2020(03)
■お礼リレーはアンカーで
++++
「おはようございまーす。林原さーん、向島さんから菓子折りをもらっちゃいましたー」
「菓子折りをもらう理由に心当たりはないが」
「大学祭ではジャガイモをたくさんもらってありがとうございましたーって」
「引き取ってもらったのはこちらなのだがな」
定例会で奈々がくれた箱を大事にセンターまで持って行って、林原さんにこれこれこういう、と説明を。確かに、情報センターを埋め尽くしていた大量の「北辰のじゃがいも」を引き取ってもらって助かったのはこっちだから、改めてお礼を言われることにびっくりしたよね。
だけど、せっかくもらった物を返すのも難だしありがたくいただくことに。向島さんが大学祭で大量に使ってくれたから、事務所はかなり広くなったよね。今回は少しずつ希望する個人にも配ってたけど、やっぱり個人と団体だと消費ペースが段違いだよね。
まだもう少しジャガイモの箱は残ってるんだけど、自分たちで何とか出来るレベルにまで持ち込めた。それに、ジャガイモが欲しい人は引き続き募集してるから、声がかかればいつでも運搬しますよってスタンバイしてるところ。
「おはようございまーす」
「あっ、カナコさんおはようございます」
「綾瀬、川北が菓子折りをもらってきた。立っているついでに湯を沸かしてくれ」
「わかりましたー。へえ、綺麗な箱ですね。何が入ってるんだろう」
「開けてみましょうかー」
箱を開けると、中には個包装になったお菓子が18個ほど入っている。紙の中に包まれているのが何かまではわからないから、中にある説明書きを開いて見る。すると、クリームが包まれたミニバームだと説明書きがあった。
「えっと、茶色い紙の方がチョコクリームで、白い方がホワイトクリームですねー。へー、和菓子屋さんが作ってるんだ。だから包装が和風なんだー」
「では、各味1つずつもらうことにして、那須田さんにも一応書置きと一緒に置いておこう」
「ミドリ君、これって何のお菓子? お土産?」
「ジャガイモをくれたお礼にーって向島さんからもらっちゃったんですよー」
「えっそんな! あの大量のジャガイモを引き取ってもらってまだお礼までされて、お返ししなくて大丈夫?」
「はい、ちょっと申し訳ないですよねー……」
「しかし、それでは収拾がつかんからな。ありがたく頂戴しておこう」
林原さんがお菓子をそれぞれに分けてくれたので、お湯が沸くのを待つ。いくらクリームが包まれたミニバームと言ってもバウムクーヘンの一種だろうし、水分が必要なのには間違いないだろうから。バウムクーヘンて美味しいけど、口の中がぱさぱさになるんだよね。
「これが烏丸と、高山と、有馬。各種2個ずつ、4個余ったな」
「雄介さん、ここ3人で山分けしちゃいます?」
「いや、オレはいい。高山と有馬に1つずつ足して、あとはお前たちで分ければいい」
「え、何かすみません。ありがとうございます。でも烏丸さんにはいいんですか?」
「奴は甘い物を多く食わん。2個もあれば十分だろう」
「すみません雄介さん、いただきます」
「いただきまーす。あ、お湯沸いた。今お茶淹れますねー」
俺のほうじ茶とカナコさんの黒豆茶、それから林原さんのミルクティーの準備をしてお湯を注ぐ。和菓子屋さんの作ったミニバームだけあって、和のお茶にも洋のお茶にも合いそうだよね。どんな味なんだろう、ワクワクするな。説明書き持ち帰っていいかな。美味しかったら自分でも取り寄せたいな。
「ところで川北、向島は結局いくら儲けたとか、そういう話は聞いているのか」
「えーっと、確か利益は12万ちょっとだって言ってましたね」
「ほう」
「それだけ売れちゃったんで、星大に対するお礼はいいのかーって話になったみたいですねー」
「何度でも言うが、あの大量の芋を引き取ってもらっただけで十分だったのだがな」
「そうですよねえ」
「実を言うと、知り合いに引き摺られて向島の大学祭には足を運んでいてな」
「えっ、そうだったんですか?」
「ああ。件のサークルにも知り合いがいるから少し立ち寄ってポテトを食ったのだが、まあそれなりに美味かったな」
林原さんによれば、2日目にあったゲストライブに来ていたバンドがMCで宣伝した効果があったり、原材料の芋をタダで仕入れたことで出来た余裕から、爪楊枝や紙お手拭きをサービス出来たことなどが良かったのではないかということ。
うーん、サークルでお店とか出してるとなかなか大学祭巡りは出来ないし、せっかく日程が違うんだからやっぱ青女の学祭に行っとけばよかったなあって今更ながらに思っちゃうよね。星大の学祭さえちゃんとは回れてないもんね。カナコさんの舞台だって見たことないし。
「さ、お茶が入りましたー」
「ミドリ君ありがとー」
「ではいただこうか」
「いただきまーす。……ん! おいしいですねー。ソフトな感触で、素朴な味で」
「うん、ホントにおいっしい。これ、どこのお店? ミドリ君説明書きある? 通販とか書いてる?」
「はい、どうぞー」
「あっ、通販あるね。お店は東都、わかった」
end.
++++
商魂を出したMMPがその利益から星大にお礼をと考えた結果、奈々のセンスで結構いい感じの菓子折りが贈られたようです。
余った4つのバウムロールを1~3年生の4人で分けさせたリン様。去年だったら山分けしてただろうけど、いつの間にそんな人になったんや
何度でも言うけど、星大情報センター的にはMMPが大量にジャガイモを引き取ってくれただけで十分有り難くって、菓子折りは想定外なんだよ!
