2020(04)
■無限のフレーム
＋＋＋＋
「今日も新春スイーツ大収穫だよ。北星ありがとう」
「くるちゃんて～、甘いのいっぱい食べてるのに～、あんまり太らないね～」
「えっ！ 太ったよ！ 全然太った！ だから大学のジムで体を動かして、何とかちょっと増えただけでキープしてるの！」
お正月が過ぎれば節分とバレンタインが同時にやってきて、今度はチョコレートスイーツが始まるんだよね。北星は甘いのいっぱい食べてる割に太ってないって言うけど、実際太ってるんだよね。数字として確実に表れてるんだもん。
だから果林先輩に教えてもらったトレーニングを出来る範囲で続けてて、少しでも代謝しやすくなるように頑張ってる。生活リズムの崩れるお正月が正念場だったけど、最低限はやれてるし、お餅はいつもより控えてるから明日から平常に戻っても何とかなると思う。
「大学にジムがあるの～？ さすが～緑ヶ丘～」
「あたしもビックリしたけど普通のジムより安いし、大学にいるついでに使えるからね」
「へ～。青敬じゃ考えられないな～」
北星にはあたしがブログに乗せてるスイーツの断面動画のことで協力してもらうようになっていた。あたしと北星はやってることの次元が違い過ぎるんだけど、北星があたしの所まで降りて来て技術指導をしてくれてるっていう感じ。
「うわ、変なの見た。北星だ。外歩くんだ」
通りかかった女の子がこっちを見てる。多分北星の友達とかだと思うけど。背が高くて、シュッとした感じで大人っぽい。髪もねじりハーフアップできれい目にまとまっている。服装もおしゃれだしこなれ感がすごい。
「あ～、え～と、誰だっけ～」
「だろうとは思ったよ。人の顔や名前なんかちっとも興味ないのは相変わらずか」
「北星、友達？」
「今までに出会ってるのかも～。でも、俺はピンと来てないな～」
「ったく。芦屋伊吹だよ」
「えっと～、どこの知り合い～？」
「高校だ、高校。あー、えーっと、去年文化祭のムービーとか作ってた生徒会の人間だよ」
「あ～、あのムービーね～。映像は思い出した～」
交流のあったらしい友達のことを、本人の顔や名前じゃなくて作った映像で覚えてるのが当麻や雨竜のよく言う北星らしさなのかもしれない。動画にしか興味がなくて、人に対する興味が薄いっていうのはそういうところに現れて来るんだね。そう考えると確かに顔と名前を覚えててもらってるのは奇跡かも。
「それで～、その芦屋さんが～、何の用事～？」
「いや、アンタが女の子と出掛けてるとか、驚き過ぎて思わず声が出たんだよ。え、何？ 今って動画作ってないの？」
「動画は～授業でも～、サークルでも～、仕事としても～作ってるよ～」
「だよな。アンタから動画を取ったら何も残らないもんな。で、その子は？ まさかとは思うけど、彼女？」
「サークル関係で知り合った友達～。スイーツの断面動画を撮ってる子で～、技術協力とかをしてるんだよ～」
「へえ、青敬の友達か」
「あ、いえ、あたしは緑ヶ丘です。依田くるみっていいます。映像を勉強してるってワケじゃなくて、動画は本当に趣味でやってて」
「ああ、アタシは芦屋伊吹。桜貝大学の１年で、学校でもサークルでも一応映像制作をやってるんだ」
話によれば、伊吹さんは北星と高校の同級生で、文化祭の終わりに流すまとめムービーみたいなのを作るっていうので北星と話してたらしい。当時から北星は映像編集技術が凄いっていうので有名だったんだって。それはわかるなあ。
「でも、北星がサークルに入ってるってのもビックリだけど、他校に友達まで出来てるとかさらに驚きだよ。どうした？ 何か悪い物でも食べた？」
「学科の友達がサークルに入るって言うから～、ついてったんだ～。インターフェイスでの～ラジオ制作も～、構成を考えるとか、コミュニケーションの～勉強になってるし～」
「へえ、何か聞いたことはあるな、インターフェイスって。何かいろんな大学が集まってラジオやるってヤツでしょ？」
「あっ、そうですそうです！ へえ、他の大学さんにも知られてるんだ」
