2020(04)
■チャプター:円卓会議
++++
「はい、円卓会議」
「この人数だし俺はデスクの方のイス借りるべ」
円卓会議とは言うけど、やってることはミドリの部屋で鍋を囲んでいるだけだ。俺、エイジ、ミドリ、ゲンゴローの4人でたまにこうやって男子会をやってるんだけど、ミドリの部屋でやる方を円卓会議って言うようになってたんだよね。机が丸いから。
ただ、今日の円卓会議にはユキちゃんとあやめが参加している。それというのも、今日はそれこそインターフェイス絡みの大事な話もあって、特にあやめには俺の話がどれくらいのレベルの話なのかを判定してもらわなければならなかった。
「家主兼議長、音頭とってー」
「はーい。とりあえず、かんぱーい。で、タカティの話だね」
「うん。単刀直入に言えば、ゼミの先生から撮影機材としてのカメラをお下がりで譲ってもらえそうって話だね」
「マジかお前! ヒゲさんに交渉してたんか」
「うん、してたね。何か、今度ゼミで新しくすっごいカメラを買うとかで、1台使わなくなるから俺が興味あるなら使ったらって」
「すげー!」
先生によれば、小田先輩は4年次に卒業論文ではなく映像作品を制作してそれを卒論に代えるということになったそうだ。小田先輩になら託せると、今まで買うのを少しためらっていた物凄くいいカメラを買うことを決意したとか。
ゼミのカメラは、メディ文で3年生以上になると履修することが出来る実技系の授業だとか、ゼミの3年生が課題で制作する映像作品の素材集めをするためにある。如何せん先生は新しい物好きだから、カメラに限らず何でもすぐ最新モデルを買うんだよね。
「話としては凄いけど、問題はそれがどんな機種かって話だよ」
「それをあやめに聞こうと思って。インターフェイスで持ってて得なら貰って来るし、そうじゃないならMBCCで引き取って遊ぶことになるかなあ。ソニーのヤツで、この機種?」
「どれどれ。えっ!? 去年とかその前とかのモデルじゃん! これをお下がりにするとか、逆に何を買うのって感じなんだけど。これが貰えるなら相当いいよ!」
「ただ、これを貰うには先生から条件を提示されてるんだよね」
「うん、やっぱりすんなりとはいかないかー。どんな条件だったの?」
「まずは、インターフェイスが本当にちゃんと活動してるのかを示すために、作品が見られる場所をネット上に作ってひと月に1本以上作品を上げること」
上げる作品の形態は問わないとは言っていた。普段MBCCがやってるようなラジオ番組でも、映像作品でもいい。もちろんステージの映像でもいいんだって。分かりやすく言うなら、今やってる作品出展をネット上でやればいいみたいな感じかな。
「動画チャンネルは作ろうかって話してたし、これは作る方向で行けばいいのかな。でも、やっぱり、大学教授の先生が見るんだったらちゃんとした作品の方がいいのかなあ」
「ちゃんとした作品かー。ウチはステージの記録とかならあるけど作品となると厳しいかも」
「ううん、ステージの映像でもいいし、何なら青女さんはサドニナが歌ってる動画とかでもいいって言ってたよ」
「えっ、そのレベルでいいの? サドニナだよ? Kちゃん先輩にうるさいっていつも怒られてるサドニナだよ?」
「うん。活動してることがわかればいいみたいだから」
「……やっぱり、大学の先生って変な人が多いんだね」
「高木のゼミの先生は緑大の中でも特に変人で有名だっていう」
何にせよ、みんなに関係する条件はこれだけ。インターフェイスの動画チャンネルを作ろうかって話をしてたことは知ってたから、条件としては割と緩めかなと思って一応先生には「わかりました」って返事はしてたんだよね。
もうひとつ条件を出されてるけど、それは俺が個人的に頑張ればいいだけのことだから敢えてここで言うことでもない。それは、小田先輩と共同で件のカメラを扱ってみて、使い方を覚えろという物。凄いカメラには興味があったし、これはさほど苦じゃないかな。
