2020(04)
■それはさておき本題は
++++
「あー、さすがにそろそろ課題とかヤバいんやけど!」
「自業自得だ」
「何やのノサカのクセに」
ヒロがテストがヤバいだのなんだのと喚き出せば、いつもの季節になったなあと思う。俺はと言えば、3年後期には全休の日も出来たし履修もこれまでのことを思えばかなり減った。ヒロと一緒に取っている科目もかなり少ない。
これまでのようにテストをどうにかしろと言われたところでどうしようもなくなっているし、今まで助けまくって来たのにどうにか出来なかったのはお前じゃないかと言うしかない。これまでサボりにサボったツケが回りに回ってのしかかっているだけじゃないか。
「磐田先輩、何かならんですか」
「磐田先輩、ヒロの相手はしなくて結構ですので」
「何やの」
「4年生の先輩にテスト対策を頼むとか何を考えてるんだお前は」
「じゃーノサカがどーにかしてくれるん? してくれんやん」
「そんなモン自分でどうにかしろ」
2年から3年に進級するのも結構ギリギリだったヒロは、このままいけば確実に卒業も危うくなるだろう。普通にやっていればまずそんなことにはならないだろうに、何をどうしたらそんなことになるのか俺には意味がわからない。
「おはよ~」
「樹理ちゃ~ん、テストどーにかならんですかー」
「なに、そんなヤバいの?」
「さすがのボクでも留年はしたないんですよ。樹理ちゃんTAとかやっとるんやしテスト対策とか教えてくれんかなーって」
「留年もそんなに悪くないよ。やってみると結構簡単だし」
「留年の何が簡単なのやら」
「野坂くん、京川さんの言うことは常人には理解不能なことの方が多いからね」
「あ、はい。知ってました」
確かにTA、ティーチング・アシスタントをやっている京川さんであれば、人に物事を教えるという意味では慣れた物だろう。TAの仕事が学部学生向けの実験・実習等の教育補助業務だからな。実際の授業に出ることもあるけど、この人はゼミの学生向けの指導が多い印象がある。
実際研究分野に関して話す時には普通にためになることを教えてくれたりもするんだけども、だからこそ普段とのギャップと言うか何と言うか……よく分からない人だなあとなるのだ。出来る人であることには違いない。だけど、向島大学に何年いるんだというのも謎なところだ。
留年に対するスタンスを聞いてわかるように、この人は軽率に留年を繰り返しているらしい。そういやダイさんが言ってたもんなあ。自分が入学したときは先輩だったのに、卒業は自分の方が早かったって。ちなみに、今年も「大学から出るのめんどくさいから留年しよう」って言ってたし。
「まもちゃん何気に酷いこと言うね」
「でも実際京川さんの価値観って結構特異だと思いますよ」
「新年早々山登りする人に言われたくないよね。まもちゃんのことだからどうせNOって言えなかったんでしょ?」
「去年も一緒に初詣に行ってますし、その流れだったんで別にイヤではなかったですよ」
「ああそうなんだ。そっか、高校の同級生とかで元々友達だったんだっけ?」
「ですね」
ちなみにこれはUSDXの新年一発目の生配信のことを言っているようだ。レイが山登りをして初日の出配信とかやってたんだよな。どうやら磐田先輩がそれに裏方として付き合わされていたようなんだけど、高校の同級生だ? 世間狭。
「そんなことはええんでボクのテストですよ樹理ちゃん!」
「マエトモがワンチャンあるような気がするけどね」
「え~、前原先輩ですか~?」
「誰彼構わず迫ってたのにあからさまに嫌そうな顔をしている」
「まあ、前原くんの日頃の言動が言動だからね……」
「アイツは金さえ積めばどうにでもしてくれると思うけど」
「やーですよ。そんなことにお金使いたくないです」
ゆくゆくは卒業にも関わって来るというのに「そんなこと」と言えてしまうヒロの神経だ。いや、ヒロがどうなろうと俺の知ったことではないんだけども。ヒロはほっとくと平気で諸先輩方にご迷惑をおかけするからなあ。いや、俺は断固として助けないと心に決めてるんだ。
