2020(03)
■健康第一で損はない
++++
「はー、さむーい! えっ、暖房つけてないんですか!? つけましょうよー、ね~高木せんぱ~い」
「あれっ、そんなに寒かった?」
「寒いですよ!」
「お前安納芋まん持ってんじゃんか。それ食ったらあったかくなるだろ」
「でも、暖房はついてる方が良くない?」
いつものようにくるみとすがやんが仲良くやって来た。俺はミキサー席に座っていて、西日がほんのり差し込む場所だから何となくあったかく感じていたのかもしれない。外から来た2人は寒い寒いとほっぺたを赤くしている。
「そっか、暖房がついてなかったんだ。ごめん、今つけるね」
「ありがとうございまーす。先輩も一緒に安納芋まん食べましょ。はい、すがやんも!」
「ありがとう」
「サンキュ! おー、あめー!」
「ん~、おいし~、あったか~い!」
「うん、おいしいね」
くるみから分けてもらった安納芋まんは甘くておいしい。学内で中華まんはあんまり買わないけど、今度何か買ってみようかな。いつもは大体お好み焼きとかたませんとか、ソース系に偏っちゃうんだよね。それかフライドポテトか。つまみやすくていいんだよね。
俺たち3人は安納芋まんでちょっとあったかくなって、部屋の暖房も少しずつ効き始めてきたかなという感じ。これから外はグッと冷え込んで来るし、他のみんなも寒い寒いって駆け込んで来るかな。
「おはようございます」
「おはようサキ」
「えー! サキ、マスクとか! 風邪!?」
「おーい、大丈夫かよ」
「や、大丈夫。これは風邪をひかないためのマスク」
「あ、そうなんだ。よかった」
サキがマスク姿でやって来ると、特に仲のいい2人はどうしたどうしたと心配している。だけどサキは風邪をひいたワケじゃなくて、風邪の予防のためのマスクだということで2人ともホッとした様子。よかったね。
「サキ、健康に気を遣ってるの?」
「そういうわけじゃないけど。風邪ひくと喉とかしんどくなるからさ」
「そうなんだー。でもえらいねー、そうやって対策するなんて」
「偉くはないよ。通学とか授業とか、人が多いところにいるとどうしてもリスクは高くなるから」
「俺は車だからそんなこと考えたこともなかったなー。そっか、電車乗ってる時間も長いもんなお前」
「うん」
急激に寒くなると体の方がついてこなくなって風邪をひきやすくなる。それに免疫力とか抵抗力っていうことを考えても、暑さ寒さに慣れるまでは人の方が余計に体を気にかけてあげないといけないってことなのかな。
「あーん、もうちょっと待ってればサキとも一緒に安納芋まん食べれたのにー」
「美味かったぜ、スイーツまん」
「あ、中華まん食べてたの」
「寒かったから!」
「でもくるみ、おしぼり使ってないみたいだけど、食べる前に手洗った?」
「あ。ごめんすがやん、ごめんなさい高木先輩!」
「サキ、お前までエージ先輩みたいになってんじゃんよ。平気だって、死なない死なない」
「うん。平気平気。あとすがやん、その例えは的確過ぎて俺にダメージ入ってるから」
「すんませんっす」
1年生たちの間でも「エイジ=潔癖」とか「エイジ=神経質」とか、そういうイメージがついているようだった。エイジは衛生状態もかなり気にするからね。寒くなり始めてからはアルコールジェルやアルコールタイプのウェットティッシュを持ち始めたし。
一緒に外食に行っても、忙しい時間帯だと店員さんがそこまで手が回らないとかも普通にある。そういう時にエイジは自前のウェットティッシュで席とかを拭いて、最後に自分の手も拭いてから落ち着くからね。本当に、よくやるよなあと思う。
「サキ、マスクしてて苦しくならない? あとメガネは曇らない? 平気?」
「ここっていう場所を見つければ、息苦しさもメガネの曇りも問題ないです。あ、でも一応メガネは曇り止めも使ってます」
「そうか、いいポジションを見つけることが大事なんだね」
「俺はマスクの中が蒸れるのが嫌いなんだよなー」
「でも、冬だし乾燥するでしょ? すがやんはアナウンサーだし喉のうるおいにならないかな。加湿って言うか」
「そっか、寝る時用の加湿マスクとかもあるもんな」
「寝る時用のはともかく、普段のマスクは案外そうでもないよ。マスクをしてると息苦しさから口呼吸になって逆に乾きやすいとも言われてるね」
「へー、そうなんだー」
「わかる、口呼吸しちまう」
「マスクをしてても口呼吸してたらすり抜けて来た風邪の菌とかをダイレクトに入れちゃうし、やっぱり鼻呼吸の出来るスペースは欲しいところだね」
勉強になりますとくるみとすがやんはサキの話に感心してる。俺も今の話にはなるほどって思ったし。まあ、あまり考えられないけど、自分がマスクをするときに生かせるように頭の片隅にでも置いておければいいなと思う。
「よーし、今年はみんなで元気でいましょう! 風邪をひかないように!」
「そうだな! 健康第一!」
「おー」
くるみとすがやんが勢いよく宣言した健康第一に、淡々とサキも乗っている。俺も一緒に乗っておこうかな。健康第一で損はない。
end.
++++
昨今の事情を抜きにしても冬になったのでマスク人口が増えるだろうとMBCCでは誰が気にするかなと思ったら、サキでした
くるちゃんがスイーツまんを食べてるのが可愛いし、手洗った?って聞くサキもかわいい。エイジの名前でダメージを受けるTKGは安定。
ナノスパが送るこの冬の健康第一のお話でした。インフルエンザにも気を付けよう
.
