2020(02)
■交わる陽気なキャラクター
++++
「いらっしゃいませー! あっ、お兄さんどーも!」
「どうも~、ご無沙汰で~す。予約入れてないんですけど大丈夫ですか~?」
「あっ、大丈夫ですよ! 今日はカットですか?」
「ん~、ちょっと切って、カラー入れよっかな~って」
久々に美容院でも行こうかな~って、たまには違う店にしてみようと思って適当な店に入ったら、俺を出迎えてくれたのは高崎クンの友達の美容師さん。夏休みに高校のいつメンで集まって飲んでるうちの1人なんだけど、まさか彼がいる店だとは思わなかった。
さっそくお店のスタイリストさんにパパッと髪を切ってもらって、カラーに移る。うちの店で飲みながら話してたことによれば、彼はまだカットは出来ないらしい。美容師さんの世界も日々鍛錬と言うか、修行なんだろうね。
「そう言えば、飲み屋のお兄さんとしての認識だったけど、名前聞いてなかった」
「俺も高崎クンの友達の美容師さんとしての認識だし~、おあいこでしょ~。ちなみに、俺は山口洋平って言いま~す」
「あっ、聞いたことある!」
「もしかして~、サッカー経験者~?」
「ううん、俺はミニバスからずっとバスケ一筋だけど、それこそ高校の友達にすっごいサッカーオタクがいてさ、そいつが「俺のヒーローなんだよ」って」
「高崎クンの高校の友達ってことは~、伊東クンとも同級生だよね~」
「あっ、カズの友達でもあるんだね。そう言えばまだ名乗ってなかったね。俺は川崎拳悟。もう友達みたいなもんだし拳悟って呼んで」
何て言うか、職業柄なのか拳悟クンがとってもフレンドリーだな~って思う。俺が結構頑張ってやってるそれをナチュラルにやれる素質って凄いなって素直に感心しちゃう。人とお喋りするのも好きだけど、俺は1人で黙ってる時間も必要とする方なんだよね。根暗だし。
簡単に自己紹介をして、今日はどんな色にしたいのかという希望を伝える。俺は実質的に就活も終わったし、せっかくだから大学生活の最後にもう1回髪にハイライトを入れようかなって。結構派手めのオレンジを入れたいな~って思って。前の金メッシュからはちょっとイメチェン。
髪色を変えようって思って真っ先に浮かんだ顔が朝霞クンだったんだけど、ステージスターのそれとは違う髪型に髪色だから、鏡を見る度ステージが~っていう強迫観念みたいなものとは戦わなくていい。今の朝霞クンだったら素直に褒めてくれるか、何でも似合いやがってって怒られるかのどっちかだろうなあ。
「拳悟クンって~、高崎クンとは古い友達なの~?」
「そうだね。学区が一緒になったのは中学からだけど、家が近いから普通に小学校の頃から一緒に遊んでて。俺の兄貴がベースやってて、俺がギター、それでアイツがドラムやってるって聞いてからはずーっとセッションしててさ。洋平クン、トリプルメソッドってバンド知ってる?」
「あ~、CDショップとか行ったらちょこちょこ売り出されてるね~。聞いたことはあるよ~」
「そのギターボーカルやってる壮馬の4人でバンドやってたんだよ。ま、一時は自然消滅しちゃったんだけどさ」
「えっ、凄いじゃん。ってか一時はって? 復活したの?」
「春に、壮馬の気紛れでね。うちの兄貴が忙しくて完全復活とまでは行かなかったけど。サポートのベースさんと、キーボードの子呼んで音源録ってさ」
「え~、聞きたい聞きたい!」
小学校の頃からギターやってるっていう拳悟クンの話を聞いて、ちょっと前に部屋の壁に立てかけられたレフティ仕様の赤いギターのことを思い出す。主は今帰省中だから触られてないだろうけど、どれくらい弾けるようになったのかな。
「俺の親友が~、ちょっと前にギター始めたんですよ~」
「えっ、そうなの!? いいねいいね!」