「ちなみにS君は今回のテストも安定なんでしょ」
「まあ、普通にやっていれば相応の成績にはなるかと」
「おー。言ってみたいねー! GPA4.0は言うことが違いますわ!」
「はーやだやだ。ホンマノサカいけずやわ」
「ウチのグループは俺を含めて割と学校の成績はいいメンバーが揃ってるけど、さすがにS君クラスとなるとなあ」
「京川さんを含めてというのが引っかかる点ではありますが、バネコンは頭がいいんだろうなあとは思って見てました」
「その2人は来春から院に進学だしね」
「ああー、やはり」
「バネは星大の院だしね。引くよね」
「素でヒュッてなりました。星大の院だと…!? バネ様やべえ…!」
「レイ君は文系に特化してるから理系揃いのUSDXでは結構異端なんだよね」
「でしょうね。ちなみにソルさんはー……」
「そこは謎のままの方がS君的には興奮しない?」
「ちくしょう、バレてやがる!」
「四大卒じゃないってことは言っても大丈夫かな」
「樹理ちゃん! それよりボクのテスト!」
「あーもうしょうがないなあ。何がわかんないの」
ここからここまでです、と指定した範囲が広すぎて常人には手に負えないヤツ。でも京川さんは自称優秀らしいしヒロの面倒も何とか見てくれるだろう! そして俺は平和なテスト期間ライフを! まあ、実際にはもう少し先なんだけども。
end.
++++
ヒロのいつものヤツはフェーズが変わっても安定だなあ。様式美と言うヤツかしら。でもノサカはもうほとんど手助けしてないみたい。
ヒロはキョージュを樹理ちゃんと呼ぶほど仲良くなってたらしいんだけど、それがいつのことだかさっぱりだよ。
そういやUSDXっレイ君を除いて理系揃いのグループでしたね。ソルさんの学歴に関しては闇の中なんだけども。
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「あー、さすがにそろそろ課題とかヤバいんやけど!」
「自業自得だ」
「何やのノサカのクセに」
ヒロがテストがヤバいだのなんだのと喚き出せば、いつもの季節になったなあと思う。俺はと言えば、3年後期には全休の日も出来たし履修もこれまでのことを思えばかなり減った。ヒロと一緒に取っている科目もかなり少ない。
これまでのようにテストをどうにかしろと言われたところでどうしようもなくなっているし、今まで助けまくって来たのにどうにか出来なかったのはお前じゃないかと言うしかない。これまでサボりにサボったツケが回りに回ってのしかかっているだけじゃないか。
「磐田先輩、何かならんですか」
「磐田先輩、ヒロの相手はしなくて結構ですので」
「何やの」
「4年生の先輩にテスト対策を頼むとか何を考えてるんだお前は」
「じゃーノサカがどーにかしてくれるん? してくれんやん」
「そんなモン自分でどうにかしろ」
2年から3年に進級するのも結構ギリギリだったヒロは、このままいけば確実に卒業も危うくなるだろう。普通にやっていればまずそんなことにはならないだろうに、何をどうしたらそんなことになるのか俺には意味がわからない。
「おはよ~」
「樹理ちゃ~ん、テストどーにかならんですかー」
「なに、そんなヤバいの?」
「さすがのボクでも留年はしたないんですよ。樹理ちゃんTAとかやっとるんやしテスト対策とか教えてくれんかなーって」
「留年もそんなに悪くないよ。やってみると結構簡単だし」
「留年の何が簡単なのやら」
「野坂くん、京川さんの言うことは常人には理解不能なことの方が多いからね」
「あ、はい。知ってました」
確かにTA、ティーチング・アシスタントをやっている京川さんであれば、人に物事を教えるという意味では慣れた物だろう。TAの仕事が学部学生向けの実験・実習等の教育補助業務だからな。実際の授業に出ることもあるけど、この人はゼミの学生向けの指導が多い印象がある。
