2020(04)
■続ける力を身に付けたい
++++
「ホント、このお得なキャンペーンに乗じないでどうすんのって感じだわ」
「基本100メートル1点が、10倍キャンペーンで100メートル10点は大きいですね」
正月休みが終わり、緑ヶ丘大学は秋学期の授業を再開した。帰省から帰って来た俺は無事に2限の授業に出ることが出来てまずは一安心。正直、実家では怠惰と言うのがピッタリな生活をしていたし、昼夜逆転はいつものことだったから。
そんな生活をしているのがしっかりバレていたのか、一緒に2限を受けていた果林先輩にジムへと引き摺られてた。動きやすい服装で来るかジャージを持って来いという風に言われていたから、薄々そんな予感はしていたけど。
何でも、今日から来週水曜日までの期間限定で、トレーニング内容に応じたミドカへのポイント付与キャンペーンが開催されるようだった。こないだは5倍だったと思うけど、今回は何と10倍。運動不足解消と節約を同時に叶えるいい機会かもしれない。
「タカちゃん絶対正月で体鈍ってると思ったからね」
「そうですね。体は基本鈍ってますね」
「それに金曜って2限だけでしょ? この時期って復帰組も多いしゆっくりご飯を食べるなら時間をずらすのも手ですよねー。あれっ、でも2年生のこの時期でよく1コマだけの日なんて作れたね?」
「俺は集中講義を入れて通常枠を緩くする派なんですね」
「ああ、そっちね。そしたらテスト終わってからまた授業なんだね」
「そうですね。まあ、どうせゼミ合宿もあるので生活リズムを保つにはちょうどいいですね。それに、集中講義は出席100%なので出さえすれば後はどうにでもなります」
ジムにはランニングマシーンやフィットネスバイク、それからもうちょっといろいろなマシンがずらりと並ぶ。最近ではくるみもここでちょっとした空き時間に体を動かしているそうだ。冬になるとどうしても太りやすくなるからと。
果林先輩はランニングマシンで、俺はクロストレーナーという機械で体を動かしている。そのマシンが隣同士にあるから話しながらやれるのが時間の経過を短く感じさせた。機械で動画を見たりすることも出来るそうだけど、今日はいいかな。
クロストレーナーというのはクロスカントリーのような動きで全身運動が出来るマシンだ。俺はスキーが得意だからこういうのにも対応出来るだろうと果林先輩が勧めてくれた。実際、ランニングや自転車だけよりも運動している感が強い。
「あっ、高木先輩! 果林先輩もー。おはようございまーす」
「あ、くるみ。おはよう」
「くるみも運動? いい心がけだね」
「そうなんですよー、冬のスイーツは濃厚で美味しいですからね! お正月が終わればバレンタイン、チョコレートスイーツへの準備も忙しいですよー! 高木先輩、お隣失礼しまーす」
くるみは慣れた様子で俺の隣のクロストレーナーに飛び乗り、カチカチと負荷を上げて体を動かし始めた。くるみは3限が休講になり、その補講が明日になったそうだ。普通は休みにまで授業には出たくないけど、くるみは明日もトレーニングをするぞと前向きだ。
「高木先輩もクロストレーナーなんですね! でも、先輩は全身痩せの必要なくないですか?」
「俺はダイエットと言うよりは運動不足の解消と体力増強をしなさいと言われてて」
「あっ、あたしが来るまで軍曹のマンツーマンでしたもんね!」
「果林先輩、くるみには軍隊式でやってたんですか?」
「軍隊式って言われる程でもないけど、甘すぎず厳しすぎずのライン上だね。でも、ちょっとずつだけどいい脚になってきてるよくるみは。ちょっと失礼」
「ひゃっ」
「うん、これは冬休み中もサボってなかったっぽいね。よろしい」
「食べる機会が多かったですからね! きっちりスクワットしてました!」
「筋肉量を増やせばボディラインも綺麗になるし、燃やす力にもなるからねくるみ」
「はい軍曹!」
