2020(03)
■the strongest helpers!
++++
4年生の先輩に大事な話がありヤすとりっちゃんから招集され、やって来たのは圭斗の部屋。現場にいるのはヒロ以外の現役とうちと圭斗だ。カノンがそれーと声を上げながら運び込んでいるのは「北辰のじゃがいも」と書かれた段ボール箱。台所には深さのある大きめのフライパンとサラダ油が置かれている。
「さて、4年生の先輩方にはお忙しいところ集まってもらって恐縮です。ちなみに三井先輩は就活真っ最中なんで招集を見送らせてもらいヤした。シて、本題ス。こーた」
「はい。本日は大学祭でMMPが出展する食品ブースの試作会ということで、圭斗先輩にご協力を頂き開催出来ましたことを深く感謝申し上げます」
「ありがとうございますッ!」
「今年度は「ゲッティング¥マネープロジェクト」というテーマの下、来年度の活動資金をガチで稼ぐためにDJブースを中止して3日間フルでフライドポテトを販売したいと思います。今日は作り方の確認と、どれくらいの量をいくらで売るのが望ましいのかということを話し合う大会です」
「なるほどね。分かりやすくて実にいいと思うよ」
「今年はDJブースやらないんだな」
「この人数スし、それもなかなか回らないンすよね。これからは追いコンだ何だって費用がかさみヤすからね。ここらでパーッと稼げたら、機材の新調も視野に入ってきヤすし」
今の3年生4人がいなくなると、MMPには奈々とカノンの2人しか残らなくなる。だけどそれを悲観的に捉えるのではなく、来期に向けてどう動いて行けるかと1・2年生が攻める姿勢を3年生が補佐しているという様子だ。
如何せん今の状況を招いているのは去年のゲッティング☆ガールプロジェクトの失敗から始まっているのには間違いない。学祭関係のことをちょっと手伝ってくれとりっちゃんから言われたときも、これまでほどガツガツは動かないけど、出来る範囲でならと自然に返事をしていた。
「じャ、さっそくポテトを作っていきヤしょーか」
「ところでりっちゃん、フライドポテトは冷凍した方が美味しくなると聞いて事前に下拵えした物を冷凍庫に入れてあるんだ」
「さすが圭斗先輩スわ」
「当たり前だろ! お前圭斗先輩を誰だと思ってるんだ!」
「まァフツーに圭斗先輩スけど、それと比較するためにも生ポテトを作るべくジャガイモから切り出して行きヤしょう」
圭斗を講師に、それを主に教わるのはりっちゃんと奈々。ノサカとカノンが後ろから覗き見ている。カンザキに「お前は参加しないのか」と聞いたら「私の仕事はお金と資材の管理ですので」と返って来た。カンザキに関しては適材適所だと思う。
うちも別に調理をするために呼ばれたワケじゃないし、味見役だから現段階では特にやることもない。調理を担当しないカンザキと水回り以外のことを話すことにした。ポテトを作って売る以外にも、大学祭のブースはいろいろやらなければならないことがある。
「例えば、容器ですね。紙製のケースやSサイズ的な袋、ベタに紙コップなどが考えられます」
「よくあるのはオレンジのストライプのヤツとか」
「ですね。個人的には耐油性能を考えたいですね。現代人は何をするにもスマホを使いますし、手に油が付くのを嫌がる傾向にあるじゃないですか」
「あー、はいはい。そしたら爪楊枝でも付けるか? いや、費用がかさむか」
「費用に関しては、ジャガイモがタダで仕入れ出来ているので爪楊枝程度であれば全然買えるんですよね」
「ジャガイモがあるのは強いな。爪楊枝を使って食べるとなると、ホクホク系の太いポテトになるのかな」
「爪楊枝を使うならその方が食べやすそうではありますね」
――などとこっちで盛り上がっていても、決めるのは試食を踏まえた上でだしな。するとりっちゃんが台所からひょっこり顔を出して、カンザキに何やら指示を出している。
「せっかく菜月先輩がいらっしゃるということで、土田代表からこれだけは聞いておけという指示がありましたのでお尋ねしたいのですが」
「何だ、改まって」
「装飾関係のノウハウなんですけど~……」
「出たー。今年はやらないからな!」
「ナ、ナンダッテー!?」
「うるさいノサカ! ちゃんと料理を勉強しろ! まあ、ノウハウを教えることは出来るけど、今年はやらないとは言っとくぞ」
「ええ、ノウハウがあれば後は奈々が頑張りますので」
「こーた先輩みんなでやりましょうよッ!」
「奈々も真面目に料理講習を受けてくださいよ」
ただ、今年はDJブースがない分作る看板も1枚でいいと考えると圧倒的に楽なんだよな。看板1枚なら奈々しか期待出来る人間がいなくても何とかなるかな?
