2020(04)
■つまるところ
++++
「塩見さん、お疲れさまです」
「よう朝霞。さすが、時間きっかりだな」
俺の家の最寄り駅まで塩見さんが迎えに来てくれて、これから飯に行くことになっている。俺の他にはリン君がいる。何でも、USDX関係のこととオフ関係のことで少しばかり話すことがあるとかないとか。
それから、俺の他にあと1人拾うことになっているとかで、次はそいつの待つ場所に行くことになっているんだそうだ。その1人と言うのがメンバーではないらしく、塩見さんの関係筋っていうだけでどんな人だろうって少しワクワクしている自分がいる。
「えーっと、確かこの辺だな。お、いたいた」
「あっ、拓馬さんお疲れさまです~。ご無沙汰してまーす」
「拳悟、よく土曜日に時間取れたな」
「成人式でバタバタしてた分の休みをみんなでズラして取ってるんですね。俺はたまたま今日だったんですよ。それじゃ車に失礼しまーす」
塩見さんの車に乗り込んで来た大柄な男には見覚えがある。それは確か玄で壮馬と一緒にいた美容師だ。山口の髪色をいい感じにしていたはずだ。そこでは確か俺がギターを始めたからという理由で待ち伏せされて絡まれた。職業柄もあるだろうけど、コミュニケーション能力がヤバい。
適当な駐車場に車を停めて、それからは徒歩で店に向かう。看板にはラーメン酒屋とある。ラーメンを食べながら飲むというタイプの居酒屋らしい。ラーメンか。正直に言えば不得意分野だけど、それは熱い物が苦手というだけの話でラーメン自体は好きだから嬉しいな。
「俺は車で来てるから普通にノンアルだけど、お前らは普通に飲んでもいいんだぞ」
「俺は明日も休みだし飲んじゃおうかな。リンちゃんは?」
「ではオレも。お前はどうする、朝霞」
「え、飲んでいいなら飲むよ。麺類食べる時に飲み物持ってないと死ぬし」
それそれ適当な麺とドリンク、それからサイドメニューを頼んで少し経てば各々の物が揃う。乾杯をしてぷはーと一息吐けば、改めて思うのは統一感があるんだかないんだかという感じの顔ぶれだ。
「高崎もいれば良かったのになー。ねえ拓馬さん」
「バイトだっつーなら仕方ねえ。アイツは何だかんだでクソ真面目だからな」
「ですよね。だからこそ星港市職員になんてなるんでしょうし」
「そういや、朝霞と拳悟は面識あんのか」
「夏だったかに1回会ったことがあるってくらいですね」
「そうだよね。洋平クンはあれからもウチの店に来てくれてるんだけどね」
「あ、そうなんだ。じゃあ相当気に入ったんだな。じゃなくて、あんまちゃんと素性については知らないし、こっちも話してないはずです」
「知らなかったところで大した支障もなかろう。一応言えば、コイツはオレとは高校の同級生に当たる。現在は美容師で、トリプルメソッドの長崎壮馬とは昔バンドを組んでいた間柄のギタリストだ」
「へえ、リン君と同級生なんだ」
「そうそう。俺とリンちゃん、1年の頃からの仲良しなの」
今日彼が呼ばれたのも、その昔組んでいたバンドというのが関係しているらしい。バンド関係の話っていうことは、USDXも音楽に絡む話がまた何かあるんだろうか。だとすると菅野がいないっていうのも変な感じがするけど、まあいいか。
「本題に入ると、USDXとTCFで音楽コラボみたいなことをすることになったんだよな。年末のライブで壮馬が暴走しやがって」
「あ、俺がハブられた例のライブっすね。と言うか、音楽の話なのに菅野はいないんですか?」
「チータは曲を作るのに籠もってるからな」
「ああ、なるほど。それで、音楽コラボってどんなことをするんですか?」
「互いに曲を提供し合ったり、メンバーを入れ替えてセッションしたり。その辺は壮馬とチータの気紛れだ」
「そんなガチなバンドマンの中に俺を放り込んで大丈夫なんすか!? だって、いつもは菅野の打ち込みで、俺はギターをやってる体ですけど、ちゃんとやんないとマズいってことですよね」
「その辺はアレンジャーが配慮するし、お前よりクソなバイオリンがある。心配すんな。主にお前に求められるのは作詞とボーカルになるかな。TCFのメンバーはこの拳悟と壮馬、それからユーヤだし、面識はあるだろ」