いっぱい体を動かせば、トレーニングにもなってミドカにポイントも入ってお得ですもんねーとくるみはノリノリだ。しっかり習慣になっているようだし、くるみの前向きさと継続した力は素直に尊敬する。俺は続かなさそうだし。
「そう言えば、先輩たちはお昼食べないんですか? それとももう終わったんですか?」
「アタシたちはピークを避けるためにここに来たよね。食堂は復帰組で溢れてるはずだから」
「あと、少しでも稼いでから食べようかなと」
「あっ、そうですよねー! 今日、教室に入ってる人が多いような気がしました!」
「学期末になると今までサボってた人が戻って来るんだよ。ねえタカちゃん」
「あ、えーっと……はい、そうですね」
果林先輩ともなれば、痛いところを確実に突いて来るなと改めて実感。実際、俺も学期末で大学に戻って来た人間の1人だ。
「ちなみに、今日は自力で起きれた? それともエージでも招集した?」
「それはもうお察しの通り、エイジの力を借りましたよ」
「ですよねー」
「ただ、週明けの火曜日は前日にエイジが成人式でその手段も使えないので、鵠さんと一緒に鍋をやって、ついでに泊まらせてもらうことになってます」
「あっ、確実に1限を取って行く作戦か! 鵠さんて成人式終わってるもんね」
「コムギハイツで朝を迎えられるのは強いですからね」
「あれっ、高木先輩は成人式」
「出ないよ。そうホイホイ帰れる距離じゃないし」
「えー、それも残念ですねー。そしたらあたしが先輩の成人をお祝いしますよ。トレーニング終わったら一緒にご飯食べましょー」
end.
++++
緑大の施設であるジムが今年度と言うかフェーズ2要素なのかもしれない。タカりんとくるちゃんのトレーニングです。
以前はちょっとトレーニングするだけで全身筋肉痛になってずっと眠かったTKGですが、たまに果林に引き摺られてるうちに少しは慣れたのかしら。
多分だけど、「エイジの力を借りましたよ」のTKGは結構なドヤ顔だったに違いない。誇るところじゃないぞそれは
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「ホント、このお得なキャンペーンに乗じないでどうすんのって感じだわ」
「基本100メートル1点が、10倍キャンペーンで100メートル10点は大きいですね」
正月休みが終わり、緑ヶ丘大学は秋学期の授業を再開した。帰省から帰って来た俺は無事に2限の授業に出ることが出来てまずは一安心。正直、実家では怠惰と言うのがピッタリな生活をしていたし、昼夜逆転はいつものことだったから。
そんな生活をしているのがしっかりバレていたのか、一緒に2限を受けていた果林先輩にジムへと引き摺られてた。動きやすい服装で来るかジャージを持って来いという風に言われていたから、薄々そんな予感はしていたけど。
何でも、今日から来週水曜日までの期間限定で、トレーニング内容に応じたミドカへのポイント付与キャンペーンが開催されるようだった。こないだは5倍だったと思うけど、今回は何と10倍。運動不足解消と節約を同時に叶えるいい機会かもしれない。
「タカちゃん絶対正月で体鈍ってると思ったからね」
「そうですね。体は基本鈍ってますね」
「それに金曜って2限だけでしょ? この時期って復帰組も多いしゆっくりご飯を食べるなら時間をずらすのも手ですよねー。あれっ、でも2年生のこの時期でよく1コマだけの日なんて作れたね?」
「俺は集中講義を入れて通常枠を緩くする派なんですね」
「ああ、そっちね。そしたらテスト終わってからまた授業なんだね」
「そうですね。まあ、どうせゼミ合宿もあるので生活リズムを保つにはちょうどいいですね。それに、集中講義は出席100%なので出さえすれば後はどうにでもなります」
ジムにはランニングマシーンやフィットネスバイク、それからもうちょっといろいろなマシンがずらりと並ぶ。最近ではくるみもここでちょっとした空き時間に体を動かしているそうだ。冬になるとどうしても太りやすくなるからと。
