2020(03)
■自動車社会の振り返り
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「対策委員です。皆さん約ひと月振りですけどお変わりありませんか」
大体夏合宿以来となる対策委員の会議は、実質的に今年度の仕事がほとんど終わった状態だからかかなり緩い。アオとエイジからは夏合宿の報告に定例会に顔を出してきましたという話があって、機材保障費の分配なんかの事務も済んでいるそうだ。さすが、仕事が早い。
実はその報告の後で、L先輩からこの報告には俺にも来てほしかったとサークルの場で言われてたんだ。どうしてかと言えば、もちろんインターフェイスのMDストックの話。どこまでミュージックライブラリ化が進んでいるかとか、実際合宿で使ってみた報告が欲しかったって。
「対策委員主催の次の行事は、合宿とかそういう実践的な行事でなければ夏合宿の打ち上げになるのかなと思います。時期は学祭が終わってから、忘年会シーズンに被らない程度……まあ、去年と一緒くらいの時期に出来たらいいなと考えてます」
「そんな行事でもないと対策委員は開店休業だっていう」
「案外そうでもないよエージ。次の対策委員を決めるっていう大事な仕事があるんだから」
「ああー……そーいや代替わりと同時に会議に来てたもんな俺らも」
対策委員や定例会は、各大学と同じように大学祭を区切りとして代替わりをすることになっている。定例会はそれでもう次の代に引き渡されるそうなんだけど、対策委員の活動は年度末まで続くことになる。
だけど代替わりで一応次の対策委員は決めるから、俺たちの代ぐらいからは実際に会議に参加して一緒に活動してみようっていう感じになったんだよね。先輩たちのノウハウを受け継いだり、今いるメンバーと仲良くなったり……数ヶ月の間でやれることはいろいろある。
「それで、この数ヶ月実際に対策委員の行事を回して思ったことが、車は絶対不可欠ということです」
「講習会も合宿もそれで苦労したよね」
「そう、それで、出来れば車を持ってる子を優先的にピックアップした方が、来期は楽になるんじゃないかなと。もちろん適性も見ながらだけど」
「車が必要不可欠なのはよくわかるんだけど、定例会との兼ね合いは大丈夫? 定例会もファンフェスとかで機材運搬したりするでしょ?」
「来年はまだミドリとおハナがいるから大丈夫」
「あそっか」
「誰も車がなかったとしても、免許があれば強引に解決出来るとは今期で立証出来たし、これはこれで良しとしましょう」
俺たち7人は誰も車を持ってなかったから、車が必要になるとその都度アオがレンタカーを借りて運転してくれてたんだよね。だけど、車を持ってる子がいるなら自前の車があった方がいろいろ自由は利くし、ということだ。
ここで俺たちは自分たちの大学の1年生の顔を思い出して、誰が車を持ってたっけと思い返す仕事をしている。だけど車がない子の方が圧倒的に多いんだよね。何ならササやレナみたいに単車でも足があるのが珍しいレベルで。
「おい高木、これ、もしかしなくてもすがやんが無競争当選なんじゃないかっていう」
「俺もそんな気がしてたよ」
「そーだすがやんッ! ウチにも車で来てるもんねッ!」
「ちなみに、他の大学さんて車持ちの子いないの? 案外地方から来てる子の方が車あったりしそうだけど、星ヶ丘さんとか」
「いやー、ウチはないね。インターフェイスには戸田班から出すのがいいんだろうけど、彩人は自転車で間に合うし、みちるも原付二種に乗りたいって言ってバイクの免許の方に振っちゃったから車は乗らないんじゃないかなあ。海月は地下鉄通学だし」
「だよねえ。ワンチャン向島さんは?」
「カノンは免許あるって言ってたし、通学が面倒だから車に乗りたいとは聞いてるけどどうかなあ。親御さん次第って感じ」
「そっかー」
「そう考えるとやっぱり地方出身の子とか豊葦に行く子の方が自動車所有率が高くなる傾向にあるんだね」
向島も十分自動車社会なエリアだから免許自体は持ってても、地下鉄とかの交通網で間に合えば車に乗る必要性はそこまでないからなあ。緑ヶ丘や向島のように大学の周りに何もないと車があったら便利だよねって発想にもなるんだろうけど。
「あっ!」
「どーした高木」
「今、俺たち7人の中に青敬さんていないじゃん」
「そうだな」
「あやめか誰かに青敬さんから対策委員出すかどうか聞いてみた方がいいんじゃないかな」
「確かに。よく思い出したねタカティ」
「そう言えば当麻が車持ってたんだよ。でも青敬さんて来期どうするのかなって思って」
「じゃあちょっと私からあやめに聞いてみるよ」
「お願いしまーす」
車を持ってる1年生のこととか、青敬さんのこととか。来期に向けて思い出したり考えたりすることはいろいろあるなあ。でもまだ時間に余裕があるからじっくり考えられるかな。あと、打ち上げはどんなお店がいいかとか、何人来るかとかも見とかないとね。案外忙しいね。
end.