「でも、動画チャンネルに上げる作品をコンスタントに作るのも大変だよね」
「例えばだけど、ファンフェスの番組を班ごとに切ってちょこちょこアップしていけばいいんじゃない? 配信したののアーカイブじゃないけど」
「そういう稼ぎ方もあるかー。でも、誰かが編集しなきゃいけないんだよね」
「その辺はこれからだけど。何にせよ、これからは常に誰かに見られることを意識した作品作りとか、練習をしていかなきゃ行けないんだなとは。あと、各大学でもこれはイケるっていうのがあれば上げてもらえればいいかな」
「ウチは最悪サドニナの歌でもいいんだよね」
「……まあ、それは最終手段的に措いといてもらって」
「高木、ヒゲさんて女好きだっていう。桜貝さんにも協力してもらえばいいべ」
「あ、そうだ! その手があった!」
「えーと、タカティ?」
「コホン。あ、えーと、お肉食べようかな。お肉お肉……」
豚肉を、しゃぶしゃぶ。うん、美味しい。結局のところ、俺が少し頑張ればカメラがお下がりで来るっぽい。あれっ、小田先輩と一緒にカメラの使い方を覚えるとなると、ただでさえ実技型って言われてる俺がさらに実技型にならない? まあいいか。
end.
++++
男子会は男子会でもミドリの部屋でやる方を円卓会議って呼んでるのはちょっとした遊び心。タカちゃん宅でやってる方はただの男子会なのかしら。
ヒゲさんの言うことなのでちゃんとしてるようでしてないようでしている。でもサドニナの歌でもいいっていうのは青女的には気が楽になるかしら。
多分タカちゃん以外にカメラを扱える人はいるんだろうけど(あずみんとか)、機材関係の扱いを覚えさせたいみたいですねヒゲさんは
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「はい、円卓会議」
「この人数だし俺はデスクの方のイス借りるべ」
円卓会議とは言うけど、やってることはミドリの部屋で鍋を囲んでいるだけだ。俺、エイジ、ミドリ、ゲンゴローの4人でたまにこうやって男子会をやってるんだけど、ミドリの部屋でやる方を円卓会議って言うようになってたんだよね。机が丸いから。
ただ、今日の円卓会議にはユキちゃんとあやめが参加している。それというのも、今日はそれこそインターフェイス絡みの大事な話もあって、特にあやめには俺の話がどれくらいのレベルの話なのかを判定してもらわなければならなかった。
「家主兼議長、音頭とってー」
「はーい。とりあえず、かんぱーい。で、タカティの話だね」
「うん。単刀直入に言えば、ゼミの先生から撮影機材としてのカメラをお下がりで譲ってもらえそうって話だね」
「マジかお前! ヒゲさんに交渉してたんか」
「うん、してたね。何か、今度ゼミで新しくすっごいカメラを買うとかで、1台使わなくなるから俺が興味あるなら使ったらって」
「すげー!」
先生によれば、小田先輩は4年次に卒業論文ではなく映像作品を制作してそれを卒論に代えるということになったそうだ。小田先輩になら託せると、今まで買うのを少しためらっていた物凄くいいカメラを買うことを決意したとか。
ゼミのカメラは、メディ文で3年生以上になると履修することが出来る実技系の授業だとか、ゼミの3年生が課題で制作する映像作品の素材集めをするためにある。如何せん先生は新しい物好きだから、カメラに限らず何でもすぐ最新モデルを買うんだよね。
「話としては凄いけど、問題はそれがどんな機種かって話だよ」
「それをあやめに聞こうと思って。インターフェイスで持ってて得なら貰って来るし、そうじゃないならMBCCで引き取って遊ぶことになるかなあ。ソニーのヤツで、この機種?」
