2020(04)
■噂のケーキ食べる大会
＋＋＋＋
「メリークリスマーした！」
「ました？」
「うん、クリスマスって昨日だから一応過去形の方がいいかなって」
みちるの家に集まって、これから始めるのは机いっぱいに広げられたクリスマスケーキを食べる大会だ。主催はくるみで、趣味のスイーツ動画撮影に使ったケーキを後で美味しくいただくというのがこの大会の主旨。最初はくるみとみちる、それから北星の３人で小ぢんまりとやる会だったみたいだけど。
ケーキを食べるならもうちょっと人数がいた方がいいだろうと３人がそれぞれに追加招集をかけたらこんな感じに人が集まったようだ。みちるの部屋の小さい机ではあぶれる人が出たけど、先輩たちが自分たちは隅でいいよと言ってくれたのを、いえいえそこは先輩がと譲り合うところから始まった。
「これだけ人数が集まったら切り分けるの難しいね。誰が綺麗に切るの得意かな」
「くるちゃんじゃな～い？」
「うん。くるみが一番上手いと思う。人数分切り分けちゃって」
「わかった、やってみるよ」
初期メンバーの３人の他に呼ばれたのは俺と当麻、それからリク。あと高木さんとミドリさんもいる。何気に夏合宿の３班が伊織以外全員いるな。今日は26日で、年末年始に帰省する人もギリギリまだ誰も帰ってなかったからこれだけの人数になってるんだろうな。
くるみが人数分のケーキを切り分けてくれて、それをみんなで食べていく。くるみはどれだけ大量にケーキを買ってたんだって感じで、少なくともコンビニのホールケーキを３台は買ってたんだろうな。それを最初は３人で食うつもりだったとか。考えただけで腹いっぱいになりそうだ。
「わー、美味しいねー」
「ミドリお茶好きだもんね」
「俺が好きなのはほうじ茶だよ。抹茶は普通って感じかな」
「あ、そうなんだ。って言うか、普通にコンビニのこういうクリスマスケーキって高そうだけど、くるみ、ケーキにいくら使ったの…？」
「２万円までなら全然出しますよ。だって切るのも楽しいですし、食べても美味しいんですもん。あっ、それにあたしコンビニでバイトしてるんで、自分が働いてるお店だったら割引が利くんです！ みんな、まだまだおかわりあるからね！」
「しょっぱいのが食べたくなったら～、チキンもあるからね～」
「ミネストローネも作ったから、箸休めにどうぞ」
「と言うか、単純に１日遅れたクリスマスパーティーだな」
みちると北星がそれぞれケーキの間に挟む用の食い物も用意してくれていて、どっちが主食なんだかって感じだけど今回のメインはあくまでケーキ。最低でも１人３ピースは食わなきゃいけないっていうノルマもある。でもいろんな種類があるし今のところ飽きはないかな。
「リク、みちるのミネストローネ食わしてもらおうぜ」
「彩人はミネストローネが好きなのか？」
「うーん、ミネストローネが特別好きって言うよりは、みちるの野菜料理が美味いんだよ。お前も食ってみ？」
「ふーん、彩人がそう言うなら食べさせてもらおうかな。舌もリセットしたい頃合いだったし」
「みちるー、ミネストローネ食わしてー」
器も台所にあるからお好きにどうぞとのことなので、使い捨ての器に２人分のミネストローネをよそってまた部屋へ戻る。つかみちるの奴、俺相手だから勝手にやっとけみたいな感じなんだろうな。何だかんだみちるの部屋ではちょこちょこ飲んでるし、台所の土地勘もある。
「はいリク」
「ありがとう」
「いただきまーす。んー、うまっ。冬のスープってやっぱいいよなー」
「ああ、うん、これは確かに美味しい」
「みちる、例によって日野さんの野菜？」
「だね」
「日野さんって？」
「農学部の先輩。趣味でやってる畑で野菜を育ててるんだけど、自分の食う以上に育ててるから周りに配り歩いてんだよ。俺もみちる経由でよくお世話になってて」
「そうか、星ヶ丘だからそういう人もいるのか」
「ねー！ ササ、彩人も！ みちるちゃんのスープもいいけど今日の本題はケーキ！ だからね！」
「わかってるよ。くるみ、心配しなくて大丈夫だから。俺がまあまあ食べるのは知ってるだろ？」
「そっか。ササは普通に戦力だよね。彩人、スープでお腹いっぱいにしないでよね」
「あー……えーっと。俺、この後チキンも食べたいなー……」
「ケーキも食べてね！」
いっけねえ。くるみの目が光ってやがった。俺としてはミネストローネとチキンを食って終わるつもりだったけど、その合間合間にケーキを挟まないと許されない雰囲気だ。リクは意外に量食うからなー……。先輩たちは？ うわっ、手元にケーキ２つ３つキープしてる！
当麻と北星はスイーツバイキングにも行くって聞いてるし、みちるはくるみの願いならケーキを主食にシフトすることも余裕だろう。もしかしなくてもこの場で一番ケーキを食えないのって俺じゃね？ あー……テイクアウト出来たら朝霞さんへのお土産にするんだけどなー！
end.
