2020(03)
■実験前には顧問の許可を
++++
例によって隅っこの方で何かしらのノートを読み耽っているサキだけど、俺が来たのを確認してノートをパタンと閉じた。おはようございますと挨拶をして、ちょっと聞きたいことがあるんですけどという話に耳を傾ける。
「あの、インターフェイスのシステム系統のことなんですけど」
「あー……俺はプログラム関係のことはちょっとよくわかんないけど、一応聞くだけ聞いてみようか」
「あ、いえ。プログラム関係のことじゃなくって。こないだの定例会でも俺が機材関係のことを中心に見るっていう風には話があって、みんなそう認識してくれたみたいです」
「うんうん」
「それで、俺がインターフェイスのストック周りの環境を整えるときに、それを俺は誰に相談しながらやったらいいのかなと。L先輩は自分が議長で、高木先輩もいたからいろいろ話しながら出来たじゃないですか」
「あー……そうだねえ。ちょっと考えてみようか」
サキの言うことは確かにそうだ。L先輩は定例会のミキサーの先輩たちや野坂先輩、あと、対策委員の機材管理担当の俺といろいろ話しながらどういうシステムにしたらいいかということを考えて設計していた。それを引き継いだサキは、果たして誰と話そうか。
今は俺が対策委員の機材管理担当だけど、次は誰になるかわからない。シノとくるみ、それから当麻と北星の4人の中から選ばれるとは思うけど。定例会の機材管理担当は奈々とあやめになったそうだ。ただ、この2人にシステム面の相談は出来るのかという話だ。
「機材管理担当って奈々先輩とあやめ先輩じゃないですか。情報系じゃないしなと思って」
「そうだね。多分、アナミキ関係なく情報系っていうので言えばハナちゃんが一番強いかな」
「あ、そうか。L先輩と一緒の学科でしたね」
「それとね、データベース関係の話で言えばミドリに相談できないかな」
「ミドリ先輩ですか?」
「うん。確かね、バイト先でデータベースを触ってたと思う。そもそもが定例会議長だし、こういうことをやろうと思うんですけどって一言言ってから作業に取り掛かったらいいね」
「そうですね。ありがとうございます」
「いえいえ」
ちなみに定例会は代替わりの結果、議長がミドリ、委員長がハナちゃん、副委員長がユキちゃんで会計がマリンになった。で、機材管理担当が奈々とあやめ。その話を聞いた対策委員は、ミドリが女子に担ぎ上げられて尻に敷かれるんだろうなあって話してたけど、どうなるやら。
「と言うか、インターフェイスのそれを触る前にMBCCので実験していいんですよね」
「それはもちろん! バックアップさえ取ってくれれば好きにしてもらっていいからね」
「わかりました」
「L先輩からその辺の引継ぎとかしてもらってる?」
「はい、一応。仮の仕様書と仮組みのコードが書かれたファイルをもらってます。要所要所にコメントが入ってるので、読みながら勉強も出来て良かったです」
「仮組みのコードって確かL先輩と野坂先輩が主になって作ってたと思うけど、そんな細かいことをするのは多分野坂先輩なんだろうなあ」
社会学部で、ほんの少しだけ授業でデータベースの勉強をしただけの俺には先輩たちやサキのやっていることは何が何だかって感じなんだけど。それでも、授業で勉強したおかげかほんの少しだけど言っていることもわかるようになったし、履修して良かったと思う。
L先輩は1年足らずの駆け足でいろいろやっていたけど、サキには2年の任期を使ってじっくり確実にやって欲しいという風に言っていた。だから緑ヶ丘から出ている2人には渉外のすがやんとエンジニアのサキという役割があって。
サキと同期になる定例会の1年生ミキサーは、厳密にはプロデューサーの彩人を除けば向島のカノンだけ。もっと言えば、純粋にミキサーだけやってるミキサーはサキだけ。この分野に関するプレッシャーはかなりかかりそうだ。……って、そうじゃん、1年生の定例会ってミキサーいないじゃん。
「こう、俺は定例会の議事録もデジタル化していつでもどこでも読めるようにしたいんですよね」
「うん、まあ、それはミドリと相談しようか」
「そうですね。MBCCの方ではやっちゃまずいですかね」
「俺はいいと思うけど、エイジが何て言うかによるかな」
「じゃあ、後で聞いてみます。エージ先輩を説得するには物を減らして掃除しやすく、とかがいいですかね」
「確かにエイジは要らない物を容赦なく捨てるけど、文献となるとどうかな」
いつでもどこでも議事録を読みたいからデジタル化するけど、紙のノートを開いて読むのもそれはそれで好きだから悩ましいとサキは言う。でも、ノートは処分しないと溜まって行く一方だし、自炊する気力があるならしたらいいんじゃないかと俺は思う。
「えっと、MBCCのストックとかノートとか、触ってもらうのは結構だけど、大掛かりなことをやる前には一応俺かエイジに一声ちょうだいね。あと、シノともちゃんと話してね」
「わかりました」
サキのことだし、1日経ったら新しい物が出来てましたとかノート10冊自炊しましたとか十分あり得そうだからね。うん、一声はもらっとかないと。
end.
++++
メンバーを組んだ時は特に考えてなかったけど、話を書いて定例会純正のミキサーおらんくねって気付いたよね
サキは何でも黙々と作業を進めてしまいそうだから、やる前に一言入れてねとは念を押す先輩であった。やっちまう気持ちはわかるもんなTKGよ
断捨離や掃除に関して言えば、Lがいなくなったら完全にエイジに実権が写るので、衛生管理の観点で言えばもうしばらく安心ですね!