「OBがごちゃごちゃ言うのも難だけど、一応は放送サークルらしさも残しておきたいな」
「例えば」
「昔はDJブースで食品ブースのCMを流したりしてただろ」
「そうですねえ……村井サンと麻里さんの悪ふざけが遺憾なく発揮されていましたねえ」
「あの流れを踏襲して、裏で延々とCMなり歌なりを流し続ける、的な」
「個人的には断然アリなんですけど、代表が何と言うか」
「奈々とカノンがアリならりっちゃん的にもアリなんじゃないか?」
「なるほど、将を射んとする者はまず馬を射よですね」
end.
++++
ゲッティング☆ガールプロジェクトの亜種、ゲッティング¥マネープロジェクトというものが誕生。☆や¥の記号はMMP的に大事なこだわり。
話通り4年生もしっかり巻き込んでますし、ノサカ的には幸せの時間になること間違いなし! よかったね
調理班に圭斗さんもいるし、装飾のノウハウもしっかり菜月さんから継承してもらえるということで、大幅な戦力アップですね!
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4年生の先輩に大事な話がありヤすとりっちゃんから招集され、やって来たのは圭斗の部屋。現場にいるのはヒロ以外の現役とうちと圭斗だ。カノンがそれーと声を上げながら運び込んでいるのは「北辰のじゃがいも」と書かれた段ボール箱。台所には深さのある大きめのフライパンとサラダ油が置かれている。
「さて、4年生の先輩方にはお忙しいところ集まってもらって恐縮です。ちなみに三井先輩は就活真っ最中なんで招集を見送らせてもらいヤした。シて、本題ス。こーた」
「はい。本日は大学祭でMMPが出展する食品ブースの試作会ということで、圭斗先輩にご協力を頂き開催出来ましたことを深く感謝申し上げます」
「ありがとうございますッ!」
「今年度は「ゲッティング¥マネープロジェクト」というテーマの下、来年度の活動資金をガチで稼ぐためにDJブースを中止して3日間フルでフライドポテトを販売したいと思います。今日は作り方の確認と、どれくらいの量をいくらで売るのが望ましいのかということを話し合う大会です」
「なるほどね。分かりやすくて実にいいと思うよ」
「今年はDJブースやらないんだな」
「この人数スし、それもなかなか回らないンすよね。これからは追いコンだ何だって費用がかさみヤすからね。ここらでパーッと稼げたら、機材の新調も視野に入ってきヤすし」
今の3年生4人がいなくなると、MMPには奈々とカノンの2人しか残らなくなる。だけどそれを悲観的に捉えるのではなく、来期に向けてどう動いて行けるかと1・2年生が攻める姿勢を3年生が補佐しているという様子だ。
如何せん今の状況を招いているのは去年のゲッティング☆ガールプロジェクトの失敗から始まっているのには間違いない。学祭関係のことをちょっと手伝ってくれとりっちゃんから言われたときも、これまでほどガツガツは動かないけど、出来る範囲でならと自然に返事をしていた。
「じャ、さっそくポテトを作っていきヤしょーか」
「ところでりっちゃん、フライドポテトは冷凍した方が美味しくなると聞いて事前に下拵えした物を冷凍庫に入れてあるんだ」
「さすが圭斗先輩スわ」
「当たり前だろ! お前圭斗先輩を誰だと思ってるんだ!」
「まァフツーに圭斗先輩スけど、それと比較するためにも生ポテトを作るべくジャガイモから切り出して行きヤしょう」
