2020(02)
■目的のAM9:00
++++
「エイジ、履修決めた?」
「おー、決めたけど、学部違うのにそれを聞く意味ってなくね?」
「まあそうなんだけどね」
もうすぐ緑ヶ丘大学の秋学期が始まる。秋学期の履修登録がもうすぐそこまで迫っていて、どういう時間割を組むのかを考えている。2年生の後期ということで、ここで頑張れば3年生の履修で余裕が出来るとか出来ないとか。でも、俺は1年生の時にちょっとダメだったからなあ。
で、エイジに時間割を聞いた理由だ。俺は社会学部でエイジは文学部。学部は違うしもちろん取ってる授業も違う。授業の出方みたいなものも多分違ってくるはずだ。だけど、一般的に文系なら学年が上がれば1限からの授業というのは少なくなってくる傾向にあるとかないとか。
「俺、実は火曜日に1限の授業を取ろうと思ってるんだよ」
「は? お前が? 1限を? いや、そりゃ勉強したいから履修するんだろうけど、大丈夫かっていう」
「そう、それが心配なんだよね」
「いや、そうは言っても俺だって毎週お前のことを起こしてらんねーべ」
「ですよね。うん、知ってた。自力で頑張ります」
本当は授業も午後始まりにしたいくらいだけど、2年後期ではそれもまだ難しい。だからせめて2限始まりくらいで検討してるんだけど、どうしても取りたい授業が1限に入っていて。どうして1限なんだろうってちょっと恨んでるけど、それでも履修はしたいなあって。同じ名前でもやることが違って来るんだよね。
「で、お前が取りたいのってどういう講義なんだっていう」
「情報処理中級っていう授業だね」
「情報処理中級? 確か1年の時は情報処理基礎っつーのが必修であったよな」
「あ、文学部も必修だったんだ。社学でも必修で、簡単なことしかやらなかったから正直たるいなーと思ってたんだけど」
「中級は面白そうなのか」
「そうだね。俺が取ろうとしてるのはデータベースを扱う授業だね。データベースを用いた検索の方法だとか、条件を指定してナントカとか、とにかくデータベースを扱うための授業だね。プログラム系の構文もちょっとやるみたい」
「ほー、俺には何が何だかさっぱりだっていう」
「ほら、MBCCのライブラリでもデータベースを作って検索したり、みたいな技術を使い始めてるでしょ? だから、俺がそれを勉強しておけばもうちょっと便利な仕様を提案出来たりしないかなって。アプリとかプログラムはそう簡単には出来ないだろうけど。その辺はL先輩やサキにお願いすることになるかな」
何気なくシラバスを眺めていて思ったんだ。L先輩がMBCCで作っているミュージックライブラリ内を検索するアプリケーションの開発を進めているけど、データベースの扱い方ってそもそもどういう物なんだろうって。L先輩は俺にもわかるように話してくれてたけど、根本がわかってないから。
それがちょっとでも分かっていればL先輩の話もわかるようになるし、先輩のいなくなる来年は自分でも何とか出来るようになるのかなって。もともとこういうパソコンやプログラム関係のことにはちょっと興味はあったし、大学で教えてもらえるならありがたいなって。
「なるほどな。俺からすればお前とL先輩が話してることでも既にワケわかんなかったけど、お前も完璧にはわかってなかったのか」
「そうなんだよね。L先輩はちゃんと勉強してる人だけど、俺はちょっとパソコンを触るのが好きな程度だし」
「お前がその? データベースっつーのを勉強したらミキサー周りがもっと便利になんのか?」
「なったらいいなあ。でも、多分難しいだろうなあ。俺がやるのはサキまでの繋ぎって感じだなあ」
「今の1年の理系ってサキだけか?」
「レナも理系だね。あの子もプログラムは多少扱うらしいけど、どっちかと言えばハードの方が強いらしいから」
「ハード」
「ロボットの本体の方」
「で、あとの連中が文系か」
「そうだね」
