2020(04)

■寒所作業の入り口

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 今年も朝霞先輩から誘ってもらって、西海にある倉庫で短期のアルバイトをすることになった。去年は全7回だったけど、今年は期間も伸びて結構な回数働くことになっている。とは言えいろいろ予定もあるので入るのは週の前半が多いかな。
 去年の実績があるということで、時給は1000円から1030円にアップしてもらえている。時給が上がるのは嬉しいと同時に、ちゃんとやらないとなという気持ちでもある。手先の器用さだけで去年は乗り切ったけど、今年はどうかな。

「おーい、朝霞、高木」
「はーい」
「吊り札付けで呼んだのに悪いが、お前らには今日は別の仕事を頼みたい」
「わかりました」
「マジックとカッターだ。朝霞が1番、高木が2番な」

 食堂で待機していたら、俺と朝霞先輩だけ個別に呼ばれてしまった。塩見さんの後に付いてどんどん倉庫の奥に進んでいくんだけど、とにかく寒い。あったかい小屋の中での作業を想定してたから、寒さ対策がちょっと手薄だった。
 それはどうやら朝霞先輩もだったようで、2人してブルブル震えていると、塩見さんはちょっと待ってろと呆れたような顔をして一旦どこかへと行ってしまった。暖房もなく風が吹き抜ける中に放置されるのはなかなかに辛い。

「待たせたな。今日はこの環境での作業だから、これでも着とけ」
「ありがとうございます。あ、全然違う」
「だろ。高木、お前も着ろ」
「あっ、はい」

 貸してもらった中綿ジャケットを1枚羽織るだけでも暖かさが段違いだ。そして、連れて行かれた場所には表に明細みたいな物を貼った段ボール箱が所狭しと積まれている。手渡された端末には小さなディスプレイと無数のボタン。何をするんだろう。

「今からお前らには返品入庫の作業をやってもらう。出荷したモンが店からまた戻って来て、再出荷出来るように作業したモンがこの箱の中に入ってんだ。まず、箱から品物を出して――」

 塩見さんが仕事のやり方をレクチャーしてくれているのを朝霞先輩と2人してへーとかほーとか言いながら見ていると、遠くの方から塩見さーんと大石先輩の声が響く。さすが、4年生の先輩はテスト期間とか関係ないんだなあ。

「千景、お前も来たのか」
「はい。俺もこっちに合流しろって宮本主任が」
「そうか。ならちょうどいい。千景と朝霞は右手側、俺と高木で左手側の列を潰していくぞ。ああ、そうだ。この端末は1台12万だ。くれぐれも扱いは丁重に頼む」
「ひえっ。12万」
「わかりました」

 箱を開けると、Tシャツが無数に入っている。その製品についているタグのバーコードを端末で読み取って、どこの棚に入れるかをまずは登録するんだっけ。ピッ、と。それから、同じ製品を1枚ずつバーコードを読んで。
 えー、と……。奥から若い順に品番が並んでるそうだから、この辺かな? ああ、これだ。あれっ。でもこの小さな箱に30枚も入らないし、上に積むにしても外装の袋が滑って落ちそうだなあ。ちょっと、どうしようか。

「塩見さん」
「どうした」
「これなんですけど、枚数が増えて箱が足りさそうなんです。大きな箱はありますか?」
「そういうときは、どっかその辺にある空の4号カートンを持ってきて、表の明細を剥がして書き換えてやるんだ。それから、明細のここ。この小さな文字がその製品の入り組数になる。この枚数まで行ったらひとまとまりだから、また違う箱に入れてやってくれ」
「えーと、入り組みが60枚なので、今はまだ45枚ですしとりあえずそのまま入れておけばいいですかね?」
「そうだな。入れるときは5枚ずつ向きを前後させてくれ。その調子で頼む」

 端末で製品のバーコードをピッピッと読み取って、対応する場所に戻していくという仕事は、最初は土地勘がなくて難しいなと思ったけど、規則性や端末の使い方がわかってくるとテンポよく出来るようになってくるのを感じる。
 変わったことをしたら「本当にそうしますか?」ってシステムが聞いてくれるし、間違ったことをしたら物凄く大きな音でビビビビビとブザーが鳴って、赤い画面でも警告されるから、ビックリもするけど違うんだなってわかってありがたい。
 それに、倉庫の奥の方は比較的風も止まっているし、途中の道のりほど寒くはない。スピーカーが近いからラジオの音楽番組もよく聞こえる。うーん、これはなかなか楽しいかもしれない。

「さ、休憩だぞ」
「凄いね朝霞、もう品番とか物の特徴とか覚えちゃったの?」
「扱う製品が服だっていうのが良かったな。こういう色いいなとか、このデザインいいなってすぐ覚えた。高木君はどう? 例によって黙々やってたけど」
「あ、楽しいです」
「なかなか筋がいいぞ。端末の使い方も、さすがデジタルネイティブっつー感じで」
「へえ、すごいねタカティ、俺なんてWMSの扱い方を覚えるのに結構かかったよ」
「千景、頼むぞ。お前はこれからただ出荷するだけじゃなくて、入出庫管理もしてもらわなきゃいけねえんだからな」
「はい」
「そっか、大石お前ここで就職するんだったな」
「そうなんですね。やっぱり、社員になるとやることは変わるんですか」
「いろいろやってもらわなきゃならねえよな、やっぱり。そのためにフォークリフトの教習も受けてもらったし。千景、休憩終わったら下にある3パレも上げてくれ。この感じなら行けるだろ」
「わかりました。えーと、塩見さん、リフトの見守りは~……」
「いつまでも甘えんな。俺はコイツらの面倒見なきゃいけねえんだよ」

 そんな風に話していると、作業再開のチャイムが鳴る。大石先輩は次の作業分を取りに行ったし、俺たちは各々の仕事に戻る。吊り札付けじゃない仕事で大丈夫かなって思ったけど、この仕事ならたまにやりたいな。……これならまだ噂に聞く肉体労働ってほどでもないし。


end.


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何か最後にフラグめいた物が立ってしまったような感じだけど大丈夫かTKGよ。いや、奴比で今年は体を動かしている。塩見さん、シゴいてやってー
寒がりの朝霞Pはともかく寒さに比較的強いTKGでさえも寒いと言う環境で、塩見さんは何を着てたんだろ。裏起毛パーカーとかかな。
オミちーがかわいいとはこの2人のいる話では大体毎回言ってるけど仕方ないね、だってオミちーはかわいんだもの

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