2020(02)
■みんななかよし?
++++
「いやー、95点以上を取れとは言ったけど、まさか満点を取るとは思わなかった。何はともあれお疲れさん」
「ありがとうございます」
「みんな、どんどん作るからガンガン食べてね」
インターフェイス夏合宿が終わって一段落。俺の部屋には伊東先輩が遊びに来ていて、豪勢な食事を用意してくれている。せっかく伊東先輩が来てくれていてご飯も豪勢。なのにそれを俺1人で食べるのも勿体ないと言うか、贅沢過ぎるので近場の人に声を掛けてみる。
彩人に声をかけたら、そこから連絡が行って同じ星ヶ丘のみちると、ササが来た。……まあ、ササがわざわざ豊葦から来たのはアレだよね。少しでも彩人との時間を~っていう感じかな。って言うかレナとはどうなってるのかな。いや、俺が心配することでもないか。あと、当麻も来てくれた。
「あのこれ、よかったら使ってください」
「えー、こんなに野菜もらっていいの? ありがとー」
「私もお裾分けしてもらってる物なので」
「海月が言ってたけど、キュウリ食う時に付ける梅しそソースが美味いらしいじゃん。みちるのお手製なんだろ?」
「そうだね。梅干しとしそを簡単に叩いて混ぜてるだけだよ」
そもそも伊東先輩が俺の部屋で料理をしてくれているのは合宿でやったミキサーテストのご褒美のような感じだ。多分講師サイドの人から聞いたんだろうけど、合宿が終わった次の日の夜にはもう俺がテストで満点を取ったことが伝わっていたんだ。
そしてこういう会だということで、みちるが野菜を持って来てくれた。何でも農学部の先輩からお裾分けしてもらっているそうで、旬の野菜はそれで間に合うから食費が結構浮いているということだ。1人暮らしだと何にお金をかけて何を削るのかっていうのは大事だよね。
「って言うか、人見知りのタカシが立派に先輩やってると思ったら俺は感慨深いよ」
「立派ではないですけどね」
「いえ、高木さんはこの合宿で様々な問題を収めていました。その節はご迷惑をおかけしました」
「って言うかみちる、その後星ヶ丘では大丈夫だった? 星ヶ丘って行事ごとに上の人への報告があって、問題が起これば処分されるとかそういう世界なんでしょ?」
「その辺は、ゴローさんが上手くやってくれることを祈るしかないっていう感じですね……」
「俺もフォローするし大丈夫だってみちる」
「え、今年も何かあったの?」
「まあ……軽く、こう」
「えっ、暴力沙汰?」
「ですね。腹が立って手が出ちゃいました」
みちると萌香の乱闘の件は、何となく表では話し辛さがあって合宿の時には誰も触れることをしなくなっていたんだけど、本人はやっぱりケロッとした様子であの時のことを淡々と説明し始めるんだよなあ。でもって、彩人を巡っての因縁があるササは険しい顔だし。ホントに分かりやすいなこの子。
「――とまあ、そんな感じで」
「そっか。タカシ、くるちゃんはその後大丈夫そう?」
「一応は、まあ。多分」
「合宿終わった足で俺と雨竜と北星の3人でくるちゃん誘ってスイーツバイキング行きましたけど、すっかり元気になってましたよ」
「あ、くるみは青敬さんと仲が良い感じなんだね」
「って言うか、北星がくるちゃん大好きなんで、自然と俺らとも絡むようになってって感じで」
「えっ、北星ってやっぱそうなのか!?」
「あ、いや、大好きってのは友達の最上級表現で、恋愛感情かどうかまではまだ。まあ、9割9分そうだろうけど一応な」
「友達の最上級表現ね。でも、くるみは確かにかわいい。変に擦れてなくて、ああいう女の見分けもつかずにガンガン行っちゃうところとか」
「……みちるお前それ、褒めてなくないか?」
「守ってあげたくなるかわいさって意味で、褒めてるよ」