果林先輩はランニングマシンで、俺はクロストレーナーという機械で体を動かしている。そのマシンが隣同士にあるから話しながらやれるのが時間の経過を短く感じさせた。機械で動画を見たりすることも出来るそうだけど、今日はいいかな。
クロストレーナーというのはクロスカントリーのような動きで全身運動が出来るマシンだ。俺はスキーが得意だからこういうのにも対応出来るだろうと果林先輩が勧めてくれた。実際、ランニングや自転車だけよりも運動している感が強い。
「あっ、高木先輩! 果林先輩もー。おはようございまーす」
「あ、くるみ。おはよう」
「くるみも運動? いい心がけだね」
「そうなんですよー、冬のスイーツは濃厚で美味しいですからね! お正月が終わればバレンタイン、チョコレートスイーツへの準備も忙しいですよー! 高木先輩、お隣失礼しまーす」
くるみは慣れた様子で俺の隣のクロストレーナーに飛び乗り、カチカチと負荷を上げて体を動かし始めた。くるみは3限が休講になり、その補講が明日になったそうだ。普通は休みにまで授業には出たくないけど、くるみは明日もトレーニングをするぞと前向きだ。
「高木先輩もクロストレーナーなんですね! でも、先輩は全身痩せの必要なくないですか?」
「俺はダイエットと言うよりは運動不足の解消と体力増強をしなさいと言われてて」
「あっ、あたしが来るまで軍曹のマンツーマンでしたもんね!」
「果林先輩、くるみには軍隊式でやってたんですか?」
「軍隊式って言われる程でもないけど、甘すぎず厳しすぎずのライン上だね。でも、ちょっとずつだけどいい脚になってきてるよくるみは。ちょっと失礼」
「ひゃっ」
「うん、これは冬休み中もサボってなかったっぽいね。よろしい」
「食べる機会が多かったですからね! きっちりスクワットしてました!」
「筋肉量を増やせばボディラインも綺麗になるし、燃やす力にもなるからねくるみ」
「はい軍曹!」
いっぱい体を動かせば、トレーニングにもなってミドカにポイントも入ってお得ですもんねーとくるみはノリノリだ。しっかり習慣になっているようだし、くるみの前向きさと継続した力は素直に尊敬する。俺は続かなさそうだし。
「そう言えば、先輩たちはお昼食べないんですか? それとももう終わったんですか?」
「アタシたちはピークを避けるためにここに来たよね。食堂は復帰組で溢れてるはずだから」
「あと、少しでも稼いでから食べようかなと」
「あっ、そうですよねー! 今日、教室に入ってる人が多いような気がしました!」
「学期末になると今までサボってた人が戻って来るんだよ。ねえタカちゃん」
「あ、えーっと……はい、そうですね」
果林先輩ともなれば、痛いところを確実に突いて来るなと改めて実感。実際、俺も学期末で大学に戻って来た人間の1人だ。
「ちなみに、今日は自力で起きれた? それともエージでも招集した?」
「それはもうお察しの通り、エイジの力を借りましたよ」
「ですよねー」
「ただ、週明けの火曜日は前日にエイジが成人式でその手段も使えないので、鵠さんと一緒に鍋をやって、ついでに泊まらせてもらうことになってます」
「あっ、確実に1限を取って行く作戦か! 鵠さんて成人式終わってるもんね」
「コムギハイツで朝を迎えられるのは強いですからね」
「あれっ、高木先輩は成人式」
「出ないよ。そうホイホイ帰れる距離じゃないし」
「えー、それも残念ですねー。そしたらあたしが先輩の成人をお祝いしますよ。トレーニング終わったら一緒にご飯食べましょー」
end.
++++
緑大の施設であるジムが今年度と言うかフェーズ2要素なのかもしれない。タカりんとくるちゃんのトレーニングです。
以前はちょっとトレーニングするだけで全身筋肉痛になってずっと眠かったTKGですが、たまに果林に引き摺られてるうちに少しは慣れたのかしら。
多分だけど、「エイジの力を借りましたよ」のTKGは結構なドヤ顔だったに違いない。誇るところじゃないぞそれは
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