「ウチも昔は参加してたらしいけど、ウチって出る意味あんのってなってフェードアウトしてったらしいね。でも青敬はまだやってたんだね」
「最近は～、インターフェイスでも配信とか～、動画制作の話も出てて～、俺たち映像系の大学も主体になって動く機会が増えそうなんだよ～」
「えっ、そんな話になってたの？」
「雨竜から聞いた～。定例会で～、そういう話をしてるんだって～」
「へー、楽しみ！ なるほど、だからサキはいろいろ機材の勉強してるんだ」
定例会での話はまだちゃんと聞けてないんだけど、ラジオ以外にも各校合同で作品を作ってみてもいいんじゃないかって話も出てるんだって。それが例えば、青敬さん主導の映像作品のことだったり、動画サイトにインターフェイスのチャンネルを作ろうかって話だったりするんだって。
「ちょっと、始まったねインターフェイス。あ、これ、ウチのサークルでやってる動画チャンネル。良かったら見て」
「ありがとう」
「あ、そっちのスイーツ動画だっけ？ それも見せてよ」
「そしたら、ブログのURL送るね。本当に趣味でやってるヤツだけど」
もう時間だからと言って伊吹さんは行ってしまったけど、そのままの流れで教えてもらった動画チャンネルを北星と一緒に見る。もしインターフェイスでラジオ以外の、例えば映像関係の活動をするとしたら、あたしも何か出来るのかな。それはそれで楽しみだな。
end.
＋＋＋＋
去年話してるはずなのにその人を顔や名前じゃなくて作ったもので覚えてる北星がちょっとアレだけど、似たようなことをしそうな奴がいたなあ
冬キャラとか来年度への布石とかいろいろ考え方があるけど、フェーズ２の新キャラが登場。ちゃんとキャラを練るのはこれから。とりあえず出してから。
ラジオ特化に見られがちなMBCCだけど、TKGが３年になってゼミや授業で映像関係を勉強し始めたり、くるちゃんもいるしで案外何でも出来そうだわね
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「今日も新春スイーツ大収穫だよ。北星ありがとう」
「くるちゃんて～、甘いのいっぱい食べてるのに～、あんまり太らないね～」
「えっ！ 太ったよ！ 全然太った！ だから大学のジムで体を動かして、何とかちょっと増えただけでキープしてるの！」
お正月が過ぎれば節分とバレンタインが同時にやってきて、今度はチョコレートスイーツが始まるんだよね。北星は甘いのいっぱい食べてる割に太ってないって言うけど、実際太ってるんだよね。数字として確実に表れてるんだもん。
だから果林先輩に教えてもらったトレーニングを出来る範囲で続けてて、少しでも代謝しやすくなるように頑張ってる。生活リズムの崩れるお正月が正念場だったけど、最低限はやれてるし、お餅はいつもより控えてるから明日から平常に戻っても何とかなると思う。
「大学にジムがあるの～？ さすが～緑ヶ丘～」
「あたしもビックリしたけど普通のジムより安いし、大学にいるついでに使えるからね」
「へ～。青敬じゃ考えられないな～」
北星にはあたしがブログに乗せてるスイーツの断面動画のことで協力してもらうようになっていた。あたしと北星はやってることの次元が違い過ぎるんだけど、北星があたしの所まで降りて来て技術指導をしてくれてるっていう感じ。
「うわ、変なの見た。北星だ。外歩くんだ」
通りかかった女の子がこっちを見てる。多分北星の友達とかだと思うけど。背が高くて、シュッとした感じで大人っぽい。髪もねじりハーフアップできれい目にまとまっている。服装もおしゃれだしこなれ感がすごい。
「あ～、え～と、誰だっけ～」
「だろうとは思ったよ。人の顔や名前なんかちっとも興味ないのは相変わらずか」
「北星、友達？」
「今までに出会ってるのかも～。でも、俺はピンと来てないな～」
「ったく。芦屋伊吹だよ」
「えっと～、どこの知り合い～？」
「高校だ、高校。あー、えーっと、去年文化祭のムービーとか作ってた生徒会の人間だよ」
「あ～、あのムービーね～。映像は思い出した～」
