2020(04)
■幹事危うきに近寄らず
++++
「それじゃあ、ちょっと早いけど節分の豆まき大会を始めまーす!」
「やったー! どんどんどんぱふー!」
今年の節分は2月2日らしいんだけど、小学校の体育館を借りて活動しているGREENsでは、節分から一番近い日曜日に節分の行事をやることになっている。だから今年はちょっと早いけど1月末のこの時期に豆まき大会。
お正月が終わって、世の中がバレンタインと同時に豆まきの準備をさせてくれるのは本当にありがたい。バレンタインのチョコも用意しつつ、同時に節分豆もかき集めてたからね。ただ、サトシの目が光ってるから規模には注意しつつ。
「やっぱりGREENsの豆まきはその規模も大きいんですか?」
「ゴミ袋いっ……ぱい! の豆を、鬼キャップにぶつける気持ちい~い! 大会だよ! よっちゃんもストレス発散するといいよ」
「さっちゃん、まだ鬼がサトシに決まったワケじゃないからね」
「えっ!? さとぴっぴ以外に鬼っていう鬼がいます!?」
基本一匹狼のサトシにガンガン絡んでいくのがやっぱりさっちゃんだなあって感じだよね。キャップになってからは立場上人と話す機会も増えたけど、それでもやっぱり1人で黙々とか、一歩引いて周りを見てるっていうタイプには違いないもんね。
さっちゃんにガンガン絡まれるのも最初は心底疎ましく思ってたみたいだけど、諦めも出て来たのか最近では呆れつつかわせるようになったみたい。さっちゃんが天敵であることには違いなさそうだけど、そのおかげでただ怖い堅物ってだけのイメージではなくなってるから。
「今年の豆まきは公平に鬼を決定することと、怪我人の出かねない危険な投擲の禁止を幹事に通達してある。残念だったな、三浦」
「ぐぬぬ~…! でもまださとぴっぴが鬼になる可能性はあるんですよね慧梨夏サン!」
「ちなみに今回の鬼はバスケサークルGREENsらしくくじ引きで引いた試練を時間内にクリア出来なかった人の中から選ばれることになってるけど」
「何ですか急にバスケサークルらしさなんて追い求めちゃって! えっ!? 試練って!?」
「例えば、フリースロー3本連続で決めるとか、ツーメン5往復ノーミスクリアとか。簡単めにはしてあるよ」
「フリースローは嫌だフリースローは嫌だフリースローは嫌だ…!」
「三浦さん、そう言っていたら当たるものですよ。科学的根拠はありませんが」
心配しなくてもそこまで難しい試練は入れてないし、不得意分野に当たっちゃったらその時は運だと思って頑張るしかないかなって。得意なのに当たることを祈ってもらうしかないね。うちも楽しく豆まきしたいしスリーポイント関係の試練が来ないかな。
「ちなみによっちゃん、豆まきは機械化出来る分野かな」
「そうですね……導入するとすれば自動豆まき機ですかね。実際に豆ガンなどはある所にはありますし」
「豆ガンの発想はなかったー! えー、欲しい!」
「さすがに今からでは難しそうなので、今回は手動で頑張るしかないですね。恵方を調べるくらいで我慢しましょう」
「あ、そう言えば恵方調べてなかった。えーっと、今年の輝かしい未来は~、南南東! こっち! そしたらみんなクジ引いてー」
みんながわらわらクジを引きに来て、うちは残り物には福があるを地で狙いに行く感じになってる。あ、さっちゃんはダメだったっぽい。苦手分野来ちゃったかな。交換して~って言ってるけど、それは警察……もといキャップが目を光らせてる。
「慧梨夏サ~ン! 「スリーポイントを3本決める」はダメなヤツ~! 三浦はスリーポイントを打つ機会がないから練習なんてしてないんです!」
「キャップ、情状酌量は?」
「鬼の候補になってしまえ」
「――だ、そうです」
「鬼~! そういう自分の試練は何だったんです!」
「俺は「フリースローを3本連続で決める」だったが、もう終わらせてある」
「自分ばっかり得意なの引いたー!」
「俺はミドル以降のシュートが得意だと言うだけで、それといった苦手要素はない。……ん?」