++++
来期に向けた話し合いが進んでいるようです。代替わりはまだだけど、決めるだけ決めるのが対策委員です。
そういや夏合宿の打ち上げというイベントもあったし、今年はどういう規模の何の大会になるのかな? 去年は食糧戦争回避が目的の焼肉食べ放題だったけど。
向島エリアも自動車社会ではあるのだけど、星港という都会で生きる上ではなくても全然やっていけちゃうのです
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「対策委員です。皆さん約ひと月振りですけどお変わりありませんか」
大体夏合宿以来となる対策委員の会議は、実質的に今年度の仕事がほとんど終わった状態だからかかなり緩い。アオとエイジからは夏合宿の報告に定例会に顔を出してきましたという話があって、機材保障費の分配なんかの事務も済んでいるそうだ。さすが、仕事が早い。
実はその報告の後で、L先輩からこの報告には俺にも来てほしかったとサークルの場で言われてたんだ。どうしてかと言えば、もちろんインターフェイスのMDストックの話。どこまでミュージックライブラリ化が進んでいるかとか、実際合宿で使ってみた報告が欲しかったって。
「対策委員主催の次の行事は、合宿とかそういう実践的な行事でなければ夏合宿の打ち上げになるのかなと思います。時期は学祭が終わってから、忘年会シーズンに被らない程度……まあ、去年と一緒くらいの時期に出来たらいいなと考えてます」
「そんな行事でもないと対策委員は開店休業だっていう」
「案外そうでもないよエージ。次の対策委員を決めるっていう大事な仕事があるんだから」
「ああー……そーいや代替わりと同時に会議に来てたもんな俺らも」
対策委員や定例会は、各大学と同じように大学祭を区切りとして代替わりをすることになっている。定例会はそれでもう次の代に引き渡されるそうなんだけど、対策委員の活動は年度末まで続くことになる。
だけど代替わりで一応次の対策委員は決めるから、俺たちの代ぐらいからは実際に会議に参加して一緒に活動してみようっていう感じになったんだよね。先輩たちのノウハウを受け継いだり、今いるメンバーと仲良くなったり……数ヶ月の間でやれることはいろいろある。
「それで、この数ヶ月実際に対策委員の行事を回して思ったことが、車は絶対不可欠ということです」
「講習会も合宿もそれで苦労したよね」
「そう、それで、出来れば車を持ってる子を優先的にピックアップした方が、来期は楽になるんじゃないかなと。もちろん適性も見ながらだけど」
「車が必要不可欠なのはよくわかるんだけど、定例会との兼ね合いは大丈夫? 定例会もファンフェスとかで機材運搬したりするでしょ?」
「来年はまだミドリとおハナがいるから大丈夫」
「あそっか」
「誰も車がなかったとしても、免許があれば強引に解決出来るとは今期で立証出来たし、これはこれで良しとしましょう」
俺たち7人は誰も車を持ってなかったから、車が必要になるとその都度アオがレンタカーを借りて運転してくれてたんだよね。だけど、車を持ってる子がいるなら自前の車があった方がいろいろ自由は利くし、ということだ。
ここで俺たちは自分たちの大学の1年生の顔を思い出して、誰が車を持ってたっけと思い返す仕事をしている。だけど車がない子の方が圧倒的に多いんだよね。何ならササやレナみたいに単車でも足があるのが珍しいレベルで。
「おい高木、これ、もしかしなくてもすがやんが無競争当選なんじゃないかっていう」
「俺もそんな気がしてたよ」
「そーだすがやんッ! ウチにも車で来てるもんねッ!」
「ちなみに、他の大学さんて車持ちの子いないの? 案外地方から来てる子の方が車あったりしそうだけど、星ヶ丘さんとか」
「いやー、ウチはないね。インターフェイスには戸田班から出すのがいいんだろうけど、彩人は自転車で間に合うし、みちるも原付二種に乗りたいって言ってバイクの免許の方に振っちゃったから車は乗らないんじゃないかなあ。海月は地下鉄通学だし」
「だよねえ。ワンチャン向島さんは?」
「カノンは免許あるって言ってたし、通学が面倒だから車に乗りたいとは聞いてるけどどうかなあ。親御さん次第って感じ」
「そっかー」
「そう考えるとやっぱり地方出身の子とか豊葦に行く子の方が自動車所有率が高くなる傾向にあるんだね」
向島も十分自動車社会なエリアだから免許自体は持ってても、地下鉄とかの交通網で間に合えば車に乗る必要性はそこまでないからなあ。緑ヶ丘や向島のように大学の周りに何もないと車があったら便利だよねって発想にもなるんだろうけど。
「あっ!」
「どーした高木」
「今、俺たち7人の中に青敬さんていないじゃん」
「そうだな」
「あやめか誰かに青敬さんから対策委員出すかどうか聞いてみた方がいいんじゃないかな」
「確かに。よく思い出したねタカティ」
「そう言えば当麻が車持ってたんだよ。でも青敬さんて来期どうするのかなって思って」
「じゃあちょっと私からあやめに聞いてみるよ」
「お願いしまーす」
車を持ってる1年生のこととか、青敬さんのこととか。来期に向けて思い出したり考えたりすることはいろいろあるなあ。でもまだ時間に余裕があるからじっくり考えられるかな。あと、打ち上げはどんなお店がいいかとか、何人来るかとかも見とかないとね。案外忙しいね。
end.
++++
来期に向けた話し合いが進んでいるようです。代替わりはまだだけど、決めるだけ決めるのが対策委員です。
そういや夏合宿の打ち上げというイベントもあったし、今年はどういう規模の何の大会になるのかな? 去年は食糧戦争回避が目的の焼肉食べ放題だったけど。
向島エリアも自動車社会ではあるのだけど、星港という都会で生きる上ではなくても全然やっていけちゃうのです
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