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例によって隅っこの方で何かしらのノートを読み耽っているサキだけど、俺が来たのを確認してノートをパタンと閉じた。おはようございますと挨拶をして、ちょっと聞きたいことがあるんですけどという話に耳を傾ける。
「あの、インターフェイスのシステム系統のことなんですけど」
「あー……俺はプログラム関係のことはちょっとよくわかんないけど、一応聞くだけ聞いてみようか」
「あ、いえ。プログラム関係のことじゃなくって。こないだの定例会でも俺が機材関係のことを中心に見るっていう風には話があって、みんなそう認識してくれたみたいです」
「うんうん」
「それで、俺がインターフェイスのストック周りの環境を整えるときに、それを俺は誰に相談しながらやったらいいのかなと。L先輩は自分が議長で、高木先輩もいたからいろいろ話しながら出来たじゃないですか」
「あー……そうだねえ。ちょっと考えてみようか」
サキの言うことは確かにそうだ。L先輩は定例会のミキサーの先輩たちや野坂先輩、あと、対策委員の機材管理担当の俺といろいろ話しながらどういうシステムにしたらいいかということを考えて設計していた。それを引き継いだサキは、果たして誰と話そうか。
今は俺が対策委員の機材管理担当だけど、次は誰になるかわからない。シノとくるみ、それから当麻と北星の4人の中から選ばれるとは思うけど。定例会の機材管理担当は奈々とあやめになったそうだ。ただ、この2人にシステム面の相談は出来るのかという話だ。
「機材管理担当って奈々先輩とあやめ先輩じゃないですか。情報系じゃないしなと思って」
「そうだね。多分、アナミキ関係なく情報系っていうので言えばハナちゃんが一番強いかな」
「あ、そうか。L先輩と一緒の学科でしたね」
「それとね、データベース関係の話で言えばミドリに相談できないかな」
「ミドリ先輩ですか?」
「うん。確かね、バイト先でデータベースを触ってたと思う。そもそもが定例会議長だし、こういうことをやろうと思うんですけどって一言言ってから作業に取り掛かったらいいね」
「そうですね。ありがとうございます」
「いえいえ」
ちなみに定例会は代替わりの結果、議長がミドリ、委員長がハナちゃん、副委員長がユキちゃんで会計がマリンになった。で、機材管理担当が奈々とあやめ。その話を聞いた対策委員は、ミドリが女子に担ぎ上げられて尻に敷かれるんだろうなあって話してたけど、どうなるやら。
「と言うか、インターフェイスのそれを触る前にMBCCので実験していいんですよね」
「それはもちろん! バックアップさえ取ってくれれば好きにしてもらっていいからね」
「わかりました」
「L先輩からその辺の引継ぎとかしてもらってる?」
「はい、一応。仮の仕様書と仮組みのコードが書かれたファイルをもらってます。要所要所にコメントが入ってるので、読みながら勉強も出来て良かったです」
「仮組みのコードって確かL先輩と野坂先輩が主になって作ってたと思うけど、そんな細かいことをするのは多分野坂先輩なんだろうなあ」
社会学部で、ほんの少しだけ授業でデータベースの勉強をしただけの俺には先輩たちやサキのやっていることは何が何だかって感じなんだけど。それでも、授業で勉強したおかげかほんの少しだけど言っていることもわかるようになったし、履修して良かったと思う。
L先輩は1年足らずの駆け足でいろいろやっていたけど、サキには2年の任期を使ってじっくり確実にやって欲しいという風に言っていた。だから緑ヶ丘から出ている2人には渉外のすがやんとエンジニアのサキという役割があって。
サキと同期になる定例会の1年生ミキサーは、厳密にはプロデューサーの彩人を除けば向島のカノンだけ。もっと言えば、純粋にミキサーだけやってるミキサーはサキだけ。この分野に関するプレッシャーはかなりかかりそうだ。……って、そうじゃん、1年生の定例会ってミキサーいないじゃん。
「こう、俺は定例会の議事録もデジタル化していつでもどこでも読めるようにしたいんですよね」
「うん、まあ、それはミドリと相談しようか」
「そうですね。MBCCの方ではやっちゃまずいですかね」
「俺はいいと思うけど、エイジが何て言うかによるかな」
「じゃあ、後で聞いてみます。エージ先輩を説得するには物を減らして掃除しやすく、とかがいいですかね」
「確かにエイジは要らない物を容赦なく捨てるけど、文献となるとどうかな」
いつでもどこでも議事録を読みたいからデジタル化するけど、紙のノートを開いて読むのもそれはそれで好きだから悩ましいとサキは言う。でも、ノートは処分しないと溜まって行く一方だし、自炊する気力があるならしたらいいんじゃないかと俺は思う。
「えっと、MBCCのストックとかノートとか、触ってもらうのは結構だけど、大掛かりなことをやる前には一応俺かエイジに一声ちょうだいね。あと、シノともちゃんと話してね」
「わかりました」
サキのことだし、1日経ったら新しい物が出来てましたとかノート10冊自炊しましたとか十分あり得そうだからね。うん、一声はもらっとかないと。
end.
++++
メンバーを組んだ時は特に考えてなかったけど、話を書いて定例会純正のミキサーおらんくねって気付いたよね
サキは何でも黙々と作業を進めてしまいそうだから、やる前に一言入れてねとは念を押す先輩であった。やっちまう気持ちはわかるもんなTKGよ
断捨離や掃除に関して言えば、Lがいなくなったら完全にエイジに実権が写るので、衛生管理の観点で言えばもうしばらく安心ですね!
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