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「おはようございまーす。林原さーん、向島さんから菓子折りをもらっちゃいましたー」
「菓子折りをもらう理由に心当たりはないが」
「大学祭ではジャガイモをたくさんもらってありがとうございましたーって」
「引き取ってもらったのはこちらなのだがな」
定例会で奈々がくれた箱を大事にセンターまで持って行って、林原さんにこれこれこういう、と説明を。確かに、情報センターを埋め尽くしていた大量の「北辰のじゃがいも」を引き取ってもらって助かったのはこっちだから、改めてお礼を言われることにびっくりしたよね。
だけど、せっかくもらった物を返すのも難だしありがたくいただくことに。向島さんが大学祭で大量に使ってくれたから、事務所はかなり広くなったよね。今回は少しずつ希望する個人にも配ってたけど、やっぱり個人と団体だと消費ペースが段違いだよね。
まだもう少しジャガイモの箱は残ってるんだけど、自分たちで何とか出来るレベルにまで持ち込めた。それに、ジャガイモが欲しい人は引き続き募集してるから、声がかかればいつでも運搬しますよってスタンバイしてるところ。
「おはようございまーす」
「あっ、カナコさんおはようございます」
「綾瀬、川北が菓子折りをもらってきた。立っているついでに湯を沸かしてくれ」
「わかりましたー。へえ、綺麗な箱ですね。何が入ってるんだろう」
「開けてみましょうかー」
箱を開けると、中には個包装になったお菓子が18個ほど入っている。紙の中に包まれているのが何かまではわからないから、中にある説明書きを開いて見る。すると、クリームが包まれたミニバームだと説明書きがあった。
「えっと、茶色い紙の方がチョコクリームで、白い方がホワイトクリームですねー。へー、和菓子屋さんが作ってるんだ。だから包装が和風なんだー」
「では、各味1つずつもらうことにして、那須田さんにも一応書置きと一緒に置いておこう」
「ミドリ君、これって何のお菓子? お土産?」
「ジャガイモをくれたお礼にーって向島さんからもらっちゃったんですよー」
「えっそんな! あの大量のジャガイモを引き取ってもらってまだお礼までされて、お返ししなくて大丈夫?」
「はい、ちょっと申し訳ないですよねー……」
「しかし、それでは収拾がつかんからな。ありがたく頂戴しておこう」
林原さんがお菓子をそれぞれに分けてくれたので、お湯が沸くのを待つ。いくらクリームが包まれたミニバームと言ってもバウムクーヘンの一種だろうし、水分が必要なのには間違いないだろうから。バウムクーヘンて美味しいけど、口の中がぱさぱさになるんだよね。
「これが烏丸と、高山と、有馬。各種2個ずつ、4個余ったな」
「雄介さん、ここ3人で山分けしちゃいます?」
「いや、オレはいい。高山と有馬に1つずつ足して、あとはお前たちで分ければいい」
「え、何かすみません。ありがとうございます。でも烏丸さんにはいいんですか?」
「奴は甘い物を多く食わん。2個もあれば十分だろう」
「すみません雄介さん、いただきます」
「いただきまーす。あ、お湯沸いた。今お茶淹れますねー」
俺のほうじ茶とカナコさんの黒豆茶、それから林原さんのミルクティーの準備をしてお湯を注ぐ。和菓子屋さんの作ったミニバームだけあって、和のお茶にも洋のお茶にも合いそうだよね。どんな味なんだろう、ワクワクするな。説明書き持ち帰っていいかな。美味しかったら自分でも取り寄せたいな。
「ところで川北、向島は結局いくら儲けたとか、そういう話は聞いているのか」
「えーっと、確か利益は12万ちょっとだって言ってましたね」
「ほう」
「それだけ売れちゃったんで、星大に対するお礼はいいのかーって話になったみたいですねー」
「何度でも言うが、あの大量の芋を引き取ってもらっただけで十分だったのだがな」
「そうですよねえ」
「実を言うと、知り合いに引き摺られて向島の大学祭には足を運んでいてな」
「えっ、そうだったんですか?」
「ああ。件のサークルにも知り合いがいるから少し立ち寄ってポテトを食ったのだが、まあそれなりに美味かったな」
林原さんによれば、2日目にあったゲストライブに来ていたバンドがMCで宣伝した効果があったり、原材料の芋をタダで仕入れたことで出来た余裕から、爪楊枝や紙お手拭きをサービス出来たことなどが良かったのではないかということ。
うーん、サークルでお店とか出してるとなかなか大学祭巡りは出来ないし、せっかく日程が違うんだからやっぱ青女の学祭に行っとけばよかったなあって今更ながらに思っちゃうよね。星大の学祭さえちゃんとは回れてないもんね。カナコさんの舞台だって見たことないし。
「さ、お茶が入りましたー」
「ミドリ君ありがとー」
「ではいただこうか」
「いただきまーす。……ん! おいしいですねー。ソフトな感触で、素朴な味で」
「うん、ホントにおいっしい。これ、どこのお店? ミドリ君説明書きある? 通販とか書いてる?」
「はい、どうぞー」
「あっ、通販あるね。お店は東都、わかった」
end.
++++
商魂を出したMMPがその利益から星大にお礼をと考えた結果、奈々のセンスで結構いい感じの菓子折りが贈られたようです。
余った4つのバウムロールを1~3年生の4人で分けさせたリン様。去年だったら山分けしてただろうけど、いつの間にそんな人になったんや
何度でも言うけど、星大情報センター的にはMMPが大量にジャガイモを引き取ってくれただけで十分有り難くって、菓子折りは想定外なんだよ!
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