2020(04)
■合宿攻略の裏情報
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佐藤ゼミに入ることになった1年もみんな込々でスタジオに招集され、2月に行われるゼミ合宿なる行事のお知らせがされた。このゼミ合宿というのは厳密には「卒論発表合宿」というもので、4年生の卒論発表会を遠出してやるんだそうだ。
場所は、長篠エリアの山中にある緑ヶ丘大学のセミナーハウス。そのパンフレットをもらったんだけど、本当に大学の施設かよと思う外装をしたコテージで、スキー場が併設されているとか。内装も殺人事件の起きそうな豪華な雰囲気とか何とか。
1年生は合宿に参加してゼミの雰囲気に慣れてくれればいいという感じらしいけど、実際必要な物とかって何があるのやら。合宿の概要が書かれたプリントにもさらりと書いてあるけど、生きた知恵が欲しいと言うか。と、いうわけで。
「来るとは思ってましたよねー」
「俺たち、果林先輩と高木先輩が頼りなんすよ! 合宿って、何を持ってったらいいとかってありますか?」
「プリントに書いてある以外の情報が欲しくて」
こうなりますよね。持つべきものは同じサークルの先輩だ。俺とシノはそのお知らせが終わってすぐに先輩たちを捕まえて、アドバイスをもらいに行くよな。こういうのは早い方がいい。時間を置くとテストとかでバタバタするから。
すると、果林先輩と高木先輩は「非常食」と声を揃えた。声があまりにシンクロしている。果林先輩はテレビに出ててもおかしくないレベルの大食いさんだからともかく、あまり量を食べる印象のない高木先輩もそう言うってことは、非常食が要るのは本当なのだろう。
「非常食? っすか?」
「この、夕食のトコにフランス料理のフルコースってあるでしょ? これがま~あ、食べた感のない代物でさ。美味しいんだけど、お腹は全く膨れないの」
「マジすかー、やっぱお上品なモンてちょっとずつしか盛ってくれないんすね」
「そうそう、そんな感じ!」
「それで、非常食と言うと具体的にどんなものがあればいいですか?」
「部屋に湯沸し器はあるから、お湯で戻せる物なら大体対応出来るよ。アタシはそれこそ災害用非常食とかであるお湯を入れて戻すご飯とか、そのおともを持ってってるかな」
「あと、味の濃い物があるといいね。濃い味のカップラーメンとか、それこそごはんのおともにサバの味噌煮とか。最近はパウチタイプもあるから片付けが簡単でいいね」
「あ~、サバの味噌煮! 間違いないっすね!」
このセミナーハウスというのが本当に細い道一本しかない山荘で、周りに店なんかもちろんあるわけないし、ハウス内に売店はあるけどお土産物のお菓子くらいしかないそうだし、自販機のジュースとかも観光地料金らしい。一般的男子なら非常食は必須とのこと。
「つか、そんな何もないところでみんな自由時間とか何してるんすか?」
「スキーとか人生ゲームとか、思い思いのことをしてるね。ロビーでピアノ弾いてる子もいるし」
「スキーって確かレンタル料かかるんすよね」
「そうだね、3000円。でもその3000円でリフトとかも乗り放題だし総じてお得だね。あっでも2人とも、スキーとかスノボとかやったことある?」
「あんまりやったことないですね」
「俺もっす。でもせっかくだしやってみたいとは思うんすけど、金がな~…! えっ、その3000円で、板とウエアと」
「リフト代コミコミ」
「って聞いたら安い気がして来た。ササ、スノボやんね?」
「せっかくだし、やってみようか」
「よーし、節約だ!」
果林先輩曰く、高木先輩はスキーがかなり上手くて果林先輩にレクチャーしていたとか。正直高木先輩にそんなイメージが全くなかったから俺もシノも驚いてしまった。スポーツだと、果林先輩が高木先輩に教えるとか助けるって方がしっくりくる。
