2020(04)
■ハタチでカンパイ
＋＋＋＋
「だし巻きと五種盛り、それから生で」
２月からはまた大石クンから紹介された倉庫での仕事を始めた朝霞クンだけど、何だか今日はいつもよりお疲れの様子。土曜日で明日は休みだから一杯やりに来たか晩ご飯を作るのがめんどくさかったのかな？ それか両方。
「朝霞クン、随分お疲れだね」
「吊り札付けの仕事で招集されてるんだけど、違う内容の仕事をやることもちょこちょこあるんだよな。今日はとうとう肉体労働の方に駆り出されてしまって」
「あらら。それはお疲れさま」
いい時間だからお客さんもちょこちょこ来るんだけど、次に来たお客さんは見覚えのある子たちでしょでしょ。ステージスターの復習には持って来い。冬でも黄色のジャージが眩しい緑ヶ丘の果林ちゃんと、黒いジャケットの……この子は高木クンだったかな。
「あれっ、朝霞Ｐ先輩。ご飯ですか？」
「ああ。バイト終わりで飯作る気にも買う気にもなんなくて。高木君は元気だね。やっぱ若いから」
「言ってそんなに変わらないですよね」
「この後約束があるって言ってたの、果林とだったのか」
「タカちゃんがめでたく本日ハタチになったんで、堂々と店飲みをね。お姉さんがお祝いしようかと」
「あ、今日なのか。それはめでたい。山口、高木君にだし巻き」
「はいは～い。そしたら誕生日祝いに最初の一杯は俺持ちでどうぞ～」
「えっ、何かすみません。そしたら生中でお願いします」
「アタシも生中と、何か適当に頼もうか。串と、その他お肉たくさんと」
「果林ちゃん、店をすっからかんにしないでね～」
話によれば、高木クンも朝霞クンと一緒に倉庫でのバイトをしていて、朝霞クンから晩ご飯に誘われてたらしい。先約があってと振られた朝霞クンだったけど、結果としては一緒にご飯を食べれてよかったね。
果林ちゃんと高木クンはそれこそお姉さんと弟って感じの仲の良さとは聞くよね。学科が一緒で、サークルが一緒で、ゼミでも一緒だから顔を合わせる機会も多いんだってね。後輩としては、そういう先輩を頼る気持ちはわかるな。俺も裕貴さんにはよくお世話になってたし。
「高木クンも今日は肉体労働の方に駆り出されてたの～？」
「そうですね。出荷作業を手伝ってって言われて朝霞先輩と一緒にやってたんですけど、ずっと歩きっぱなしでしたし重い荷物を上げ下げしたり引き摺って歩くのがしんどかったです」
「しんどかったって言う割に今すっごいケロッとしてるじゃん。高木君は非力仲間だと思ってたのに、この１年の間で力と体力付いたんじゃない？」
「朝霞Ｐ先輩、タカちゃんは最近学内のジムで体動かしてるんですよ」
「学内にジムがあるとかやっぱ緑ヶ丘ヤバいな。え、高木君、体力づくりしてるの？」
「基本的には果林先輩に引き摺られて行ってますね。スタジオ籠りで体が鈍ってるから動かせって半ば強制連行的な感じで」
「うわっ、しんどっ。果林、インドア派の文化系にそれは拷問だ」
「えー!? 山口先輩は定期的に体動かさないとだるーってなるのわかりますよね！ サッカー界の元スーパースターなんですから！」
「そうだね～。果林ちゃんの言い分はわかるよ～。俺も体は動かしてたい方だし～」
「部活でやってた時はめんどくさーって思ってたんですけど、辞めたら辞めたでやんないと気持ち悪いんですよね」
「あっ、わかるわかる～！」
そう言えば、果林ちゃんは陸上界の元スーパースターなんだよね。その競技で将来を期待されてたけど、大学ですっぱりきっぱり競技から離れた同士でもあるのか。それはそうと、いくら文化系と言っても朝霞クンは体力がなさすぎるんだよね。
果林ちゃんはさすが緑ヶ丘、ちょっと飲んだくらいじゃケロッとしてるしご飯を食べる量もすっごいね。お店を潰されかねないって冷や冷やしたけど、お店で飲む前には前もって食べとくんだってね。お店で注文し過ぎてもお財布がキツイからって。