「どれどれ。えっ!? 去年とかその前とかのモデルじゃん! これをお下がりにするとか、逆に何を買うのって感じなんだけど。これが貰えるなら相当いいよ!」
「ただ、これを貰うには先生から条件を提示されてるんだよね」
「うん、やっぱりすんなりとはいかないかー。どんな条件だったの?」
「まずは、インターフェイスが本当にちゃんと活動してるのかを示すために、作品が見られる場所をネット上に作ってひと月に1本以上作品を上げること」
上げる作品の形態は問わないとは言っていた。普段MBCCがやってるようなラジオ番組でも、映像作品でもいい。もちろんステージの映像でもいいんだって。分かりやすく言うなら、今やってる作品出展をネット上でやればいいみたいな感じかな。
「動画チャンネルは作ろうかって話してたし、これは作る方向で行けばいいのかな。でも、やっぱり、大学教授の先生が見るんだったらちゃんとした作品の方がいいのかなあ」
「ちゃんとした作品かー。ウチはステージの記録とかならあるけど作品となると厳しいかも」
「ううん、ステージの映像でもいいし、何なら青女さんはサドニナが歌ってる動画とかでもいいって言ってたよ」
「えっ、そのレベルでいいの? サドニナだよ? Kちゃん先輩にうるさいっていつも怒られてるサドニナだよ?」
「うん。活動してることがわかればいいみたいだから」
「……やっぱり、大学の先生って変な人が多いんだね」
「高木のゼミの先生は緑大の中でも特に変人で有名だっていう」
何にせよ、みんなに関係する条件はこれだけ。インターフェイスの動画チャンネルを作ろうかって話をしてたことは知ってたから、条件としては割と緩めかなと思って一応先生には「わかりました」って返事はしてたんだよね。
もうひとつ条件を出されてるけど、それは俺が個人的に頑張ればいいだけのことだから敢えてここで言うことでもない。それは、小田先輩と共同で件のカメラを扱ってみて、使い方を覚えろという物。凄いカメラには興味があったし、これはさほど苦じゃないかな。
「でも、動画チャンネルに上げる作品をコンスタントに作るのも大変だよね」
「例えばだけど、ファンフェスの番組を班ごとに切ってちょこちょこアップしていけばいいんじゃない? 配信したののアーカイブじゃないけど」
「そういう稼ぎ方もあるかー。でも、誰かが編集しなきゃいけないんだよね」
「その辺はこれからだけど。何にせよ、これからは常に誰かに見られることを意識した作品作りとか、練習をしていかなきゃ行けないんだなとは。あと、各大学でもこれはイケるっていうのがあれば上げてもらえればいいかな」
「ウチは最悪サドニナの歌でもいいんだよね」
「……まあ、それは最終手段的に措いといてもらって」
「高木、ヒゲさんて女好きだっていう。桜貝さんにも協力してもらえばいいべ」
「あ、そうだ! その手があった!」
「えーと、タカティ?」
「コホン。あ、えーと、お肉食べようかな。お肉お肉……」
豚肉を、しゃぶしゃぶ。うん、美味しい。結局のところ、俺が少し頑張ればカメラがお下がりで来るっぽい。あれっ、小田先輩と一緒にカメラの使い方を覚えるとなると、ただでさえ実技型って言われてる俺がさらに実技型にならない? まあいいか。
end.
++++
男子会は男子会でもミドリの部屋でやる方を円卓会議って呼んでるのはちょっとした遊び心。タカちゃん宅でやってる方はただの男子会なのかしら。
ヒゲさんの言うことなのでちゃんとしてるようでしてないようでしている。でもサドニナの歌でもいいっていうのは青女的には気が楽になるかしら。
多分タカちゃん以外にカメラを扱える人はいるんだろうけど(あずみんとか)、機材関係の扱いを覚えさせたいみたいですねヒゲさんは
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