアナミキ１人ずつの男女２人。
その２人を紹介するというのでカノンがセッティングしてくれているそうなんだけど、奈々はともかく俺が呼ばれた理由だ。俺は３年で、一応サークルを引退した立場になる。ただ、そんな話があるとはうっすら聞いていた。
これこれこういう事情で人を引っ張って来れそうだから番組のサンプルはありませんかと聞かれたんだ。それで求められたのが星をテーマにした番組だったから、それを得意としていた菜月先輩の、これだという番組をいくつかピックアップして渡したんだ。
「着いた着いた。えーっと、カノンは……ああ、あそこか。行くぞ奈々」
「待って下さいよーッ」
カノンの姿を見つけて、その席に向かう。少し背が高めでざっくりとした１つ三つ編みの女子と、赤茶色の髪をしたちょっとたれ目な感じだけどそれがまた顔の雰囲気を作っている男子がいる。星に興味があるってのは確か女子の方だったかな。
「あっ、奈々先輩野坂先輩わざわざ出て来てもらって感謝っす！ 鳥ちゃん、奏多、女子の人が２年生の奈々先輩で、男の人が今はもう引退したけど３年生の野坂先輩」
「情報科学部情報メディア学科の鳥居春風です。元々は天文部に所属しているのですが、天文部との方向性の違いや将来のことを考えてMMPでの活動を始めたいなと思いました。パートはアナウンサーを希望しています。よろしくお願いします」
「はるかちゃんッ！ わー、かわいいッ！ 野坂先輩野坂先輩、春風の似合うかわいい女の子ですよッ！」
「同じく情報メディアの松居奏多です。かっすーとはバドサーの同期で、俺は今もバドの活動やってます。MMPに入ってみるのは、俺は何か面白そうだからやってみよっかなーと思って。パートはミキサー希望ですね」
「……バドサーか」
バドサーと聞くとどうしても萌香の顔がちらついてしまう。あと、ちょっと軽そうな感じも少し。いや、サークルなんか「何か面白そうだからやってみよう」くらいの感じでやってる奴の方が大多数だからそれに関しては全然いいし俺がどうこう言えないんだけども。
「あの、野坂先輩。バドサーとの掛け持ちに不安になる気持ちはわかります。前科もありますし。でも、奏多は掛け持つにしても一般レベルの常識は持ち合わせてる男っす。ダチの俺が保証するんで大丈夫っす！」
「ああ、まあ。アイツの非常識な言動にブチ切れてバドを辞めたカノンが今でも付き合い続けてる友達って時点で、いい奴なんだろうなとは思うよ」
「分かってくれてあざっす！ 奏多はいい奴っすし、鳥ちゃんもしっかりしてる子なんすよ！」
「かっすー、バドが地雷っぽい扱いになってるけど？」
「あー……ゴメン奏多。今まで言ってなかったんだけど、俺がバドサー辞めたのって萌香の顔を二度と見たくなかったからなんだよ。アイツ、他校の人も参加する合宿で問題起こしてさ。イケメンに付きまとうわ自分に話しかけて来た子に悪態付くわ、挙句乱闘騒ぎまで起こして場をメチャクチャにしやがって」
「あー、それはかっすーならブチ切れるわな。事情は察した！ あっ、ちなみに俺は２年になってからはMMP優先でやってくつもりっす。凄腕の先輩もいなくなるし」
「凄腕の先輩？ そんな人いたっけ」
「前原さんだよ！ 実際あの人が１番上手かったじゃんな。あの人に勝つことを目標にやってたけど、卒業されたら目標もなくなるし。たまにやる程度でいいかなーって」
「鳥ちゃんもそんなこと言ってなかったっけ。何か凄い先輩がいなくなって天文部の活動が危うくなるとか何とかって」
「そう。磐田先輩っていう人なんだけどね」
――とか何とか１年生の話を聞いていると、聞いたことのある名前が飛んでくるではないか。前原先輩に磐田先輩だと？ 間違いでなければあの人たちに違いない。ゼミ室ではクズだとかお人好し過ぎるとかっていう面が前に前に来てるんだけど、凄い人ではあるんだよなあ。