「そう言えば、高木クンてビール飲めないって聞いてたけど～、今普通に飲んでるね？」
「ビールは苦手だったんですけど、果林先輩やエイジに付き合ってもらってちょこちょこ練習をしてたんですね」
「この感じだったらビアガーデン行けそうだね」
「そうですね」
「あ～、いいね～ビアガーデン。最高でしょ～」
「ビアガーデンと言えば、夏ごろ花栄でやってるオクトーバーフェストっていうのが楽しいから、今年もやってたら行ってみたらいいよ。いろんなビールがあるし、ドイツ風のフードも美味いんだ」
「へえ、それは楽しみですね」
「そしたらタカちゃん、花栄のオクトーバーフェストを目途に練習を頑張ろうか」
「そうですね」
そう言って２人はおかわりくださいと生中を頼んだ。もう十分練習は出来てると思うし、なんなら高木クンは朝霞クンより飲めてるよね。元々の強さがまず段違いなんだと思うけどさ。それでも、もっとビールに慣れて楽しく飲めるようになりたいっていう向上心？ いいよね～。だけどさ。
「朝霞クン、花栄のオクトーバーフェストなんていつの間に行ってたの？」
「菅野に誘われたんだよ、誰誘っても振られたっつって」
「今年もあったら俺も誘ってよね～」
「予定が合えばな」
「あ、それだ～」
end.
＋＋＋＋
というワケでTKG誕。今のTKGは土曜日だからきっと働いてると思うし、高崎も引っ込んでるので無制限飲み的な物はそうそう開かれないかな。
果林がこの店を知ってるのはハマちゃんの誕生会で来たことがあるから。TKG家からもそこそこ近いし行ってみる？的なノリだったのかなあ
そういや果林は向島陸上界のスーパースターだったし、やまよも向島サッカー界のスーパースターだった。いろいろいるなあインターフェイス。
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「だし巻きと五種盛り、それから生で」
２月からはまた大石クンから紹介された倉庫での仕事を始めた朝霞クンだけど、何だか今日はいつもよりお疲れの様子。土曜日で明日は休みだから一杯やりに来たか晩ご飯を作るのがめんどくさかったのかな？ それか両方。
「朝霞クン、随分お疲れだね」
「吊り札付けの仕事で招集されてるんだけど、違う内容の仕事をやることもちょこちょこあるんだよな。今日はとうとう肉体労働の方に駆り出されてしまって」
「あらら。それはお疲れさま」
いい時間だからお客さんもちょこちょこ来るんだけど、次に来たお客さんは見覚えのある子たちでしょでしょ。ステージスターの復習には持って来い。冬でも黄色のジャージが眩しい緑ヶ丘の果林ちゃんと、黒いジャケットの……この子は高木クンだったかな。
「あれっ、朝霞Ｐ先輩。ご飯ですか？」
「ああ。バイト終わりで飯作る気にも買う気にもなんなくて。高木君は元気だね。やっぱ若いから」
「言ってそんなに変わらないですよね」
「この後約束があるって言ってたの、果林とだったのか」
「タカちゃんがめでたく本日ハタチになったんで、堂々と店飲みをね。お姉さんがお祝いしようかと」
「あ、今日なのか。それはめでたい。山口、高木君にだし巻き」
「はいは～い。そしたら誕生日祝いに最初の一杯は俺持ちでどうぞ～」
「えっ、何かすみません。そしたら生中でお願いします」
「アタシも生中と、何か適当に頼もうか。串と、その他お肉たくさんと」
「果林ちゃん、店をすっからかんにしないでね～」
話によれば、高木クンも朝霞クンと一緒に倉庫でのバイトをしていて、朝霞クンから晩ご飯に誘われてたらしい。先約があってと振られた朝霞クンだったけど、結果としては一緒にご飯を食べれてよかったね。