++++
「はー、さむーい! えっ、暖房つけてないんですか!? つけましょうよー、ね~高木せんぱ~い」
「あれっ、そんなに寒かった?」
「寒いですよ!」
「お前安納芋まん持ってんじゃんか。それ食ったらあったかくなるだろ」
「でも、暖房はついてる方が良くない?」
いつものようにくるみとすがやんが仲良くやって来た。俺はミキサー席に座っていて、西日がほんのり差し込む場所だから何となくあったかく感じていたのかもしれない。外から来た2人は寒い寒いとほっぺたを赤くしている。
「そっか、暖房がついてなかったんだ。ごめん、今つけるね」
「ありがとうございまーす。先輩も一緒に安納芋まん食べましょ。はい、すがやんも!」
「ありがとう」
「サンキュ! おー、あめー!」
「ん~、おいし~、あったか~い!」
「うん、おいしいね」
くるみから分けてもらった安納芋まんは甘くておいしい。学内で中華まんはあんまり買わないけど、今度何か買ってみようかな。いつもは大体お好み焼きとかたませんとか、ソース系に偏っちゃうんだよね。それかフライドポテトか。つまみやすくていいんだよね。
俺たち3人は安納芋まんでちょっとあったかくなって、部屋の暖房も少しずつ効き始めてきたかなという感じ。これから外はグッと冷え込んで来るし、他のみんなも寒い寒いって駆け込んで来るかな。
「おはようございます」
「おはようサキ」
「えー! サキ、マスクとか! 風邪!?」
「おーい、大丈夫かよ」
「や、大丈夫。これは風邪をひかないためのマスク」
「あ、そうなんだ。よかった」
サキがマスク姿でやって来ると、特に仲のいい2人はどうしたどうしたと心配している。だけどサキは風邪をひいたワケじゃなくて、風邪の予防のためのマスクだということで2人ともホッとした様子。よかったね。
「サキ、健康に気を遣ってるの?」
「そういうわけじゃないけど。風邪ひくと喉とかしんどくなるからさ」
「そうなんだー。でもえらいねー、そうやって対策するなんて」
「偉くはないよ。通学とか授業とか、人が多いところにいるとどうしてもリスクは高くなるから」
「俺は車だからそんなこと考えたこともなかったなー。そっか、電車乗ってる時間も長いもんなお前」
「うん」
急激に寒くなると体の方がついてこなくなって風邪をひきやすくなる。それに免疫力とか抵抗力っていうことを考えても、暑さ寒さに慣れるまでは人の方が余計に体を気にかけてあげないといけないってことなのかな。
「あーん、もうちょっと待ってればサキとも一緒に安納芋まん食べれたのにー」
「美味かったぜ、スイーツまん」
「あ、中華まん食べてたの」
「寒かったから!」
「でもくるみ、おしぼり使ってないみたいだけど、食べる前に手洗った?」
「あ。ごめんすがやん、ごめんなさい高木先輩!」
「サキ、お前までエージ先輩みたいになってんじゃんよ。平気だって、死なない死なない」
「うん。平気平気。あとすがやん、その例えは的確過ぎて俺にダメージ入ってるから」
「すんませんっす」
1年生たちの間でも「エイジ=潔癖」とか「エイジ=神経質」とか、そういうイメージがついているようだった。エイジは衛生状態もかなり気にするからね。寒くなり始めてからはアルコールジェルやアルコールタイプのウェットティッシュを持ち始めたし。
一緒に外食に行っても、忙しい時間帯だと店員さんがそこまで手が回らないとかも普通にある。そういう時にエイジは自前のウェットティッシュで席とかを拭いて、最後に自分の手も拭いてから落ち着くからね。本当に、よくやるよなあと思う。
「サキ、マスクしてて苦しくならない? あとメガネは曇らない? 平気?」
「ここっていう場所を見つければ、息苦しさもメガネの曇りも問題ないです。あ、でも一応メガネは曇り止めも使ってます」
「そうか、いいポジションを見つけることが大事なんだね」
「俺はマスクの中が蒸れるのが嫌いなんだよなー」
「でも、冬だし乾燥するでしょ? すがやんはアナウンサーだし喉のうるおいにならないかな。加湿って言うか」
「そっか、寝る時用の加湿マスクとかもあるもんな」
「寝る時用のはともかく、普段のマスクは案外そうでもないよ。マスクをしてると息苦しさから口呼吸になって逆に乾きやすいとも言われてるね」
「へー、そうなんだー」
「わかる、口呼吸しちまう」
「マスクをしてても口呼吸してたらすり抜けて来た風邪の菌とかをダイレクトに入れちゃうし、やっぱり鼻呼吸の出来るスペースは欲しいところだね」
勉強になりますとくるみとすがやんはサキの話に感心してる。俺も今の話にはなるほどって思ったし。まあ、あまり考えられないけど、自分がマスクをするときに生かせるように頭の片隅にでも置いておければいいなと思う。
「よーし、今年はみんなで元気でいましょう! 風邪をひかないように!」
「そうだな! 健康第一!」
「おー」
くるみとすがやんが勢いよく宣言した健康第一に、淡々とサキも乗っている。俺も一緒に乗っておこうかな。健康第一で損はない。
end.
++++
昨今の事情を抜きにしても冬になったのでマスク人口が増えるだろうとMBCCでは誰が気にするかなと思ったら、サキでした
くるちゃんがスイーツまんを食べてるのが可愛いし、手洗った?って聞くサキもかわいい。エイジの名前でダメージを受けるTKGは安定。
ナノスパが送るこの冬の健康第一のお話でした。インフルエンザにも気を付けよう
.