実際研究分野に関して話す時には普通にためになることを教えてくれたりもするんだけども、だからこそ普段とのギャップと言うか何と言うか……よく分からない人だなあとなるのだ。出来る人であることには違いない。だけど、向島大学に何年いるんだというのも謎なところだ。
留年に対するスタンスを聞いてわかるように、この人は軽率に留年を繰り返しているらしい。そういやダイさんが言ってたもんなあ。自分が入学したときは先輩だったのに、卒業は自分の方が早かったって。ちなみに、今年も「大学から出るのめんどくさいから留年しよう」って言ってたし。
「まもちゃん何気に酷いこと言うね」
「でも実際京川さんの価値観って結構特異だと思いますよ」
「新年早々山登りする人に言われたくないよね。まもちゃんのことだからどうせNOって言えなかったんでしょ?」
「去年も一緒に初詣に行ってますし、その流れだったんで別にイヤではなかったですよ」
「ああそうなんだ。そっか、高校の同級生とかで元々友達だったんだっけ?」
「ですね」
ちなみにこれはUSDXの新年一発目の生配信のことを言っているようだ。レイが山登りをして初日の出配信とかやってたんだよな。どうやら磐田先輩がそれに裏方として付き合わされていたようなんだけど、高校の同級生だ? 世間狭。
「そんなことはええんでボクのテストですよ樹理ちゃん!」
「マエトモがワンチャンあるような気がするけどね」
「え~、前原先輩ですか~?」
「誰彼構わず迫ってたのにあからさまに嫌そうな顔をしている」
「まあ、前原くんの日頃の言動が言動だからね……」
「アイツは金さえ積めばどうにでもしてくれると思うけど」
「やーですよ。そんなことにお金使いたくないです」
ゆくゆくは卒業にも関わって来るというのに「そんなこと」と言えてしまうヒロの神経だ。いや、ヒロがどうなろうと俺の知ったことではないんだけども。ヒロはほっとくと平気で諸先輩方にご迷惑をおかけするからなあ。いや、俺は断固として助けないと心に決めてるんだ。
「ちなみにS君は今回のテストも安定なんでしょ」
「まあ、普通にやっていれば相応の成績にはなるかと」
「おー。言ってみたいねー! GPA4.0は言うことが違いますわ!」
「はーやだやだ。ホンマノサカいけずやわ」
「ウチのグループは俺を含めて割と学校の成績はいいメンバーが揃ってるけど、さすがにS君クラスとなるとなあ」
「京川さんを含めてというのが引っかかる点ではありますが、バネコンは頭がいいんだろうなあとは思って見てました」
「その2人は来春から院に進学だしね」
「ああー、やはり」
「バネは星大の院だしね。引くよね」
「素でヒュッてなりました。星大の院だと…!? バネ様やべえ…!」
「レイ君は文系に特化してるから理系揃いのUSDXでは結構異端なんだよね」
「でしょうね。ちなみにソルさんはー……」
「そこは謎のままの方がS君的には興奮しない?」
「ちくしょう、バレてやがる!」
「四大卒じゃないってことは言っても大丈夫かな」
「樹理ちゃん! それよりボクのテスト!」
「あーもうしょうがないなあ。何がわかんないの」
ここからここまでです、と指定した範囲が広すぎて常人には手に負えないヤツ。でも京川さんは自称優秀らしいしヒロの面倒も何とか見てくれるだろう! そして俺は平和なテスト期間ライフを! まあ、実際にはもう少し先なんだけども。
end.
++++
ヒロのいつものヤツはフェーズが変わっても安定だなあ。様式美と言うヤツかしら。でもノサカはもうほとんど手助けしてないみたい。
ヒロはキョージュを樹理ちゃんと呼ぶほど仲良くなってたらしいんだけど、それがいつのことだかさっぱりだよ。
そういやUSDXっレイ君を除いて理系揃いのグループでしたね。ソルさんの学歴に関しては闇の中なんだけども。
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