「面識の点で言えば大丈夫かなとは」
ちょっと待てよ? 仮に菅野が籠もって作っているのがこれに向けた曲だとするなら、その分また詞を書かなきゃいけないのは俺だよな。サラッと言ってるけど何気にとんでもないことになりそうな気がする。どんなノルマが来るんだよ。あとギターの練習もしないとだし。
「リンちゃんめっちゃ噎せてるけど大丈夫?」
「けほっ、ああ、問題ない」
「リン君がそれだけウケてるって珍しいな」
「朝霞よりクソな件のバイオリンを思い出して思わず笑いが」
「はーっ……樹理に改めてバイオリンの基礎を叩き込まねえとな」
「それはそうと、拓馬さんは仕事、忙しくないんですか? 去年サポメンで来てもらった時とか相当忙しそうだったじゃないですか」
「3月はまあまあ忙しいけど、何とかなる。そうだ、仕事で思い出した。朝霞、千景から聞いたぞ。またよろしく頼む」
「あ、いえ。こちらこそよろしくお願いします」
オンにオフに、これからなかなか忙しくなりそうだぞ。オフでは改めて倉庫でのバイトがあるし、引っ越しの準備もある。それから音楽関係のあれこれに、忘れちゃいけないゲーム実況。春イベントの原稿もあるし、いい感じに詰まって来たぞ~。やっぱりこうでなくちゃ。
「朝霞、ラーメンが全然減ってねえぞ。伸びるぞ」
「猫舌なんで、冷めないと食べれないんですよ」
「ああ、そういう」
end.
++++
何かそういうこと言ってたなあと思うし、本当にやるとして動くなら早い方がいいわよね、と。もう動く人は動いてるんだろうけど
塩見さんがお肉と卵以外の物を食べるっていう印象も余りないけどラーメン酒場っていうのがなかなか新鮮。拳悟辺りが勧めたのかな
忙しければ忙しくなるほどイキイキするPさんだし、レッドブルも値下げされるらしいから手軽に翼を授けられてしまうなあ……
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「塩見さん、お疲れさまです」
「よう朝霞。さすが、時間きっかりだな」
俺の家の最寄り駅まで塩見さんが迎えに来てくれて、これから飯に行くことになっている。俺の他にはリン君がいる。何でも、USDX関係のこととオフ関係のことで少しばかり話すことがあるとかないとか。
それから、俺の他にあと1人拾うことになっているとかで、次はそいつの待つ場所に行くことになっているんだそうだ。その1人と言うのがメンバーではないらしく、塩見さんの関係筋っていうだけでどんな人だろうって少しワクワクしている自分がいる。
「えーっと、確かこの辺だな。お、いたいた」
「あっ、拓馬さんお疲れさまです~。ご無沙汰してまーす」
「拳悟、よく土曜日に時間取れたな」
「成人式でバタバタしてた分の休みをみんなでズラして取ってるんですね。俺はたまたま今日だったんですよ。それじゃ車に失礼しまーす」
塩見さんの車に乗り込んで来た大柄な男には見覚えがある。それは確か玄で壮馬と一緒にいた美容師だ。山口の髪色をいい感じにしていたはずだ。そこでは確か俺がギターを始めたからという理由で待ち伏せされて絡まれた。職業柄もあるだろうけど、コミュニケーション能力がヤバい。
適当な駐車場に車を停めて、それからは徒歩で店に向かう。看板にはラーメン酒屋とある。ラーメンを食べながら飲むというタイプの居酒屋らしい。ラーメンか。正直に言えば不得意分野だけど、それは熱い物が苦手というだけの話でラーメン自体は好きだから嬉しいな。
「俺は車で来てるから普通にノンアルだけど、お前らは普通に飲んでもいいんだぞ」
「俺は明日も休みだし飲んじゃおうかな。リンちゃんは?」
「ではオレも。お前はどうする、朝霞」
「え、飲んでいいなら飲むよ。麺類食べる時に飲み物持ってないと死ぬし」
それそれ適当な麺とドリンク、それからサイドメニューを頼んで少し経てば各々の物が揃う。乾杯をしてぷはーと一息吐けば、改めて思うのは統一感があるんだかないんだかという感じの顔ぶれだ。