交流のあったらしい友達のことを、本人の顔や名前じゃなくて作った映像で覚えてるのが当麻や雨竜のよく言う北星らしさなのかもしれない。動画にしか興味がなくて、人に対する興味が薄いっていうのはそういうところに現れて来るんだね。そう考えると確かに顔と名前を覚えててもらってるのは奇跡かも。
「それで～、その芦屋さんが～、何の用事～？」
「いや、アンタが女の子と出掛けてるとか、驚き過ぎて思わず声が出たんだよ。え、何？ 今って動画作ってないの？」
「動画は～授業でも～、サークルでも～、仕事としても～作ってるよ～」
「だよな。アンタから動画を取ったら何も残らないもんな。で、その子は？ まさかとは思うけど、彼女？」
「サークル関係で知り合った友達～。スイーツの断面動画を撮ってる子で～、技術協力とかをしてるんだよ～」
「へえ、青敬の友達か」
「あ、いえ、あたしは緑ヶ丘です。依田くるみっていいます。映像を勉強してるってワケじゃなくて、動画は本当に趣味でやってて」
「ああ、アタシは芦屋伊吹。桜貝大学の１年で、学校でもサークルでも一応映像制作をやってるんだ」
話によれば、伊吹さんは北星と高校の同級生で、文化祭の終わりに流すまとめムービーみたいなのを作るっていうので北星と話してたらしい。当時から北星は映像編集技術が凄いっていうので有名だったんだって。それはわかるなあ。
「でも、北星がサークルに入ってるってのもビックリだけど、他校に友達まで出来てるとかさらに驚きだよ。どうした？ 何か悪い物でも食べた？」
「学科の友達がサークルに入るって言うから～、ついてったんだ～。インターフェイスでの～ラジオ制作も～、構成を考えるとか、コミュニケーションの～勉強になってるし～」
「へえ、何か聞いたことはあるな、インターフェイスって。何かいろんな大学が集まってラジオやるってヤツでしょ？」
「あっ、そうですそうです！ へえ、他の大学さんにも知られてるんだ」
「ウチも昔は参加してたらしいけど、ウチって出る意味あんのってなってフェードアウトしてったらしいね。でも青敬はまだやってたんだね」
「最近は～、インターフェイスでも配信とか～、動画制作の話も出てて～、俺たち映像系の大学も主体になって動く機会が増えそうなんだよ～」
「えっ、そんな話になってたの？」
「雨竜から聞いた～。定例会で～、そういう話をしてるんだって～」
「へー、楽しみ！ なるほど、だからサキはいろいろ機材の勉強してるんだ」
定例会での話はまだちゃんと聞けてないんだけど、ラジオ以外にも各校合同で作品を作ってみてもいいんじゃないかって話も出てるんだって。それが例えば、青敬さん主導の映像作品のことだったり、動画サイトにインターフェイスのチャンネルを作ろうかって話だったりするんだって。
「ちょっと、始まったねインターフェイス。あ、これ、ウチのサークルでやってる動画チャンネル。良かったら見て」
「ありがとう」
「あ、そっちのスイーツ動画だっけ？ それも見せてよ」
「そしたら、ブログのURL送るね。本当に趣味でやってるヤツだけど」
もう時間だからと言って伊吹さんは行ってしまったけど、そのままの流れで教えてもらった動画チャンネルを北星と一緒に見る。もしインターフェイスでラジオ以外の、例えば映像関係の活動をするとしたら、あたしも何か出来るのかな。それはそれで楽しみだな。
end.
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去年話してるはずなのにその人を顔や名前じゃなくて作ったもので覚えてる北星がちょっとアレだけど、似たようなことをしそうな奴がいたなあ
冬キャラとか来年度への布石とかいろいろ考え方があるけど、フェーズ２の新キャラが登場。ちゃんとキャラを練るのはこれから。とりあえず出してから。
ラジオ特化に見られがちなMBCCだけど、TKGが３年になってゼミや授業で映像関係を勉強し始めたり、くるちゃんもいるしで案外何でも出来そうだわね
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