「お前さあ、大学デビュー諦めたからって急に発言がアレなんだよ」
「いつでも猫はかぶれるように、おさげとメガネは崩してないから」
みちるの優等生めいた風貌は仮の姿だったらしく、実際は高校時代をケンカ三昧で過ごした武闘派だったらしい。夏合宿を経てインターフェイス間の人間関係もいろいろ変化したり、新しく生まれたり。これからどうなっていくのかな。
伊東先輩は、今年の1年生もいろんな子がいるねとしみじみしている。2年生の俺でも思うんだから、4年生にもなるともっとしみじみしてしまうんだろう。下の子の誰と誰が仲が良いとか何とかって話を聞いてると、ついにこにこしちゃうから。
「仲が良いと言えば、海月とシノも結構仲良いよな」
「あー、そう言われれば。星ヶ丘のステージを見に行ったり、結構くららのことを気に掛けてた感じで。当麻は誰と仲良くなった?」
「え、ササがそれ言うか!? 結構ショックだぞ今の! ここ3人で同じ班の結束みたいなモンがあるかと思ってたのに!」
「あ、いや、もちろん俺は含んだ上でさ!」
「あーあ。リク、当麻が泣いてるぞ。当麻ー、俺はちゃんとお前と仲良くなったと思ってるからなー。MV撮影もよろしくなー」
「ちょっ、待て彩人、俺をハブるな。ちょっ、えー…? どーする、間違えた」
「わ、こんな余裕のないリク初めて見た。やるね彩人」
end.
++++
前にしてた相談のときには1人でいち氏のごはんを食べてたタカちゃんですが、今回は他の子にも声をかけてみました。
MBCC史の闇に葬られたいち氏の暴力沙汰の件ですが、3年生以下はそのことを知らないのよね。高崎も「アイツはキレたらヤバい」って言うだけで
そういや確かにササはレナとも会ってるのか? いや、語られないところでやってるんだろう!
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「いやー、95点以上を取れとは言ったけど、まさか満点を取るとは思わなかった。何はともあれお疲れさん」
「ありがとうございます」
「みんな、どんどん作るからガンガン食べてね」
インターフェイス夏合宿が終わって一段落。俺の部屋には伊東先輩が遊びに来ていて、豪勢な食事を用意してくれている。せっかく伊東先輩が来てくれていてご飯も豪勢。なのにそれを俺1人で食べるのも勿体ないと言うか、贅沢過ぎるので近場の人に声を掛けてみる。
彩人に声をかけたら、そこから連絡が行って同じ星ヶ丘のみちると、ササが来た。……まあ、ササがわざわざ豊葦から来たのはアレだよね。少しでも彩人との時間を~っていう感じかな。って言うかレナとはどうなってるのかな。いや、俺が心配することでもないか。あと、当麻も来てくれた。
「あのこれ、よかったら使ってください」
「えー、こんなに野菜もらっていいの? ありがとー」
「私もお裾分けしてもらってる物なので」
「海月が言ってたけど、キュウリ食う時に付ける梅しそソースが美味いらしいじゃん。みちるのお手製なんだろ?」
「そうだね。梅干しとしそを簡単に叩いて混ぜてるだけだよ」
そもそも伊東先輩が俺の部屋で料理をしてくれているのは合宿でやったミキサーテストのご褒美のような感じだ。多分講師サイドの人から聞いたんだろうけど、合宿が終わった次の日の夜にはもう俺がテストで満点を取ったことが伝わっていたんだ。
そしてこういう会だということで、みちるが野菜を持って来てくれた。何でも農学部の先輩からお裾分けしてもらっているそうで、旬の野菜はそれで間に合うから食費が結構浮いているということだ。1人暮らしだと何にお金をかけて何を削るのかっていうのは大事だよね。
「って言うか、人見知りのタカシが立派に先輩やってると思ったら俺は感慨深いよ」