ササとシノが俺と同じ社学メディ文、くるみは経済だっけ、経営だっけ。とにかくそっち方面、すがやんが発掘とかをやってる史学系だったはず。文系4人にパソコンを触るような趣味もなかったはずだし、やっぱり今後の保守はサキとレナに期待したい。
「つか俺、気付いちまったんだけど、もしかしなくてもお前よりハナと壮平の方がこのテのことには強いんじゃね?」
「そうなんだよ、実はそうなんだよね! ハナちゃんはアナウンサーさんだからともかく、壮平はもうちょっと手伝ってくれてもいいと思うんだよ!」
「言ってアイツは自由だっていう。去年で言うならユノ先輩とムトーさんを足して2で割ったような感じだべ」
「あー、もう。次壮平が来たら絶対ライブラリ化手伝わせる。絶対逃がさない」
「お前がそこまで言うとか相当ガチだっていう」
「MDストックをパソコンに取り込むあの作業ね、実は結構しんどいんだよ」
「MBCCのだけじゃなくてインターフェイスのもやってんだろっていう」
「そうだね」
「ほー……いつもお疲れさん」
「ホントに」
結局、火曜1限に関してはたまにならエイジがうちに泊まり込んで起こしてくれることになった。あと、秋学期はゼミでも作品制作や学祭の準備とかで大学に泊まり込むことが増えるらしい。その流れで1限に行けないかなって密かに画策してる。出席100%の講義だから、出ることが大事。
「昼放送どうなるかなー、何曜日かなー」
「あー、それも履修で決まるのか。どーなるんだろうな」
end.
++++
タカちゃんは周りの同じ2年生より取れてる単位がちょっとだけ少ないようです。1限から取るのも結構なギャンブル。
MBCCのためにそんなハイリスクハイリターン的な授業を取ろうとしているようですが、やっぱり当てにするのはエイジなんだよなあ
でも、ゼミでの活動が増えて来るからスタジオ泊だったりコムギハイツ泊も増えるのでしょう。大学泊のノウハウが増えてくんだなあ
.
++++
「エイジ、履修決めた?」
「おー、決めたけど、学部違うのにそれを聞く意味ってなくね?」
「まあそうなんだけどね」
もうすぐ緑ヶ丘大学の秋学期が始まる。秋学期の履修登録がもうすぐそこまで迫っていて、どういう時間割を組むのかを考えている。2年生の後期ということで、ここで頑張れば3年生の履修で余裕が出来るとか出来ないとか。でも、俺は1年生の時にちょっとダメだったからなあ。
で、エイジに時間割を聞いた理由だ。俺は社会学部でエイジは文学部。学部は違うしもちろん取ってる授業も違う。授業の出方みたいなものも多分違ってくるはずだ。だけど、一般的に文系なら学年が上がれば1限からの授業というのは少なくなってくる傾向にあるとかないとか。
「俺、実は火曜日に1限の授業を取ろうと思ってるんだよ」
「は? お前が? 1限を? いや、そりゃ勉強したいから履修するんだろうけど、大丈夫かっていう」
「そう、それが心配なんだよね」
「いや、そうは言っても俺だって毎週お前のことを起こしてらんねーべ」
「ですよね。うん、知ってた。自力で頑張ります」
本当は授業も午後始まりにしたいくらいだけど、2年後期ではそれもまだ難しい。だからせめて2限始まりくらいで検討してるんだけど、どうしても取りたい授業が1限に入っていて。どうして1限なんだろうってちょっと恨んでるけど、それでも履修はしたいなあって。同じ名前でもやることが違って来るんだよね。
「で、お前が取りたいのってどういう講義なんだっていう」
「情報処理中級っていう授業だね」
「情報処理中級? 確か1年の時は情報処理基礎っつーのが必修であったよな」
「あ、文学部も必修だったんだ。社学でも必修で、簡単なことしかやらなかったから正直たるいなーと思ってたんだけど」
「中級は面白そうなのか」