俺とシノはスノーボードに挑戦することになったので、スキー場に出るにあたっての注意点などを高木先輩から教わる。一番下のリフト乗り場にスキー小屋があって、そこでも食事が出来るらしい。簡単な売店もあるのでお菓子の調達なども出来るとか。ただし観光地料金ではある、と。
「ちなみに参考までに、その非常食ってどれくらいあったらいいんですか」
「一般的な男子なら3、4食分くらいかなあ、昼と夜で。朝はバイキング形式だからガッツリ食べれるけど」
「あっ、朝はバイキングなんすね!」
「よくあるホテルのバイキングみたいな感じかな。和食とか洋食とか、本当に好きなように食べれるんだよ」
「焼きたてのパンがも~うホントに美味しくて! シノ、無限に食べれるから気を付けた方がいいよ。延々と食べちゃうから」
「マジすか、逆に怖いっすね。く~っ、焼きたてパン楽しみっすね! 俺、朝飯は基本おにぎりなんでパン食とか滅多にないんすよ。えっ、どんなパンがあるんすか?」
「定番のロールパンに、クロワッサンに……」
シノ程じゃないけど俺もそこそこ食べるから、朝食は自分の食べたいだけ食べれるのが本当にありがたいし、非常食に関してもかなり有用な情報だったなと思う。味の濃い物があるといいんだな。やっぱりラーメンが無難なのかな。
「そうだ。ゼミ合宿の醍醐味は現地での云々じゃなくて、帰りのサービスエリアでの買い物と言っても過言じゃないから、お小遣いはたくさん持ってくといいよ」
「え、サービスエリアですか?」
end.
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1年生が頼りにするのはやっぱり情報を持つ先輩なんですね。フェーズ1でのそれを完全になぞったMBCC勢です。そら頼るわ
単純に声がシンクロしてるタカりんはかわいいんだろうなあというだけのヤツ。非常食。2人にとってもかなり重要。
ササシノはやっぱりアクティブにも動けるからスキー場にも遊びに行くんだろうなっていう感じ。コミコミで3000円のお得感に負けたかな
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佐藤ゼミに入ることになった1年もみんな込々でスタジオに招集され、2月に行われるゼミ合宿なる行事のお知らせがされた。このゼミ合宿というのは厳密には「卒論発表合宿」というもので、4年生の卒論発表会を遠出してやるんだそうだ。
場所は、長篠エリアの山中にある緑ヶ丘大学のセミナーハウス。そのパンフレットをもらったんだけど、本当に大学の施設かよと思う外装をしたコテージで、スキー場が併設されているとか。内装も殺人事件の起きそうな豪華な雰囲気とか何とか。
1年生は合宿に参加してゼミの雰囲気に慣れてくれればいいという感じらしいけど、実際必要な物とかって何があるのやら。合宿の概要が書かれたプリントにもさらりと書いてあるけど、生きた知恵が欲しいと言うか。と、いうわけで。
「来るとは思ってましたよねー」
「俺たち、果林先輩と高木先輩が頼りなんすよ! 合宿って、何を持ってったらいいとかってありますか?」
「プリントに書いてある以外の情報が欲しくて」
こうなりますよね。持つべきものは同じサークルの先輩だ。俺とシノはそのお知らせが終わってすぐに先輩たちを捕まえて、アドバイスをもらいに行くよな。こういうのは早い方がいい。時間を置くとテストとかでバタバタするから。
すると、果林先輩と高木先輩は「非常食」と声を揃えた。声があまりにシンクロしている。果林先輩はテレビに出ててもおかしくないレベルの大食いさんだからともかく、あまり量を食べる印象のない高木先輩もそう言うってことは、非常食が要るのは本当なのだろう。
「非常食? っすか?」
「この、夕食のトコにフランス料理のフルコースってあるでしょ? これがま~あ、食べた感のない代物でさ。美味しいんだけど、お腹は全く膨れないの」
「マジすかー、やっぱお上品なモンてちょっとずつしか盛ってくれないんすね」
「そうそう、そんな感じ!」
「それで、非常食と言うと具体的にどんなものがあればいいですか?」