圭斗を講師に、それを主に教わるのはりっちゃんと奈々。ノサカとカノンが後ろから覗き見ている。カンザキに「お前は参加しないのか」と聞いたら「私の仕事はお金と資材の管理ですので」と返って来た。カンザキに関しては適材適所だと思う。
うちも別に調理をするために呼ばれたワケじゃないし、味見役だから現段階では特にやることもない。調理を担当しないカンザキと水回り以外のことを話すことにした。ポテトを作って売る以外にも、大学祭のブースはいろいろやらなければならないことがある。
「例えば、容器ですね。紙製のケースやSサイズ的な袋、ベタに紙コップなどが考えられます」
「よくあるのはオレンジのストライプのヤツとか」
「ですね。個人的には耐油性能を考えたいですね。現代人は何をするにもスマホを使いますし、手に油が付くのを嫌がる傾向にあるじゃないですか」
「あー、はいはい。そしたら爪楊枝でも付けるか? いや、費用がかさむか」
「費用に関しては、ジャガイモがタダで仕入れ出来ているので爪楊枝程度であれば全然買えるんですよね」
「ジャガイモがあるのは強いな。爪楊枝を使って食べるとなると、ホクホク系の太いポテトになるのかな」
「爪楊枝を使うならその方が食べやすそうではありますね」
――などとこっちで盛り上がっていても、決めるのは試食を踏まえた上でだしな。するとりっちゃんが台所からひょっこり顔を出して、カンザキに何やら指示を出している。
「せっかく菜月先輩がいらっしゃるということで、土田代表からこれだけは聞いておけという指示がありましたのでお尋ねしたいのですが」
「何だ、改まって」
「装飾関係のノウハウなんですけど~……」
「出たー。今年はやらないからな!」
「ナ、ナンダッテー!?」
「うるさいノサカ! ちゃんと料理を勉強しろ! まあ、ノウハウを教えることは出来るけど、今年はやらないとは言っとくぞ」
「ええ、ノウハウがあれば後は奈々が頑張りますので」
「こーた先輩みんなでやりましょうよッ!」
「奈々も真面目に料理講習を受けてくださいよ」
ただ、今年はDJブースがない分作る看板も1枚でいいと考えると圧倒的に楽なんだよな。看板1枚なら奈々しか期待出来る人間がいなくても何とかなるかな?
「OBがごちゃごちゃ言うのも難だけど、一応は放送サークルらしさも残しておきたいな」
「例えば」
「昔はDJブースで食品ブースのCMを流したりしてただろ」
「そうですねえ……村井サンと麻里さんの悪ふざけが遺憾なく発揮されていましたねえ」
「あの流れを踏襲して、裏で延々とCMなり歌なりを流し続ける、的な」
「個人的には断然アリなんですけど、代表が何と言うか」
「奈々とカノンがアリならりっちゃん的にもアリなんじゃないか?」
「なるほど、将を射んとする者はまず馬を射よですね」
end.
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ゲッティング☆ガールプロジェクトの亜種、ゲッティング¥マネープロジェクトというものが誕生。☆や¥の記号はMMP的に大事なこだわり。
話通り4年生もしっかり巻き込んでますし、ノサカ的には幸せの時間になること間違いなし! よかったね
調理班に圭斗さんもいるし、装飾のノウハウもしっかり菜月さんから継承してもらえるということで、大幅な戦力アップですね!
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