結果として、３人いた現４年生に対する１年生が３人になりそうっていうのは、プラスマイナス０ということでいいのか？ でも、奈々とカノンの２人だけでこれからどうするって言ってた時に比べて２人とも希望に溢れた顔をしてる感じがする。うん、学祭である程度稼いどいてよかったな。新しく動いて行くには資金力は重要だからな。
「えーと、うちは２年の岡島奈々で、こっちが３年生の野坂先輩です」
「野坂雅史です。……はいいんだけど、何で俺が呼ばれた？ 引退してるのに」
「それっす！ 鳥ちゃんと奏多も春の番組制作会に出てみたいって言ってるんすけど、如何せんラジオの基礎がないんで。我らが野坂先輩に簡易的に初心者講習をやってもらえないかなーと！」
「あっ、そういうことならうちからもお願いしますッ！ ミキサーのことならともかくアナウンサーのことは不安しかないっす」
「ああー……まあ、前アナ部長に頼むくらいなら俺が自分でやる方が確実だ。わかった。それで、いつにする？」
end.
＋＋＋＋
何か半年に１回くらい講習会要員として駆り出されてないかノサカ。でも、前アナ部長に頼むくらいならって思っちゃうのがノサカたる部分である。ヒロに対する信用よ。
結局春風と奏多は２人ともMMPへの加入という風になっていったんだけど、これからさらに１年生をゲッティングしていかなきゃいけないのです。出来れば４人以上。
カノンは友達からは正義感が強いとか、曲がったことが大嫌いという感じの性格だと思われてるのかな。事情を話してすんなり納得されてるものね。
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「こんな時期にMMPに入ってくれるなんて、どんな子たちなんでしょうね野坂先輩ッ！」
「元々カノンの友達で、現段階では元いる団体との掛け持ち状態とは聞いてるけど」
「ワクワクしますねッ」
カノンから指定された星港市内の“髭”に奈々と落ち合って向かう。なんと、来期は奈々とカノンの２人しか残らないと思われていたMMPに、今このタイミングで加入希望者が現れたというのだ。それもアナミキ１人ずつの男女２人。
その２人を紹介するというのでカノンがセッティングしてくれているそうなんだけど、奈々はともかく俺が呼ばれた理由だ。俺は３年で、一応サークルを引退した立場になる。ただ、そんな話があるとはうっすら聞いていた。
これこれこういう事情で人を引っ張って来れそうだから番組のサンプルはありませんかと聞かれたんだ。それで求められたのが星をテーマにした番組だったから、それを得意としていた菜月先輩の、これだという番組をいくつかピックアップして渡したんだ。
「着いた着いた。えーっと、カノンは……ああ、あそこか。行くぞ奈々」
「待って下さいよーッ」
カノンの姿を見つけて、その席に向かう。少し背が高めでざっくりとした１つ三つ編みの女子と、赤茶色の髪をしたちょっとたれ目な感じだけどそれがまた顔の雰囲気を作っている男子がいる。星に興味があるってのは確か女子の方だったかな。
「あっ、奈々先輩野坂先輩わざわざ出て来てもらって感謝っす！ 鳥ちゃん、奏多、女子の人が２年生の奈々先輩で、男の人が今はもう引退したけど３年生の野坂先輩」
「情報科学部情報メディア学科の鳥居春風です。元々は天文部に所属しているのですが、天文部との方向性の違いや将来のことを考えてMMPでの活動を始めたいなと思いました。パートはアナウンサーを希望しています。よろしくお願いします」
「はるかちゃんッ！ わー、かわいいッ！ 野坂先輩野坂先輩、春風の似合うかわいい女の子ですよッ！」
「同じく情報メディアの松居奏多です。かっすーとはバドサーの同期で、俺は今もバドの活動やってます。MMPに入ってみるのは、俺は何か面白そうだからやってみよっかなーと思って。パートはミキサー希望ですね」
「……バドサーか」