「部屋に湯沸し器はあるから、お湯で戻せる物なら大体対応出来るよ。アタシはそれこそ災害用非常食とかであるお湯を入れて戻すご飯とか、そのおともを持ってってるかな」
「あと、味の濃い物があるといいね。濃い味のカップラーメンとか、それこそごはんのおともにサバの味噌煮とか。最近はパウチタイプもあるから片付けが簡単でいいね」
「あ~、サバの味噌煮! 間違いないっすね!」
このセミナーハウスというのが本当に細い道一本しかない山荘で、周りに店なんかもちろんあるわけないし、ハウス内に売店はあるけどお土産物のお菓子くらいしかないそうだし、自販機のジュースとかも観光地料金らしい。一般的男子なら非常食は必須とのこと。
「つか、そんな何もないところでみんな自由時間とか何してるんすか?」
「スキーとか人生ゲームとか、思い思いのことをしてるね。ロビーでピアノ弾いてる子もいるし」
「スキーって確かレンタル料かかるんすよね」
「そうだね、3000円。でもその3000円でリフトとかも乗り放題だし総じてお得だね。あっでも2人とも、スキーとかスノボとかやったことある?」
「あんまりやったことないですね」
「俺もっす。でもせっかくだしやってみたいとは思うんすけど、金がな~…! えっ、その3000円で、板とウエアと」
「リフト代コミコミ」
「って聞いたら安い気がして来た。ササ、スノボやんね?」
「せっかくだし、やってみようか」
「よーし、節約だ!」
果林先輩曰く、高木先輩はスキーがかなり上手くて果林先輩にレクチャーしていたとか。正直高木先輩にそんなイメージが全くなかったから俺もシノも驚いてしまった。スポーツだと、果林先輩が高木先輩に教えるとか助けるって方がしっくりくる。
俺とシノはスノーボードに挑戦することになったので、スキー場に出るにあたっての注意点などを高木先輩から教わる。一番下のリフト乗り場にスキー小屋があって、そこでも食事が出来るらしい。簡単な売店もあるのでお菓子の調達なども出来るとか。ただし観光地料金ではある、と。
「ちなみに参考までに、その非常食ってどれくらいあったらいいんですか」
「一般的な男子なら3、4食分くらいかなあ、昼と夜で。朝はバイキング形式だからガッツリ食べれるけど」
「あっ、朝はバイキングなんすね!」
「よくあるホテルのバイキングみたいな感じかな。和食とか洋食とか、本当に好きなように食べれるんだよ」
「焼きたてのパンがも~うホントに美味しくて! シノ、無限に食べれるから気を付けた方がいいよ。延々と食べちゃうから」
「マジすか、逆に怖いっすね。く~っ、焼きたてパン楽しみっすね! 俺、朝飯は基本おにぎりなんでパン食とか滅多にないんすよ。えっ、どんなパンがあるんすか?」
「定番のロールパンに、クロワッサンに……」
シノ程じゃないけど俺もそこそこ食べるから、朝食は自分の食べたいだけ食べれるのが本当にありがたいし、非常食に関してもかなり有用な情報だったなと思う。味の濃い物があるといいんだな。やっぱりラーメンが無難なのかな。
「そうだ。ゼミ合宿の醍醐味は現地での云々じゃなくて、帰りのサービスエリアでの買い物と言っても過言じゃないから、お小遣いはたくさん持ってくといいよ」
「え、サービスエリアですか?」
end.
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1年生が頼りにするのはやっぱり情報を持つ先輩なんですね。フェーズ1でのそれを完全になぞったMBCC勢です。そら頼るわ
単純に声がシンクロしてるタカりんはかわいいんだろうなあというだけのヤツ。非常食。2人にとってもかなり重要。
ササシノはやっぱりアクティブにも動けるからスキー場にも遊びに行くんだろうなっていう感じ。コミコミで3000円のお得感に負けたかな
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