サトシがドヤってるからちょっと伸びきった鼻をへし折ってやりたいと思ったよね。そこまで言うなら追加で試練を与えようじゃないの。いくらバスケで苦手要素はないと言っても、GREENsを生き抜く上では致命的な弱点を抱えてるのを知らないうちじゃない。
「サトシ、そこまで言うなら追加で試練クジ引こうか」
「そうだそうだー! そこはキャップらしくババーンとキメてくれるんでしょーね!」
「フン。そこまで言うならクジのひとつやふたつ」
「それじゃあどうぞ」
「……慧梨夏、何だこれは」
「何もそれも「ネギトロ恵方巻を1本完食する」っていう試練ですよ」
「これのどこがバスケサークルらしい試練だ」
「GREENsらしくって言ってるから、ねえ」
「ネギトロか……トロ……トロだけならまあ……」
「やーいさとぴっぴ~ネギ嫌い~」
「サトシ、恵方巻が食べられないなら鬼候補になるけど」
「甘んじよう。まだ候補になっただけで、鬼に決まったわけではないのだろう」
「まあね」
「ちなみに、今年の恵方巻は全てネギトロなのか」
「普通ののり巻きもあるよ。ご安心を」
さて、うちも試練に臨もうかしら。危険な投擲が禁止されてるって言っても怖いことには違いないからね。スリーポイントシューターらしく少し遠巻きに豆を軽く投げるくらいがいいんですようちは。幹事危うきに近寄らずなのです。
end.
++++
今年の節分は124年振りとかに2月2日なのですが、GREENsでは場所の都合上やれる日にやるしかありませんでした。なのでちょっと早めに。
相変わらずさっちゃんとサトシの関係がアレだけど、ここまできたら仕方ないかなって感じ。さっちゃんは怖いもの知らずなんや
恵方巻はどう準備したのかしらね。いち氏に作ってもらうにしても今年は忙しそうだし普通に用意したのかしら。物事は予算の範囲内でね!
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「それじゃあ、ちょっと早いけど節分の豆まき大会を始めまーす!」
「やったー! どんどんどんぱふー!」
今年の節分は2月2日らしいんだけど、小学校の体育館を借りて活動しているGREENsでは、節分から一番近い日曜日に節分の行事をやることになっている。だから今年はちょっと早いけど1月末のこの時期に豆まき大会。
お正月が終わって、世の中がバレンタインと同時に豆まきの準備をさせてくれるのは本当にありがたい。バレンタインのチョコも用意しつつ、同時に節分豆もかき集めてたからね。ただ、サトシの目が光ってるから規模には注意しつつ。
「やっぱりGREENsの豆まきはその規模も大きいんですか?」
「ゴミ袋いっ……ぱい! の豆を、鬼キャップにぶつける気持ちい~い! 大会だよ! よっちゃんもストレス発散するといいよ」
「さっちゃん、まだ鬼がサトシに決まったワケじゃないからね」
「えっ!? さとぴっぴ以外に鬼っていう鬼がいます!?」
基本一匹狼のサトシにガンガン絡んでいくのがやっぱりさっちゃんだなあって感じだよね。キャップになってからは立場上人と話す機会も増えたけど、それでもやっぱり1人で黙々とか、一歩引いて周りを見てるっていうタイプには違いないもんね。
さっちゃんにガンガン絡まれるのも最初は心底疎ましく思ってたみたいだけど、諦めも出て来たのか最近では呆れつつかわせるようになったみたい。さっちゃんが天敵であることには違いなさそうだけど、そのおかげでただ怖い堅物ってだけのイメージではなくなってるから。
「今年の豆まきは公平に鬼を決定することと、怪我人の出かねない危険な投擲の禁止を幹事に通達してある。残念だったな、三浦」
「ぐぬぬ~…! でもまださとぴっぴが鬼になる可能性はあるんですよね慧梨夏サン!」
「ちなみに今回の鬼はバスケサークルGREENsらしくくじ引きで引いた試練を時間内にクリア出来なかった人の中から選ばれることになってるけど」