バドサーと聞くとどうしても萌香の顔がちらついてしまう。あと、ちょっと軽そうな感じも少し。いや、サークルなんか「何か面白そうだからやってみよう」くらいの感じでやってる奴の方が大多数だからそれに関しては全然いいし俺がどうこう言えないんだけども。
「あの、野坂先輩。バドサーとの掛け持ちに不安になる気持ちはわかります。前科もありますし。でも、奏多は掛け持つにしても一般レベルの常識は持ち合わせてる男っす。ダチの俺が保証するんで大丈夫っす！」
「ああ、まあ。アイツの非常識な言動にブチ切れてバドを辞めたカノンが今でも付き合い続けてる友達って時点で、いい奴なんだろうなとは思うよ」
「分かってくれてあざっす！ 奏多はいい奴っすし、鳥ちゃんもしっかりしてる子なんすよ！」
「かっすー、バドが地雷っぽい扱いになってるけど？」
「あー……ゴメン奏多。今まで言ってなかったんだけど、俺がバドサー辞めたのって萌香の顔を二度と見たくなかったからなんだよ。アイツ、他校の人も参加する合宿で問題起こしてさ。イケメンに付きまとうわ自分に話しかけて来た子に悪態付くわ、挙句乱闘騒ぎまで起こして場をメチャクチャにしやがって」
「あー、それはかっすーならブチ切れるわな。事情は察した！ あっ、ちなみに俺は２年になってからはMMP優先でやってくつもりっす。凄腕の先輩もいなくなるし」
「凄腕の先輩？ そんな人いたっけ」
「前原さんだよ！ 実際あの人が１番上手かったじゃんな。あの人に勝つことを目標にやってたけど、卒業されたら目標もなくなるし。たまにやる程度でいいかなーって」
「鳥ちゃんもそんなこと言ってなかったっけ。何か凄い先輩がいなくなって天文部の活動が危うくなるとか何とかって」
「そう。磐田先輩っていう人なんだけどね」
――とか何とか１年生の話を聞いていると、聞いたことのある名前が飛んでくるではないか。前原先輩に磐田先輩だと？ 間違いでなければあの人たちに違いない。ゼミ室ではクズだとかお人好し過ぎるとかっていう面が前に前に来てるんだけど、凄い人ではあるんだよなあ。
結果として、３人いた現４年生に対する１年生が３人になりそうっていうのは、プラスマイナス０ということでいいのか？ でも、奈々とカノンの２人だけでこれからどうするって言ってた時に比べて２人とも希望に溢れた顔をしてる感じがする。うん、学祭である程度稼いどいてよかったな。新しく動いて行くには資金力は重要だからな。
「えーと、うちは２年の岡島奈々で、こっちが３年生の野坂先輩です」
「野坂雅史です。……はいいんだけど、何で俺が呼ばれた？ 引退してるのに」
「それっす！ 鳥ちゃんと奏多も春の番組制作会に出てみたいって言ってるんすけど、如何せんラジオの基礎がないんで。我らが野坂先輩に簡易的に初心者講習をやってもらえないかなーと！」
「あっ、そういうことならうちからもお願いしますッ！ ミキサーのことならともかくアナウンサーのことは不安しかないっす」
「ああー……まあ、前アナ部長に頼むくらいなら俺が自分でやる方が確実だ。わかった。それで、いつにする？」
end.
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何か半年に１回くらい講習会要員として駆り出されてないかノサカ。でも、前アナ部長に頼むくらいならって思っちゃうのがノサカたる部分である。ヒロに対する信用よ。
結局春風と奏多は２人ともMMPへの加入という風になっていったんだけど、これからさらに１年生をゲッティングしていかなきゃいけないのです。出来れば４人以上。
カノンは友達からは正義感が強いとか、曲がったことが大嫌いという感じの性格だと思われてるのかな。事情を話してすんなり納得されてるものね。
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