「高崎もいれば良かったのになー。ねえ拓馬さん」
「バイトだっつーなら仕方ねえ。アイツは何だかんだでクソ真面目だからな」
「ですよね。だからこそ星港市職員になんてなるんでしょうし」
「そういや、朝霞と拳悟は面識あんのか」
「夏だったかに1回会ったことがあるってくらいですね」
「そうだよね。洋平クンはあれからもウチの店に来てくれてるんだけどね」
「あ、そうなんだ。じゃあ相当気に入ったんだな。じゃなくて、あんまちゃんと素性については知らないし、こっちも話してないはずです」
「知らなかったところで大した支障もなかろう。一応言えば、コイツはオレとは高校の同級生に当たる。現在は美容師で、トリプルメソッドの長崎壮馬とは昔バンドを組んでいた間柄のギタリストだ」
「へえ、リン君と同級生なんだ」
「そうそう。俺とリンちゃん、1年の頃からの仲良しなの」
今日彼が呼ばれたのも、その昔組んでいたバンドというのが関係しているらしい。バンド関係の話っていうことは、USDXも音楽に絡む話がまた何かあるんだろうか。だとすると菅野がいないっていうのも変な感じがするけど、まあいいか。
「本題に入ると、USDXとTCFで音楽コラボみたいなことをすることになったんだよな。年末のライブで壮馬が暴走しやがって」
「あ、俺がハブられた例のライブっすね。と言うか、音楽の話なのに菅野はいないんですか?」
「チータは曲を作るのに籠もってるからな」
「ああ、なるほど。それで、音楽コラボってどんなことをするんですか?」
「互いに曲を提供し合ったり、メンバーを入れ替えてセッションしたり。その辺は壮馬とチータの気紛れだ」
「そんなガチなバンドマンの中に俺を放り込んで大丈夫なんすか!? だって、いつもは菅野の打ち込みで、俺はギターをやってる体ですけど、ちゃんとやんないとマズいってことですよね」
「その辺はアレンジャーが配慮するし、お前よりクソなバイオリンがある。心配すんな。主にお前に求められるのは作詞とボーカルになるかな。TCFのメンバーはこの拳悟と壮馬、それからユーヤだし、面識はあるだろ」
「面識の点で言えば大丈夫かなとは」
ちょっと待てよ? 仮に菅野が籠もって作っているのがこれに向けた曲だとするなら、その分また詞を書かなきゃいけないのは俺だよな。サラッと言ってるけど何気にとんでもないことになりそうな気がする。どんなノルマが来るんだよ。あとギターの練習もしないとだし。
「リンちゃんめっちゃ噎せてるけど大丈夫?」
「けほっ、ああ、問題ない」
「リン君がそれだけウケてるって珍しいな」
「朝霞よりクソな件のバイオリンを思い出して思わず笑いが」
「はーっ……樹理に改めてバイオリンの基礎を叩き込まねえとな」
「それはそうと、拓馬さんは仕事、忙しくないんですか? 去年サポメンで来てもらった時とか相当忙しそうだったじゃないですか」
「3月はまあまあ忙しいけど、何とかなる。そうだ、仕事で思い出した。朝霞、千景から聞いたぞ。またよろしく頼む」
「あ、いえ。こちらこそよろしくお願いします」
オンにオフに、これからなかなか忙しくなりそうだぞ。オフでは改めて倉庫でのバイトがあるし、引っ越しの準備もある。それから音楽関係のあれこれに、忘れちゃいけないゲーム実況。春イベントの原稿もあるし、いい感じに詰まって来たぞ~。やっぱりこうでなくちゃ。
「朝霞、ラーメンが全然減ってねえぞ。伸びるぞ」
「猫舌なんで、冷めないと食べれないんですよ」
「ああ、そういう」
end.
++++
何かそういうこと言ってたなあと思うし、本当にやるとして動くなら早い方がいいわよね、と。もう動く人は動いてるんだろうけど
塩見さんがお肉と卵以外の物を食べるっていう印象も余りないけどラーメン酒場っていうのがなかなか新鮮。拳悟辺りが勧めたのかな
忙しければ忙しくなるほどイキイキするPさんだし、レッドブルも値下げされるらしいから手軽に翼を授けられてしまうなあ……
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