果林ちゃんと高木クンはそれこそお姉さんと弟って感じの仲の良さとは聞くよね。学科が一緒で、サークルが一緒で、ゼミでも一緒だから顔を合わせる機会も多いんだってね。後輩としては、そういう先輩を頼る気持ちはわかるな。俺も裕貴さんにはよくお世話になってたし。
「高木クンも今日は肉体労働の方に駆り出されてたの～？」
「そうですね。出荷作業を手伝ってって言われて朝霞先輩と一緒にやってたんですけど、ずっと歩きっぱなしでしたし重い荷物を上げ下げしたり引き摺って歩くのがしんどかったです」
「しんどかったって言う割に今すっごいケロッとしてるじゃん。高木君は非力仲間だと思ってたのに、この１年の間で力と体力付いたんじゃない？」
「朝霞Ｐ先輩、タカちゃんは最近学内のジムで体動かしてるんですよ」
「学内にジムがあるとかやっぱ緑ヶ丘ヤバいな。え、高木君、体力づくりしてるの？」
「基本的には果林先輩に引き摺られて行ってますね。スタジオ籠りで体が鈍ってるから動かせって半ば強制連行的な感じで」
「うわっ、しんどっ。果林、インドア派の文化系にそれは拷問だ」
「えー!? 山口先輩は定期的に体動かさないとだるーってなるのわかりますよね！ サッカー界の元スーパースターなんですから！」
「そうだね～。果林ちゃんの言い分はわかるよ～。俺も体は動かしてたい方だし～」
「部活でやってた時はめんどくさーって思ってたんですけど、辞めたら辞めたでやんないと気持ち悪いんですよね」
「あっ、わかるわかる～！」
そう言えば、果林ちゃんは陸上界の元スーパースターなんだよね。その競技で将来を期待されてたけど、大学ですっぱりきっぱり競技から離れた同士でもあるのか。それはそうと、いくら文化系と言っても朝霞クンは体力がなさすぎるんだよね。
果林ちゃんはさすが緑ヶ丘、ちょっと飲んだくらいじゃケロッとしてるしご飯を食べる量もすっごいね。お店を潰されかねないって冷や冷やしたけど、お店で飲む前には前もって食べとくんだってね。お店で注文し過ぎてもお財布がキツイからって。
「そう言えば、高木クンてビール飲めないって聞いてたけど～、今普通に飲んでるね？」
「ビールは苦手だったんですけど、果林先輩やエイジに付き合ってもらってちょこちょこ練習をしてたんですね」
「この感じだったらビアガーデン行けそうだね」
「そうですね」
「あ～、いいね～ビアガーデン。最高でしょ～」
「ビアガーデンと言えば、夏ごろ花栄でやってるオクトーバーフェストっていうのが楽しいから、今年もやってたら行ってみたらいいよ。いろんなビールがあるし、ドイツ風のフードも美味いんだ」
「へえ、それは楽しみですね」
「そしたらタカちゃん、花栄のオクトーバーフェストを目途に練習を頑張ろうか」
「そうですね」
そう言って２人はおかわりくださいと生中を頼んだ。もう十分練習は出来てると思うし、なんなら高木クンは朝霞クンより飲めてるよね。元々の強さがまず段違いなんだと思うけどさ。それでも、もっとビールに慣れて楽しく飲めるようになりたいっていう向上心？ いいよね～。だけどさ。
「朝霞クン、花栄のオクトーバーフェストなんていつの間に行ってたの？」
「菅野に誘われたんだよ、誰誘っても振られたっつって」
「今年もあったら俺も誘ってよね～」
「予定が合えばな」
「あ、それだ～」
end.
＋＋＋＋
というワケでTKG誕。今のTKGは土曜日だからきっと働いてると思うし、高崎も引っ込んでるので無制限飲み的な物はそうそう開かれないかな。
果林がこの店を知ってるのはハマちゃんの誕生会で来たことがあるから。TKG家からもそこそこ近いし行ってみる？的なノリだったのかなあ
そういや果林は向島陸上界のスーパースターだったし、やまよも向島サッカー界のスーパースターだった。いろいろいるなあインターフェイス。
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