「そうだね。俺が取ろうとしてるのはデータベースを扱う授業だね。データベースを用いた検索の方法だとか、条件を指定してナントカとか、とにかくデータベースを扱うための授業だね。プログラム系の構文もちょっとやるみたい」
「ほー、俺には何が何だかさっぱりだっていう」
「ほら、MBCCのライブラリでもデータベースを作って検索したり、みたいな技術を使い始めてるでしょ? だから、俺がそれを勉強しておけばもうちょっと便利な仕様を提案出来たりしないかなって。アプリとかプログラムはそう簡単には出来ないだろうけど。その辺はL先輩やサキにお願いすることになるかな」
何気なくシラバスを眺めていて思ったんだ。L先輩がMBCCで作っているミュージックライブラリ内を検索するアプリケーションの開発を進めているけど、データベースの扱い方ってそもそもどういう物なんだろうって。L先輩は俺にもわかるように話してくれてたけど、根本がわかってないから。
それがちょっとでも分かっていればL先輩の話もわかるようになるし、先輩のいなくなる来年は自分でも何とか出来るようになるのかなって。もともとこういうパソコンやプログラム関係のことにはちょっと興味はあったし、大学で教えてもらえるならありがたいなって。
「なるほどな。俺からすればお前とL先輩が話してることでも既にワケわかんなかったけど、お前も完璧にはわかってなかったのか」
「そうなんだよね。L先輩はちゃんと勉強してる人だけど、俺はちょっとパソコンを触るのが好きな程度だし」
「お前がその? データベースっつーのを勉強したらミキサー周りがもっと便利になんのか?」
「なったらいいなあ。でも、多分難しいだろうなあ。俺がやるのはサキまでの繋ぎって感じだなあ」
「今の1年の理系ってサキだけか?」
「レナも理系だね。あの子もプログラムは多少扱うらしいけど、どっちかと言えばハードの方が強いらしいから」
「ハード」
「ロボットの本体の方」
「で、あとの連中が文系か」
「そうだね」
ササとシノが俺と同じ社学メディ文、くるみは経済だっけ、経営だっけ。とにかくそっち方面、すがやんが発掘とかをやってる史学系だったはず。文系4人にパソコンを触るような趣味もなかったはずだし、やっぱり今後の保守はサキとレナに期待したい。
「つか俺、気付いちまったんだけど、もしかしなくてもお前よりハナと壮平の方がこのテのことには強いんじゃね?」
「そうなんだよ、実はそうなんだよね! ハナちゃんはアナウンサーさんだからともかく、壮平はもうちょっと手伝ってくれてもいいと思うんだよ!」
「言ってアイツは自由だっていう。去年で言うならユノ先輩とムトーさんを足して2で割ったような感じだべ」
「あー、もう。次壮平が来たら絶対ライブラリ化手伝わせる。絶対逃がさない」
「お前がそこまで言うとか相当ガチだっていう」
「MDストックをパソコンに取り込むあの作業ね、実は結構しんどいんだよ」
「MBCCのだけじゃなくてインターフェイスのもやってんだろっていう」
「そうだね」
「ほー……いつもお疲れさん」
「ホントに」
結局、火曜1限に関してはたまにならエイジがうちに泊まり込んで起こしてくれることになった。あと、秋学期はゼミでも作品制作や学祭の準備とかで大学に泊まり込むことが増えるらしい。その流れで1限に行けないかなって密かに画策してる。出席100%の講義だから、出ることが大事。
「昼放送どうなるかなー、何曜日かなー」
「あー、それも履修で決まるのか。どーなるんだろうな」
end.
++++
タカちゃんは周りの同じ2年生より取れてる単位がちょっとだけ少ないようです。1限から取るのも結構なギャンブル。
MBCCのためにそんなハイリスクハイリターン的な授業を取ろうとしているようですが、やっぱり当てにするのはエイジなんだよなあ
でも、ゼミでの活動が増えて来るからスタジオ泊だったりコムギハイツ泊も増えるのでしょう。大学泊のノウハウが増えてくんだなあ
.