「何か~、別のバンドやってる友達~? キーボード弾くカンノ君っていうんですけど~、カンノ君がムリヤリ「ギター始めろ!」って言って来たみたくて~。でも何だかんだ真面目にやっちゃうのがあの子らしいんですけど~」
「キーボードのカンノ君? その子って、もしかして菅野太一クン? ゲーム音楽の」
「そうそう! カンノ君! えっ、拳悟クン知ってるの!?」
「さっき言ってたサポートキーボードっていうのが太一クンだったんだよ!」
「え~! 世間って狭い~!」
「えー、ホントに。だったら、洋平クンの親友の子とセッションしてみたいなー」
「嫌とは言わないと思うけど~、本っ当に初心者だし、俺も演奏は聞いたことないから腕前はわかんないよ~」
「全然いいって! えっ、ちょっとその子と会わせて~」
「今はまだ実家から帰ってないから~、また今度ね~」
世間って本当に狭いし、朝霞クンみたいにぐいぐい人と人との繋がりを生み出そうとする人って他にもいるんだな~って思う。そんなことを話しているうちに髪に薬剤が塗られて放置の段階に入った。こういうところでしか読まないガジェット系の雑誌に手を伸ばす。
「あっそうだ拳悟クン、確実に会える場所を知ってた」
「えっ、どこどこ?」
「俺がバイトしてるあの店だよ。帰省から戻ったら絶対晩ご飯食べに来るから」
「そのタイミング狙って行くから連絡して~」
end.
++++
去年の大学祭が終わって以来黒髪だったやまよが久々に髪をいじったようです。やっぱやまよには色を入れたくなるよな~
パッと見は似たような感じのキャラっぽいやまよと拳悟だけど、実際は全然違うよなと思った。やまよ根暗だし。
フェーズ1の最後の方にやってたTCFとサポメンの話とかあったよなあって。カンDはフットワークも軽いし実際顔も広いんだろうなあ
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「いらっしゃいませー! あっ、お兄さんどーも!」
「どうも~、ご無沙汰で~す。予約入れてないんですけど大丈夫ですか~?」
「あっ、大丈夫ですよ! 今日はカットですか?」
「ん~、ちょっと切って、カラー入れよっかな~って」
久々に美容院でも行こうかな~って、たまには違う店にしてみようと思って適当な店に入ったら、俺を出迎えてくれたのは高崎クンの友達の美容師さん。夏休みに高校のいつメンで集まって飲んでるうちの1人なんだけど、まさか彼がいる店だとは思わなかった。
さっそくお店のスタイリストさんにパパッと髪を切ってもらって、カラーに移る。うちの店で飲みながら話してたことによれば、彼はまだカットは出来ないらしい。美容師さんの世界も日々鍛錬と言うか、修行なんだろうね。
「そう言えば、飲み屋のお兄さんとしての認識だったけど、名前聞いてなかった」
「俺も高崎クンの友達の美容師さんとしての認識だし~、おあいこでしょ~。ちなみに、俺は山口洋平って言いま~す」
「あっ、聞いたことある!」
「もしかして~、サッカー経験者~?」
「ううん、俺はミニバスからずっとバスケ一筋だけど、それこそ高校の友達にすっごいサッカーオタクがいてさ、そいつが「俺のヒーローなんだよ」って」
「高崎クンの高校の友達ってことは~、伊東クンとも同級生だよね~」
「あっ、カズの友達でもあるんだね。そう言えばまだ名乗ってなかったね。俺は川崎拳悟。もう友達みたいなもんだし拳悟って呼んで」
何て言うか、職業柄なのか拳悟クンがとってもフレンドリーだな~って思う。俺が結構頑張ってやってるそれをナチュラルにやれる素質って凄いなって素直に感心しちゃう。人とお喋りするのも好きだけど、俺は1人で黙ってる時間も必要とする方なんだよね。根暗だし。