「何ですか急にバスケサークルらしさなんて追い求めちゃって! えっ!? 試練って!?」
「例えば、フリースロー3本連続で決めるとか、ツーメン5往復ノーミスクリアとか。簡単めにはしてあるよ」
「フリースローは嫌だフリースローは嫌だフリースローは嫌だ…!」
「三浦さん、そう言っていたら当たるものですよ。科学的根拠はありませんが」
心配しなくてもそこまで難しい試練は入れてないし、不得意分野に当たっちゃったらその時は運だと思って頑張るしかないかなって。得意なのに当たることを祈ってもらうしかないね。うちも楽しく豆まきしたいしスリーポイント関係の試練が来ないかな。
「ちなみによっちゃん、豆まきは機械化出来る分野かな」
「そうですね……導入するとすれば自動豆まき機ですかね。実際に豆ガンなどはある所にはありますし」
「豆ガンの発想はなかったー! えー、欲しい!」
「さすがに今からでは難しそうなので、今回は手動で頑張るしかないですね。恵方を調べるくらいで我慢しましょう」
「あ、そう言えば恵方調べてなかった。えーっと、今年の輝かしい未来は~、南南東! こっち! そしたらみんなクジ引いてー」
みんながわらわらクジを引きに来て、うちは残り物には福があるを地で狙いに行く感じになってる。あ、さっちゃんはダメだったっぽい。苦手分野来ちゃったかな。交換して~って言ってるけど、それは警察……もといキャップが目を光らせてる。
「慧梨夏サ~ン! 「スリーポイントを3本決める」はダメなヤツ~! 三浦はスリーポイントを打つ機会がないから練習なんてしてないんです!」
「キャップ、情状酌量は?」
「鬼の候補になってしまえ」
「――だ、そうです」
「鬼~! そういう自分の試練は何だったんです!」
「俺は「フリースローを3本連続で決める」だったが、もう終わらせてある」
「自分ばっかり得意なの引いたー!」
「俺はミドル以降のシュートが得意だと言うだけで、それといった苦手要素はない。……ん?」
サトシがドヤってるからちょっと伸びきった鼻をへし折ってやりたいと思ったよね。そこまで言うなら追加で試練を与えようじゃないの。いくらバスケで苦手要素はないと言っても、GREENsを生き抜く上では致命的な弱点を抱えてるのを知らないうちじゃない。
「サトシ、そこまで言うなら追加で試練クジ引こうか」
「そうだそうだー! そこはキャップらしくババーンとキメてくれるんでしょーね!」
「フン。そこまで言うならクジのひとつやふたつ」
「それじゃあどうぞ」
「……慧梨夏、何だこれは」
「何もそれも「ネギトロ恵方巻を1本完食する」っていう試練ですよ」
「これのどこがバスケサークルらしい試練だ」
「GREENsらしくって言ってるから、ねえ」
「ネギトロか……トロ……トロだけならまあ……」
「やーいさとぴっぴ~ネギ嫌い~」
「サトシ、恵方巻が食べられないなら鬼候補になるけど」
「甘んじよう。まだ候補になっただけで、鬼に決まったわけではないのだろう」
「まあね」
「ちなみに、今年の恵方巻は全てネギトロなのか」
「普通ののり巻きもあるよ。ご安心を」
さて、うちも試練に臨もうかしら。危険な投擲が禁止されてるって言っても怖いことには違いないからね。スリーポイントシューターらしく少し遠巻きに豆を軽く投げるくらいがいいんですようちは。幹事危うきに近寄らずなのです。
end.
++++
今年の節分は124年振りとかに2月2日なのですが、GREENsでは場所の都合上やれる日にやるしかありませんでした。なのでちょっと早めに。
相変わらずさっちゃんとサトシの関係がアレだけど、ここまできたら仕方ないかなって感じ。さっちゃんは怖いもの知らずなんや
恵方巻はどう準備したのかしらね。いち氏に作ってもらうにしても今年は忙しそうだし普通に用意したのかしら。物事は予算の範囲内でね!
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