＋＋＋＋
噂のケーキを食べる大会です。くるちゃん、相当ケーキの断面図を撮ってたんだろうなあ。撮るときのこだわりもあるだろうし。
最初は３人でケーキの処理を頑張る予定だったのが、下手に人数が増えたばっかりにクリスマスパーティー感が増し増しでチキンやスープが出て来るし。
タカミドがケーキを２個３個キープしてるのがかわいいヤツだけど、ミドリはともかくTKGは普段食べれないから食い溜めしてんだろうなあ
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「メリークリスマーした！」
「ました？」
「うん、クリスマスって昨日だから一応過去形の方がいいかなって」
みちるの家に集まって、これから始めるのは机いっぱいに広げられたクリスマスケーキを食べる大会だ。主催はくるみで、趣味のスイーツ動画撮影に使ったケーキを後で美味しくいただくというのがこの大会の主旨。最初はくるみとみちる、それから北星の３人で小ぢんまりとやる会だったみたいだけど。
ケーキを食べるならもうちょっと人数がいた方がいいだろうと３人がそれぞれに追加招集をかけたらこんな感じに人が集まったようだ。みちるの部屋の小さい机ではあぶれる人が出たけど、先輩たちが自分たちは隅でいいよと言ってくれたのを、いえいえそこは先輩がと譲り合うところから始まった。
「これだけ人数が集まったら切り分けるの難しいね。誰が綺麗に切るの得意かな」
「くるちゃんじゃな～い？」
「うん。くるみが一番上手いと思う。人数分切り分けちゃって」
「わかった、やってみるよ」
初期メンバーの３人の他に呼ばれたのは俺と当麻、それからリク。あと高木さんとミドリさんもいる。何気に夏合宿の３班が伊織以外全員いるな。今日は26日で、年末年始に帰省する人もギリギリまだ誰も帰ってなかったからこれだけの人数になってるんだろうな。
くるみが人数分のケーキを切り分けてくれて、それをみんなで食べていく。くるみはどれだけ大量にケーキを買ってたんだって感じで、少なくともコンビニのホールケーキを３台は買ってたんだろうな。それを最初は３人で食うつもりだったとか。考えただけで腹いっぱいになりそうだ。
「わー、美味しいねー」
「ミドリお茶好きだもんね」
「俺が好きなのはほうじ茶だよ。抹茶は普通って感じかな」
「あ、そうなんだ。って言うか、普通にコンビニのこういうクリスマスケーキって高そうだけど、くるみ、ケーキにいくら使ったの…？」
「２万円までなら全然出しますよ。だって切るのも楽しいですし、食べても美味しいんですもん。あっ、それにあたしコンビニでバイトしてるんで、自分が働いてるお店だったら割引が利くんです！ みんな、まだまだおかわりあるからね！」
「しょっぱいのが食べたくなったら～、チキンもあるからね～」
「ミネストローネも作ったから、箸休めにどうぞ」
「と言うか、単純に１日遅れたクリスマスパーティーだな」
みちると北星がそれぞれケーキの間に挟む用の食い物も用意してくれていて、どっちが主食なんだかって感じだけど今回のメインはあくまでケーキ。最低でも１人３ピースは食わなきゃいけないっていうノルマもある。でもいろんな種類があるし今のところ飽きはないかな。
「リク、みちるのミネストローネ食わしてもらおうぜ」
「彩人はミネストローネが好きなのか？」
「うーん、ミネストローネが特別好きって言うよりは、みちるの野菜料理が美味いんだよ。お前も食ってみ？」
「ふーん、彩人がそう言うなら食べさせてもらおうかな。舌もリセットしたい頃合いだったし」
「みちるー、ミネストローネ食わしてー」
器も台所にあるからお好きにどうぞとのことなので、使い捨ての器に２人分のミネストローネをよそってまた部屋へ戻る。つかみちるの奴、俺相手だから勝手にやっとけみたいな感じなんだろうな。何だかんだみちるの部屋ではちょこちょこ飲んでるし、台所の土地勘もある。
「はいリク」
「ありがとう」
「いただきまーす。んー、うまっ。冬のスープってやっぱいいよなー」
「ああ、うん、これは確かに美味しい」
「みちる、例によって日野さんの野菜？」
「だね」
「日野さんって？」
「農学部の先輩。趣味でやってる畑で野菜を育ててるんだけど、自分の食う以上に育ててるから周りに配り歩いてんだよ。俺もみちる経由でよくお世話になってて」
「そうか、星ヶ丘だからそういう人もいるのか」
「ねー！ ササ、彩人も！ みちるちゃんのスープもいいけど今日の本題はケーキ！ だからね！」
「わかってるよ。くるみ、心配しなくて大丈夫だから。俺がまあまあ食べるのは知ってるだろ？」
「そっか。ササは普通に戦力だよね。彩人、スープでお腹いっぱいにしないでよね」
「あー……えーっと。俺、この後チキンも食べたいなー……」
「ケーキも食べてね！」
いっけねえ。くるみの目が光ってやがった。俺としてはミネストローネとチキンを食って終わるつもりだったけど、その合間合間にケーキを挟まないと許されない雰囲気だ。リクは意外に量食うからなー……。先輩たちは？ うわっ、手元にケーキ２つ３つキープしてる！
当麻と北星はスイーツバイキングにも行くって聞いてるし、みちるはくるみの願いならケーキを主食にシフトすることも余裕だろう。もしかしなくてもこの場で一番ケーキを食えないのって俺じゃね？ あー……テイクアウト出来たら朝霞さんへのお土産にするんだけどなー！
end.
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噂のケーキを食べる大会です。くるちゃん、相当ケーキの断面図を撮ってたんだろうなあ。撮るときのこだわりもあるだろうし。
最初は３人でケーキの処理を頑張る予定だったのが、下手に人数が増えたばっかりにクリスマスパーティー感が増し増しでチキンやスープが出て来るし。
タカミドがケーキを２個３個キープしてるのがかわいいヤツだけど、ミドリはともかくTKGは普段食べれないから食い溜めしてんだろうなあ
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