「立派ではないですけどね」
「いえ、高木さんはこの合宿で様々な問題を収めていました。その節はご迷惑をおかけしました」
「って言うかみちる、その後星ヶ丘では大丈夫だった? 星ヶ丘って行事ごとに上の人への報告があって、問題が起これば処分されるとかそういう世界なんでしょ?」
「その辺は、ゴローさんが上手くやってくれることを祈るしかないっていう感じですね……」
「俺もフォローするし大丈夫だってみちる」
「え、今年も何かあったの?」
「まあ……軽く、こう」
「えっ、暴力沙汰?」
「ですね。腹が立って手が出ちゃいました」
みちると萌香の乱闘の件は、何となく表では話し辛さがあって合宿の時には誰も触れることをしなくなっていたんだけど、本人はやっぱりケロッとした様子であの時のことを淡々と説明し始めるんだよなあ。でもって、彩人を巡っての因縁があるササは険しい顔だし。ホントに分かりやすいなこの子。
「――とまあ、そんな感じで」
「そっか。タカシ、くるちゃんはその後大丈夫そう?」
「一応は、まあ。多分」
「合宿終わった足で俺と雨竜と北星の3人でくるちゃん誘ってスイーツバイキング行きましたけど、すっかり元気になってましたよ」
「あ、くるみは青敬さんと仲が良い感じなんだね」
「って言うか、北星がくるちゃん大好きなんで、自然と俺らとも絡むようになってって感じで」
「えっ、北星ってやっぱそうなのか!?」
「あ、いや、大好きってのは友達の最上級表現で、恋愛感情かどうかまではまだ。まあ、9割9分そうだろうけど一応な」
「友達の最上級表現ね。でも、くるみは確かにかわいい。変に擦れてなくて、ああいう女の見分けもつかずにガンガン行っちゃうところとか」
「……みちるお前それ、褒めてなくないか?」
「守ってあげたくなるかわいさって意味で、褒めてるよ」
「お前さあ、大学デビュー諦めたからって急に発言がアレなんだよ」
「いつでも猫はかぶれるように、おさげとメガネは崩してないから」
みちるの優等生めいた風貌は仮の姿だったらしく、実際は高校時代をケンカ三昧で過ごした武闘派だったらしい。夏合宿を経てインターフェイス間の人間関係もいろいろ変化したり、新しく生まれたり。これからどうなっていくのかな。
伊東先輩は、今年の1年生もいろんな子がいるねとしみじみしている。2年生の俺でも思うんだから、4年生にもなるともっとしみじみしてしまうんだろう。下の子の誰と誰が仲が良いとか何とかって話を聞いてると、ついにこにこしちゃうから。
「仲が良いと言えば、海月とシノも結構仲良いよな」
「あー、そう言われれば。星ヶ丘のステージを見に行ったり、結構くららのことを気に掛けてた感じで。当麻は誰と仲良くなった?」
「え、ササがそれ言うか!? 結構ショックだぞ今の! ここ3人で同じ班の結束みたいなモンがあるかと思ってたのに!」
「あ、いや、もちろん俺は含んだ上でさ!」
「あーあ。リク、当麻が泣いてるぞ。当麻ー、俺はちゃんとお前と仲良くなったと思ってるからなー。MV撮影もよろしくなー」
「ちょっ、待て彩人、俺をハブるな。ちょっ、えー…? どーする、間違えた」
「わ、こんな余裕のないリク初めて見た。やるね彩人」
end.
++++
前にしてた相談のときには1人でいち氏のごはんを食べてたタカちゃんですが、今回は他の子にも声をかけてみました。
MBCC史の闇に葬られたいち氏の暴力沙汰の件ですが、3年生以下はそのことを知らないのよね。高崎も「アイツはキレたらヤバい」って言うだけで
そういや確かにササはレナとも会ってるのか? いや、語られないところでやってるんだろう!
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