簡単に自己紹介をして、今日はどんな色にしたいのかという希望を伝える。俺は実質的に就活も終わったし、せっかくだから大学生活の最後にもう1回髪にハイライトを入れようかなって。結構派手めのオレンジを入れたいな~って思って。前の金メッシュからはちょっとイメチェン。
髪色を変えようって思って真っ先に浮かんだ顔が朝霞クンだったんだけど、ステージスターのそれとは違う髪型に髪色だから、鏡を見る度ステージが~っていう強迫観念みたいなものとは戦わなくていい。今の朝霞クンだったら素直に褒めてくれるか、何でも似合いやがってって怒られるかのどっちかだろうなあ。
「拳悟クンって~、高崎クンとは古い友達なの~?」
「そうだね。学区が一緒になったのは中学からだけど、家が近いから普通に小学校の頃から一緒に遊んでて。俺の兄貴がベースやってて、俺がギター、それでアイツがドラムやってるって聞いてからはずーっとセッションしててさ。洋平クン、トリプルメソッドってバンド知ってる?」
「あ~、CDショップとか行ったらちょこちょこ売り出されてるね~。聞いたことはあるよ~」
「そのギターボーカルやってる壮馬の4人でバンドやってたんだよ。ま、一時は自然消滅しちゃったんだけどさ」
「えっ、凄いじゃん。ってか一時はって? 復活したの?」
「春に、壮馬の気紛れでね。うちの兄貴が忙しくて完全復活とまでは行かなかったけど。サポートのベースさんと、キーボードの子呼んで音源録ってさ」
「え~、聞きたい聞きたい!」
小学校の頃からギターやってるっていう拳悟クンの話を聞いて、ちょっと前に部屋の壁に立てかけられたレフティ仕様の赤いギターのことを思い出す。主は今帰省中だから触られてないだろうけど、どれくらい弾けるようになったのかな。
「俺の親友が~、ちょっと前にギター始めたんですよ~」
「えっ、そうなの!? いいねいいね!」
「何か~、別のバンドやってる友達~? キーボード弾くカンノ君っていうんですけど~、カンノ君がムリヤリ「ギター始めろ!」って言って来たみたくて~。でも何だかんだ真面目にやっちゃうのがあの子らしいんですけど~」
「キーボードのカンノ君? その子って、もしかして菅野太一クン? ゲーム音楽の」
「そうそう! カンノ君! えっ、拳悟クン知ってるの!?」
「さっき言ってたサポートキーボードっていうのが太一クンだったんだよ!」
「え~! 世間って狭い~!」
「えー、ホントに。だったら、洋平クンの親友の子とセッションしてみたいなー」
「嫌とは言わないと思うけど~、本っ当に初心者だし、俺も演奏は聞いたことないから腕前はわかんないよ~」
「全然いいって! えっ、ちょっとその子と会わせて~」
「今はまだ実家から帰ってないから~、また今度ね~」
世間って本当に狭いし、朝霞クンみたいにぐいぐい人と人との繋がりを生み出そうとする人って他にもいるんだな~って思う。そんなことを話しているうちに髪に薬剤が塗られて放置の段階に入った。こういうところでしか読まないガジェット系の雑誌に手を伸ばす。
「あっそうだ拳悟クン、確実に会える場所を知ってた」
「えっ、どこどこ?」
「俺がバイトしてるあの店だよ。帰省から戻ったら絶対晩ご飯食べに来るから」
「そのタイミング狙って行くから連絡して~」
end.
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去年の大学祭が終わって以来黒髪だったやまよが久々に髪をいじったようです。やっぱやまよには色を入れたくなるよな~
パッと見は似たような感じのキャラっぽいやまよと拳悟だけど、実際は全然違うよなと思った。やまよ根暗だし。
フェーズ1の最後の方にやってたTCFとサポメンの話とかあったよなあって。カンDはフットワークも軽いし実際顔も広いんだろうなあ
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